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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W25 審判 一部申立て 登録を維持 W25 審判 一部申立て 登録を維持 W25 審判 一部申立て 登録を維持 W25 |
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管理番号 | 1364236 |
異議申立番号 | 異議2019-900254 |
総通号数 | 248 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2020-08-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-09-09 |
確定日 | 2020-07-22 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6153365号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6153365号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6153365商標(以下「本件商標」という。)は、「Tasmanugg」の欧文字を標準文字で表してなり、平成30年6月14日に登録出願、第25類「履物,ブーツ,スカーフ,手袋,帽子,ウール製セーター,ズボン及びパンツ,被服」及び第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、令和元年6月3日に登録査定、同月14日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録商標は、以下の4件(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)であり、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第4983281号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:UGG(標準文字) 登録出願日:平成17年10月26日 設定登録日:平成18年9月1日 指定商品:第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革」 (2)登録第2426878号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:UGG 登録出願日:平成2年2月9日 設定登録日:平成4年6月30日 指定商品:第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」 (3)登録第4983282号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:別掲のとおり 登録出願日:平成17年10月26日 設定登録日:平成18年9月1日 指定商品:第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革」 (4)登録第5242761号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の構成:別掲のとおり 登録出願日:平成21年3月19日 設定登録日:平成21年6月26日 指定商品:第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定商品中の第25類の「全指定商品」(以下「申立てに係る商品」という。)について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきと申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第19号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、横書きした「Tasmanugg」の欧文字のみから構成され、これに対して引用商標1及び2は、横書きした「UGG」の欧文字のみから構成される。 本件商標の始め6文字である「Tasman」は、人名ないし地名を表す単語(甲6?甲8)であって、指定商品との関係では特段の識別力を有しない。 よって、本件商標の要部は、終わり3文字である「ugg」と解されるところ、本件商標の要部と引用商標1及び2は、いずれも横書きした3文字の欧文字のみから構成され、小文字・大文字の違いはあるものの、「ugg(UGG)」の配列構成は同一であり、いずれも顕著な特徴を有さない一般的な書体であることを考慮すると、当該相違点は、両商標の共通点ないし類似点に比して、本件商標に接する需要者の目に留まりにくいものであるから、本件商標の要部と引用商標1及び2は、その外観において類似している。 また、本件商標は、「タスマンアグ」の称呼が生じるも、上記のとおり、「タスマン」の部分は、人名ないし地名を表す単語であって、指定商品との関係では特段の識別力を有せず、「タスマンアグ」は、一連一気に称呼するにはやや冗長であるため、「アグ」と略称されることが多いと考えられる。 そして、本件商標の略称ないし称呼である「アグ」や「ユウジイジイ」と引用商標の称呼「アグ」や「ユウジイジイ」は、それぞれ同一である。 さらに、引用商標は、世界的に周知著名であり、本件商標と引用商標は、需要者及び流通経路も共通する。 以上のとおり、本件商標の要部と引用商標1及び2は、外観において類似し称呼において同一であり、また、本件商標の要部と引用商標3及び4は、称呼において同一である。本件商標の要部と引用商標1及び2の間には、外観上の相違点はあるものの、かかる相違点は、看者の注意を引くものではない。 また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは重複し、その主たる需要者はいずれも商標やブランドにつき特別の専門的知識経験を有しない一般消費者であり、両商標に係る商品の流通経路も共通することから、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがある。 よって、本件商標は、引用商標に類似する。 (2)商標法第4条第1項第15号について 上記(1)のとおり、本件商標の要部と引用商標1及び2は、外観において類似しており、引用商標とは、称呼において類似している。 また、引用商標は、世界的に周知著名(甲9?甲19)であり、本件商標と引用商標は、需要者を共通する。 さらに、申立人は、本件商標の始め6文字と共通する欧文字列を、引用商標2又は4を付した履物のスタイル名として遅くとも1998年から使用している(甲10及び甲11)。これらの事情に鑑みれば、本件商標が付された商品に接した需要者が商品の出所につき誤認混同を生じ、混同のおそれがある。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、「Tasmanugg」の欧文字よりなるものであるところ、その構成は、語頭の「T」を大文字、それに続く文字が小文字で表され、外観上まとまりよく一体的に表してなるものであって、一つの語を表す欧文字表記と理解されるといえるものである。 そして、その構成中、「Tasman」の文字は、「Tasman Sea」が「タスマン海」(甲6)、「タスマニア」が「オランダ人タスマンが発見」(甲7)等と辞書の掲載が認められるとしても、我が国において一般的に広く知られているともいい難く、また、該文字がその商品との関係において識別力がないとする申立人の主張を裏付ける証拠の提出もない。 してみれば、本件商標は、その構成全体をもって、一体不可分のものとして認識、把握されるとみるのが相当であるから、構成文字全体に相応して、さほど冗長ともいい難い「タスマンアグ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。 他方、引用商標1及び2は、「UGG」の文字を書してなり、引用商標3及び4は、別掲のとおり、「UGG」の文字をややデザイン化してなるところ、その構成文字に相応し、いずれも「アグ」又は「ユージイジイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、両商標は、外観が明らかに相違し、また、称呼において、本件商標から生じると認められる「タスマンアグ」の称呼は、引用商標から生じる「アグ」又は「ユージイジイ」の称呼とは、いずれもその構成音が明らかに相違し、十分に聴別し得るものである。 さらに、観念においては、両商標ともに特定の観念が生じないから、これを比較することができない。 してみれば、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、その外観及び称呼において、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 上記のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、本件商標は、その指定商品中の申立てに係る商品を引用商標の指定商品と比較するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (2)引用商標の周知著名性について ア 申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 (ア)「UGG」ブランドは、1978年に一人のサーファーによって米国西海岸のビーチで立ち上げられ(甲9)、1979年以来、UGG、Holdings Inc.によって使用されてきた。申立人は1995年に「UGG」に係る商標権を保有していた前記会社を買収し(甲10)、以来、世界向けのカタログ(1998年から2005年)において、引用商標を、特にブーツに使用し、販売している(甲11)。 (イ)申立人の副秘書による陳述書(甲10)には、UGGブランド製品の全世界及び日本の年間総売上高を示しているが、その裏付けとなる証拠の提出がないから、該数字を評価することができない。 (ウ)我が国において、2010年に発行された各雑誌(甲12の1?42:GLITTER、ハーパース・バザー日本版、エル・ジャポン、CLASSY、POPEYE等)に「UGG」又は「アグ」の表示とともにブーツ等が掲載されており、その中には、引用3及び4が付されているもの(甲12の6、11、41等)もある。 また、2014年に発行された各雑誌(甲12の44?50:Fine、LEE、BAILA、Begin等)に「アグ オーストラリア」、「アグのムートンブーツ」や「UGG」又は「アグ」の表示とともにブーツが掲載されている。 さらに、2017年及び2018年に発行された各雑誌(甲12の55?65:Precious、エル・ジャポン、SPUR等)に「UGG」又は「アグ」の表示とともにスニーカーやレインブーツ等が掲載されている。 (エ)毎日新聞(2013年12月23日)には、ムートンブーツの写真が掲載され、申立人の業務に係るものとして、「アグ オーストラリア」と紹介されている(甲12の43)。 また、2015年8月5日掲載の産経ニュース、YOMIURI ONLINE、朝日新聞デジタル(甲12の51?53)には、申立人が新作のスニーカーコレクションを発表したことが掲載されている。 (オ)「WWDジャパン」(2016年7月4日発行:甲12の54)には、「アグ銀座店が新コンセプトで移転オープン」の見出しの下、引用商標3及び4を付した店舗の写真が掲載されている。 (カ)UGG(アグ)公式サイト(2019年8月16日出力:甲17)には、「メンズタスマン/TASMAN」が「丸みを帯びたフォルムと履き心地のよさが人気のスリッポンTASMAN(タスマン)。」と説明され、また、「POPEYE」(2018月8月号:甲18の1)及び「Safari」(2018年11月号:甲18の2)には、「TASMAN」又は「タスマン/Tasman」のスリッポンが掲載されているが、これらは、本件商標の登録出願日以降のものである。 イ 上記アからすれば、我が国において引用商標を付したブーツについて、売上高や市場シェアについては不明であるが、2010年発行から現在までの各雑誌に掲載、販売されていること、新聞等においても話題になったことからすると、引用商標は、本件商標の登録出願時以前から、申立人の業務に係るブーツの商標としてある程度知られていたといえる。 なお、申立人は、「TASMAN」をスタイル名として長年使用しており、日本においても申立人の「UGG」ブランドのスタイル名の一つとして認識されている旨主張しているが、「TASMAN」については、1998年から当該文字がカタログ(甲11)に掲載されていることは認められるものの、我が国においての販売実績及び使用実績等を裏付ける証拠の提出はなく、当該スタイル名が本件商標の登録出願時に広く知られていたとはいえない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 引用商標の周知著名性及び独創性の程度 引用商標は、上記(2)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る「ブーツ」を表示するものとして、取引者、需要者の間にある程度知られていたといえる。 また、引用商標は、成語として辞書等に掲載が認められないから、独創性の程度は高いものといえる。 イ 本件商標と引用商標との類似性の程度 本件商標は、上記(1)のとおり、引用商標とは、十分に区別し得るものであり、その類似性の程度は低いものである。 ウ 出所の混同のおそれについて 上記のとおり、引用商標は、独創性の程度は高く、本件商標の登録出願時において、申立人の業務に係る「ブーツ」を表示する商標として、取引者、需要者の間にある程度知られていたとしても、本件商標と引用商標とは、上記したとおり、十分に区別し得るものであって、その類似性の程度も低いものというべきものであり、他に両者が混同を生じるとすべき格別の事情も見いだせないから、商標権者がこれを申立てに係る商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想、想起するようなことはないというべきであって、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある商標ということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標は、申立てに係る商品について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(引用商標3及び4) ![]() |
異議決定日 | 2020-07-08 |
出願番号 | 商願2018-78713(T2018-78713) |
審決分類 |
T
1
652・
271-
Y
(W25)
T 1 652・ 261- Y (W25) T 1 652・ 262- Y (W25) T 1 652・ 263- Y (W25) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 田崎 麻理恵 |
特許庁審判長 |
木村 一弘 |
特許庁審判官 |
山田 啓之 中束 としえ |
登録日 | 2019-06-14 |
登録番号 | 商標登録第6153365号(T6153365) |
権利者 | ティアンジュ チャン |
商標の称呼 | タスマンアグ、アグ、ユウジイジイ |
代理人 | 安達 友和 |
代理人 | 坂田 了祐 |
代理人 | 兼松 由理子 |
代理人 | 大江 耕治 |