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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W4144
審判 全部申立て  登録を維持 W4144
管理番号 1365191 
異議申立番号 異議2020-900038 
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-09-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-02-12 
確定日 2020-08-12 
異議申立件数
事件の表示 登録第6199513号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6199513号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6199513号商標(以下「本件商標」という。)は、「スヌーピーカウンセリング」の文字を標準文字で表してなり、平成30年8月14日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,心理学に関するセミナーの企画・運営又は開催,企業の人材育成に関するコンサルティング,カウンセリングに関するセミナーの企画・運営又は開催,心理学若しくは医学に関する講演・セミナー・シンポジウムの企画・運営又は開催,心理カウンセリングの知識の教授に関する研究会・研修会・講習会の企画・運営又は開催,企業・団体の人材育成に関する研修会もしくはセミナーの企画・運営又は開催,健康の維持・増進を目的とする健康管理に関するセミナーの企画・運営又は開催,求人・就職に関する講習会の企画・運営又は開催,心理カウンセリングの教授,就職試験における知識の教授,電子出版物の提供,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」及び第44類「メンタルヘルスに関する指導及び助言,心理カウンセリングに関する情報の提供,心理療法によるカウンセリング,人間関係に関する心理カウンセリング,健康のための心理相談及び指導,健康のための心理相談および栄養指導,心理相談及び心理療法における生活指導,健康に関する情報の提供,心理療法又は精神療法によるカウンセリング,心理相談,心理学的診断」を指定役務として、令和元年10月23日に審決され、同年11月22日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第7号及び同第16号に該当するので、その登録を同法第43条の2第1号により取り消すべきであるとして、その理由を要旨次のように述べた。
(1)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、標準文字にて「スヌーピーカウンセリング」と表記され、「スヌーピー」と、本件商標の指定役務の一般名称である「カウンセリング」とが結合した商標である。
「スヌーピー」は、漫画家チャールズ・M.シュルツが1950年に新聞連載を開始したアメリカの人気漫画「ピーナッツ」に登場するビーグル犬の名前であり日本において著名である。漫画中のスヌーピーの姿・セリフなどはカウンセリングにとって有用なものである。
そして、商標権者は「スヌーピー」に関する使用許諾等の権限を有しておらず、「スヌーピー」に化体した指定役務に係る大きな顧客吸引力を無償で利用しているものであって、公正な取引秩序を乱し、公序良俗を害するおそれのある商標であるので、商標法第4条第1項第7号に該当する。
また、本件商標は、国際信義に反するものといえるので、その意味でも商標法第4条第1項第7号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第16号について
本件商標の指定役務のうち、第41類「企業の人材育成に関するコンサルティング,企業・団体の人材育成に関する研修会もしくはセミナーの企画・運営又は開催,健康の維持・増進を目的とする健康管理に関するセミナーの企画・運営又は開催,求人・就職に関する講習会の企画・運営又は開催,就職試験における知識の教授」では、カウンセリングを用いない役務も一部含まれる。
そのような役務に本件商標を使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第7号について
ア 商標法第4条第1項第7号は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」は商標登録を受けることができないと規定している。
ここでいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、(a)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、(b)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、(c)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(d)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、(e)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるというべきである(知財高裁平成17年(行ケ)第10349号参照)。
イ 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、本件商標が公正な取引秩序を乱し、公序良俗を害するおそれのある商標である旨及び国際信義に反するものに該当する旨主張しているので、その点について検討する。
本件商標は、「スヌーピーカウンセリング」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同書、同大、等間隔で外観上まとまりよく一体的に表されており、これより生じる「スヌーピーカウンセリング」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼できるものである。
そうすると、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではないことは明らかである。
次に、商標権者が、「スヌーピーカウンセリング」の文字からなる本件商標を、本件の指定役務について使用することが、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するような場合に該当するかについて検討する。
この点に関し、申立人は、「スヌーピー」の著名性及び指定役務における大きな顧客吸引力を持つ本件商標を、商標権者は何らの権限なきまま無償で利用しているものであって、公正な取引秩序を乱し公序良俗を害する旨主張するとともに、スヌーピーの名言を主とする書籍が出版されている事例を挙げている。
しかしながら、「スヌーピー」が、「米国の漫画家C.シュルツの漫画にでてくる犬の名」(「コンサイスカタカナ語辞典」三省堂)であって、その名言を主とする書籍が出版されているとしても、そのことをもって、直ちに「スヌーピー」がカウンセリングにとって大きな顧客吸引力を持つと認識、把握される客観的な証拠とはなり得るものではなく、他に提出された証拠からその顧客吸引力の程度を推し量ることもできない。
また、申立人は、「スヌーピー」の名称を商標の一部に業として使用する場合は、ピーナッツ・ワールドワイド・リミテッド・ライアビリティ・カンパニーの許諾が必要であると考えられる旨主張するが、我が国において「スヌーピー」の文字を構成中に含んでなる商標を使用する際に、いかなる権原や許諾を要するのか明らかでなく、また、申立人はその点について主張するのみで、「スヌーピー」の文字を構成中に含んでなる商標に係る権原や許諾に関する具体的内容を判断すべき客観的な証拠の提出もない。
そうすると、「スヌーピー」の文字を構成中に含む商標について、登録出願をする場合に、特定の者の許諾を得なければならないということはできない。
以上のことから、商標権者が、本件商標をその指定役務について使用することが、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するということはできない。
さらに、本件商標が、他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されていると見るべき事情は見いだせず、特定の国若しくはその国民を侮辱し、国際信義に反するようなものと認めることもできない。
加えて、商標権者による登録出願の経緯に、社会的相当性を欠くものとするべき事情も見いだせないし、これに該当するような具体的な証拠の提出もない。
その他、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足りる証拠もない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、前記(1)イのとおり、「スヌーピーカウンセリング」の片仮名をまとまりよく一体的に表した構成からなり、構成全体をもって一体不可分の商標を表したものと把握、認識されるものであるから、その構成中の「カウンセリング」の文字部分が独立して把握、認識されるものとはいえない。
また、「カウンセリング」の語は、「相談する」等の意味を有する語(前掲書)として知られているとしても、本件商標の一体的に表された構成から、「カウンセリング」の文字部分をもって、力ウンセリングに関連する役務の分野において、役務の質等を表わすものとして、一般に使用されている事実及び取引者、需要者が、役務の質等を表すものと認識し得るといった取引の実情があると認めるに足りる証拠は見いだせない。
してみれば、本件商標をその指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者が、その役務の質等を表示するものとして認識するとはいえず、役務の質について誤認を生じさせるおそれもない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
(3) 申立人の主張について
ア 申立人は、平成23年(行ケ)第10399号の判決を挙げ、「本件登録商標は、国際信義に反するものといえるので、その意味でも商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨主張している。
しかしながら、当該判決は、小説の主人公の名前のみからなる商標の商標法第4条第1項第7号該当性について判示したものであり、米国の漫画に登場する犬のキャラクター名「スヌーピー」のみからなるとはいえない本件商標とは、その構成態様において異なるものであって、事案を異にするというべきであるから、当該判決における判断を直ちに本件商標に当てはめることは妥当でない。
イ 申立人は、最高裁の判決(最高裁平成2年7月20日第二小法廷判決)を挙げ、「本件商標は『スヌーピー』の著名性及び指定役務における大きな顧客吸引力を何らの権限なきまま無償で利用しているものであって、公正な取引秩序を乱し、公序良俗を害するおそれのある商標である。」旨主張する。
しかしながら、当該判決は、「ポパイ」の著作権者に無断で商標登録した商標権者が、同著作権者の許諾を得て「POPEYE」標章を付した商品を販売している者に対して当該商標権を使用することを権利濫用に当たるとしたものであって、著作権者に無断で商標登録したことの違法性をいうものではないし、また、上記1(イ)のとおり、本件商標は漫画に登場する犬のキャラクター名「スヌーピー」のみからなものではないから、当該判例の存在により、本件の判断が左右されるものではない。
したがって、申立人の上記主張は、いずれも採用することができない。

4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第16号のいずれにも該当せず、同条第1項の規定に違反して登録されたものとはいえないものであり、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2020-07-30 
出願番号 商願2018-103416(T2018-103416) 
審決分類 T 1 651・ 272- Y (W4144)
T 1 651・ 22- Y (W4144)
最終処分 維持  
前審関与審査官 竹之内 正隆阿部 達広 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 小出 浩子
豊田 純一
登録日 2019-11-22 
登録番号 商標登録第6199513号(T6199513) 
権利者 ベリテワークス株式会社
商標の称呼 スヌーピーカウンセリング、スヌーピー 
代理人 原田 貴史 

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