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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
管理番号 1367176 
異議申立番号 異議2020-900004 
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-11-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-01-10 
確定日 2020-10-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第6189445号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6189445号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6189445号商標(以下「本件商標」という。)は,「NIRO」の文字を標準文字で表してなり,平成30年11月19日に登録出願,第18類「かばん類,袋物」を指定商品として,令和元年9月5日に登録査定,同年10月18日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立てに引用する商標は,以下の2件の登録商標であり,いずれの商標権も現に有効に存続しているものである(以下,これらをまとめて「引用商標」という。)。
(1)登録第5623868号商標(以下「引用商標1」という。)は,「I R O PARIS」の文字を横書きしてなり,平成24年10月17日に登録出願,「フランス製のトランク,フランス製の旅行かばん,フランス製の財布,フランス製の小銭入れ,フランス製のハンドバッグ」を含む第18類,第14類及び第25類に属する商品を指定商品として,同25年10月18日に設定登録されたものである。
(2)国際登録第1311473号商標(以下「引用商標2」という。)は,「IRO.JEANS」の文字を横書きしてなり,2016年(平成28年)6月29日に国際商標登録出願,「Leather and imitations of leather, goods made of these materials not included in other classes, namely key cases (leather goods), attache cases, card cases (wallets), document cases, purses not of precious metal, handbags, briefcases (leather goods), school satchels and bags, backpacks, beach bags, travel bags, garment bags for travel; trunks and suitcases; wallets; purses (coin purses).」を含む第18類,第3類及び第25類に属する商品を指定商品として2018年(平成30年)5月11日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。
(1)本件商標より生じる称呼について
本件商標は,「NIRO」の文字を標準文字で表してなるところ,「NIRO」の文字は辞書に掲載されている既成語ではないので,これに接する取引者,需要者はこれをローマ字風に「ニロ」と称呼すると考えるのが自然であるから,本件商標の自然的称呼は「ニロ」である。
(2)引用商標より生じる称呼について
引用商標1は,「I R O PARIS」の文字を書してなるところ,その構成中の「PARIS」部分は地名であって,自他商品識別機能の脆弱な部分であるので,引用商標1の要部は「IRO」であり,これより「イロ」の称呼を生じる。
引用商標2は,「IRO.JEANS」の文字を書してなるところ,その構成中の「JEANS」の文字部分は指定商品との関係では「ジーンズ」を想起させるものであって,自他商品識別機能が脆弱な部分であるので,引用商標2の要部は「IRO」の文字であり,これより「イロ」の称呼が生じる。
(3)取引の実情について
「取引の実情」には引用商標の周知・著名性も含まれることは経験則のみならず判決によっても認められるところである(甲4)。この点,引用商標の要部に当たる「IRO」をブランド名とする申立人商品は,そのデザイン性の高さから我が国においても人気を博しており,主要なファッション誌にしばしば紹介されている(甲5?甲8)。
また,インターネットの通信販売サイトでも人気の商品となっている(甲9,甲10)。このように,引用商標は,申立人の「IRO」ブランドにかかる商標として我が国において一定程度の周知性を有するに至っている。
(4)本件商標と引用商標の比較について
そこで,本件商標と引用商標を比較すると,本件商標の称呼「ニロ」と引用商標から生じる称呼「イロ」では,「ニ」の音と「イ」の音の差異しかない。しかも「ニ」の音は「イ」を母音とし,この母音「イ」は聴取する者の耳に残るので,あたかも本件商標の称呼「ニロ」の中に引用商標の称呼がそのまま含まれているかのように聴取される。
このように,本件商標の称呼と引用商標の称呼はその語調・語感が極めて紛らわしいものであり,本件商標と引用商標は称呼において相紛らわしいものといえる。
また,外観においても本件商標は「NIRO」の文字を表してなるところ,この中には引用商標の要部たる「IRO」の文字がそっくりそのまま含まれている。
そうすると,本件商標と引用商標は外観においても紛らわしいものといわざるを得ない。
さらに,観念においては本件商標も引用商標も共に特定の観念を生じない造語であるので,両者を観念において区別することは不可能である。
加えて,引用商標は,申立人の「IRO」ブランドにかかる商標として我が国において一定程度の周知性を有するに至っている事情もある。
そうとすれば,本件商標と引用商標は,その外観,称呼及び観念によって,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,さらに上記取引の実情を考慮すると,観念において比較できないとしても,外観が類似し,取引上必要な役割を果たす称呼も類似するものであるから,商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
したがって,本件商標と引用商標は,称呼及び外観において類似する商標であり,指定商品においても類似するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は,「NIRO」の文字を標準文字で表してなるところ,当該文字は辞書類に載録された既成語とは認められないものであるから,特定の意味を有しない一種の造語として理解されるものである。
そして,我が国においては,特定の意味を有しない欧文字は,一般に我が国で親しまれた英語読み又はローマ字読みに倣って称呼されることからすれば,「NIRO」の文字からなる本件商標は,これらの読みに倣って,「ニロ」の称呼を生じるものである。
そうすると,本件商標は,「ニロ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標1は,「I R O PARIS」の文字を横書きしてなるところ,その構成中の「I R O」の文字は辞書類に掲載されていない一種の造語といえるものであり,また,「PARIS」の文字部分は,「フランス共和国の首都」を意味(広辞苑 第7版 株式会社岩波書店)するものであって,それが「フランス製の商品である」といった商品の産地,品質等を表示したものと認識される場合も少なくなく,その指定商品との関係において,自他商品の識別力が無いか極めて弱いものであるといえるから,これを捨象した「I R O」の文字部分が看者に対して強い印象を与えるものということができ,当該文字部分だけを要部として抽出し,本件商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
そうすると,引用商標1は,一般に我が国で親しまれた英語読み又はローマ字読みに倣って構成文字全体から生じる「イロパリス」の称呼の他,引用商標1の要部である「I R O」の文字に相応して,「イロ」の称呼をも生じるものであって,特定の観念は生じないものである。
次に,引用商標2は,「IRO.JEANS」の文字を横書きしてなるところ,その構成中の「IRO」の文字部分は辞書類に掲載されていない一種の造語といえるものであり,また,「JEANS」の文字部分は,「デニムなど厚手の細綾織の綿布。また,それで作った衣服など。」を意味(広辞苑 第7版 株式会社岩波書店)するものであって,それが「デニムなどの厚手の細綾織の綿布」といった商品の品質等を表示したものと認識される場合も少なくなく,その指定商品との関係において,自他商品の識別力が無いか極めて弱いものといえるから,これを捨象した「IRO」の文字部分が看者に対して強い印象を与えるものということができ,当該文字部分だけを要部として抽出し,本件商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
そうすると,引用商標2は,一般に我が国で親しまれた英語読み又はローマ字読みに倣って構成文字全体から生じる「イロジーンズ」の称呼の他,引用商標2の要部である「IRO」の文字に相応して「イロ」の称呼をも生じるものであって,特定の観念は生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との比較について
本件商標と引用商標を比較すると,両商標はそれぞれ上記ア及びイのとおりの構成よりなるところ,全体の外観においては,「IRO」の文字部分を同じくするとしても,語頭の「N」及び語尾において「PARIS」及び「JEANS」の文字の有無の差異を有しているから,両者は明確に区別でき,外観上,明らかに相違するものである。
また,本件商標の「NIRO」の文字と引用商標の要部である「I R O」又は「IRO」の文字とを比較すると,共に「IRO」の文字部分を同じくするとしても,語頭の「N」の文字の有無の差異を有しており,3文字と4文字という比較的少ない構成文字においては,両者は明確に区別でき,外観上,明らかに相違するものである。
次に,本件商標から生じる「ニロ」の称呼と引用商標から生じる「イロパリス」,「イロジーンズ」及び「イロ」の称呼とを比較すると,本件商標から生じる「ニロ」の称呼と引用商標の全体から生じる「イロパリス」及び「イロジーンズ」の称呼とは,その構成音及び構成音数が明らかに相違するものであるから,両者はそれぞれ明瞭に聴別し得るものである。
また,本件商標から生じる「ニロ」の称呼と引用商標の要部から生じる「イロ」の称呼とは,ともに2音構成よりなるところ,語頭において「ニ」と「イ」の音を異にするものである。
そして,その差異音である「ニ」と「イ」の音は,その音質を異にするばかりでなく,この差異が2音という短い音構成からなる両称呼に及ぼす影響は決して小さいものではなく,称呼の識別上最も重要な要素となる語頭音であることと相俟って,両者を一連に称呼してもかれこれ聞き誤るおそれはないものと判断するのが相当である。
さらに,本件商標と引用商標とは,いずれも造語よりなるから,観念上,比較することはできない。
その他,本件商標と引用商標とが類似するというべき事情は見いだせない。
エ 小活
以上によれば,本件商標と引用商標とは,観念は比較できないとしても,外観及び称呼のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標と認められるから,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似であるとしても,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)申立人の主張
申立人は,引用商標は,申立人の「IRO」ブランドにかかる商標として我が国において一定程度の周知性を有するに至っている取引の実情もあることからすれば,本件商標と引用商標は,その外観,称呼及び観念によって,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,さらに,前記取引の実情を考慮すると,観念において比較できないとしても,外観が類似し,取引上必要な役割を果たす称呼も類似するものであるから,商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である旨主張する。
しかしながら,引用商標が我が国において,たとえ一定程度知られているとしても,上記(1)ウのとおり,本件商標と引用商標とは,外観及び称呼のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標と認められるから,申立人の主張は採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである
よって,結論のとおり決定する。
別掲
異議決定日 2020-09-07 
出願番号 商願2018-148640(T2018-148640) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W18)
T 1 651・ 262- Y (W18)
T 1 651・ 263- Y (W18)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 優佳内田 直樹 
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 榎本 政実
小俣 克巳
登録日 2019-10-18 
登録番号 商標登録第6189445号(T6189445) 
権利者 加藤 一寛
商標の称呼 ニロ 
代理人 外川 奈美 
代理人 青木 篤 
代理人 田島 壽 

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