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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0914161820212425262829303233344142
審判 全部申立て  登録を維持 W0914161820212425262829303233344142
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審判 全部申立て  登録を維持 W0914161820212425262829303233344142
管理番号 1367173 
異議申立番号 異議2019-900248 
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-11-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-09-04 
確定日 2020-10-12 
異議申立件数
事件の表示 登録第6151980号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6151980号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6151980号商標(以下「本件商標」という。)は、「モンストドリームカンパニー」の片仮名を標準文字で表してなり、平成30年6月5日に登録出願、第32類「ビール,アイソトニック飲料,ガラナ飲料,シロップ,コーラ飲料,サイダー,シャーベット水,ジンジャーエール,清涼飲料のもと,炭酸水,ミネラルウォーター,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」並びに第9類、第14類、第16類、第18類、第20類、第21類、第24類、第25類、第26類、第28類、第29類、第30類、第33類、第34類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和元年5月21日に登録査定され、同年6月14日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は、以下の9件の登録商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらの商標をまとめていうときは「引用商標」という。)。
1 登録第5379390号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「MONSTER」(標準文字)
指定商品:第32類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日:平成22年7月8日
設定登録日:平成22年12月24日
2 登録第5792086号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「MONSTER」(標準文字)
指定商品:第14類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日:平成27年1月7日
設定登録日:平成27年9月11日
3 登録第6148588号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲のとおり
指定商品:第9類、第12類、第14類、第16類、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載の商品
優先権主張:オーストラリア連邦 2018年5月8日
登録出願日:平成30年11月7日
設定登録日:令和元年5月31日
4 登録第5393681号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:「MONSTER ENERGY」(標準文字)
指定商品:第32類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日:平成22年7月8日
設定登録日:平成23年2月25日
5 登録第5788676号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:「MONSTER ENERGY」(標準文字)
指定商品:第9類、第16類、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日:平成26年12月25日
設定登録日:平成27年8月28日
6 登録第5984838号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:「MONSTER ENERGY」(標準文字)
指定役務:第41類に属する商標登録原簿に記載の役務
優先権主張:アメリカ合衆国 2016年10月19日
登録出願日:平成29年4月14日
設定登録日:平成29年9月29日
7 登録第6096929号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:「MONSTER ENERGY ULTRA」(標準文字)
指定商品:第5類、第30類及び第32類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日:平成29年10月16日
設定登録日:平成30年11月9日
8 登録第5903396号商標(以下「引用商標8」という。)
商標の構成:「MONSTER REHAB」
指定商品:第5類及び第30類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日:平成28年3月14日
設定登録日:平成28年12月9日
9 登録第6052913号商標(以下「引用商標9」という。)
商標の構成:「MONSTER MEAL DEAL」(標準文字)
指定商品及び指定役務:第29類、第30類及び第43類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
優先権主張:アメリカ合衆国 2017年6月28日
登録出願日:平成29年12月26日
設定登録日:平成30年6月15日

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第414号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 申立人の使用に係る商標「MONSTER」(以下「申立人商標」という場合がある。)の著名性
(1)申立人による商標の使用
ア 申立人商標は、申立人が2002年に創設したエナジードリンク(エネルギー補給飲料)事業のブランド「MONSTER ENERGY」の基軸商標として2002年から現在に至るまでの長年にわたり継続して使用しているものであり、同ブランドのエナジードリンクは、2002年に米国で販売開始後、日本では2012年5月から販売を開始し、現在、日本を含む世界130以上の国及び地域で販売中である。
イ 申立人は、2002年以降、現在まで継続して、当該ブランドから発売された数多くの異なる種類のドリンクの個別商品名の全てに「MONSTER」の文字を採択し、当該各種ドリンクの缶の正面に「MONSTER」の文字を特徴的なデザインの太字を用いて大きく目立つ態様で表示して使用している。
ウ 「MONSTER」を基調とする商標を用いた申立人のエナジードリンク事業の成功は、経済界でも高い評価を受けている(甲2?33、甲51?57、甲58の段落1?21)。
エ リニューアル製品及び季節限定製品を含め、2012年5月から現在までに国内で発売された「MONSTER」エナジードリンクのシリーズは、以下のとおりである。
(ア)「MONSTER ENERGY」(モンスターエナジー 缶355ml)(甲5、甲7、甲12)
(イ)「MONSTER KHAOS」(モンスターカオス 缶355ml)(甲6、甲7、甲14、甲128、甲130、甲131)
(ウ)「MONSTER ABSOLUTELY ZERO」(モンスターアブソリュートリーゼロ 缶355ml)(甲10、甲13、甲15、甲252?255)
(エ)「MONSTER ENERGY M3」(モンスターエナジーM3 ワンウェイびん150ml)(甲59、甲61、甲101、甲127、甲129、甲131)
(オ)「MONSTER COFFEE」(モンスターコーヒー 缶250ml)(甲60、甲62)
(カ)「MONSTER ENERGY ULTRA」(モンスターウルトラ 缶355ml)(甲101?103、甲118)
(キ)「MONSTER ENERGY THE DOCTOR」(モンスターロッシ 缶355ml)(甲256、甲257、甲263、甲274)
(ク)平野歩夢コラボ缶「MONSTER ENERGY」(モンスターエナジー スペシャルデザイン缶355ml)(甲231、甲291、甲294、甲297?310)
(ケ)平野歩夢コラボ缶「MONSTER ENERGY ULTRA」(モンスターウルトラ スペシャルデザイン缶355ml)(甲231、甲291、甲294、甲297?310)
(コ)「MONSTER CUBA LIBRE」(モンスターキューバリブレ 缶355ml)(甲323?326)
(サ)「MONSTER ENERGY」(モンスターエナジー ボトル缶473ml)(甲353?356)
(シ)「MONSTER PIPELINE PUNCH」(モンスターパイプラインパンチ 缶355ml)(甲353、甲357?360)
(2)広告及び販売促進活動
ア 申立人による当該エナジードリンクの広告及び販売促進活動は、世界の有名アスリート、レーシングチーム、スポーツ競技会、アマチュアスポーツ選手、音楽祭及びミュージシャンに対するスポンサー提供、スポーツ、音楽、コンピュータゲーム(eスポーツ)などの娯楽イベントの開催、米国ラスベガスの公共交通機関モノレールの「モンスター列車」の走行、これらのイベント開催などと関連して頻繁に実施されるエナジードリンク販売キャンペーン、各イベント会場におけるサンプル配布、2013年2月から2018年11月までの約5年9月の期間に国内で実施された販売プロモーションキャンペーンの応募当選者に対する様々な「モンスター限定グッズ」(MONSTERの頭文字「M」を象った爪の図柄(甲328、甲329)を付したTシャツ、帽子、ダウンジャケット、リストバンド、キーホルダー、ステッカー、ギター、バックパック、エナジードリンク、クーラーボックス、冷蔵庫、自動車など総計75万点を超えるアイテム)の提供、「MONSTER」の文字を付したポスター、商品ネームプレート、チラシ、陳列棚、冷蔵庫などの店舗用什器の使用及び展示、遅くとも2013年から現在に至るまで約1?2月の頻度で定期的に発行されている新商品発売、懸賞キャンペーン・イベント開催情報などを掲載したプレスリリース、申立人ウェブサイト並びにソーシャルメディアを通じた情報発信を介して、2002年から現在まで世界規模で継統的に実施されている。
イ これらの広告物及び販売促進物には、「MONSTER」及びその音訳「モンスター」の文字が独立の商品出所識別標識として認識される態様で使用されてきた(甲7?17、甲34?57、甲58の段落22?142、甲59?91、甲101?133、甲136?168、甲225?274、甲279?296、甲323、甲324、甲335?352、別紙2)。
(3)申立人の使用に係る商品
申立人は、2002年から、ブレスレット、ラペルピン、キーホルダー、アパレル製品、運動用ヘルメット、バッグ類、ステッカー、傘、ビデオゲーム等の「MONSTER」ライセンス商品の製造販売を第三者に使用許諾している。当該ライセンス商品のカタログやオンラインショッピングサイトは、ブランド名及び個別商品名として「MONSTER」「Monster」の文字を単独で表示し、販売及び宣伝広告していることが認められる。これらのライセンス商品は、国内の実店舗のほか、オンラインショップや通信販売を介して国内の一般消費者にも販売されている(甲47、甲48、甲58の段落127?137及び143?153、甲92?100、甲134、甲135)。
(4)海外で製造された模倣品
需要者におけるこれらのライセンス商品の人気の高さに便乗し、海外で製造された模倣品が日本の税関で輸入差止される事案が遅くとも平成25年7月から現在に至るまで継続して度々発生している(甲169?224、別紙1)。
(5)日本を含む世界150以上の国及び地域での商標出願
「MONSTER」の文字を世界規模での継続的使用に基づき、申立人は、エナジードリンク等の飲料製品及び上記ライセンス商品等について、引用商標を始め、「MONSTER」の文字を基調とする様々な構成の商標について日本を含む世界150以上の国及び地域で商標出願し、登録を取得している(甲58の段落7、甲361?406)。
(6)第三者による市場調査報告書
第三者による市場調査報告書やエナジードリンクの市場に関する記述によれば、2013年時点で申立人の「MONSTER」エナジードリンクの国内市場占有率は既に25%を超えており、それ以降も着実に売上を伸ばし、男子若年層を中心とした従来の主要需要者層に止まらず、女性層にも知名度、人気を拡大している。また、実際の市場で申立人の「MONSTER」エナジードリンクは「モンスター」と呼ばれ、「モンスター」の表記で認知されている(甲311?322)。
(7)小括
以上の事柄に照らせば、「MONSTER」及びその表音「モンスター」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人の業務に係る商品及び役務の出所識別標識として国内外の取引者、需要者の間で広く認識されていた。
2 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は「モンストドリームカンパニー」の標準文字からなり、外観及び称呼が冗長である点に加えて、観念上不可分一体のものとして把握すべき理由もないことから、語頭の「モンスト」の文字部分が独立の出所識別標識として機能する。
引用商標1及び引用商標2は、それぞれ「MONSTER」の文字からなり、引用商標3は、その構成中の「MONSTER」の文字部分が独立の出所識別標識として機能する。
そこで、本件商標の構成中の「モンスト」と、引用商標1、引用商標2及び引用商標3の構成中の「MONSTER」を比較対照すると、冒頭の連続する3文字「モ」「ン」「ス」及びその配列が「MONSTER」の表音「モンスター」の冒頭の3文字「モンス」と一致し、外観が類似する。
さらに、「モンスト」から生じる称呼「モ・ン・ス・ト(mo-n-su-to)」と「MONSTER」から生じる称呼「モ・ン・ス・ター(mo-n-su-ta-a)」は、冒頭の連続する3音「モ・ン・ス(mo-n-su)」及びその配列が一致し、しかも、これに続く第4音がタ行音の近似音の「ト(to)」と「タ(ta)」であるから、全体を一連に発音した場合は語韻語調が近似し、聞き誤るおそれが高く、両者は称呼も類似する。
したがって、本件商標は、引用商標1、引用商標2及び引用商標3とそれぞれ類似のものである。
本件商標の第9類、第14類、第16類、第18類、第21類、第25類、第26類、第28類、第29類、第30類、第32類及び第41類の指定商品及び指定役務は、引用商標1、引用商標2及び引用商標3に係る指定商品と同一又は類似のものであり、また、当該引用商標は、本件商標よりも先に登録出願されたものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)上記1のとおり、「MONSTER」及びその表音「モンスター」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人の業務に係る商品及び役務の出所識別標識として取引者、需要者の間で広く認識されていた。
(2)商標権者の開設するウェブサイト(甲411、甲412)によれば、「モンスト」は、「モンスターストライク」(MONSTER STRIKE)の構成語の「モンスター」(MONSTER)(甲407、甲408)と「ストライク」(STRIKE)(甲409、甲410)のそれぞれ語頭の2文字「モン」(MON)及び「スト」(ST)を結合させてなる略称「モンスト」の英文字表記として容易に看取される。「モンスターストライク」(MONSTER STRIKE)は成語ではなく、外観及び称呼が冗長であるから、語頭の「モンスター」(MONSTER)が出所識別標識として取引者、需要者を強く印象づけ、記憶に留まりやすい。
前述のとおり、本件商標は、申立人の使用に係る「MONSTER」及びその表音「モンスター」と外観及び称呼において類似性を有する。
また、本件商標の構成中の「モンスト」の文字部分が「モンスター」(MONSTER)と「ストライク」(STRIKE)の語を結合させた「モンスターストライク」(MONSTER STRIKE)の省略形「モンスト」として認識されるものであることを斟酌すれば、本件商標に接した取引者及び需要者は、外来語として広く親しまれている「モンスター」(MONSTER)の語及び「モンスター」の観念(甲407、甲408)を直観する。
したがって、本件商標と申立人の使用に係る「MONSTER」と類似性の程度が極めて高いことが明らかである。
(3)本件商標が使用される指定商品及び指定役務(以下「本件指定商品等」)は、申立人がその商品出所識別標識として「MONSTER」を長年使用しているエナジードリンクを始め、申立人又はその商標ライセンシーの取り扱いに係る「MONSTER」ライセンス商品、MONSTERエナジードリンクのプロモーションキャンペーンで一般消費者に提供するオリジナルグッズ(賞品)、並びに、申立人が支援する各種スポーツ、eスポーツ(コンピュータゲーム)及び音楽に係る競技会及びイベントの企画・運営及び開催等の役務と同一又は類似のもの、あるいは、これらと使用目的、原材料、効能、販売場所、提供場所、需要者の範囲が一致ないし重複する商品及び役務を多く含み、極めて類似性、関連性が強い。
(4)本件指定商品等の最終的な需要者は一般消費者を多く含むから、通常の需要者の注意力の程度は高いものとはいえない。
(5)小括
上記のとおり、本件商標が本件指定商品等に使用された場合、これに接した取引者、需要者は、申立人の使用に係る「MONSTER」及び申立人会社を直観し、当該商品等が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的関係を有する者の取り扱いに係るものであると誤信し、その出所について混同を生じるおそれがあることが明らかである。
さらに、本件商標の使用は、申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の出所識別力希釈化するものであり、その名声、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 申立人商標の周知性について
(1)申立人の主張及び同人提出の証拠並びに職権調査によれば、次のとおりである。
ア 申立人であるモンスター エナジー カンパニー(Monster Energy Company)は、米国の飲料メーカーであり、2002年にエナジードリンクの新ブランド「MONSTER ENERGY」を創設し、米国において発売開始した(甲7、甲8)。
イ 日本国内での申立人の「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンク製品の販売は、アサヒ飲料株式会社を通じて行われ、2012年3月15日付けのニュースリリースで、同社が、国内独占販売権の取得を公表し、「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)缶355ml」及び「MONSTER KHAOS(モンスターカオス)缶355ml」の発売を発表し、2012年5月8日から販売を開始し(甲7)、その販売量は同年9月には累計100万箱を超え、12月には累計157万箱となった(甲7?甲9)。
その後、2013年5月7日から「モンスター アブソリュートリー ゼロ 缶355ml」(甲10、甲13、甲15)、2014年8月19日から「モンスターエナジー M3 ワンウェイびん150ml」(甲59、甲61、甲101)、2014年10月7日から「モンスターコーヒー 缶250g」(甲60、甲62)、2015年7月21日から「モンスター ウルトラ 缶355ml」(甲101?103、甲118)、2016年4月12日からリニューアルした「モンスターエナジー M3 ワンウェイびん150ml」(甲127、甲129、甲131)、2016年5月17日からリニューアルした「モンスターカオス 缶355ml」(甲128、甲130、甲131)、2017年4月下旬にリニューアルした「モンスターアブソリュートリーゼロ 缶355ml」(甲252?255)、2017年6月27日に「モンスターロッシ 缶355ml」(甲256、甲257、甲263、甲264、甲274)、2017年12月上旬に、平野歩夢氏とのコラボ缶「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER ENERGY ULTRA」(平野歩夢コラボ缶355ml)(甲291)、2018年4月24日から「モンスター キューバリブレ 缶355ml」(甲323?326)、同年8月7日には「モンスターエナジー ボトル缶473ml」(甲353?356)、2019年4月23日からは「モンスターパイプラインパンチ缶355ml」(甲353、甲357?360)が販売された(以下、これら商品と上記アの商品をまとめて「申立人商品」という。)。
ウ 申立人商品のうち、「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」、「モンスターカオス」(2016年(平成28年)5月から)、「モンスター アブソリュートリー ゼロ」、「モンスターエナジー M3」、「モンスター ウルトラ」、「モンスターロッシ」及び「モンスターパイプラインパンチ」の容器には、別掲の商標の構成中、「MONSTER ENEGY」の文字部分と同じ構成態様からなる「MONSTER ENEGY」の文字(以下「MONSTER ENEGYロゴ」という。)が表示されている(甲7、甲10、甲59、甲101、甲130、甲257?甲263、甲357ほか)。
また、「モンスターコーヒー」及び「モンスター キューバリブレ」の容器にはその中央に別掲の商標の構成中、「MONSTER」の文字部分と同じ構成態様からなる「MONSTER」の文字(以下「MONSTERロゴ」という。)が表示されている(甲60、甲324ほか)。
エ 申立人は、我が国で開催される各種のスポーツ競技会、イベントにおいて、看板、ユニフォーム、車体など多種多様なものに、MONSTER ENEGYロゴを表示している(甲73?甲80、甲82ほか)。
オ JMR生活総合研究所による消費者調査 No.196「エナジードリンク(2014年(平成26年)7月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」で45%、2位が「モンスターエナジー」で31%であった(甲311)。また、同消費者調査 No.232「エナジードリンク(2016年(平成28年)8月版)」でも、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」であり、2位は「モンスターエナジー」であったと推認できる(甲312)。
カ 飲料総研の調査によれば、我が国における2013年(平成25年)のエナジードリンクの出荷数は約950万ケース(1ケース30本換算)であり、首位のレッドブルが550万ケース、2位のモンスターエナジーは240万ケースであった(甲318、甲320)。
キ ジャストシステムによるエナジードリンクに関する調査(2014年(平成26年)4月)によれば、認知度が高い商品の1位は82.8%の「RedBull」、2位は47.6%の「MONSTER ENERGY」 であった(甲319)。
ク JMR生活総合研究所による消費者調査データ No.269「エナジードリンク(2018年(平成30年)5月版)」には、「モンスター、レッドブル、リアルゴールド 寡占化すすむエナジードリンク市場」のタイトルのもと、「今回の調査では、『リアルゴールド(日本・コカコーラ)』『レッドブル・エナジードリンク(レッドブル・ジャパン)・・・』『モンスターエナジー(アサヒ飲料)』の3ブランドがほとんどの項目で上位3位を独占した。」の記載がある。(職権調査:https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking269.html)また、同消費者調査データ No.293「エナジードリンク(2019年(令和元年)5月版)」には、「リアルゴールド、レッドブル、モンスターエナジー。3強上位独占」のタイトルのもと、「エナジードリンクの市場は、2桁の伸びの後に、2016年(平成28年)は対前年比5%増、2017年(平成29年)は同じく8%増とやや落ち着いたものの、依然として成長を続けている。」の記載がある。(職権調査:https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mrankin g293.html)
ケ 申立人及びアサヒ飲料株式会社は、本件商標の登録出願の日前から、申立人商品のキャンペーンに係るニュースリリース、ポスターなどで申立人商品を「モンスター」と表示しているものが見受けられ、また、両社以外のウェブページにおける当該キャンペーンについてのポスターやその他の記事においても「MONSTER」及び「モンスター」の文字が表示されているところ、当該ニュースリリース、ポスター、ウェブサイト等には、申立人商品の画像又はMONSTER ENEGYロゴ若しくは「モンスターエナジー」の文字が同時に表示又は掲載されている(甲69、甲71、甲79、甲101?甲103、甲111、甲113、甲115、甲118、甲119、甲124ほか)。
(2)上記(1)を踏まえると、申立人は、我が国において、2012年(平成24年)5月からエナジードリンク「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」及び「MONSTER KHAOS(モンスターカオス)」の販売を開始し、その後現在まで、計9種の申立人商品を販売するとともに、各種のスポーツ競技会、イベント及びキャンペーンなどを通じ、申立人商品の広告宣伝を行っていたこと、2013年(平成25年)のエナジードリンクの出荷数約950万ケースのうち、申立人商品の出荷数は240万ケースで第2位であったこと、申立人商品の認知度が2014年(平成26年)において、その数値は31%と47.6%と差異はあるものの、いずれの調査でも第2位であったことが認められ、2016年(平成28年)の認知度はその数値は不明であるものの2位であったと推認できることに加え、2018年(平成30年)及び2019年(令和元年)の調査において、いずれも申立人商品はエナジードリンクで3強の一つとされ、また、エナジードリンクの市場は2017年(平成29年)において成長を続けているとされていることを併せみれば、申立人商品は、本件商標の登録出願の日(平成30年6月5日)前から、登録査定日(令和元年5月21日)はもとより現在においても継続して、我が国のエナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものと判断するのが相当である。そして、申立人商品は、そのほとんどの容器の中央にMONSTER ENERGYロゴが別掲のとおりの態様で表示されていること、及びニュースリリース、各種記事などにおいて「MONSTER ENERGY」「モンスターエナジー」と表示され、「モンスターエナジー」と称されていることから、「MONSTER ENERGY」及び「モンスターエナジー」の文字は、いずれも本件商標の登録出願の日前から、登録査定日はもとより現在においても継続して、申立人及びアサヒ飲料株式会社の業務に係る商品(エナジードリンク)を表示するものとして、エナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものといえる。
しかしながら、申立人商品の広告宣伝は、各種のスポーツ競技会、イベント及びキャンペーンなどを通じて行われているものの、老若男女を問わず幅広い需要者層が目にする機会の多い一般的なメディアを通じたものとはいえないばかりか、我が国における申立人商品の清涼飲料に対する市場占有率等も確認することができないこと等を総合的に判断すると、申立人商品は、幅広い需要者層を有する一般的な清涼飲料の分野においてまでも、取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたとまでは認めることができない。
また、申立人商品は、その容器に「MONSTER」及び「ENERGY」の各文字が比較的近接又は組み合わせて表示されているものがほとんどであり、MONSTERロゴのみが表示されている商品についての出荷数、シェア等の販売実績は証拠からは確認できない。
さらに、「MONSTER」の文字及び「モンスター」の文字は、ニュースリリース、ポスター、ウェブサイト等において、申立人又は申立人商品の略称として表示又は掲載が見受けられるとしても、常に申立人商品又は「モンスターエナジー」若しくはMONSTER ENERGYロゴと共に表示又は掲載されていることからすれば、これに接する需要者は、そこに表示又は掲載された「MONSTER」の文字及び「モンスター」の文字を、申立人商品(「モンスターエナジー」)の一連の名称として使用されていることを前提に、申立人商品(「モンスターエナジー」)を指称する文字として理解するというべきである。
そうすると、申立人商品又は「モンスターエナジー」の文字若しくはMONSTER ENERGYロゴと関連なく表示されている「MONSTER」の文字及び「モンスター」の文字までもが、需要者においてエナジードリンクを表示するものと理解されるとはいい難い。
したがって、「MONSTER」の文字からなる申立人商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものであり、また、その読みの片仮名表記である「モンスター」の文字も申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当する理由において、引用商標1ないし3を引用しているので、本件商標と引用商標1ないし3との関係について、以下検討する。
(1)本件商標と引用商標1ないし3の比較
ア 本件商標について
本件商標は、「モンストドリームカンパニー」の片仮名を標準文字で表してなるところ、その構成は、同書、同大、同間隔で一連一体に表されており、これより生ずる「モンストドリームカンパニー」の称呼は、やや冗長であるものの、無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、該文字は、辞書等に載録のない文字であり、特定の意味を有しない造語と認識されるものである。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「モンストドリームカンパニー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標1ないし3について
引用商標1及び2は、それぞれ「MONSTER」の欧文字を標準文字により表してなるところ、これよりは、「モンスター」の称呼及び「怪物。化け物。」の観念を生じるものである。
また、引用商標3は、別掲のとおり、黒色の長方形を背景に上部に爪で縦に切り裂いたような3本の線状の図形(以下「爪の図柄部分」という。)を配し、その下部には、上段に白抜きで「MONSTER」(「O」の文字を貫く縦線が描かれている。)の文字を特徴のある書体の太字で表し、その下段に「ENERGY」の文字を角張った書体で比較的小さく表してなるところ、爪の図柄部分と文字部分とは、重なることなく間隔を空けて配置されているため、視覚上、一見して分離して看取されるばかりでなく、爪の図柄部分からは特定の称呼及び観念を生じないため、文字部分との間に称呼及び観念上のつながりはなく、それぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。
そうすると、引用商標3に接する需要者、取引者は、爪の図柄部分と文字部分のそれぞれを出所識別標識としての機能を有する要部として認識、理解するというのが相当であり、これら要部をもって他人の商標と比較して商標としての類否を判断することも許されるというべきである。
そして、引用商標3の「MONSTER」と「ENERGY」の文字部分は、それぞれの文字の書体や大きさは相違するものの、近接して配置されており、視覚的にまとまりのよい印象を与えるものであって、その全体から生じる「モンスターエナジー」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。さらに、「MONSTER」の文字は「怪物。化け物。」の意味を、「ENERGY」の文字は、「力。活気。精力。」の意味を、それぞれ有する平易な英語であるところ、両語を結合して熟語や既成語となるものでもなく、いずれの語がその指定商品との関係において出所識別標識としての称呼、観念を生じないというものでもない。加えて、上記1のとおり、「MONSTER ENERGY」の文字は、エナジードリンクを表示するものとして、需要者の間において広く認識されているものである。
以上を踏まえると、引用商標3の構成中、「MONSTER」と「ENERGY」の文字部分は、いずれかの文字部分が強く支配的な印象を与えるものではなく、その構成全体をもって出所識別標識としての機能を発揮するものというべきであるから、これより「モンスターエナジー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標1ないし3との比較
本件商標と引用商標1ないし3は、称呼において、語頭から始まる「モンス」の3音を共通にするが、それ以外の音は、構成音及び音数に明らかな差異があり、それぞれを一連に称呼するときは、容易に聴別できる。また、両商標の外観は、一見して明瞭に見分けることができる。そして、本件商標からは、特定の観念は生じないことから、観念において比較できない。
そうすると、本件商標と引用商標1ないし3は、観念において比較できず、外観及び称呼が明らかに相違するから、同一又は類似の商品について使用するときでも、誤認混同するおそれのない非類似の商標というべきである。
(2)小括
本件商標は、上記(1)のとおり、引用商標1ないし3とは類似しない商標であるから、本件商標の指定商品及び指定役務に引用商標の指定商品と同一又は類似の商品が含まれるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)本件商標と申立人商標との類似性
本件商標と申立人商標「MONSTER」は、上記2(1)ウのとおり、本件商標と引用商標1及び2が非類似の商標であることに鑑みると、同様に、外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似するものではなく、その類似性の程度は極めて低い別異の商標というべきである。
(2)申立人商標の独創性及び周知性
申立人商標である「MONSTER」の文字は、「怪物。化け物。」を意味する英語として、我が国において広く知られている既成の語であって、独創性が高いものとはいえず、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国の取引者、需要者において、申立人商品「エナジードリンク」を表示する商標として、広く認識されているものでもない。
(3)本件商標の指定商品及び指定役務と申立人の業務に係る商品との関連性について
本件商標の指定商品は、「清涼飲料」を含んでおり、申立人の業務に係る商品である「エナジードリンク」は、清涼飲料の一種であるから、本件商標の指定商品中の「清涼飲料」と申立人の業務に係る商品との関係においては、販売部門や流通経路に関連性があり、需要者層も一部重複するものといえるが、その他の本件商標の指定商品及び指定役務と申立人の業務に係る商品との関係においては、その商品又は役務の性質、用途又は目的において直接的な関連性もなく、その商品又は役務の需要者層も、重複又は密接に関連しているものとはいえない。
(4)出所の混同のおそれについて
申立人商標は、上記(1)のとおり、本件商標とは、類似性の程度は低い別異の商標であり、また、上記(2)のとおり、独創性が高いものとはいえず、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国の取引者、需要者において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、広く認識されているものでもない。さらに、上記(3)のとおり、本件商標の指定商品及び指定役務と申立人の業務に係る商品とは、本件商標の指定商品中の清涼飲料と申立人の業務に係る商品との関係においては、販売部門や流通経路に関連性があり、需要者層の一部が重複する場合があるとしても、その他の本件商標の指定商品及び指定役務と申立人の業務に係る商品との関係においては、その商品又は役務の性質、用途又は目的において直接的な関連性もなく、その商品又は役務の需要者層も、重複又は密接に関連しているものとはいえない。
以上を踏まえ、本件商標の指定商品及び指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標をその指定商品又は指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者が、申立人商標を連想又は想起することは考え難い。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品又は指定役務について使用しても、その取引者及び需要者をして、当該商品又は役務が申立人の業務に係る商品又は役務であると誤信させるおそれがある商標ではなく、また、当該商品又は役務が申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品又は役務であると誤信させるおそれがある商標ともいえないから、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのように、商品又は役務の出所について混同を生じるおそれがある商標ではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品及び指定役務について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当せず、その登録は同項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。


別掲 引用商標3(色彩については、原本参照。)

異議決定日 2020-09-28 
出願番号 商願2018-74360(T2018-74360) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W0914161820212425262829303233344142)
T 1 651・ 263- Y (W0914161820212425262829303233344142)
T 1 651・ 262- Y (W0914161820212425262829303233344142)
T 1 651・ 261- Y (W0914161820212425262829303233344142)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大井手 正雄菊池 夏未 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 山田 啓之
中束 としえ
登録日 2019-06-14 
登録番号 商標登録第6151980号(T6151980) 
権利者 株式会社ミクシィ
商標の称呼 モンストドリームカンパニー、モンストドリーム、モンスト、ドリーム 
代理人 山田 薫 
代理人 柳田 征史 
代理人 塚田 美佳子 
代理人 武田 太郎 

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