• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W0916
管理番号 1364095 
審判番号 不服2019-5500 
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-04-24 
確定日 2020-06-15 
事件の表示 商願2017-107952拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第9類及び第16類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として,平成29年8月18日に登録出願,その後,本願の指定商品については,原審における同30年7月18日付け手続補正書により,第9類及び第16類に属する別掲2のとおりの商品に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は「本願商標は,その指定商品との関係において,ラベルプリンター用のテープカートリッジの形状を表したものと理解されるものであるところ,本願商標をその指定商品に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,単に商品の形状,商品の一部の形状又は商品の容器の形状を表示したものとして認識するにとどまるものであり,本願商標は,商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものというべきであるから,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権により証拠調べをした結果,別掲3の事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,その結果を請求人に通知し(令和元年12月26日付け証拠調べ通知書),相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)
請求人は,上記3の証拠調べ通知に対して,以下のとおり意見を述べた。
(1)本願商標の形状は,一般的な「ラベル作成機用テープカートリッジ」(以下単に「テープカートリッジ」という。)の形状を普通に用いられる方法で表示したものには相当しないから,これを線図で書き表した本願商標も,テープカートリッジの形状を「普通に用いられる方法で表示する標章」には該当しない。
(2)仮に本願商標から請求人製品の形状を想起できたとしても,本願商標は,請求人製品ほかテープカートリッジの形状をそっくりそのまま描写しているのではなく,デフォルメされた特徴的な表現を採用していることに加え,テープカートリッジをあえて左に45度程度傾けた見せ方で特定するなど,誰もが一般的に採択せざるを得ない手法以外の方法により表現されているので,それ自体で自他商品識別力を欠くことにはならない。
(3)以上のとおり,本願商標は,自他商品識別力を有する商標であり,請求人が商標登録しても何ら問題はない。

5 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は,別掲1のとおり,高さが一片の約3分の1程度の偏平な直方体を平置きし,これを平面視した場合の右辺下側に凸部が残るよう上半部をかまぼこ形に切り取り,切り取った後の当該直方体を平置きしたまま左に45度回転させ,これを上部後方から斜視した様子に通じる黒い太線で概外形を著した図形(以下「概外形図形」という。)を主としてなり,さらに,当該概外形図形の中には,左上方に斜めに延出している上記かまぼこ形状部の右上方から左下方に向けて横断するような2本の細線が表され,さらに,当該2本の細線は当該かまぼこ形状部の左端において直下方向に屈曲した後に1本の細線と直交し,これらの線により長形と短形2つの菱形図形(以下それぞれを「長形菱形図形」「短形菱形図形」という。)を形成し,当該短形菱形図形からは,左上方向及び右下方向に向かって,当該概外形図形の下側形状に沿うような細線が延び,短形菱形図形の右下には,当該概外形図形の左下部から左下方に向かって突出するように第三の菱形が描かれ,当該第三の菱形の右上方向には,大きさの異なる大小2つの小楕円(以下「小楕円」という。)を有し,当該2つの小楕円に挟まれる位置には,内部に3本の線からなる図柄の描かれた平行四辺形が描かれている図形よりなるものである。
(2)本願商標の指定商品について
本願商標の指定商品は,別掲2のとおりであって,第16類「事務用ラベル作成機用テープカートリッジ,事務用ラベル作成機用マスキングテープカートリッジ,事務用ラベル作成機用リボンテープカートリッジ,事務用ラベル作成機用転写テープカートリッジ,事務用ラベル作成機用マグネットテープカートリッジ,事務用ラベル作成機用熱収縮チューブカートリッジ,事務用ラベル作成機用の布製アイロンラベルのテープカートリッジ,ラベル作成用の電動式又は非電動式タイプライター用テープカートリッジ,ラベル作成用の電動式又は非電動式タイプライター用マスキングテープカートリッジ,ラベル作成用の電動式又は非電動式タイプライター用リボンテープカートリッジ,ラベル作成用の電動式又は非電動式タイプライター用転写テープカートリッジ,ラベル作成用の電動式又は非電動式タイプライター用マグネットテープカートリッジ,ラベル作成用の電動式又は非電動式タイプライター用熱収縮チューブカートリッジ,ラベル作成用の電動式又は非電動式タイプライター用の布製アイロンラベルのテープカートリッジ,手持ち式ラベルプリンター用テープカートリッジ(事務用品),手持ち式ラベルプリンター用マスキングテープカートリッジ(事務用品),手持ち式ラベルプリンター用リボンテープカートリッジ(事務用品),手持ち式ラベルプリンター用転写テープカートリッジ(事務用品),手持ち式ラベルプリンター用マグネットテープカートリッジ(事務用品),手持ち式ラベルプリンター用熱収縮チューブカートリッジ(事務用品),手持ち式ラベルプリンター用の布製アイロンラベルのテープカートリッジ(事務用品),電子計算機用ラベルプリンター用テープカートリッジ,電子計算機用ラベルプリンター用マスキングテープカートリッジ,電子計算機用ラベルプリンター用リボンテープカートリッジ,電子計算機用ラベルプリンター用転写テープカートリッジ,電子計算機用ラベルプリンター用マグネットテープカートリッジ,電子計算機用ラベルプリンター用熱収縮チューブカートリッジ,電子計算機用ラベルプリンター用の布製アイロンラベルのテープカートリッジ,ラベルプリンター用テープカートリッジ,ラベルプリンター用マスキングテープカートリッジ,ラベルプリンター用リボンテープカートリッジ,ラベルプリンター用転写テープカートリッジ,ラベルプリンター用マグネットテープカートリッジ,ラベルプリンター用熱収縮チューブカートリッジ,ラベルプリンター用の布製アイロンラベルのテープカートリッジ」(以下,これらをまとめて「テープカートリッジ等商品」という。)を含むものである。
(3)商標法第3条第1項第3号該当性について
商品の包装には,一般的に,その商品の形状等を表す図形等が付されて取引されているところ,テープカートリッジ等商品においても商品の包装箱に,その商品の形状を線図で表した図形を付して販売している実情が認められる(別掲3)。
そして,本願商標についても,請求人の業務に係る「テプラPROテープカートリッジ」旨の包装箱に表示されていることが認められるところ(別掲3(7)),本願商標とその形状の特徴を共通にする図形が他人の取扱いに係る「ラベル作成用テープカートリッジ テプラPRO用」旨の商品や「テプラPRO互換」旨の商品の包装箱に付されており,これらの商品(テープカートリッジ)においては,包装箱に付されている図形と商品の形状の特徴が共通している(別掲3(1)?(3))ことからすると,本願商標に係る図形も,請求人の業務に係るテープカートリッジ等商品の形状を表したものと認識するというのが相当である。
また,上記のとおり,一般的に,商品の包装にその商品の形状等を表す図形等が付されて取引されており,テープカートリッジ等商品においても,商品の包装箱にその商品の形状を線図で表した図形を付して販売している実情からすると,本願商標は,その指定商品中「テープカートリッジ等商品」との関係では,これに接する需要者及び取引者は,単に商品の形状を表したものと認識するというのが相当であって,自他商品の識別標識として印象に残るようなものではない。
そうすると,本願商標は,これをその指定商品中,テープカートリッジ等商品に使用するときは,単に商品の形状を普通に用いられる範ちゅうの方法で表示するものであると認められるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(4)請求人の主張について
ア 請求人は「本願商標の形状は,一般的なテープカートリッジの形状を普通に用いられる方法で表示したものには相当しないから,これを線図で書き表した本願商標も,テープカートリッジの形状を『普通に用いられる方法で表示する標章』には該当しない。」旨主張する。
しかしながら,上記(3)のとおり,本願商標の形状はテープカートリッジ等商品の形状と認められるところ,一般に,商品等の形状は,多くの場合,商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり,商品等の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって,商品の出所を表示し,自他商品を識別する標識として用いられるものは少ないものである。
また,同種の商品等について,機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば,当該形状が特徴を有していたとしても,商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状として,商標法第3条第1項第3号に該当すると解するべきであるから,仮に本願商標の形状が一般的なテープカートリッジの形状でないとしても,当該形状自体が商品の出所を表示し,自他商品を識別する標識として用いられるものとはいえない。
そして,上記(3)のとおり,テープカートリッジ等商品においては,商品の形状を線図で表した図形を付して販売している実情が認められることから,商品の形状を線図で表すことは,普通に用いられる範ちゅうの方法である。
そうすると,本願商標は,その形状が一般的なテープカートリッジの形状ではないとしても,商品の形状を普通に用いられる範ちゅうの方法で表したものであるとするのが相当である。
イ 請求人は,「本願商標は,テープカートリッジの形状をそっくりそのまま描写しているのではなく,デフォルメされた特徴的な表現を採用していることに加え,テープカートリッジを敢えて左に45度程度傾けた見せ方で特定するなど,誰もが一般的に採択せざるを得ない手法以外の方法により表現されているので,テープカートリッジの形状を『普通に用いられる方法で表示する標章』には該当せず自他商品識別力を欠くことにはならない。」旨主張する。
しかしながら,上記(3)のとおり,テープカートリッジ等商品においては,商品の包装箱に,その商品の形状を線図で表した図形を付して販売している実情が認められ,商品を斜視した図形も見受けられる。
そして,これらの図形が必ずしも商品の形状をそのまま描写しているものではないとしても,これらの包装に接する需要者及び取引者は,包装されている商品の形状を表したものと認識するものであるから,本願商標も同様に商品の形状を表示したものと認識するというのが相当である。
ウ したがって,請求人の主張は,いずれも採用できない。
(5)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲
別掲1(本願商標)


別掲2(本願商標の指定商品)
第9類「電子計算機用ラベルプリンター」
第16類「事務用ラベル作成機,事務用ラベル作成機用テープカートリッジ,事務用ラベル作成機用マスキングテープカートリッジ,事務用ラベル作成機用リボンテープカートリッジ,事務用ラベル作成機用転写テープカートリッジ,事務用ラベル作成機用マグネットテープカートリッジ,事務用ラベル作成機用熱収縮チューブカートリッジ,事務用ラベル作成機用の布製アイロンラベルのテープカートリッジ,事務用ラベル作成機用インクリボン,ラベル作成用タイプライター(電動式又は非電動式),ラベル作成用の電動式又は非電動式タイプライター用テープカートリッジ,ラベル作成用の電動式又は非電動式タイプライター用マスキングテープカートリッジ,ラベル作成用の電動式又は非電動式タイプライター用リボンテープカートリッジ,ラベル作成用の電動式又は非電動式タイプライター用転写テープカートリッジ,ラベル作成用の電動式又は非電動式タイプライター用マグネットテープカートリッジ,ラベル作成用の電動式又は非電動式タイプライター用熱収縮チューブカートリッジ,ラベル作成用の電動式又は非電動式タイプライター用の布製アイロンラベルのテープカートリッジ,ラベル作成用の電動式又は非電動式タイプライター用インクリボン,手持ち式ラベルプリンター(事務用品),手持ち式ラベルプリンター用テープカートリッジ(事務用品),手持ち式ラベルプリンター用マスキングテープカートリッジ(事務用品),手持ち式ラベルプリンター用リボンテープカートリッジ(事務用品),手持ち式ラベルプリンター用転写テープカートリッジ(事務用品),手持ち式ラベルプリンター用マグネットテープカートリッジ(事務用品),手持ち式ラベルプリンター用熱収縮チューブカートリッジ(事務用品),手持ち式ラベルプリンター用の布製アイロンラベルのテープカートリッジ(事務用品),手持ち式ラベルプリンター用インクリボン(事務用品),電子計算機用ラベルプリンター用テープカートリッジ,電子計算機用ラベルプリンター用マスキングテープカートリッジ,電子計算機用ラベルプリンター用リボンテープカートリッジ,電子計算機用ラベルプリンター用転写テープカートリッジ,電子計算機用ラベルプリンター用マグネットテープカートリッジ,電子計算機用ラベルプリンター用熱収縮チューブカートリッジ,電子計算機用ラベルプリンター用の布製アイロンラベルのテープカートリッジ,電子計算機用ラベルプリンター用インクリボン,ラベルプリンター,ラベルプリンター用テープカートリッジ,ラベルプリンター用マスキングテープカートリッジ,ラベルプリンター用リボンテープカートリッジ,ラベルプリンター用転写テープカートリッジ,ラベルプリンター用マグネットテープカートリッジ,ラベルプリンター用熱収縮チューブカートリッジ,ラベルプリンター用の布製アイロンラベルのテープカートリッジ,ラベルプリンター用インクリボン,インクリボン」

別掲3(証拠調べ通知書において通知した事項)
本願商標の指定商品中,テープカートリッジ等商品との関係において,テープカートリッジ等の形状を表したと思われる図形が商品の形状を表示するものとして,商品の包装に使用されている例(色彩は,それぞれのウェブページを参照。)。
(1)「オーム電機ダイレクト」のウェブサイトにおいて「テプラPRO用 互換ラベル テープカートリッジ 12mm 白テープ 黒インク_TC-K12S 01-3803」の見出しの下,テープカートリッジの形状を表したと思われる図形が表示された商品の包装と商品の写真が掲載されている。

(http://www.ohm-direct.com/shopdetail/000000021567/)
(2)「Amazon.co.jpのウェブサイト」において「Mylabel キングジム 互換テープカートリッジ テプラPRO 24mm NTS24K 白地黒文字 長さ8M [SS24K 互換品]」の見出しの下,テープカートリッジの形状を表したと思われる図形が表示された商品の包装と商品の写真が掲載されている。

(https://www.amazon.co.jp/dp/B07483VNL2)
(3)「Amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて「キングジム用 テプラ PRO 互換 テープカートリッジ 強粘着 12mm 5個セット (白テープ/黒文字)」の見出しの下,テープカートリッジの形状を表したと思われる図形が表示された商品の包装と商品の写真が掲載されている。

(https://www.amazon.co.jp/dp/B07B3NVM1D)
(4)「Amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて「ブラザー TZE-231 互換品 ピータッチ テープ tze231 12mm 白地黒文字 4pack Brother ptouch tape ラベルライター用」の見出しの下,テープカートリッジの形状を表したと思われる図形が表示された商品の包装と商品の写真が掲載されている。

(https://www.amazon.co.jp/TZE-231-tze231-Brother-ptouch-%E3%83%A9%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%BC%E7%94%A8/dp/B07NJ1KC8H/ref=sr_1_16?m=A2123B8IX92UXH&qid=1568344324&s=merchant-items&sr=1-16)
(5)「Joshin webショップ」のウェブサイトにおいて「ブラザーP-Touch用・DKプレカットラベル 食品表示用/検体ラベル 白/黒文字 52×29mmDK-1226」の見出しの下,テープカートリッジの形状を表したと思われる図形が表示された商品の包装と商品の写真が掲載されている。

(https://joshinweb.jp/supply/15118/4977766667517.html)
(6)「ヤフオク」のウェブサイトにおいて「Canon キャノン SC-70 タイプライター コレクタブル リボンカセット Correctable Filmリボンカートリッジ インクリボン タイプライター」の見出しの下,リボンカートリッジの形状を表したと思われる図形が表示された商品の包装の写真が掲載されている。

(https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/x654766743)
(7)「Rakutenラクマ」のウェブサイトにおいて「【セット販売】テプラテープ (黄)」の見出しの下,テープカートリッジの形状を表したと思われる図形が表示された商品の包装の写真が掲載されている。

(https://item.fril.jp/536e21a0b902a2e1e888a78def78c974)


審理終結日 2020-04-02 
結審通知日 2020-04-03 
審決日 2020-04-22 
出願番号 商願2017-107952(T2017-107952) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W0916)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 裕子 
特許庁審判長 薩摩 純一
特許庁審判官 大森 友子
浜岸 愛
代理人 古井 かや子 
代理人 香原 修也 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ