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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y03
管理番号 1366286 
審判番号 取消2018-300839 
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-11-06 
確定日 2020-09-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第699651号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第699651号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおり,「TWINKLE」の欧文字を斜めに表してなり,昭和39年9月19日に登録出願,第4類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同41年2月18日に設定登録,その後,平成18年4月5日に指定商品を第3類「化粧品」とする指定商品の書換登録がされたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成30年11月16日にされている。
以下,本件審判の請求の登録前3年以内の期間(平成27年11月16日ないし同30年11月15日)を「要証期間」という場合がある。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を次のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
本件商標は,その指定商品について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
なお,請求人は,被請求人提出の審判事件答弁書に対して,何ら弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第21号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標権者による本件商標の使用について
商標権者が,本件商標と社会通念上同一の商標を付したボディパウダー(化粧品)である商品「ティンクル シークレットベール」を製造し,要証期間内に日本国内において,株式会社セブンツーセブン(以下「セブンツーセブン社」という。)に譲渡した事実が認められる(商標法第2条第3項第2号)。
(1)売上伝票(乙1)
乙第1号証は,商標権者が発行した売上伝票(平成28年6月7日ないし平成30年8月6日付け)であり,いずれも要証期間内のものである。これらの売上伝票によると,商標権者がセブンツーセブン社に,商品名を「シークレットベール-B」と表記した商品を販売した事実が認められる。
(2)商品「ティンクル シークレットベール」の包装箱及び包装容器の写真(乙2)
乙第2号証の1は,乙第1号証で商品名「シークレットベール-B」とされている商品「ティンクル シークレットベール」の包装箱及び包装容器の写真である。
包装箱及び包装容器の上面には筆記体の「TwinklE」の英文字が,また,各底面には,「≪ボディパウダー≫」という説明の上に,「ティンクル」「シークレットベール」及び「ブルー」の片仮名を3段書きにした表示が付されている(乙2の1)。さらに,包装箱の上面には「SECRET VEIL」の英文字が,包装箱の両側面には「TWINKLE SECRET VEIL」の英文字が付されている(乙2の2)。乙第1号証にある商品名「シークレットベール-B」は,このボディパウダー商品の底面に記載の商品名「ティンクル シークレットベール ブルー」を示すものである(「シークレットベール」は,乙第1号証に記載の商品名中の「シークレットベール」と一致し,「ブルー」に相当する部分は商品名中に省略記号「B」として表示されている。)。
本件商標は,「TWINKLE」の英文字のみからなる商標であり,包装箱及び包装容器の上面に表示された「TwinklE」とは,書体及び大文字と小文字という相違点はあるもののつづりは同一であるため,両者は社会通念上同一の商標と認められる。
また,包装箱の両側面に表示された「TWINKLE SECRET VEIL」は,包装箱及び包装容器の各底面に「ティンクル」と「シークレットベール」が2段に分けて表示されていることなどを踏まえると,その表示中「TWINKLE」と「SECRET VEIL」は,各々独立した識別標識として認識されるものというべきである。さらに,包装箱の両側面に表示された「TWINKLE」は,本件商標と構成要素は同一であるため,両者は社会通念上同一の商標と認められる。
(3)化粧品製造販売届書(乙3)
乙第3号証は,乙第2号証の商品「ティンクル シークレットベール」に関する,セブンツーセブン社の平成19年7月19日付け化粧品製造販売届書である。
この化粧品製造販売届書には,販売名として「ティンクル シークレットベール」の記載があり,これは包装箱及び包装容器の底面に付されている「ティンクル」「シークレットベール」と一致している(乙2)。また,乙第1号証に記載の商品名中の「シークレットベール」とも一致する。
前記商品名「シークレットベール-B」の商品は「ボディパウダー」であり,この商品に関して化粧品製造販売届書を提出していることからすると,「ボディパウダー」は指定商品「化粧品」に含まれる商品であることも明らかである。
また,この化粧品製造販売届書は,製造所の名称として商標権者の名称が記載されている。この記載は,前記売上伝票(乙1)に記載の商品名「シークレットベール-B」の商品について商標権者が製造し,セブンツーセブン社に販売された事実とも合致する。
(4)小括
以上のとおり,商標権者は,要証期間内に日本国内において,本件審判の請求に係る指定商品「化粧品」の包装に本件商標と社会通念上同一の商標を付したものを譲渡する行為(商標法第2条第3項第2号)を行ったと認めるのが相当である。
2 通常使用権者(セブンツーセブン社)による本件商標の使用について
通常使用権者が,本件商標と社会通念上同一の商標を付したボディパウダー「ティンクル シークレットベール」を,要証期間内に日本国内において,取引先等に譲渡し,広告等し,商標を使用した事実が認められる(商標法第2条第3項第2号及び第8号)。
(1)納品書(乙4)
乙第4号証の1は,セブンツーセブン社が発行した納品書(平成28年1月8日ないし同30年4月4日付け)であり,いずれも要証期間内のものである。これらの納品書によると,商品名を「シークレットベール-B」と表記した商品を要証期間内に日本国内の法人に販売した事実が認められる。
乙第4号証の1に記載の商品「シークレットベール-B」が乙第1号証に記載の商品名に一致していることからすると,乙第4号証の1に記載の商品は,商標権者から購入し納品されたものとみるのが相当である。
上記1を踏まえると,商標権者が製造したボディパウダー商品「ティンクル シークレットベール」(乙1及び乙4の1の商品名「シークレットベール-B」)を,セブンツーセブン社が要証期間内に日本国内の法人に販売していること,当該商品の包装箱及び包装容器の上面に本件商標と社会通念上同一のものといえる表示が付されていること,商品「ボディパウダー」は,指定商品「化粧品」に含まれる商品であることが認められる。
これらの乙第4号証の1の納品書に記載の商品「シークレットベール-B」が,乙第2号証の商品「ティンクル シークレットベール」であったことについては,各取引先の宣誓書からも認められる(乙4の2及び3)。
(2)総合カタログ(乙5?乙7)
乙第5号証ないし乙第7号証は,セブンツーセブン社の2016年ないし2018年の総合カタログである。
これら総合カタログは,セブンツーセブン社が,デザイン作成については株式会社ジェー・ピー・シーに発注し納品され(乙8?乙10),印刷については有限会社ミックアートに発注し,2万部ずつ納品され(乙11?乙13),毎年2月に取引先に頒布している(乙14?乙16)。
これら総合カタログには,乙第2号証の包装容器と同じものが掲載されており,当該包装容器の上面(蓋の上面)に,筆記体の「TwinklE」の英文字が付されている。この表示は,上記1(2)で述べたとおり,本件商標と社会通念上同一の商標である。
なお,これら総合カタログに「株式会社セブンツーセブン化粧品」「セブンツーセブン化粧品」という記載があるが,これはセブンツーセブン社の屋号である(乙17)。
(3)商標権者とセブンツーセブン社(通常使用権者)との関係について
商標権者とセブンツーセブン社は,元々一つの会社(セブンツーセブン社)であったが,その製造部門が昭和36年に法人化されて株式会社セブン化学(商標権者)となり,その後セブンツーセブン社は,商標権者により製造された商品の販売を中心とする会社となった(乙17)。商標権者とセブンツーセブン社とは,いずれも非上場のオーナー企業であり,株式の相互保有に加えて他の個人株主も創業家で同一であるほか,役員も一部共通しており,実質的に同じ経営支配の元にあるという非常に近い関係にある(乙18?乙21)。
以上の沿革及びその後の関係から,保有している商標の使用許諾関係は,両者間において,各会社の機能に応じて当然のものであって,製造部門である株式会社セブン化学を商標権者として昭和41年に登録された本件商標も,販売会社であるセブンツーセブン社が使用することは当然のこととして,当時から許諾されているものである。
よって,セブンツーセブン社は,商標権者の許諾に基づいて,通常使用権者として商品の取引先への販売を行い(乙4),商品の販売についての宣伝広告物を作成し,本件商標を広告においても使用しているものである(乙5?乙16)。
(4)小括
以上をまとめると,通常使用権者であるセブンツーセブン社は,要証期間内に本件審判の請求に係る指定商品中「化粧品」の包装に本件商標と社会通念上同一の商標を付したものを日本国内の法人に販売等譲渡する行為(商標法第2条第3項第2号)及び「化粧品」に関する広告に本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布する行為(商標法第2条第3項第8号)を行ったと認めるのが相当である。
3 結論
以上によれば,被請求人は,要証期間内に日本国内において本件商標と社会通念上同一の商標を本件審判の請求に係る指定商品中「化粧品」について使用していることを証明したというべきである。

第4 当審の判断
1 事実認定
証拠及び被請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者等について
ア 本件商標権者は,昭和36年1月に設立された,化粧品,医薬部外品,医薬品,洗剤の製造,加工,販売などを目的とする株式会社であり,本件商標権者の代表取締役2名のうち1名は,セブンツーセブン社の代表取締役であり,もう1名は監査役である。また,本件商標権者の取締役は,セブンツーセブン社の代表取締役である(乙18,乙19)。
イ セブンツーセブン社は,昭和25年12月に設立された,化粧品,医薬部外品,医薬品,洗剤の製造,加工,販売などを目的とする株式会社であり,セブンツーセブン社の代表取締役2名のうち1名は,本件商標権者の代表取締役であり,もう1名は取締役である。また,セブンツーセブン社の監査役は,本件商標権者の代表取締役である(乙18,乙19)。
ウ 本件商標権者の履歴事項全部証明書(乙18)に記載されている「本店」の住所は,セブンツーセブン社の履歴事項全部証明書(乙19)に記載されている「支店」の住所と同一である。
エ 本件商標権者の株主名簿(乙20)によれば,本件商標権者におけるセブンツーセブン社の株数比率は20.9%である。
オ セブンツーセブン社の株主名簿(乙21)によれば,セブンツーセブン社における本件商標権者の株数比率は13.9%である。
(2)セブンツーセブン社による商品の引き渡しについて
ア セブンツーセブン社が有限会社ミナト(以下「ミナト社」という。)に宛てた2016年(平成28年)1月8日及び2017年(平成29年)5月24日付けの納品書(乙4の1,1葉目及び4葉目)によれば,セブンツーセブン社は,ミナト社に平成28年1月8日及び同29年5月24日付けで,商品コード「101441」の商品名「シークレットベール-B」を,それぞれ3個引き渡したものと認められる。
イ ミナト社の代表取締役によるセブンツーセブン社宛ての2019年(平成31年)1月18日付け宣誓書(乙4の2)は,「添付の2016年1月8日付け及び2017年5月24日付け貴社納品書に記載の『シークレットベール-B』は,以下の写真に写っている商品に相違ないことをここに宣誓する。」との記載がある。
ウ セブンツーセブン社が株式会社フォークス(以下「フォークス社」という。)に宛てた2016年(平成28年)3月8日及び2017年(平成29年)4月4日付けの納品書(乙4の1,2葉目及び3葉目)によれば,セブンツーセブン社は,フォークス社に平成28年3月8日及び同29年4月4日付けで,商品コード「101441」の商品名「シークレットベール-B」を,それぞれ12個,3個引き渡したものと認められる。
エ フォークス社の代表取締役によるセブンツーセブン社宛ての2019年(平成31年)1月16日付け宣誓書(乙4の3)は,「添付の2016年3月8日付け及び2017年4月4日付け貴社納品書に記載の『シークレットベール-B』は,以下の写真に写っている商品に相違ないことをここに宣誓する。」との記載がある。
オ 宣誓書(乙4の2及び3)の写真に表された商品(以下「使用商品」という。)の包装容器及び包装箱の上面には,いずれにも筆記体で「TwinklE」の文字(以下「使用商標」という。)が表示され,包装箱の下面には「ティンクル」「シークレットベール」「ブルー」「<ボディパウダー>」の記載がある。
カ 上記アないしオの認定事実によれば,セブンツーセブン社は,使用商品の包装容器及び包装箱に「TwinklE」を付したものを,平成28年1月8日,同年3月8日,同29年4月4日及び同年5月24日に,日本国内の取引先に,それぞれ,3個,12個,3個及び3個引き渡したものと認められる。
2 判断
(1)使用者について
本件商標権者とセブンツーセブン社は,双方の役員が一部共通すること,本件商標権者の本店とセブンツーセブン社の支店の住所が一致すること,双方の株式を互いの社が一定数保有していること(乙18?乙21)から,両者には密接な業務上の繋がりが認められること明らかであるから,本件商標権者は,セブンツーセブン社に対して,本件商標の使用について,黙示の許諾を与えていたものと見て差し支えない。
したがって,セブンツーセブン社は,本件商標の通常使用権者であると推認することができる。
(2)使用時期について
セブンツーセブン社が,日本国内の取引先に対して,使用商品を納品した平成28年1月8日,同年3月8日,同29年4月4日及び同年5月24日は,いずれも要証期間内である。
(3)使用商品について
使用商品である「ボディパウダー」は,本件審判の請求に係る指定商品である第3類「化粧品」に含まれるものと認められる。
(4)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について
使用商標は,上記1(2)オのとおり,筆記体で表された「TwinklE」の文字からなるものであり,当該「TwinklE」の文字は,上記第1のとおり,「TWINKLE」の文字からなる本件商標とつづりを同じくするものであるから,使用商標は本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。
(5)小括
以上によれば,本件商標の通常使用権者は,要証期間内である平成28年1月8日,同年3月8日,同29年4月4日及び同年5月24日に,使用商品の包装に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものを日本国内の取引先に引き渡したものと認められる。
そして,通常使用権者による上記行為は,商標法第2条第3項第2号にいう「商品の包装に標章を付したものを譲渡又は引き渡す行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,要証期間内に日本国内において,本件商標の通常使用権者が,その請求に係る指定商品中の第3類「化粧品」に含まれる商品「ボディパウダー」について,本件商標の使用をしていることを証明したというべきである。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により取り消すべきではない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
別掲 本件商標



審理終結日 2020-04-03 
結審通知日 2020-04-07 
審決日 2020-04-27 
出願番号 商願昭39-43756 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y03)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 平澤 芳行
大森 友子
登録日 1966-02-18 
登録番号 商標登録第699651号(T699651) 
商標の称呼 ツウインクル、トゥインクル 
代理人 石田 昌彦 
代理人 大向 尚子 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 岩瀬 ひとみ 
代理人 谷口 登 
代理人 中山 惇子 

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