ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 観念類似 登録しない W29 審判 査定不服 外観類似 登録しない W29 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W29 |
---|---|
管理番号 | 1363282 |
審判番号 | 不服2019-11411 |
総通号数 | 247 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2020-07-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-08-30 |
確定日 | 2020-06-12 |
事件の表示 | 商願2018-71688拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願商標 本願商標は、「七福ししゃも」の文字を横書きしてなり、第29類「ししゃも」を指定商品として、平成30年5月30日に登録出願されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由(要旨) 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第2426986号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成元年5月22日登録出願、第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同4年6月30日に設定登録、その後、同16年2月18日に指定商品を第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く),肉製品,加工水産物(かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのりを除く),かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,加工野菜及び加工果実,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,卵」、第30類「すし,べんとう,サンドイッチ,殻物の加工品,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー」及び第31類「食用魚介類(生きているものに限る),海藻類,果実,野菜(茶の葉を除く)」とする指定商品の書換登録がされ、同24年9月25日に第29類についてのみ存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。 第3 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)商標の類否について 複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについては、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められないときには、その構成部分の一部を抽出し、当該部分だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許される場合があり、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許される(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決参照)。 以下、上記判決に沿って、本願商標と引用商標の類否について検討し、判断する。 (2)本願商標と引用商標との類否について ア 本願商標 本願商標は、上記第1のとおり、「七福ししゃも」の文字を横書きしてなるところ、その構成中、「七福」の文字部分は、辞書等に掲載されている既成語ではないものの、その構成文字から「七つの福」ほどの意味合いを理解させ、また、「ししゃも」の文字部分は、「キュウリウオ科の海産の硬骨魚」(「広辞苑 第六版」岩波書店)の意味を有する語であって、魚の名称の一として、広く一般に使用されている事実があるとしても、本願商標全体として何らかの意味合いを看取させないことからすれば、本願商標は、「七福」の文字と「ししゃも」の文字とを組み合わせた結合商標として容易に理解されるといえる。 そして、本願商標の構成中、「ししゃも」の文字部分は、本願の指定商品「ししゃも」との関係において、商品の普通名称、又は品質(内容)を表すものと理解されて、自他商品を識別する機能は極めて低いものといえる一方、上記のような「七つの福」ほどの意味合いを理解させる「七福」の文字部分は、本願の指定商品との関係において、特段、商品の品質等を表示するものではなく、自他商品を識別する機能を十分に果たすものであるから、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというべきである。 そうすると、本願商標の「七福」の文字部分と「ししゃも」の文字部分とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとは認められず、本願商標から「七福」の文字部分を要部として抽出し、当該部分だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるというべきである。 したがって、本願商標は、その構成全体から生じる「シチフクシシャモ」の称呼を生じるほか、その構成中の「七福」の文字部分に相応して、「シチフク」の称呼を生じ、「七つの福」ほどの意味合いを理解させるものである。 イ 引用商標 引用商標は、別掲のとおり、「七福」の文字を筆文字風に横書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「シチフク」の称呼及び上記アと同様に「七つの福」ほどの意味合いを理解させるものである。 ウ 本願商標と引用商標との類否判断 本願商標の要部である「七福」の文字部分と引用商標とを比較すると、両者は、ともに「七福」の文字から構成され、「シチフク」の称呼を共通にし、また、両者は特定の観念は生じないものの、ともに「七つの福」ほどの意味合いを理解させ、観念において近似した印象を与えるものであるから、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛らわしく、互いに類似するものである。 してみれば、本願商標の要部である「七福」の文字部分と引用商標とは、類似するものであるから、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶及び連想等を総合して、全体的に考察すれば、相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。 (3)本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否について 本願の指定商品である第29類「ししゃも」は、引用商標の指定商品中、第29類「食用魚介類(生きているものを除く)」と同一又は類似の商品である。 (4)小括 以上のとおり、本願商標と引用商標とは類似する商標であり、その指定商品も同一又は類似の商品であるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 請求人の主張について (1)請求人は、本願商標は特定した意味を把握することのできない一種の造語からなる、請求人が独自に創案した商標であり、「七福ししゃも」の語は、第29類の指定商品を表示する語として、普通に使用されている事実はない旨主張する。 しかしながら、本願商標と引用商標とは、相紛れるおそれのある類似の商標であり、商標法第4条第1項第11号に該当することは上記1のとおりであるから、本願商標「七福ししゃも」の語が、請求人により独自に創案された造語であって、一般に使用されている事実がないとしても、このことが、上記判断に影響を及ぼすものではない。 よって、請求人の上記主張は、採用することができない。 (2)請求人は、商標の構成中に「ししゃも」や「豚」等の各文字を含む結合商標が、それ以外の文字等と併存して登録されている例を挙げ、本願商標も登録されるべきである旨主張する。 しかしながら、商標の類否の判断は、登録出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断されるものであり、また、請求人が挙げる登録例は、商標の構成態様又はその指定商品等において本願とは事案を異にするものであるから、それらの登録例をもって、上記判断が左右されるものではない。 よって、請求人の上記主張は、採用することができない。 3 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 (引用商標) |
審理終結日 | 2020-03-30 |
結審通知日 | 2020-03-31 |
審決日 | 2020-04-27 |
出願番号 | 商願2018-71688(T2018-71688) |
審決分類 |
T
1
8・
263-
Z
(W29)
T 1 8・ 262- Z (W29) T 1 8・ 261- Z (W29) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 上山 達也、椎名 実、馬場 秀敏 |
特許庁審判長 |
岩崎 安子 |
特許庁審判官 |
有水 玲子 平澤 芳行 |
商標の称呼 | シチフクシシャモ、シチフク |
代理人 | 山本 龍郎 |
代理人 | 山本 彰司 |
代理人 | 清水 定信 |