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審決分類 審判 一部無効 観念類似 無効としない W052932
審判 一部無効 外観類似 無効としない W052932
審判 一部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない W052932
審判 一部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない W052932
審判 一部無効 称呼類似 無効としない W052932
管理番号 1368290 
審判番号 無効2020-890005 
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2020-01-17 
確定日 2020-10-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第6165610号商標の商標登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第6165610号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成30年7月13日に登録出願,第5類「治療用アロエベラジェル,治療用アロエベラ剤,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品」,第29類「加工済み食用アロエベラ,加工済み食用藻類,食用油脂,乳製品,加工野菜及び加工果実」及び第32類「アロエベラジュース,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」を指定商品として,令和元年6月19日に登録査定,同年7月26日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の無効審判の理由に引用する商標は,以下の1ないし11に示すとおりであり(以下,1ないし11を順次「引用商標1」ないし「引用商標11」といい,それらをまとめて「引用商標」という場合がある。),いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第4430363号商標は,「LIVITA」の文字を標準文字で表してなり,平成11年10月21日に登録出願,第32類「清涼飲料,果実飲料」を指定商品として,同12年11月2日に設定登録されたものである。
2 登録第4656653号商標は,「LIVITA」の文字を標準文字で表してなり,平成14年7月31日に登録出願,第5類「食餌療法用食品,食餌療法用飲料」及び第29類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同15年3月20日に設定登録されたものである。
3 登録第4672695号商標は,別掲2のとおりの構成からなり,平成14年10月4日に登録出願,第5類「食餌療法用食品,食餌療法用飲料」を含む第5類,第29類,第30類及び第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同15年5月16日に設定登録されたものである。
4 登録第4699982号商標は,別掲3のとおりの構成からなり,平成14年10月23日に登録出願,第5類「食餌療法用食品,食餌療法用飲料」を含む第5類,第29類及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同15年8月15日に設定登録されたものである。
5 登録第4699998号商標は,別掲4のとおりの構成からなり,平成14年11月21日に登録出願,第5類「食餌療法用食品,食餌療法用飲料」を含む第5類,第29類,第30類及び第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同15年8月15日に設定登録されたものである。
6 登録第4765418号商標は,別掲5のとおりの構成からなり,平成15年7月4日に登録出願,第32類「食物繊維入り清涼飲料」を指定商品として,同16年4月16日に設定登録されたものである。
7 登録第4987267号商標は,別掲6のとおりの構成からなり,平成17年11月24日に登録出願,「ビタミンを主原料にした粉末状・錠剤状・カプセル状・粒状・顆粒状・ゼリー状・液状・ビスケット状・ウエハース状の加工食品」を含む第29類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同18年9月15日に設定登録されたものである。
8 登録第5315815号商標は,別掲7のとおりの構成からなり,平成21年9月16日に登録出願,第30類「べにふうき茶を主原料とする粉末状・顆粒状の加工食品」及び第32類「べにふうき茶を加味した飲料用青汁」を含む第30類及び第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同22年4月9日に設定登録されたものである。
9 登録第5363271号商標は,別掲8のとおりの構成からなり,平成19年6月18日に登録出願,「ビタミン等を含有する粉末状・錠剤状・カプセル状・粒状・顆粒状・ゼリー状・液状の加工食品」を含む第29類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同22年10月22日に設定登録されたものである。
10 登録第5510891号商標は,別掲9のとおりの構成からなり,平成24年2月14日に登録出願,第5類「スティック状容器入りの粉末状サプリメント」,第30類「スティック状容器入りの粉末茶」及び第32類「スティック状容器入りの粉末清涼飲料」を指定商品として,同年7月27日に設定登録されたものである。
11 登録第6080723号商標は,別掲10のとおりの構成からなり,平成29年12月11日に登録出願,第5類「薬剤(農薬に当たるものを除く。),サプリメント」,第30類「茶,コーヒー,ココア,調味料,香辛料,穀物の加工品,菓子,パン,即席菓子のもと」及び第32類「飲料用青汁,粉末状の飲料用青汁のもと,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース」を指定商品として,同30年9月14日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張
請求人は,本件商標の指定商品中第5類「サプリメント」,第29類「加工済み食用アロエベラ,乳製品,加工野菜及び加工果実」及び第32類「アロエベラジュース,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」についての登録を無効とする,審判費用は,被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を審判請求書及び令和2年7月28日付け上申書において,要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同項第10号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第46条第1項の規定により,その登録を無効とすべきである。
2 本件商標について
本件商標は,別掲1のとおり,上段に「REVITA」の文字を,下段には異なる書体で,上段の文字より,肉太の線で,極めて大きく「BLU」(Uの上部にはアクセント記号が付いている。以下同じ。)の文字を併記してなる構成からなるものである。上段の文字と下段の文字は,異なる書体,異なる大きさ,異なる線の太さで表示されているものであるから,外観においては,上段の文字と下段の文字とは分離したものとして把握,認識されるものであり,一体不可分のものとしてみるべき理由は存在しない。
そして,上段の「REVITA」の文字部分は,既成語として親しまれているものではなく,特定の意味合いを認識させることのない一種の造語として取引者,需要者に認識されるものである。下段の「BLU」の文字部分は,イタリア語で「青,青の」を意味するものとして知られており,商品等の色彩(品質)を表示するものであるから,単独では,自他商品の識別力を有さないものである。
そうすると,本件商標は,上段の「REVITA」の文字部分が要部となり,自他商品の識別標識として独立して機能し得るものであって,構成文字全体から生じる称呼のほかに,「REVITA」の文字部分に相応し,「リビタ」又は「リバイタ」の称呼が生じるものである。
そして,「REVITA」の文字部分は,特定の意味合いを認識させることのない一種の造語として取引者,需要者に認識されるものといえる。
また,被請求人のウェブサイトにおいて「リバイタブルー」の片仮名が表示されていたとしても,本件商標の構成中には,そのような片仮名は含まれていないので,本件商標の称呼が,そのようなウェブサイトによって,左右されるものではなく,本件商標の称呼が「リバイタブルー」のみであるとする被請求人の主張は失当である。
被請求人は,「本件商標は,2018年12月にリリースされた植物幹細胞配合のサプリメントの名称として使用され,日本国内において広く知られている。」旨主張しているが,本件商標に係る商品が2018年12月にリリースされたものであるということは,使用時期だけを見ても,本件商標の審査の判断基準時において,日本国内で周知になっているということはできない。
3 引用商標について
(1)引用商標について
引用商標は,上記第2のとおり,「LIVITA」の文字からなるか,又は,「LIVITA」又は「Livita」の文字を要部とし,独立して自他商品の識別標識として機能し得る登録商標であって,観念においては,特定の意味合いを有しない一種の造語として,認識されるものである。称呼においては,「リビタ」又は「リバイタ」の称呼が生じる。
被請求人は,引用商標の取引の実情における称呼は,「リビタ」であるとし,「リバイタ」の称呼が生じることは一切なく,「リビタ」の称呼のみが生ずる旨主張するが,ウェブサイトなどの表示により,称呼等が限定されることはなく,引用商標からは当該文字に相応して「リビタ」又は「リバイタの称呼が生じ,特定の意味合いを有しない一種の造語として,認識されるものである。
(2)引用商標の使用状況と周知性について
引用商標は,引用商標1,引用商標2及び引用商標5を中心に,保健機能食品や栄養補助食品,調味料,飲料を始めとしたいわゆる健康商品について,その商品の包装や広告に請求人のセルフケア応援ブランド「Livita」として表示,使用されている(甲5の1?3)。「Livita」ブランドは,請求人の健康維持に役立つ食品の統一ブランドとして,2003年2月25日に「グルコケア」を発売,同年に「コレスケア」も「Livita」ブランドに切り替えて以来のロングセラー商品であり(甲6の1,2,43),他社との合併,商品の共同開発,業務提携及びOEM供給の実施など(甲6の13,20,22,23)事業体制と規模を拡大しつつ,「Livita」ブランドの対象商品を様々な健康商品に拡大してきたところ,その都度,マスコミにおいて大きく取り上げられてきた。本件商標の出願時と登録査定時に合致する2018年度の請求人の健康食品の売上高は100億円超となっており,「Livita」ブランドの商品の売り上げはその中核をなすに至っている(甲6の50)。
したがって,引用商標1,引用商標2及び引用商標5を中心とした「Livita」ブランドは,保健機能食品や栄養補助食品,調味料,飲料を始めとしたいわゆる様々な健康商品に使用され,本件商標の出願時と登録査定時においては,我が国において周知・著名になっているということができる。
このことは,請求人と被請求人の双方に争いがない。
4 本件商標と引用商標との類否について
本件商標は「REVITA」の文字部分を要部として,自他商品の識別標識として独立して機能し得るものであるところ,「REVITA」の文字部分は,観念においては,特定の意味合いを認識させることのない一種の造語として取引者,需要者に認識され,称呼においては「リビタ」又は「リバイタ」の称呼を生じる。
一方,引用商標は,いずれも「LIVITA」の文字からなるか,又は,「LIVITA」又は「Livita」の文字を要部とし,独立して自他商品の識別標識として機能し得るものであるところ,その「LIVITA」又は「Livita」の文字部分については,観念においては,特定の意味合いを有しない一種の造語として取引者,需要者に認識されるものであり,称呼においては,「リビタ」又は「リバイタ」の称呼が生じるものである。
本件商標の要部である「REVITA」の文字部分と,引用商標を構成するか又は要部である「LIVITA」又は「Livita」の文字部分を対比してみると,称呼において,両者は,「リビタ」又は「リバイタ」の共通の称呼が生じる。
次に,観念においては,両者とも,特定の意味合いを有しない一種の造語として取引者,需要者に認識されるものであるから,観念において少なくとも区別し得る差異があるということはできないものである。
さらに,外観においては,両者とも,同じ6文字構成であって,第3文字以降は同じつづりの欧文字からなるものである。そして,相違する語頭の「R」と「L」の欧文字も,我が国においては「ら行」を表すローマ字の子音部分と認識されやすい文字である点で共通すること,本件商標の「REVITA」の文字部分も,引用商標の「LIVITA」又は「Livita」の文字部分も,ともに造語として認識されるものであって,馴染みのある単語の文字ではなく,取引者,需要者が同じ称呼の文字の違いを直ちに認識するとは考え難いことを踏まえると,外観においても,両者は,簡易迅速を尊ぶ商取引の場においては,上述のようなわずかな文字の差異を強く認識するというよりも,やはり,近似した印象を看者に与えるものといえる。そしてこれらの外観におけるわずかな差異は,両者の称呼が同一であることの近似性を凌駕するものではないことも明らかである。
特に,引用商標の要部である「LIVITA」又は「Livita」の文字部分は,本件審判請求に係る指定商品でもある保健機能食品や栄養補助食品,調味料,飲料を始めとした様々な健康商品に使用され,本件商標の出願時と登録査定時には,我が国において周知・著名となっているものであるから,なおさら,引用商標と近似した印象を看者に与えるものといえる。
そうすると,本件商標と引用商標とは,外観,観念,称呼等を総合して全体的に考察するならば,相紛れるおそれがある類似の商標といえる。
被請求人は,平成22年(行ケ)第10102号の裁判例を引用し,本件商標も,当該裁判例と同様に認定するべきであると主張しているが,本件商標と裁判例とは事案を異にするものであるから,当該主張は,失当である。
5 本件商標の請求に係る指定商品と引用商標の指定商品・使用に係る商品の類否について
本件商標の請求に係る指定商品はそのいずれもが引用商標の指定商品とは同一又は類似の関係にあることは明らかである。
また,本件商標の請求に係る指定商品は,そのいずれもが引用商標の使用に係る保健機能食品や栄養補助食品,調味料,飲料を始めとしたいわゆる健康商品と同一又は類似の関係にあるか,同一又は類似の商標を使用した場合に出所の混同を生じさせるおそれがあるほど,近似した関係にあること明らかである。
6 特許庁における審査・審決例について
本件商標と引用商標とが類似の商標であり,本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当することは,特許庁における過去の審査・審決例をみても,その妥当性を伺うことができる(甲7の1?3)
7 商標法第4条第1項第11号の該当性について
引用商標は,いずれも,本件商標の先願に係る登録商標であり,本件商標と引用商標とは,類似の商標であり,本件商標の請求に係る指定商品と引用商標の指定商品とは,同一又は類似である。
したがって,本件商標は,先願に係る登録商標である引用商標と類似するものであって,その指定商品においても同一又は類似するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
8 商標法第4条第1項第10号又は同項第15号の該当性について
本件商標は,平成30(2018)年7月13日に出願されたものである。一方,引用商標は,引用商標1,引用商標2及び引用商標5を中心とした「Livita」ブランドとして,保健機能食品や栄養補助食品,調味料,飲料を始めとしたいわゆる様々な健康商品に使用され,本件商標の出願時及び登録査定時には我が国において周知・著名となっている。
そして,本件商標と引用商標とは,類似の商標であり,本件商標の請求に係る指定商品と,保健機能食品や栄養補助食品,調味料,飲料を始めとしたいわゆる様々な健康商品とは,同一又は類似の関係にあるものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。
また,仮に,本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同項第11号に該当しないとしても,引用商標の我が国における周知・著名性や,本件商標と引用商標の商標及び商品の近似性(類似性)を勘案するならば,本件商標は,少なくとも,本件商標の請求に係る指定商品との関係では,混同を生ずるおそれがあるものであるから,商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第14号証を提出した。
1 本件商標について
(1)外観
本件商標は,太字の線で大きく書かれたアルファベット「BLU」の文字と,その上部にやや小さめに細字で書かれた「REVITA」の文字から構成されている。「BLU」のフォントは,「Trede Gothic LT Std Bold」であり,「REVITA」のフォントは,「Gotham Light」であり,厳密には異なるフォントだが,それらは,シンプルでスタイリッシュという共通の印象を与える。「BLU」と「REVITA」とは,共通性のあるフォントで,同一の色彩,大文字ですべて構成されており,近接して書されて全体として一つのまとまった外観を有している。
(2)称呼
商標の称呼は,商標を使用する者がどのような称呼を用い,営業されるかによって決定されるべきであり,本件商標の称呼は「リバイタブルー」が用いられ,商取引が行われている(乙3?乙12)。つまり本件商標は,「リバイタブルー」の称呼のみを有している。
(3)観念
「REVITA」は,「RE」(再生)と「VITAL」(活力に満ちた)に含まれる「VITA」とを組み合わせて成り立っている。つまり,「REVITA」は,「活力の再生」,「復活」等の印象を取引者,需要者に与える。
一方,「BLU」は,特定の言語には存在しない単語である。「BLU」は造語であり,その意味は,直ちに判別できないが,「BLUE」に類似していることから,「青い色」を想起させる。これにより,本件商標全体として「海などの青色の印象を持つものからエネルギーを取り込み活力を再生する」の観念が生じる。
(4)本件商標の使用状況と周知性
本件商標は,2018年12月にリリースされた植物幹細胞配合のサプリメントの名称として使用され,日本国内において広く知られている。本件商標が付された商品は,「楽天市場」,「Yahoo!JAPANインターネットオークション」,「メルカリ」及び「Qoo10」等の市場で取引されている。その結果,本件商標は,サプリメント,健康飲料等の健康商品に使用され,我が国において周知・著名となっている。
2 引用商標について
(1)外観
すべての引用商標は,「LIVITA」又は「Livita」の文字を要部としている。
(2)称呼
引用商標「LIVITA」又は「Livita」の取引の実情における称呼は「リビタ」である。「リバイタ」の称呼が生じることはない。
(3)観念
引用商標「LIVITA」又は「Livita」の文字部分は,いずれも観念においては,特定の意味合いを有しない一種の造語として取引者,需要者に認識されるものである。
(4)引用商標の使用状況と周知性
引用商標「LIVITA」又は「Livita」の文字部分は,請求人が主張しているとおり,保健機能食品や栄養補助食品,調味料,飲料を始めとしたいわゆる様々な健康商品に使用され,本件商標の出願時及び登録査定時には,我が国において周知・著名となっている。
3 本件商標と引用商標との類否について
本件商標の外観は,取引者及び需要者が最も注意をひく商標の中心に肉太の線で大きく描かれた「BLU」の文字とその上部に「REVITA」の文字とが一体不可分に結合したものであり,引用商標は,「LIVITA」又は「Livita」を含んで構成されるものであり,本件商標の外観と引用商標の外観は大きく相違する。
上述のとおり,取引の実情において,本件商標の称呼は「リバイタブルー」,引用商標の称呼は「リビタ」であり,本件商標と引用商標とは,その称呼において,混同を生じない。
さらに,本件商標の観念は,「青をイメージした活力再生」であり,特定の観念を有しない引用商標とは,観念上の混同が生じることはない。
よって,本件商標は先願に係る登録商標である引用商標と類似する要素がない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号,同項第11号及び同項第15号に該当しない。
4 むすび
よって,本件商標の登録は,無効にされるべきものではない。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は,別掲1のとおり,上段に「REVITA」の文字を,下段に太く大きく「BLU」の文字を書してなるところ,「REVITA」の文字部分と「BLU」の文字部分は,文字の太さ及び大きさが著しく異なることから,視覚的に分離して看取されるものである。また,「REVITA」の文字部分と「BLU」の文字部分は,称呼上及び観念上のつながりや関連性も認められないことから,常に一体不可分のものとして見るべき理由もない。
してみれば,本件商標は,「REVITA」の文字部分と「BLU」の文字部分が,それぞれ独立して要部となり,自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。
そこで,「REVITA」の文字についてみると,当該文字は,辞書等に載録されていないものであって,特定の意味合いを想起させることのない,一種の造語として理解されるものである。
そして,特定の語義を有しない欧文字は,一般に,我が国において親しまれた英語読み又はローマ字読みに倣って称呼されることから,「REV」の文字を含む我が国でよく知られている英単語である「review」が「レビュー」と発音され,「RE」の文字を含む「record」,「receive」及び「recipe」の各語が,「レコード」,「レシーブ」及び「レシピ」と発音されることを踏まえると,語頭の「RE」の文字部分は,英語読み又はローマ字読みに倣い「レ」と発音されるとみるのが自然といえ,「REVITA」の文字部分から「レビタ」の称呼が生じるものである。
また,本件商標の構成中,「BLU」の文字は,「青,青の」を意味を有するイタリア語であるとしても,当該語が我が国において一般に親しまれているとはいえないことから,特定の意味合いを想起させることのない,一種の造語として理解されるものであり,「BLU」の文字部分からは,「ブルー」の称呼が生じ,特定の観念は生じないものである。
そうすると,本件商標は,その構成文字全体に相応して,「レビタブルー」の称呼を生じる他に,「REVITA」及び「BLU」の文字部分に相応して「レビタ」及び「ブルー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は,上記第2のとおり「LIVITA」の文字からなる,又は構成中に「LIVITA」又は「Livita」の文字を有してなるところ,当該各文字から,「リビタ」の称呼が生じるものである。また,当該文字は,辞書等に載録されていない造語であって,引用商標の指定商品を取り扱う分野において特定の意味合いを表す語として使用されている実情も見受けられない。
そうすると,引用商標は,「リビタ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
本件商標の構成中,独立して要部となり得る「REVITA」の文字部分と引用商標とを比較するに,外観においては,本件商標の語尾4文字の「VITA」及び引用商標の語尾4文字「VITA」又は「vita」の文字のつづりを共通にするものの,それぞれ語頭の2文字に「RE」及び「LI」又は「Li」の差異を有するものであるから,両者は,外観上,相紛れるおそれはない。
次に,本件商標の要部たり得る「REVITA」の部分から生じる「レビタ」の称呼と,引用商標から生じる「リビタ」の称呼とは,語尾2音の「ビタ」の称呼を共通にするものの,語頭の「レ」及び「リ」の音に差異を有し,当該音が語頭である差異に加えて,それぞれ3音という短い音構成においては,称呼全体に及ぼす影響が大きいものといえ,両者は,称呼上,明瞭に聴別し得るものである。
また,本件商標全体から生じる「レビタブルー」又は本件商標の要部たり得る「BLU」の部分から生じる「ブルー」の称呼と,引用商標から生じる「リビタ」の称呼とは,その音構成及び音数において明らかに相違するものであるから,両者は,互いに相紛れるおれはないものである。
そして,本件商標及び引用商標は,いずれも特定の観念は生じないものであるから,両商標は,観念上,比較することができない。
してみれば,本件商標と引用商標とは,観念において比較することができないとしても,外観において相紛れるおそれのないものであり,称呼においても明瞭に聴別できるものであるから,両商標が需要者に与える印象,記憶,連想等を総合してみれば,両商標は,非類似の商標というべきである。
なお,甲第7号証の1ないし3の審決例等は,本件とは事案を異にするから,採用することはできない。
(4)小括
以上よりすると,本件商標と引用商標とは,非類似の商標というべきであるから,本件商標と引用商標の指定商品が同一又は類似のものであるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について
(1)引用商標の周知性について
ア 請求人の主張及び証拠によれば,次の事実を認めることができる。
(ア)請求人は,保健機能食品(特定保健用食品,栄養機能食品及び機能性表示食品)や栄養補助食品,調味料,飲料を始めとしたいわゆる健康食品(以下「使用商品」という。)について,その商品の包装や広告に引用商標を表示,使用している(甲5の1?3)。
(イ)請求人は,引用商標を構成する「Livita」の文字を,請求人の使用商品の統一ブランドとして平成15年(2003年)2月25日から使用している(甲6の1?3)。「リビタ」は,請求人の健康食品ブランドである(甲6の7)。
(ウ)「リビタ」シリーズの2012年3月期の売上げは,40億であった(甲6の43)。
(エ)2018年度の請求人の使用商品の売上高は100億円超となっている(甲6の50)。
イ 上記アによれば,「Livita」の文字を含む引用商標が,使用商品を表示するものとしていわゆる健康商品の取引者,需要者の間にある程度知られていることがうかがえる。
しかしながら,我が国における,引用商標を使用した使用商品の売上高などの販売実績(2012年3月期を除く。)や市場シェア等を示す証拠の提出はない。
さらに,請求人が引用商標を使用した使用商品のポスターやテレビコマーシャル等の広告宣伝におけるその周知性の度合いを客観的に判断するための資料,すなわち,請求人使用商品を広告宣伝した時期,回数,あるいはどの時期に,どの地域で,どのくらい提供したものか等は不明であり,その取引状況を具体的に示す取引書類等の提出もない。
したがって,我が国における引用商標を使用した使用商品の市場占有率(販売シェア)や宣伝規模等の量的規模を客観的な使用事実に基づいて,引用商標の使用状況を把握することができず,その周知性の程度を推し量ることができないものといわざるを得ない。
そうすると,提出された証拠によっては,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,引用商標が請求人の使用商品を表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
ウ 上記1(3)のとおり,本件商標と引用商標とは,観念において比較することができないとしても,外観において相紛れるおそれのないものであり,称呼においても明瞭に聴別できるものであるから,両者は,相紛れるおそれのない非類似の商標である。
エ そうすると,本件商標は,本件商標権者が,これをその指定商品について使用をしても,取引者,需要者が,引用商標を連想又は想起することはなく,その商品が請求人若しくは同人らと経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他,本件商標が引用商標と出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
(2)小括
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同項第10号及び同項第15号のいずれにも該当するものでなく,その登録は,同条第1項の規定に違反してされたものではないから,同法第46条第1項により,その登録を無効とすることはできない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲1 本件商標


別掲2 引用商標3


別掲3 引用商標4


別掲4 引用商標5(色彩については原本参照。)


別掲5 引用商標6


別掲6 引用商標7(色彩については原本参照。)


別掲7 引用商標8


別掲8 引用商標9


別掲9 引用商標10(色彩については原本参照。)


別掲10 引用商標11(色彩については原本参照。)



別掲
審理終結日 2020-08-25 
結審通知日 2020-08-28 
審決日 2020-09-11 
出願番号 商願2018-91227(T2018-91227) 
審決分類 T 1 12・ 262- Y (W052932)
T 1 12・ 261- Y (W052932)
T 1 12・ 263- Y (W052932)
T 1 12・ 271- Y (W052932)
T 1 12・ 25- Y (W052932)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 清川 恵子 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 佐藤 松江
平澤 芳行
登録日 2019-07-26 
登録番号 商標登録第6165610号(T6165610) 
商標の称呼 リバイタブルー、レバイタブルー、リビタブルー、レビタブルー、リバイタ、レバイタ、リビタ、レビタ、ブルー、ビイエルユウ 
代理人 林 栄二 
代理人 加藤 卓士 

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