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審決分類 審判 判定 その他 属さない(申立て成立) Z30
管理番号 1364239 
判定請求番号 判定2019-600030 
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標判定公報 
発行日 2020-08-28 
種別 判定 
2019-10-25 
確定日 2020-06-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第2288027号商標の判定請求事件について,次のとおり判定する。 
結論 商品「菓子及びパン」に使用するイ号標章は,登録第2288027号商標の商標権の効力の範囲に属しない。
理由 第1 本件商標
本件登録第2288027号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおり「日向夏」の文字を縦書きしてなり,昭和63年2月18日に登録出願,第30類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として,平成2年12月26日に設定登録され,その後,同14年3月13日に指定商品を第30類「菓子・パン」とする指定商品の書換登録がされたものである。

第2 イ号標章
請求人が商品「菓子及びパン」について使用する標章(以下「イ号標章」という。)は,「日向夏」の漢字を横書きしてなるものである。

第3 請求人の主張
請求人は,結論同旨の判定を求め,その理由を要旨以下のとおり述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
1 判定請求の必要性
「日向夏」は,江戸時代に発見され,宮崎県を代表する柑橘類の一つとして知られており,「日向夏」といういわゆる柑橘植物の名称は,普通名称として用いられ,パンや菓子を問わず,様々な食品の原材料として用いられている。
被請求人は,平成3年頃に,指定商品を「菓子・パン」として商標「日向夏」について商標権を得た。その後,請求人の顧客が,日向夏を原材料として,商品を製造販売した際に,被請求人から,商標権侵害であるとして警告を受けることが発生している。
したがって,請求人の顧客がイ号標章を「菓子及びパン」について安心して使用することができないから,判定請求を申し立てることとした。
2 イ号標章の説明
前記第2のとおり。
3 イ号標章が商標権の効力の範囲に属しないとの説明
(1)「日向夏」が普通名称であること
「日向夏」は,柑橘類の普通名称である。
「日向夏」は,宮崎県,静岡県,高知県などで生産される柑橘類である(甲1)。
また,旧行政管理庁が発行した日本標準商品分類(昭和30年3月改定)には,既に「中分類04-食用植物粗製品」の中で,「日向夏なつみかん(“Hyuganatsu”)」の記載がされている(甲2)。周知のとおり,上記日本標準商品分類は,日本における取引の際の一般的名称を示すものであり,この商品分類に記載されていれば,普通名称であることは明らかである。
さらに,「日向夏」の名称が市場でも使われるようになったのが,戦後の昭和40年代に入ってのことであり(甲3),「日向夏」は,遅くとも昭和40年代において普通名称であると認識されていたといえる。
このようなことから,「日向夏」という名称は,普通名称として認識され,例えば,日向夏を原材料として使用した食品が一般的に流通している(甲4)。
(2)イ号標章が「菓子及びパン」の原材料を普通に用いられる方法で表示するにすぎないこと
ア 「菓子」について
イ号標章は,「菓子」の原材料を表示するにすぎないものである。
具体的には,日向夏を使用したプリンやクッキーなどの菓子の販売事例が現に存在し(甲4),これらの菓子には,多くの場合,商品の原材料として,日向夏果汁が使用されている。
イ「パン」について
イ号標章は,「パン」の原材料を表示するにすぎないものである。
国内大手製パンメーカーによる日向夏を使用したパンの販売事例が現に存在し,インターネット検索エンジンでも「日向夏」と表記された多くのパン商品(甲5)が検索され,それらの原材料として日向夏が使用されている。他にも日向夏を用いたパンのレシピが紹介されている(甲6)。
ウ 小括
以上のとおり,イ号標章は,「菓子及びパン」の原材料を普通に用いられる方法で表示するものであるから,商標法第26条第1項第2号に該当し,本件商標の商標権の効力範囲に属しないことが明らかである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は,上記第3の請求人の主張に対して,何ら答弁するところがない。

第5 当審の判断
1 イ号標章について
イ号標章は,前記第2のとおり,「日向夏」の漢字を横書きしてなるものであり,その文字の態様も,その書体に特徴を有するものではないので,普通に用いられる方法で表示してなるものである。
そして,「日向夏」の文字は,柑橘類の普通名称であり(甲1?甲3),当該日向夏は,商品「菓子及びパン」の原材料としても使用されている(甲4?甲6)。
そうすると,商品「菓子及びパン」に使用する「日向夏」の文字からなるイ号標章は,これに接する取引者,需要者が,「日向夏を原材料とした商品」を表したものと容易に理解,認識するものといえる。
してみれば,イ号標章は,本件商標の指定商品「菓子・パン」の原材料を普通に用いられる方法で表示するものであるから,商標法第26条第1項第2号に該当する商標(標章)といわざるを得ないものである。
2 まとめ
以上のとおり,商品「菓子及びパン」に使用するイ号標章は,商標法第26条第1項第2号に該当するから,本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものである。
よって,結論のとおり判定する。

別掲
別掲(本件商標)


判定日 2020-06-02 
出願番号 商願昭63-17444 
審決分類 T 1 2・ 9- ZA (Z30)
最終処分 成立  
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 平澤 芳行
大森 友子
登録日 1990-12-26 
登録番号 商標登録第2288027号(T2288027) 
商標の称呼 ヒューガナツ、ヒナタナツ 
代理人 長友 慶徳 
代理人 今中 崇之 

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