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審決分類 審判 査定不服 観念類似 取り消して登録 W09
審判 査定不服 称呼類似 取り消して登録 W09
審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 W09
管理番号 1366200 
審判番号 不服2019-1895 
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-02-12 
確定日 2020-09-08 
事件の表示 商願2017-145606拒絶査定不服審判事件についてした令和元年6月25日付け審決に対し,知的財産高等裁判所において審決取消の判決(令和元年(行ケ)第10151号,令和2年5月20日判決言渡)があったので,さらに審理のうえ,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願商標
本願商標は,「CORE ML」の文字を標準文字で表してなり,第9類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として,2017年(平成29年)5月5日にリヒテンシュタイン公国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,同年11月6日に登録出願されたものである。
その後,指定商品については,令和元年11月19日付け手続補正書により,第9類「コンピュータソフトウェア(「アプリケーション開発用コンピュータソフトウェア・他のコンピュータソフトウェア用アプリケーションの開発に使用されるコンピュータソフトウェア」を除く。)」と補正された。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願の拒絶の理由に引用した商標は,以下のとおりである。
(1)登録第5171998号商標(以下「引用商標1」という。)は,「CORE」の文字と「コア」の文字を上下二段に横書きしてなり,平成19年7月20日に登録出願,第9類「加工ガラス(建築用のものを除く。),写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,電池,電子応用機械器具及びその部品,眼鏡,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル」を指定商品として同20年10月10日に設定登録されたものであるが,当該商標権については,商標法第20条第2項及び第3項の規定による更新登録の申請がされなかったため,当該商標権は,同条第4項の規定により,存続期間の満了の時(平成30年10月10日)にさかのぼって消滅したものとみなされた。
(2)登録第5611369号商標(以下「引用商標2」という。)は,「
CORE」の文字を標準文字で表してなり,平成25年4月17日に登録出願,第9類「加工ガラス(建築用のものを除く。),写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,電池,電子応用機械器具及びその部品,眼鏡,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル」を指定商品として同年8月30日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
(3)登録第5611370号商標(以下「引用商標3」という。)は,「コア」の文字を標準文字で表してなり,平成25年4月17日に登録出願,第9類「加工ガラス(建築用のものを除く。),写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,電池,電子応用機械器具及びその部品,眼鏡,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル」を指定商品として同年8月30日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
以下,引用商標2及び引用商標3をあわせて,「引用商標」という。

第3 当審の判断
1 本願商標と引用商標1とについて
引用商標1に係る商標権は,上記第2(1)のとおり,存続期間の満了の時(平成30年10月10日)にさかのぼって消滅したものとみなされた。
したがって,本願商標は,引用商標1との関係では商標法第4条第1項第11号に該当しないものとなった。
2 商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否の判断について
(1)本願商標は,上記第1のとおり,「CORE ML」の文字を標準文字で表してなる商標であり,「CORE」の文字と「ML」の文字とからなる結合商標である。
(2)複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて,商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,その部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き,原則として許されないというべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号,最高裁平成3年(行ツ)第103号,最高裁平成19年(行ヒ)第223号)。
3 本願商標と引用商標との類否の判断に当たって,本願商標の一部である「CORE」の部分を抽出して,引用商標と比較することができるかについて
(1)「CORE」,「ML」の語の意味内容及び使用状況,本願商標の使用状況につき,請求人が提出した甲第1号証ないし甲第26号証(枝番号を含む。),及び職権により調査し裁判所に提出した乙第1号証ないし乙第32号証によれば,以下の事実が認められる。
ア 「CORE」の語について
各種辞典等に以下のとおりの記載があることが認められるが,「ウィキペディア」の「コンピュータ略語一覧」(平成31年3月14日。甲6),「デジタル用語事典2000-2001年版」(平成12年3月20日,日経BP社。乙6),「コンピュータ&情報通信用語事典」(平成13年7月25日,株式会社オーム社。乙7),「最新・基本パソコン用語事典(平成21年4月15日,株式会社秀和システム。乙9),「IT用語図鑑」(令和元年5月13日,株式会社翔泳社。乙11)には,「CORE」又は「コア」の項目はない。
(ア)広辞苑第7版(平成30年1月12日,株式会社岩波書店。乙3)
「コア【core】(a)ものの中心部。中核。核心。(b)建物の中央部で,共用施設・設備スペース・構造用耐力壁などが集められたところ。・・・(c)鋳物の中子なかご。(d)(コイルなどの)鉄心てつしん。(e)地球の核。・・・(f)試錐(ボーリング)によって採取した円柱状の土壌や岩石の試料。・・・」との記載がある。
(イ)大辞林第3版(平成18年10月27日,株式会社三省堂。乙4)
「コア【core】(a)物の中心部。中心となる部分。核。中核。(b)地球の核。(c)コイルなどの鉄心。(d)鋳物の中子なかご。(e)原子炉の炉心。(f)建物で,共用施設をまとめて設置した所。・・・」との記載がある。
(ウ)大辞泉第2版(平成24年11月7日,株式会社小学館。乙5)には,以下のとおりの記載がある。
a 「コア【core】(a)物の中心部。中核。(b)地球の核。(c)鋳物の中空部分をつくるための鋳型。中子なかご。(d)物の芯に鉄を入れたもの。鉄心。(e)コアシステムの建築物で,共用施設をまとめた部分。(f)地層をドリルなどでくり抜いて採取した,堆積土のサンプル。・・・」
b 「コア【CORE】・・・人種平等会職。人種・信教・性別・年齢・障害の有無,性的傾向,宗教または民族的背景にかかわらず,すべての人々に平等をもたらすことを目的とする。1942年に結成。本部はニューヨーク。」
(エ)「現代用語の基礎知識2019」(平成31年1月1日,自由国民社。乙10)
「コア[core](a)核。物の中心部。鉄心。(b)あらゆる教育科目の中心となる科目(コアカリキュラム)。(c)ボーリングや細い穴あけ用の道具で得られた地層やその他の物のサンプル。」との記載がある。
(オ)「IT用語辞典e-Words」のウェブサイトの「コア【core】」の項目(平成11年9月4日。甲4)には,以下のとおりの記載がある。
a 「コアとは,核,芯,中心,核心などの意味を持つ英単語。」
b 「単にコアと言った場合は,マルチコアプロセッサにおけるプロセッサコアや,Intel社のIntel Coreシリーズのマイクロプロセッサ製品,UNIX系OSでプログラムが不正終了したときメモリやレジスタの内容をディスクに記録したファイル(コアファイル)のことを指す場合が多い。」
イ 「ML」の語について
新聞やウェブサイト等に以下のとおりの記載があることが認められる。なお,「ウィキペディア」の「コンピュータ略語一覧」には,「ML」の項目はない(平成31年3月14日。甲6)。
(ア)日本経済新聞朝刊(平成30年1月18日。乙15)
「グーグル,Al活用手軽に,利用企業,専門家要らず,わずかな材料で画像分析。」との見出しの下,「米グーグルは17日,クラウド経由で企業が簡単に人口知能(AI)を活用できるサービスを始めると発表した。・・・新サービス「クラウドオートML(機械学習)」を17日朝から一部顧客を対象にサービスを始めた。」との記載がある。
(イ)化学工業日報(平成30年6月1日。乙16)
「栗田工業,AI・機械学習で水道管劣化予測,米ソフトVBを子会社化」との見出しの下,「栗田工業は,米国のフラクタ・インクに出資し子会社化した。29日に開催した取締役会で決議し,同社および出資者との間で出資契約を締結した。これによりフラクタ・インクの100%子会社でAI /ML (人工知能・機械学習)を用いた水道管劣化予測ソフトウエアサービスを展開しているフラクタ社も傘下に収め,水処理ソリユーションの基盤強化を図る。」との記載がある。
(ウ)日経産業新聞(平成30年10月24日。乙17)
「深層学習,4年が生んだ進化,翻訳・自動言語処理,グーグル,事業利用続々(モバイルの達人)」との見出しの下,「グーグルは高度なプログラミング能力を必要とせず,画像をアップロードすると自動的に画像を認識するAIモデルを作成する「オートMLビジョン」を公開した。MLはマシンラーニングの略だ。さらに自然言語処理や翻訳に使えるサービスも公開した。」との記載がある。
(エ)「Fujisankei Business i.」(平成31年1月3日。乙18)
「【ジェーンズ・ディフェンス・ウオッチ】AIの進化が諜報活動を一変」との見出しの下,「AI研究は80年代後半,徐々に衰退したが2000年代に入りコンピューターの能力が向上,マシンラーニング(機械学習=ML)として知られるようになると,AIに対する関心が高くなり再び注目が集まるようになった。MLではコンピューターが自ら『学習する』。そして,アナリストがオープンソースでアクセスするデータ量に圧倒され,その中からより多くのデータを分析する場合,MLは効果的かつより良いパフォーマンスを発揮する。」との記載がある。
(オ)日経産業新聞(令和元年6月18日。乙19)
「WiL共同創業者兼CEO伊佐山元 外国人誘致,最後の好機(新風シリコンバレー)」との見出しの下,「今はやりのAI(人工知能),ML(機械学習)などは対象となる。」との記載がある。
(力)「平成30年版情報通信白書第2部」(甲7)
「『AI』に関しては,2017年(平成29年)6月に国連と国連専門機関などが中心となって開催したAIに関するワークショップをきっかけとして,同年11月にFG ML5G(5Gを含む将来のネットワークのための機械学習(ML:Machine Learning)に関するフォーカスグループ(FG))が第13回研究委員会(SG13)配下に設置されるなど,ネットワーク分野におけるAIの活用に関する研究が本格的に開始された。」との記載がある。
(キ)内閣府食品安全委員会のウェブサイト(平成31年3月11日。甲8の6)
「過去20年間にわたり,機械学習(ML)は,特に大量のデータや大規模で多次元の異種データセットが利用可能であり,及び/又は推奨される数学的手法がない状況において,データから自動的に学習することを目的として,ますます重要になっている。」との記載がある。
(ク)国立研究開発法人科学技術振興機構研究開発戦略センターのウェブサイト(平成31年3月11日。甲11)
「無線周波数(RF)スペクトルはますます混雑の度合いを増している。DARlPAの新規プログラム「無線周波数機械学習システム (RFMLS)」では,最先端の機械学習(ML)がこの混雑の中であらゆる信号の把握に役立つかどうかを吟味する。」との記載がある。
(ケ)国立研究開発法人科学技術振興機構研究開発戦略センターのウェブサイト(甲12)
「ソフトウェア工学×機械学習?ディペンダブルな機械学習ソフトウェア・システム開発に向けて?」との見出しの下,「IoT+AIとあるがIoT+MLの方がよい。」との記載があり,さらに,上記記載の下に記載された図面中に,「Internet of Things(IoT)+」の記載の右横に,「人工知能(AI)」と「機械学習(ML)」との記載がある。
(コ)「DMM INSIDE」のウェブサイト(平成30年9月20日。甲16)
「Google Cloud Platformを活用したMachine Learningハンズオン」との見出しの下,「DMMでは,社内の業務効率や顧客向けサービスの品質改善のためにMachine Learning(ML)を活用しており,そこで,AI部は,専門性の高いML技術の研究開発や,社内のML活用推進活動をしています。」との記載がある。
(サ)アイティメディア株式会社のウェブサイト(平成30年3月27日。乙24)
「Windows 10で機械学習ライブラリを実行するための「Windows ML」とは何か」との見出しの下,「米Microsoftは3月7日(現地時間)に,学習済みの機械学習ライプラリをWindows上でローカルに動作させるためのAPI「Windows ML(Machine Learning)」を発表した。」との記載がある。
(シ)「TechCrunch Japan」のウェブサイト(平成30年4月6日。乙26)
「CometMLは「機械学習のためのGitHub」になることを狙う」との見出しの下に,「Comet.mlは,データサイエンティストと開発者たちが,自身の書く機械学習モデルのモニタリング,比較,そして最適化を簡単に行えるようにする。」,「このサービスが提供するのは,機械学習(ML)実験コードとその結果をまとめることのできるダッシュボードだ。」との記載がある。
(ス)株式会社インプレスのウェブサイト(平成30年5月23日。乙27)
「後藤弘茂のWeekly海外ニュース」,「Armが機械学習専用プロセッサ「Arm ML」を投入へ」,「マシンラーニングに特化したArm MLプロセッサ」の各見出しの下,「Armがついにマシンラーニング(ML:機械学習)専用プロセッサのIpを正式にリリースする。Armの「Arm MLプロセッサ(Machine Learning Processor)は,最近,各社から次々に登場している「ニューラルネットワークプロセッサ(NPU)」と同じく,ニューラルネットワーク(Neura1 Network:NN)を低電力かつ高パフォーマンスに実行する。CPUやGPU,DSPの拡張ではなく,最初からML処理専用に設計された専用アーキテクチャだ。」との記載がある。
(セ)「しーたけの気まぐれ備忘録」のウェブサイト(平成25年5月23日。乙30)
「Java Machine Learning Library(Java-ML)はじめ」との見出しの下,「Javaから扱える機械学習ライブラリを見つけたので使ってみた」との記載がある。
(ソ)「け日記」のウェブサイト(平成30年9月15日。乙32)
「PySparkでMLを使って機械学習する」との見出しの下,「MLパッケージ(pyspark.ml)は機械学習用のパッケージです。」との記載がある。
(タ)「cloud.google.com」のウェブサイト(平成31年3月7日。甲13)
「Goog1e C1oud Machine Learning(ML)Engineは,デベロッパーやデータサイエンティストが優れた機械学習モデルを構築し,本番環境にデプロイできるようにするマネージドサービスです。C1oudML Engineにはトレーニングと予測の機能があり,これらを組み合わせて使うことも,それぞれを個別に使うこともできます。」との記載がある。
(チ)「Qiita」のウェブサイト(平成30年10月10日。甲15)
「Automated Machine Learning(@Azure ML)を試す」,「Auto ML(Automated Machine Learning)とは」との各見出しの下,「・・・Automated MachineLearning(以下AML)とは現実世界の課題を機械学習に適応させる二者間の自動化プロセスである。」との記載がある。
(2)以上を前提に,本願商標と引用商標との類否の判断に当たって,本願商標の一部である「CORE」の部分を抽出して,引用商標と比較することができるかについて検討する。
ア 「CORE」について
上記(1)アのとおり,「CORE」の語には,「ものの中心部,中核,核心」,「建物の中央部で,共用施設・設備スペース・構造用耐力壁などが集められたところ」,「地球の核」,「試錐(ボーリング)によって採取した円柱状の土壌や岩石の試料」,「UNIX系OSでプログラムが不正終了したときメモリやレジスタの内容をディスクに記録したファイル(コアファイル)」,「マイクロプロセッサのコア」,「Intel社の商品であるCOREシリーズ」等の多様な意味があるが,上記(1)アのとおり,多くのコンピュータ関連の用語辞典等には,「CORE」や「コア」の項目が掲載されていない。
上記の意味のうち,「コアファイル」,「マイクロプロセッサのコア」,「Intel社の商品であるCOREシリーズ」は,コンピュータ関連の用語であるが,「CORE」の語がコンピュータソフトウェアである本願の指定商品に使用された場合は,コンピュータハードウェアを意味する「マイクロプロセッサのコア」やコンピュータハードウェアの商品名である「Intel社の商品であるCOREシリーズ」を意味するものとは認識されないというべきであるし,「コアファイル」も一部のオペレーションシステムで用いられている用語にすぎず,「コアファイル」と認識されるとも認められない。
また,「CORE」の語が本願の指定商品に使用された場合,「中心部,中核,核心」などの一般の辞書に掲載されている意味のどれとも認識されないか,認識されるとしても,せいぜい「中心部,中核,核心」という意味と認識されるにすぎないというべきである。
イ 「ML」について
(ア)上記(1)イの認定からすると,「ML」の語には,「マシーンラーニング(Machine Learning)」の略語の意味があることが認められる。
しかし,(a)本件において,一般的な辞書に,「ML」の項目が存在することの証拠は提出されていないこと,(b)上記(1)イのとおり,「ML」の語が「マシーンラーニング(Machine Learning)」の略語として使用された例は一定数存するが,それらの使用例においては,必ず,「機械学習」という語と共に使用されていること,(c)コンピュータ関連の用語辞典の中には,「ML」の項目が存在するものがあるものの,同項目が存在しないものもある(「ウィキペディア」のウェブサイトの「コンピュータ略語一覧」)ことからすると,「ML」の語が何らの説明もなく使用された場合,「マシーンラーニング(Machine Learning)」の略語を意味すると認識されるとはいえないというべきである。
(イ)以上からすると,本願の指定商品に,「CORE」の語の末尾に1文字開けて「ML」を配した語が使用された場合,「ML」から,何らかの観念が生じると認めることはできない。
ウ 以上のア,イで示したところからすると,本願商標がその指定商品に使用された場合,「CORE」の語からは,せいぜい「中心部,中核,核心」といった一般的な意味が認識されるにすぎず,「CORE」の部分が出所識別標識として強く支配的な印象を与えるということはできないのに対し,「ML」の語からは特定の観念を生じることはなく,「ML」の部分が「CORE」の部分に比べて特段出所識別標識としての機能が弱いということはできない。
また,本願商標の外観上も,「CORE」と「ML」は,いずれも,同じ大きさの標準文字で構成されており,その間に1文字開いているだけであるから,別個独立の商標と認識されるものではない。
さらに,称呼においても,本願商標は,一連に発音されるものと認められる。
したがって,本願商標と引用商標との類否を判断するに当たっては,本願商標全体と引用商標を対比すべきであり,本願商標から「CORE」の部分を抽出し,これを引用商標と対比してその類否を判断することは許されないというべきである。
4 本願商標と引用商標との類否について
本願商標からは,「コアエムエル」の称呼が生じ,引用商標2及び引用商標3からは,いずれも「コア」の称呼が生じるところ,その音数は大きく異なっていることからすると,その差異は大きいというべきである。
また,本願商標の「CORE ML」と引用商標2の「CORE」及び引用商標3の「コア」とは,その外観が異なる。
本願商標の「CORE ML」の「CORE」の部分と,引用商標2の「CORE」及び引用商標3の「コア」では,「中心部,中核,核心」といった観念が生じる点で,観念が共通することがあるものの,上記のとおり,本願商標と引用商標2及び引用商標3とは,称呼と外観において異なっており,称呼における差異は大きいことからすると,本願商標は,引用商標のいずれとも類似していないというべきである。
したがって,本願商標は,引用商標とは非類似の商標というべきである。
5 まとめ
以上のとおり,本願商標は,引用商標とは非類似の商標であるから,本願商標と引用商標とが同一又は類似の商品に使用されたとしても,取引者,需要者において,その商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあるとはいえず,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。
したがって,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は,取消しを免れない。
その他,本願について拒絶の理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2020-08-19 
出願番号 商願2017-145606(T2017-145606) 
審決分類 T 1 8・ 262- WY (W09)
T 1 8・ 263- WY (W09)
T 1 8・ 261- WY (W09)
最終処分 成立  
前審関与審査官 今田 尊恵 
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 小俣 克巳
渡邉 あおい
商標の称呼 コアエムエル 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 

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