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審決分類 |
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W33 審判 査定不服 観念類似 登録しない W33 審判 査定不服 外観類似 登録しない W33 |
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管理番号 | 1364161 |
審判番号 | 不服2019-7730 |
総通号数 | 248 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2020-08-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-06-11 |
確定日 | 2020-07-01 |
事件の表示 | 商願2017-120951拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第33類「『メスカル』という原産地名称によって保護されているスピリッツ」を指定商品として,2017年(平成29年)3月13日にグアテマラにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,同年9月12日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由(要旨) 原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録第5966207号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成28年10月11日に登録出願,第32類「ビール及びアルコール分を含まない飲料」及び第33類「ぶどう酒及びアルコール飲料」を指定商品として,同29年7月28日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。 3 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本願商標について 本願商標は,別掲1のとおり,四辺が焦げたように黒っぽく表された黄土色の縦長長方形の中央に,放射状の白色の図形を配し,そのやや上部に,「ILEGAL」の欧文字と「MEZCAL」の欧文字(以下,合わせて「両文字部分」という。)及び,その両文字部分の間に,「十字架」と思しき図形(以下「十字架図形」という。)を配し,縦長長方形の下部に,人の名のサインと思しき筆記体で表した欧文字(以下「筆記体文字部分」という。)を書してなるものである。 そして,本願商標の構成中,「ILEGAL」の文字は「不法の,違法の」等の意味を有するスペイン語(「現代スペイン語辞典」株式会社白水社発行)ではあるものの,我が国において,スペイン語は親しまれた外国語とはいえないことから,直ちにそのスペイン語で表された該文字の表す意味を理解するとまでいえないものであって,一種の造語として認識されるものである。また,「MEZCAL」の文字は,「メスカル酒」等の意味を有する英語(「ランダムハウス英和大辞典 第2版」株式会社小学館発行)である。 また,上部に表された両文字部分及び十字架図形と,下部に表れた筆記体文字部分とは,視覚上分離して看取されるのみならず,両文字部分と筆記体文字部分とは書体が異なること,両者の間に観念上のつながりもない。 さらに,両文字部分においては,「ILEGAL」と「MEZCAL」との間に十字架図形が配されていることから,視覚上分離して看取される場合があるばかりか,「MEZCAL」の文字が,本願商標の指定商品との関係では,商品の普通名称を表すものであり,商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないことから,「ILEGAL」の文字部分が出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえる。 以上からすると,本願商標は,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとは認められず,本願商標から「ILEGAL」の文字部分を要部として抽出し,該文字部分のみを引用商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。 なお,「ILEGAL」の文字部分は,上記のとおり,特定の語義を認識させることのない一種の造語として認識されるものであるところ,特定の語義を有しない欧文字からなる商標については,我が国において広く親しまれているローマ字風又は英語風の発音をもって称呼されるのが一般的といえる。 したがって,本願商標は,その要部たり得る「ILEGAL」の文字部分に相応して,「イレガル」の称呼をも生じ,特定の観念は生じないものである。 イ 引用商標について 引用商標は,別掲2のとおり,黒色の正方形の中央に,デザイン化された「ILEGAL」の文字を白抜きで円弧状に湾曲させて表してなるところ,上記アと同様に,該文字からは,「イレガル」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。 ウ 本願商標と引用商標との類否について 本願商標の要部である「ILEGAL」の文字部分と引用商標とを比較すると,外観においては,引用商標は,ややデザイン化された文字ではあって書体が異なるものの,「ILEGAL」の文字つづりが同一であるから,両者は,外観上,近似するものである。 次に,称呼においては,本願商標の要部と引用商標は,共に「イレガル」の称呼を生じるものであるから,称呼上,両者は同一である。 さらに,観念においては,本願商標の要部及び引用商標は,共に特定の観念を生じないものであるから,両者は観念において比較することはできない。 そうすると,本願商標と引用商標とは,本願商標の要部として看取される「ILEGAL」の文字部分と,引用商標において,観念において比較することはできないとしても,外観上,近似した印象を与えるものであって,かつ,その称呼を同一にするものであるから,その外観及び称呼によって,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合すれば,両商標は,商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。 エ 本願商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について 本願商標の指定商品である「『メスカル』という原産地名称によって保護されているスピリッツ」は,引用商標の指定商品である第32類「ビール及びアルコール分を含まない飲料」及び第33類「ぶどう酒及びアルコール飲料」と同一又は類似の商品である。 オ 小括 上記アないしエのとおり,本願商標と引用商標は,互いに相紛れるおそれのある類似の商標であり,かつ,本願商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である。 したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は,「本願商標は,全体として瓶等に付すラベルとして表されたものであって,本願指定商品の瓶等にラベルとして付され,流通するものであるところ,酒類の需要者・取引者はそのラベルを見ることで商品の出所を識別するのであるから,ラベル全体が商品の出所表示機能を発揮し得るものである。したがって,本願商標に接する取引者,需要者に対して,『ILEGAL』の欧文字部分のみが,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとはいえず,取引者,需要者は,本願商標全体をもって本願商標を識別するというべきである。」旨主張している。 しかしながら,酒類の需要者・取引者が,酒瓶に貼付されたラベルが商品の出所を識別する際の重要な要素であるとしても,本願商標の構成中「ILEGAL」の文字部分が取引者,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとの上記(1)アの判断を覆すに足る事情があるとは認められない。 イ 請求人は,過去の審決例を挙げて,本願商標も同様に取り扱われるべきである旨主張している。 しかしながら,これらの審決例は,本願商標とは,図形要素の有無や構成文字の違いなど,その構成及び態様等が異なり,事案を異にするものであり,かつ,具体的事案の判断においては,過去の審決例や登録例に拘束されることなく判断されるべきであるから,これらの事例の存在が上記の判断を左右するものではない。 ウ したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 本願商標(色彩は,原本参照。) ![]() 別掲2 引用商標 ![]() |
審理終結日 | 2020-01-30 |
結審通知日 | 2020-02-04 |
審決日 | 2020-02-18 |
出願番号 | 商願2017-120951(T2017-120951) |
審決分類 |
T
1
8・
262-
Z
(W33)
T 1 8・ 261- Z (W33) T 1 8・ 263- Z (W33) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 保坂 金彦、小林 正和 |
特許庁審判長 |
金子 尚人 |
特許庁審判官 |
須田 亮一 平澤 芳行 |
商標の称呼 | イレガルメスカル、イリーガルメスカル、イレガル、イリーガル、メスカル |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | 松尾 和子 |
代理人 | ▲吉▼田 和彦 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 藤倉 大作 |
代理人 | 井滝 裕敬 |
代理人 | 石戸 孝 |