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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 |
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管理番号 | 1367168 |
異議申立番号 | 異議2020-900081 |
総通号数 | 251 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2020-11-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-03-19 |
確定日 | 2020-09-18 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6211728号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6211728号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6211728号商標(以下「本件商標」という。)は,「iSteady」の文字を標準文字で表してなり,令和元年9月7日に登録出願,第9類「自撮り棒(手持用一脚),デジタルカメラ用自撮り棒」を指定商品として,同年11月28日に登録査定,同年12月27日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件登録異議の申立ての理由において,本件商標が,商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当するとして引用する商標(以下「引用商標」という。)は,「iSteady」の欧文字を横書きしてなり,商品「自撮り棒」に使用していると主張するものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は,本件商標は,商標法第3条第1項柱書並びに同法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申し立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第45号証を提出した。 1 商標法第3条第1項柱書について 本件商標の商標登録権者(以下「本件商標権者」という。)である「WES株式会社」は,2019年(平成31年)において,51件の商標登録出願を行っているが,本件商標権者の事業規模からすると,所有する商標権を,不特定多数の者に転売する目的で本件商標を登録した蓋然性が高く,自己の業務にかかる商品又は役務について使用する商標とはいえない。 したがって,本件商標は,商標法第3条第1項柱書に違反する。 2 商標法第4条第1項第10号について 本件商標は,登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務にかかる商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標と同一であり,その指定商品も引用商標が使用されている商品「自撮り棒」と同一又は類似するものである。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。 3 商標法第4条第1項第19号について 本件商標は,登録出願時及び登録査定時において,他人である申立人の業務にかかる商品を表示するものとして日本国又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一の商標であって,本件商標権者は,申立人の業務上の信用が化体された引用商標の著名性に便乗し,本件商標を転売することにより不当な利益を得る目的をもって使用するものである。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。 第4 当審の判断 1 商標法第3条第1項柱書該当性について 商標法第3条第1項柱書の「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」とは,少なくとも登録査定時において,現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標,あるいは,将来,自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標と解される(平成24年5月31日 知財高裁 平成24(行ケ)第10019号)。 そうすると,本件商標権者が,本件商標の登録査定時において,本件商標を自己の業務に係る指定商品について現に使用をしていなくとも,将来においてその使用をする意思があれば,本件商標は,同法第3条第1項柱書の要件を具備するといえるところ,申立人が提出する全証拠によっても,本件商標権者,本件商標の登録査定時において,将来,自己の業務に係る指定商品に本件商標を使用する意思を有していたことを否定するに足りる事実は見いだせない。 したがって,本件商標は,商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないものとはいえない。 2 引用商標の周知性について (1) 申立人の提出に係る甲各号証及び申立人の主張によれば,以下のとおりである。 ア 申立人は,2014年(平成26年)5月20日に中華人民共和国で設立された法人であり(甲28),同国では,商標「iSteady」の商標登録権者である(甲30)。 イ 我が国の通販サイト「Amason.co.jp」(以下「アマゾン」という。)において(販売元:「Hohem Japan」又は「Professional Stabilizer JP」),申立人の英語名の一部「Hohem」及び商標「iSteady」が付された商品が販売されており(甲30?甲32),商品「アクションカメラ用ジンバル」は,「iSteady Pro」の名称で,遅くとも2019年(令和元年)8月4日(甲30),商品「スマートフォン(以下「スマホ」という。)用ジンバル」は,「iSteady Mobile」の名称で,遅くとも2017年(平成29年)10月9日から販売されている(甲32)。 なお,アマゾンにおいて(印刷日:2020年(令和2年)3月15日),上記の商品「スマホ用ジンバル」(甲32)について,「Hohem iSteady Mobile+スマホ スタビライザー 手持ち ジンバル 3軸 ミニ三脚付き」の文字とともに商品の写真が掲載されており,当該商品の写真の左上には「ベストセラー」の文字が表示されている(甲33)。 ウ 動画共有サイト「Youtube」において,「コスパ最強の1万円で買えるジンバル Hohem iSteady Mobile Plusを紹介!ハードウェア解説編」(甲34:公開日2019年(令和元年)6月23日)及び「ハイコスパ3軸ジンバルiSteadyProレビュー春を撮ってきたゾー」(甲35:公開日2019年(平成31年)3月3日)の見出しの下,第三者により動画が提供され,これらの動画の視聴回数は,2020年(令和2年)3月15日現在,それぞれ,13512回及び4298回(審決注:甲35によれば,視聴回数は「4306回」の誤記と思われる。)である。 エ 我が国のインターネット記事において,引用商標が付された商品「アクションカメラ用ジンバル」がいずれも本件商標の出願日前の日付で紹介されている(甲36?甲40)。 オ 引用商標が付された商品「スマホ用ジンバル」(甲41,甲42,甲44)及び「アクションカメラ用ジンバル」(甲43,甲45)についての5つの紹介動画が,2018年(平成30年)7月2日から2019年(令和元年)7月27日までの間に,動画共有サイト「Youtube」において,第三者により英語で公開されたところ,2020年(令和2年)3月15日時点での視聴回数は,少ないものは57307回,多いものは81081回であった(甲41?甲45)。 (2)上記(1)で認定した事実によれば,以下のとおりである。 ア 申立人は,我が国において,引用商標「iSteady」の表示の下,商品「アクションカメラ用ジンバル,スマホ用ジンバル」等を販売していたことは認め得るとしても,上記商品の我が国における販売期間は2年程度と短い。 また,申立人は,引用商標を商品「自撮り棒」について使用している旨主張するが,申立人が提出した全証拠をみても,引用商標を商品「自撮り棒」に使用した事実は確認できず,また,当該商品「自撮り棒」について,我が国及び他国での販売期間及び販売数量等は明らかではない。 イ 引用商標が付された商品「スマホ用ジンバル」は,上記(1)イのとおり,アマゾンにおいて「ベストセラー」の文字が表示されているが,当該通信販売において,申立人が引用商標を使用していると主張する商品「自撮り棒」の販売数量及び売上高は明らかではない。 ウ 引用商標が付された商品「アクションカメラ用ジンバル」は,インターネット記事において紹介されているが,提出された記事はわずか2件であり,しかも,それらは購入者等の個人的な感想にすぎない。 また,動画共有サイト「YouTube」において,引用商標が付された商品「アクションカメラ用ジンバル,スマホ用ジンバル」が日本語又は英語で紹介されているとしても,視聴回数の多寡について,比較すべき客観的な証拠も見いだせない。 エ その他,引用商標が付された商品「アクションカメラ用ジンバル,スマホ用ジンバル」及び申立人が引用商標を使用していると主張する商品「自撮り棒」について,我が国において引用商標が需要者の間に広く認識されていることを客観的に判断するための証拠,すなわち,商品の販売数量,市場シェア,広告宣伝の方法,広告地域及び広告宣伝費等を具体的に示す証拠の提出はない。 オ 申立人が提出した全証拠によっては,引用商標が付された商品「アクションカメラ用ジンバル,スマホ用ジンバル」と,申立人が引用商標を使用していると主張する商品「自撮り棒」が,同一又は類似の商品であるかについて,確認することができない。 (3)小括 以上よりすると,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,引用商標が付された商品「アクションカメラ用ジンバル,スマホ用ジンバル」又は申立人が引用商標を使用していると主張する商品「自撮り棒」を表示するものとして,日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 3 商標法第4条第1項第10号該当性について 本件商標及び引用商標は,上記第1及び第2のとおり,いずれも「iSteady」の欧文字からなるものであるから,同一又は類似の商標と認められる。 しかしながら,引用商標は,上記2のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,引用商標が付された商品「アクションカメラ用ジンバル,スマホ用ジンバル」又は申立人が引用商標を使用していると主張する商品「自撮り棒」を表示するものとして,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。 そうすると,本件商標に係る指定商品と引用商標に係る商品が類似するものであるとしても,本件商標は,他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標とはいえない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第19号該当性について 引用商標は,上記3のとおり,本件商標と同一又は類似の商標であるとしても,上記2のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認められないものであるから,商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。 5 むすび 以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないものではなく,同法第4条第1項第10号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
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異議決定日 | 2020-09-09 |
出願番号 | 商願2019-119178(T2019-119178) |
審決分類 |
T
1
651・
18-
Y
(W09)
T 1 651・ 25- Y (W09) T 1 651・ 222- Y (W09) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 赤星 直昭 |
特許庁審判長 |
榎本 政実 |
特許庁審判官 |
浜岸 愛 豊田 純一 |
登録日 | 2019-12-27 |
登録番号 | 商標登録第6211728号(T6211728) |
権利者 | WES株式会社 |
商標の称呼 | アイステディ |
代理人 | 崔 海龍 |