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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1364216 
異議申立番号 異議2019-900300 
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-08-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-10-15 
確定日 2020-07-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第6162650号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6162650号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6162650号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成29年5月29日に登録出願,第3類「化粧品,せっけん類,洗顔用せっけん,その他のせっけん類,頭皮用のシャンプー,その他の頭皮用せっけん類,ヘアリンス,その他の頭髪用化粧品,まつ毛用化粧品,歯磨き,コラーゲンを配合してなるゼリー状のせっけん,コラーゲンを配合してなるゼリー状の化粧品,その他の化粧品」を指定商品として,令和元年6月6日に登録査定,同年7月19日に設定登録されたものである。

第2 引用商標及びその使用に係る商品
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件登録異議の申立ての理由において,本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は,「Dr.Ci:Labo」商標(以下「引用商標1」という。)及び「ドクターシーラボ」商標(以下「引用商標2」という。)であり,いずれも化粧品等の分野において使用しているというものである。
上記,引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは,以下「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する商標であるから,同法第43条の2の規定に基づき,その登録は取り消されるべきであるとして,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第62号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第15号の該当性について
(1)申立人について
申立人は,平成11年(1999年)2月には,化粧品販売を目的として「株式会社ドクターシーラボ」として設立され,スキンケア製品等の化粧品を中心とした商品の製造販売を行い,「株式会社シーズ・ホールディングス」に名称を変更した後も,一貫してハウスマークとして「Dr.Ci:Labo/ドクターシーラボ」のブランド名を用いて商品の製造販売事業に関するグループの中核として事業運営を行っている。
申立人は,総合的な化粧品等メーカーとしてだけでなく,化粧品の主な各カテゴリーにおいても高い商品シェアを有し,多大な広告宣伝活動を行い,「Dr.Ci:Labo/ドクターシーラボ」のブランド名は,ハウスマークとして関連需要者の間に広く知られるに至っている。
申立人の過去の所定期間の商品売上高と広告宣伝費は,以下のとおりである。
(A)商品売上高(甲1)
2014年度(2014年8月から2015年7月):約359億円
2015年度(2015年8月から2016年7月):約376億円
2016年度(2016年8月から2017年7月):約394億円
2017年度(2017年8月から2018年7月):約429億円
2018年度(2018年8月から2019年7月):約509億円
(B)広告宣伝費(甲2)
2009年度(2009年8月から2010年7月):約45.5億円
2010年度(2010年8月から2011年7月):約51.6億円
2011年度(2011年8月から2012年7月):約60.8億円
2012年度(2012年8月から2013年7月):約40.4億円
2013年度(2013年8月から2014年7月):約58.6億円
上記の宣伝広告費の実績は少し前のものであるが,2017年(平成29年)9月10日に東洋経済オンラインで公表された,あらゆる分野の企業を対象とした,「『広告宣伝費』が多いトップ300社」において,申立人は148位(広告宣伝費:約57億円)に入るなど,多大な広告宣伝活動を継続して行っている(甲3)。
(2)引用商標の独創性
引用商標1は,「Dr.」,「Ci:」,「Labo」の文字を並べて表したものであり,本件商標の指定商品の分野で調査するも,いわゆる文字商標というべき商標のうち登録済みのものの中では,引用商標1のように3語構成で前後が「Dr.」と「Labo」という構成のものは,引用商標1の他には本件商標しか見当らず,かかる商標構成は独創性があるといえる。
(3)引用商標の周知・著名性
ア 引用商標1は,刊行物,テレビ番組,ウェブサイト等において広く使用され,以下の媒体に表示されている。
掲載商品としては,ゲルタイプのオールインワン化粧品,毛穴ローション,洗顔フォーム,化粧水,クレンジング化粧品,美容クリーム,マスク状化粧品,ボディーソープなどがある(甲4?甲11)。
引用商標は,「Dr.Ci:Labo/ドクターシーラボ」ブランドの商品の通信販売の会員向けの会報誌における商品の宣伝広告や,商品のニュースリリースに表示されている(甲12,甲13)。
また,引用商標は,雑誌(甲14?甲43),新聞・業界紙(甲44)において,上記商品とともに掲載されている。
さらに,引用商標は,テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」(2015年2月11日放送)において,上記商品とともに紹介された(甲45)。
そして,インターネット上のウェブサイトでも,引用商標は,上記商品とともに紹介されている(甲46?甲48,甲62)。
上記のものを含めて,引用商標は,雑誌,新聞・業界紙において,多数の掲載実績がある(甲49?甲54)。
イ 引用商標は,商品シェア等に関する様々な調査研究会社の市場調査レポートにおいても,化粧品の主なカテゴリーで上位のシェアを占めている(甲55)。
ドクターコスメの定義は,〔1〕「医師(主に皮膚科医)または医学博士が開発・研究に参加していること(国籍は問わない)。」,〔2〕「皮膚科,形成外科,美容外科などのクリニック,病院,医院で販売または紹介していること。」であり,いずれかの条件を満たしたブランドを上記市場調査分析では抽出している(甲55)。
上記の2013年(平成25年)の市場分析調査では,ドクターコスメ市場のシェアにおいて,申立人が,企業別シェアとブランド別のシェアのいずれも,2位の企業(ロート製薬・61億円・7.5%シェア),2位のブランド(アベンヌ・53億円・6.5%)とは大きな差をつけて,圧倒的なトップシェアを獲得したことが示されている。
その後,2017年(平成29年)のTPCマーケティングリサーチ株式会社(旧株式会社総合企画センター大阪)が行ったドクターコスメ市場分析調査でも,申立人が,企業別・ブランド別のそれぞれでシェア1位を獲得したことがウェブサイトにおいて掲載され(甲56),さらに,同社の2019年(令和元年)の市場分析調査においても,申立人が上記各カテゴリーでそれぞれシェア1位を獲得したことが示されている(甲57)。
以上より,引用商標1が,本件商標の出願前から現在にいたるまで,ドクターコスメ市場を中心とする化粧品等の分野において,需要者及び取引者の間で広く認識されていることは明らかである。
(4)申立人のハウスマークを連想させること
上記のとおり,申立人は,一貫してハウスマークとして「Dr.Ci:Labo/ドクターシーラボ」のブランド名を用いて商品の製造販売事業に関するグループの中核として事業運営を行っている。
本件商標は,化粧品等の分野で使用した場合,申立人の商標が主として使用されている商品が,化粧品の分野のうち,いわゆるドクターコスメという分野に関連するものであり,また,本件商標もその構成の「Dr.Cosme」がいわゆるドクターコスメの分野の商品を連想させるから,これらの商標を化粧品の分野で使用すると,上記市場調査レポートでも示すとおり「ドクターコスメの分野」でトップシェアのブランドとして知られている引用商標1を連想する可能性は極めて高いというべきである。
(5)商標の類似性の程度
ア 本件商標は,「DCL」の文字と,「Dr.Cosme Labo」の文字を,上下に併記して表してなるところ,両構成は常に一体としてみるべきものとはいえず,本件商標のうち「Dr.Cosme Labo」の文字は独立して識別力を発揮し得る部分であり,引用商標1と対比し得る部分といえる。
イ 本件商標の「Dr.Cosme Labo」の文字は,引用商標1とは,最初の「Dr.」,中間の文字の始まりの「C」,そして最後の「Labo」が共通し,外観構成が同一ではないが,12文字中の8文字が引用商標1と共通し,また相違する文字「Cosme」は少なくとも化粧品には識別力がなく,また引用商標1の構成中の「Ci:」の文字は特定の観念は生じず,そうすると,最初の「Dr.」と最後の「Labo」の文字は共通する観念を有することから記憶に残り易く,また中間の文字も共に「C」で始まる点で,全体として相紛れるおそれは否定しえず,類似するか又は類似するとまでいえない場合でも類似性の程度は高いというべきである。
ウ 本件商標の「Dr.Cosme Labo」の文字から生じる「ドクターコスメラボ」と,引用商標1から生じる「ドクターシーラボ」とは,形式的にみた場合は称呼上の類似関係があるとまではいえないとしても,外観や観念において相紛れるおそれが依然として高く,上記のとおり,申立人の商標がトップシェアを占めるいわゆるドクターコスメという分野の商品に,両商標が関連する可能性が高い事情を考慮すると,少なくとも化粧品との関係では,両商標の上記共通性による類似性の程度としては高いというべきである。
また,申立人は,本件異議申立の時点において,少なくとも国内において610件以上の商標登録を有し,その中において,ハウスマーク「Dr.Ci:Labo」又は「ドクターシーラボ」の文字を含む様々な関連するシリーズの商標登録を245件以上有していて(甲60),ハウスマークを多様なシリーズで登録・使用している事実があり,上記の様々な媒体における宣伝広告等からも明らかなとおり,需要者の間においてもこの点は認識されているといえ,この点からも,需要者,取引者の間において,本件商標が引用商標と相紛れるおそれがあり,関連するシリーズの商標と間違う程度の類似性は少なくとも認められるというべきである。
(6)商品間の関連性
本件商標の指定商品は,第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き」の範囲に属するものであり,このうち「化粧品,せっけん類」については,上記のとおり引用商標が実際に使用されている事実があり,また「歯磨き」についても商品関連性は高いというべきである。
(7)需要者又は取引者の共通性
また,本件商標の指定商品と,引用商標が実際に使用されている商品とは,需要者と取引者の共通性が高く,特に美容に関心が高い需要者と取引者については極めて共通性が高いといえる。
(8)混同のおそれ(広義の混同のおそれを含む。)
ア レールデュタン事件最高裁判決(平成12年7月11日最高裁平成10年(行ヒ)第85号)では,商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には,当該商標をその指定商品又は指定役務(以下「指定商品等」という。)に使用したときに,当該商品等が他人の商品又は役務(以下「商品等」という。)に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみならず,当該商品等が右他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれ(以下「広義の混同を生ずるおそれ」という。)がある商標を含むものと解するのが相当であると判示している。
また,「混同を生ずるおそれ」の有無は,当該商標と他人の表示との類似性の程度,他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や,当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし,当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべきである。
イ 上記判決の判断基準に基づき,本件商標の商標法第4条第1項第15号にいう他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれについて検討すると,我が国において有数の化粧品メーカーとして,需要者及び取引者の間において,その独創的なハウスマークに当たる引用商標1,引用商標2とともに広く知られ,これに対して,本件商標はその構成中に「Dr.Cosme Labo」の文字を含み,その指定商品は「化粧品,せっけん類,歯磨き」の範囲に含まれるものあり,本件商標を,その指定商品に使用した場合には,当該商品が申立人の商品に係るものであると誤信させるおそれ,又は当該商品が申立人との間に,いわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係若しくは同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれがあるというべきである。
ウ 特許庁の過去の商標の審決等例,異議2014-900335及びこれに関する審決等取消訴訟(知財高判平成28年10月27日平成28年行ケ第10090号)(甲61),異議2014-900342,異議2016-900055,異議2016-900056,において,引用商標となった申立人のゲルタイプのオールインワン化粧品に関する商標「Aqua-Co11agen-Ge1」が,需要者の間で広く認識されたものとして認定判断され,当該商品には,ハウスマークである引用商標1も表示され同程度に広く需要者の間に認識されているものということができる。
エ かかる事情を考慮すれば,また,本件商標の指定商品と,引用商標が主として使用されている商品が,いずれも化粧品の分野のうち,いわゆるドクターコスメという分野に関連するものであることを考慮すれば,本件商標を指定商品に使用すると,市場調査レポートでも「ドクターコスメの分野」でトップシェアのブランドとして知られている引用商標1を連想する可能性は極めて高いというべきであって,商標権者と申立人の業務に係る商品について混同のおそれがあるというべきであり,又は,仮に類似する商標とはいえないとしても,取引者,需要者をして,本件商標と特徴的な商標構成上の類似性の程度が高く,周知性及び独創性の程度が高い引用商標を連想又は想起させることが少なくないというべきであり,商標権者が,申立人と組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その出所について混同を生ずるおそれ(広義の混同を生ずるおそれ)があるというべきである。
(9)以上のことからすれば,本件商標は,商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれ」がある商標に該当するものといえる。
2 まとめ
以上のとおり,本件商標は,その登録出願時及び登録査定時において,申立人の商標として化粧品等の分野において需要者,取引者の間で広く認識されている引用商標と混同を生じるおそれがあるため,商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 本件商標と引用商標との類似性
(1)本件商標
本件商標は,上段に「DCL」の文字を大きく表し,下段に,上段の文字に比して小さく表した「Dr.Cosme Labo」の文字を二段書きにした構成からなるものであるところ,上段の文字部分は,下段の文字部分に比べてかなり大きく,より太い黒線で表わされており,本件商標全体の面積の大半を占めていることから,下段の文字部分に比べて相当に目立つものということができる。
そして,複数の単語から構成される英語の熟語や名称については,その略称として,各単語の頭文字の大文字を並べたものを用いることが多いことに鑑みると,上段の文字部分は,下段の文字部分を構成する各英単語の頭文字である「D」「C」「L」を意味するものとして認識されるということができる。
また,本件商標は,上段の「DCL」の文字部分と下段の「Dr.Cosme Labo」の文字部分を構成する文字の大きさが顕著に異なっており,視覚上,分離して認識できるものであって,これを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものということはできない。
してみると,本件商標からは,その構成全体から生じる「デイシイエルドクターコスメラボ」の称呼のほかに,上段の「DCL」と下段の「Dr.Cosme Labo」の各文字部分に相応した「デイシイエル」又は「ドクターコスメラボ」の称呼をも生じ,そして,それぞれの文字部分は,各々特定の意味合いを有しない一連一体の造語として看取されるものであるから,本件商標は,特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は,「Dr.Ci:Labo」(引用商標1)の欧文字又は「ドクターシーラボ」(引用商標2)の片仮名からなり,当該構成文字に相応して「ドクターシーラボ」の称呼を生じ,特定の意味合いを有しない造語として看取されるものであるから,特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の対比
本件商標と引用商標とを比較すると,外観において,両者の構成には,「DCL」の有無,「Cosme」と「Ci:」の相違又は欧文字と片仮名といった顕著な差異が認められるから,両者は,外観上,相紛れるおそれはないものである。
次に,称呼において,本件商標の称呼「デイシイエル」,「ドクターコスメラボ」又は「デイシイエルドクターコスメラボ」と,引用商標の称呼「ドクターシーラボ」を対比してみると,構成音,構成音数が相違する上,相違する各音の音質の相違により,全体の音感が全く異なるから,両者は,称呼上,相紛れるおそれはないものである。
そして,本件商標と引用商標とは,観念において比較できないものである。
したがって,本件商標と引用商標とは,観念において比較できないものであるとしても,外観及び称呼において相紛れるおそれのないことは明らかであるから,非類似の商標であって,別異の商標というのが相当であり,両者の類似性の程度は低いものである。
2 引用商標の周知・著名性について
申立人は,引用商標は化粧品等の分野において需要者,取引者の間で広く認識されている旨主張し,その証拠として甲第1号証ないし甲第62号証を提出している。
(1)申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
ア 申立人は,平成11年(1999年)2月に申立人の前身である「株式会社ドクターシーラボ」を設立し,スキンケア製品等の化粧品(以下「申立人商品」という。)を中心とした商品の製造販売を行い,平成27年12月に商号を「株式会社シーズ・ホールディングス」に名称を変更した後も,一貫してハウスマークとして「Dr.Ci:Labo/ドクターシーラボ」のブランド名を用いて商品の製造販売事業に関するグループの中核として事業運営を行っているとしている(甲1,申立人の主張)。
しかし,申立人が引用商標を設立当初からハウスマークとして使用していることを明らかにする証拠の提出はない。
イ 申立人作成の第20期の有価証券報告書によれば,商品売上高は,第16期(決算年月平成26年7月)が約359億円であり,第20期(決算年月平成30年7月)が約509億円であることが認められるが,それらの商品売上高の全てにおいて引用商標が使用された商品についての売上高であるかは不明である(甲1)。
ウ 第8期から第16期の広告宣伝費のリスト(甲2)からは,第8期(2006/2?2007/1)が約33.4億円であり,第16期(2013/8?2014/7)は約58.6億円であることが認められるが,それらの数字を裏付ける具体的な証拠の提出はなく,また,それらの広告宣伝の全てにおいて引用商標が使用された商品についての広告宣伝費であるかも明らかではない。
エ 申立人は,引用商標は刊行物,テレビ番組,ウェブサイト等において広く使用され,掲載商品としては,ゲルタイプのオールインワン化粧品,毛穴ローション,洗顔フォーム,化粧水,クレンジング化粧品,美容クリーム,マスク状化粧品,ボディーソープなどがあるとする資料(甲4?甲11)を提出しているが,当該資料から商品の掲載媒体及び掲載日等を把握することはできない。
オ 商品に引用商標が付されていることや雑誌等に商品が紹介されたことを立証する証拠として提出された雑誌,新聞等(甲12?甲45)の多くは,印刷が不鮮明なため,引用商標の表示等,その詳細な内容を把握することはできない。
しかも,その証拠のほとんどが,他社の商品とともに掲載されているものであって,他社の商品と比較して申立人商品を印象付ける方法により,掲載されているというものでもないから,これらの雑誌,新聞等の掲載により,申立人商品が強く印象付けられるとは認められないし,当該雑誌,新聞の販売地域,販売部数なども明らかではない。
カ 申立人は,引用商標を使用した商品が雑誌・新聞・業界紙に紹介されたことを立証する証拠として,発売日,媒体形態,媒体名,発売号,企画等を掲載したリスト(甲49?甲54)を提出しているが,当該リストによっては,引用商標の具体的な使用態様を確認することができない。
キ 申立人は,本件異議申立の時点において,少なくとも国内において610件以上の商標登録を有し,その中において,ハウスマーク「Dr.Ci:Labo」又は「ドクターシーラボ」の文字を含む様々な関連するシリーズの商標登録を245件以上有しているとするが(甲60,申立人の主張),そのことは本件商標の周知・著名性を直接的に裏付けるものではない。
(2)上記アないしキからすれば,引用商標が,申立人の業務に係る商品「美容液,ローション,コラーゲンを配合したゲル状の化粧品」等に使用されていることが認めらるとしても,提出された証拠からは,引用商標が付された商品の売上高,市場シェアなどの販売実績,使用地域,並びに広告宣伝の方法,期間,地域及び規模を示す具体的な証左は見いだせないから,引用商標が我が国において広く知られているとはいい難いものである。
したがって,申立人提出の証拠からは,本件商標の登録出願時及び登録査定時に,我が国において,引用商標が,申立人の業務に係る商品「化粧品」等を表示する商標として,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
3 出所の混同のおそれ
上記2のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時に,我が国において,引用商標が,本件商標の指定商品の分野の需要者に広く認識されていたものとは認められず,本件商標と引用商標とは上記1のとおり,相紛れるおそれのない別異の商標といえるから,類似性の程度は低いものである。
してみれば,本件商標は,これをその指定商品に使用しても,これに接する需要者をして,申立人又は引用商標を想起,連想させるものとは認められず,当該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 結論
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するものではなく,その登録は,同条第1項の規定に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲
別掲
本件商標(登録第6162650号)


異議決定日 2020-06-24 
出願番号 商願2017-76724(T2017-76724) 
審決分類 T 1 651・ 272- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 寺澤 鞠子鈴木 駿也小田 昌子 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 小松 里美
薩摩 純一
登録日 2019-07-19 
登録番号 商標登録第6162650号(T6162650) 
権利者 株式会社ドクターコスメラボ
商標の称呼 デイシイエル、ドクターコスメラボ、コスメラボ 
代理人 特許業務法人浅村特許事務所 

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