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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 取り消して登録 W4144 |
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管理番号 | 1364172 |
審判番号 | 不服2019-16811 |
総通号数 | 248 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2020-08-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-12-12 |
確定日 | 2020-07-27 |
事件の表示 | 商願2018-101837拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「スヌーピー心理学」の文字を標準文字で表してなり、第41類及び第44類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成30年8月9日に登録出願され、その後、指定役務については、原審における同31年2月4日付けの手続補正書により、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,個人に対する知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」及び第44類「健康管理に関する指導及び助言」と補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、『スヌーピー心理学』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『スヌーピー』の文字は、米国の漫画家チャールズ・M・シュルツ氏原作による漫画『ピーナッツ(原題:Peanuts)』に登場するビーグル犬のキャラクターとして、我が国においても広く知られた『スヌーピー(Snoopy)』を容易に認識させるものである。そして、『スヌーピー』をモチーフとした様々なグッズやサービスが、その版権を管理するピーナッツ・ワールドワイド・エルエルシー又は同社とライセンス契約を結んだ関係者である株式会社ソニー・クリエイティブプロダクツにより提供されており、また、2017年のキャラクター関連商品の小売市場において、『スヌーピー』に関連した商品が3位を獲得する等、当該キャラクター及びその名称である『スヌーピー』の文字が本願商標の出願時には、すでに幅広い商品・役務の分野における取引者、需要者の間に広く認識されていたというのが相当である。そうすると、その構成中に『スヌーピー』の文字を有してなる本願商標は、その版権を管理するピーナッツ・ワールドワイド・エルエルシー又は同社とライセンス契約を結んだ関係者が、前記のとおり様々な商品や役務において使用する著名な『スヌーピー』の標章と類似するものというのが相当である。また、前記のとおり、『スヌーピー』に関連した商品や役務が幅広い分野において販売、提供されていることに加え、当該キャラクターに関連した電子書籍や心理分析等をテーマとする書籍等が販売等されていることからすれば、本願商標に係る指定役務との間において、一定程度の関連性が認められるものであり、取引者及び需要者を共通にする場合も少なくないものといえる。以上を踏まえ、本願商標の指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すると、本願商標を、この商標登録出願に係る指定役務に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、著名なキャラクターである『スヌーピー』を連想、想起して、当該役務が当該キャラクターの版権を管理するピーナッツ・ワールド・エルエルシー又は同社と組織的又は経済的に何らかの関係のある者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)「スヌーピー」の文字の周知性について 原査定は、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当する理由として、ビーグル犬のキャラクターとして知られた「スヌーピー」が登場する、米国の漫画家チャールズ・M・シュルツ氏原作による漫画「ピーナッツ」の版権を管理するピーナッツ・ワールドワイド・エルエルシー又は同社とライセンス契約を結んだ株式会社ソニー・クリエイティブプロダクツが、様々なグッズやサービスに使用しているとする「スヌーピー」の文字からなる商標(以下「引用商標」という。)を引用している。 しかしながら、当審における職権による調査及び原審において提出された刊行物等提出書によれば、引用商標は、米国の漫画家チャールズ・M・シュルツ氏による漫画「ピーナッツ」に登場するビーグル犬のキャラクターの名称として知られており、2016年に「スヌーピーミュージアム」と称する美術館が開館し、名古屋や銀座において「スヌーピーミュージアム展」、「スヌーピー in 銀座 2018(2019)」の名称でイベントが開催され、「日本のスヌーピー公式サイト」とされるウェブサイトが開設されていることが認められるものの、上記の美術館やイベント等は、その入場者数などの具体的な規模等が不明であり、ウェブサイトも具体的な閲覧数が不明である。 また、引用商標の使用期間や引用商標が使用された商品及び役務についても判然とせず、引用商標の使用状況が明確であるとはいえないものであるから、その周知性の程度を推し量ることができない。 さらに、引用商標が、原審説示のように上記漫画の版権を管理するピーナッツ・ワールドワイド・エルエルシー又は同社とライセンス契約を結んだ株式会社ソニー・クリエイティブプロダクツの業務に係る商品又は役務を表示するものとして、本願商標の登録出願時及び査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めるに足る事実を発見することができず、加えて、上記会社が本願の指定役務の分野に進出する蓋然性、可能性も見いだせなかった。 そうすると、引用商標は、米国の漫画家チャールズ・M・シュルツ氏原作による漫画「ピーナッツ」に登場するビーグル犬のキャラクターの名称として知られているとしても、特定の者の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。 (2)本願商標と引用商標との類似性の程度について 本願商標は、「スヌーピー心理学」の文字からなるところ、その構成中の「スヌーピー」の文字と「心理学」の文字とは片仮名と漢字という文字種の相違があることから、両語を結合したものと容易に認識されるものであり、「心理学」の文字は、「人の心の働き、もしくは人や動物の行動を研究する学問。」の意味を有する語(株式会社岩波書店「広辞苑第7版」)であって、本願の指定役務との関係において、自他役務の識別力が比較的弱い語であるといえるものである。 そうすると、本願商標は、その構成中の「スヌーピー」の文字が自他役務の識別標識としての機能を果たし得る要部として認識され、当該文字部分をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。 してみれば、本願商標の要部と引用商標とは、その構成文字を共通にするものであり、外観において同一又は類似するものであって、ともに「スヌーピー」の称呼を生じるものであるから、本願商標と引用商標とは、その類似性の程度は高いものといえる。 (3)本願の指定役務と引用商標の使用に係る商品及び役務の関連性の程度、取引者及び需要者の共通性について 本願の指定役務は、上記1のとおり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,個人に対する知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」及び第44類「健康管理に関する指導及び助言」であるのに対し、引用商標の使用に係る商品及び役務は、上記(1)のとおり、その使用状況が判然としないものであるから、両者における商品及び役務の関連性の程度や取引者及び需要者の共通性について比較することができない。 (4)商標法第4条第1項第15号該当性について 上記(1)ないし(3)のとおり、本願商標と引用商標とは類似性の程度は高いといえるものの、本願の指定役務と引用商標の使用に係る商品及び役務の関連性の程度、取引者及び需要者の共通性については比較することができず、引用商標は、米国の漫画家チャールズ・M・シュルツ氏原作による漫画「ピーナッツ」に登場するビーグル犬のキャラクターの名称として知られているとしても、当該キャラクターが登場する漫画「ピーナッツ」の版権を管理するピーナッツ・ワールドワイド・エルエルシー又は同社とライセンス契約を結んだ株式会社ソニー・クリエイティブプロダクツの業務に係る商品又は役務を表示するものとして、広く認識されているということはできず、また、上記会社が本願の指定役務の分野に進出する蓋然性、可能性も見いだせない。 そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者が、ビーグル犬のキャラクターが登場する漫画「ピーナッツ」の版権を管理するピーナッツ・ワールドワイド・エルエルシー又は同社とライセンス契約を結んだ株式会社ソニー・クリエイティブプロダクツを連想、想起することはなく、その役務が同社又は同社と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれがあるということはできない。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (5)まとめ 以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2020-07-08 |
出願番号 | 商願2018-101837(T2018-101837) |
審決分類 |
T
1
8・
271-
WY
(W4144)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 押阪 彩音、阿部 達広、竹之内 正隆、中尾 真由美 |
特許庁審判長 |
冨澤 美加 |
特許庁審判官 |
木住野 勝也 小田 昌子 |
商標の称呼 | スヌーピーシンリガク、スヌーピー |
代理人 | 原田 貴史 |