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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X05 |
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管理番号 | 1366210 |
審判番号 | 取消2019-300049 |
総通号数 | 250 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2020-10-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2019-01-18 |
確定日 | 2020-08-24 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5359849号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5359849号商標(以下「本件商標」という。)は,「ケナログA」の文字を標準文字で表してなり,平成22年4月8日に登録出願,第5類「処方箋を必要としない歯肉炎用及び口内炎用の薬剤,その他の歯肉炎用及び口内炎用の薬剤,その他の薬剤」を指定商品として,同年10月8日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。 そして,本件審判の請求の登録は,平成31年2月4日であり,当該登録前の3年前の期間である,同28年2月4日から同31年2月3日までの間を,以下「要証期間」という。 2 請求人の主張 請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証を提出した。 本件商標は,その指定商品について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 なお,請求人は,被請求人の答弁に対し,何ら弁駁するところがない。 3 被請求人の主張 被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証並びに参考資料1ないし5を提出した。 (1)本件商標権者について 本件商標権者は米国企業「ブリストル-マイヤーズ スクイブカンパニー」(以下「BMS社」という場合がある。)の子会社である。BMS社は,自社又は本件商標権者を含む子会社が製造した商品を,世界各国の現地法人を通じて,各国で販売している。 本件商標権者は,我が国においては,本件審判の請求の登録前から,BMS社の子会社である日本法人「ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社」(以下「日本BMS社」という場合がある。)を通じて,本件商標を付した口内炎用の軟膏(薬剤)の販売を行っている。 (2)本件商標の使用について ア 使用証拠について (ア)乙第1号証は,日本BMS社が,我が国において,要証期間内に,口内炎用の軟膏(薬剤)の販売を行った事実を示す,仕切書(売上伝票)の写しであり,「ケナログA口腔用軟膏」と表示されている。同伝票中の「仕切日」の項目,例えば「16.02.04」は「2016年2月4日」を表している。 (イ)乙第2号証は,日本BMS社が,我が国において販売した,口内炎用の軟膏(薬剤)の商品,商品パッケージ及び同封の取扱説明書の写真である。商品のチューブ,商品パッケージ,取扱説明書には,「ケナログA」の文字が表示されている。 イ 使用商標について 乙第1号証及び乙第2号証に表示されている「ケナログA」は,本件商標とは,書体のみに変更を加えた同一の文字からなるから,社会通念上同一の商標である。 ウ 使用商品について 乙第1号証及び乙第2号証に掲載されている「口内炎用の軟膏」は,口腔内の口内炎の治療に用いられる商品であり,商品「薬剤」の範ちゅうに属する。 エ 使用行為について 乙第1号証には,我が国で販売された事実を示す仕切書(売上伝票)に本件商標が表示されており,乙第2号証には,商品,商品パッケージ及び取扱説明書に本件商標が表示されている。 これらの使用行為は,商標法第2条第3項第1号及び同項第8号に該当する。 オ 使用時期及び使用場所について 乙第1号証が作成されたのは,要証期間内であり,通常使用権者である日本BMS社によって,作成又は頒布された仕切書(売上伝票)である。乙2号証は,写真の撮影日が不明であるとしても,要証期間内に,日本国内において販売され,流通した商品及びその包装を示すものである。 いずれも,要証期間内において,日本国内で本件商標が使用された事実を示す。 カ 使用者について 本件商標権者はBMS社の子会社であり,BMS社は自社又は子会社が製造した商品を世界各国の現地法人を通じて販売しているところ,日本BMS社はBMS社の日本法人で子会社であるから,被請求人は日本BMS社に対して本件商標の使用を許諾していたことは明らかである。 よって,日本BMS社は,本件商標の通常使用権者である。 (3)小括 以上より,本件の要証期間内に,本件商標の通常使用権者が,本件商標と同一の商標を,「口内炎用の軟膏(薬剤)」について使用していたといえる。 4 当審の判断 (1)被請求人の提出した証拠によれば,以下のとおりである。 ア 「ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社」の2016年(平成28年)1月5日ないし2018年(平成30年)6月27日の仕切書(売上伝票)には,「ケナログA口腔用軟膏 5g×1」が毎月1000個前後,取引先に販売されたことが記載されている(乙1)。 イ 写真に掲載された商品「ケナログA口腔用軟膏5g」の包装箱には,「製造販売元 ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社」の記載があり,また,「口内炎治療薬」の文字が顕著に表示されていることから,当該「ケナログA口腔用軟膏5g」は「口内炎治療薬」であると認められる(乙2)。 ウ 「ひかり薬局」のウェブサイト(2016.12.03)には,「【ケナログA】を徹底解説!」の見出しの下,「ケナログA口腔用軟膏」と表示された商品写真が掲載されるとともに,「2009年7月27日から口内炎治療のOTC医薬品『ケナログ口腔用軟膏0.1%』(第1類医薬品)が発売されており,2012年1月に『第1類医薬品』から『指定第2類医薬品』にリスト区分が変更されたことに合わせ,商品名も『ケナログA口腔用軟膏』に変更されて,全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどで新発売しました。」との記載がある(参考資料4)。 エ 上記ア及びイによれば,「ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社」の仕切書(売上伝票)に記載された商品と写真に掲載された商品とは,「ケナログA」,「口腔用軟膏」及び「5g」の各文字が一致すること,いずれも「ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社」の記載があることから,両商品は同一のものと認められる。また,上記ウによれば「ケナログA口腔用軟膏」は,2012年(平成24年)1月ないし2016年(平成28年)12月3日には存在していたものと推認される。 (2)上記(1)によれば,以下のとおり判断できる。 ア 使用に係る商標について 仕切書(売上伝票)に記載された「ケナログA口腔用軟膏」(以下「使用商標」という。)の構成中,「口腔用軟膏」の文字部分は,当該商品の用途を表示する部分であるから,使用商標は,「ケナログA」の文字部分が要部として認識し得る。 本件商標は,「ケナログA」の文字からなるところ,本件商標と使用商標の構成中「ケナログA」の文字部分とは,そのつづりを同一にするものであるから,使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標といえる。 イ 使用商品について 上記(1)イのとおり「ケナログA口腔用軟膏5g」は「口内炎治療薬」であって,当該商品は本件審判の請求に係る指定商品「口内炎用の薬剤」の範ちゅうに含まれる商品である。 ウ 使用時期及び使用について 上記(1)アのとおり「ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社」は,2016年(平成28年)1月5日ないし2018年(平成30年)6月27日に,品名「ケナログA口腔用軟膏」との標章を付して取引先に仕切書(売上伝票)を発行した。 よって,ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社は,2016年(平成28年)1月5日ないし2018年(平成30年)6月27日に取引先に対し,口腔用軟膏に関する取引書類に「ケナログA口腔用軟膏」との標章を付して頒布したものと認めることができる。 エ 使用権者について 被請求人は,「ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社」が本件商標権者とともに米国のBMS社の子会社であって,本件商標の通常使用権者である旨を主張しているところ,請求人からはこの主張に対する具体的な反論,反証はない。 そうすると,本件商標権者と「ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社」とはグループ企業であり,同社が本件商標の通常使用権者とみて差し支えない。 オ 小括 以上によれば,本件商標の通常使用権者は,要証期間に含まれる2016年(平成28年)1月5日ないし2018年(平成30年)6月27日に,日本国内において,本件審判の請求に係る指定商品の取引書類に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して頒布したものと認められる。 そして,通常使用権者による上記行為は,商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。 (3)まとめ 以上のとおり,被請求人は,要証期間に,日本国内において,通常使用権者が,その請求に係る指定商品中「口内炎用の薬剤」に含まれる「口内炎治療薬」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。 したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2020-06-30 |
結審通知日 | 2020-07-02 |
審決日 | 2020-07-14 |
出願番号 | 商願2010-28050(T2010-28050) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(X05)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
半田 正人 |
特許庁審判官 |
佐藤 松江 平澤 芳行 |
登録日 | 2010-10-08 |
登録番号 | 商標登録第5359849号(T5359849) |
商標の称呼 | ケナログエイ、ケナログ |
代理人 | 田中 克郎 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 右馬埜 大地 |
代理人 | 廣中 健 |
代理人 | 石田 昌彦 |