• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W093541
管理番号 1362575 
異議申立番号 異議2019-900310 
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-06-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-10-25 
確定日 2020-06-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第6167564号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6167564号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6167564号商標(以下「本件商標」という。)は、「サウンドスケープ」の片仮名と「Soundscape」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、平成30年7月4日に登録出願、第9類「電子応用機械器具及びその部品,レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」,第35類「広告業,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,職業のあっせん,文書又は磁気テープのファイリング,予約の確認(事務処理),予約のスケジューリング(事務処理),コンピュータデータベースへの情報編集,消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供,顧客ロイヤリティプログラムの管理,販売促進のための企画及び実行の代理,マイレージプログラムの管理,販売を目的とした、各種通信媒体による商品の紹介」,第39類「鉄道による輸送,車両による輸送,船舶による輸送,航空機による輸送,自動車の貸与,自転車の貸与,企画旅行の実施,旅行者の案内,旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く。)の代理・媒介又は取次ぎ」,第41類「電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),娯楽施設の提供,通訳,翻訳」及び第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,布団の貸与,まくらの貸与,毛布の貸与」を指定商品及び指定役務として、令和元年6月12日に登録査定,同年8月2日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
(1)登録異議申立に係る指定商品及び指定役務
第9類「レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」、第35類「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,コンピュータデータベースへの情報編集,消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供,販売促進のための企画及び実行の代理」及び第41類「電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),通訳,翻訳」(以下「本件申立商品及び役務」という。)
(2)申立の理由
本件商標を構成する「サウンドスケープ」及び「Soundscape」の文字は、「音の風景」を意味する語であり、「音環境」とも説明される意味を有する語であるから、これをその指定商品・役務中、「音」に関連する商品・役務に使用する場合には、単にこれが「音環境を内容・対象とする商品・役務」であることを表示するにとどまり、自他商品・役務識別機能を発揮することができないものである。
したがって、本件商標は、本件申立商品及び役務について、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第68号証を提出した。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 本件商標は、上記1のとおり、「サウンドスケープ」の片仮名と「Soundscape」の欧文字を上下二段に横書きしてなるものである。
イ 申立人提出の甲各号証及び同人の主張並びに職権調査によれば、「サウンドスケープ」及び「Soundscape」の文字は、一般的な辞書において、例えば、「サウンドスケープ[soundscape](landscapeをもじった造語)自然音・人工音を制御して作り出した音の環境。音景観。」(甲1)、「作曲家M.シェーファーが提唱する概念で、『音の風景』を意味する造語。」(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)、「〔カナダの作曲家マリー=シェーファーの造語〕目に見えるランドスケープ(景観)に対し、ある地域固有の音や創造された音によって演出される音の環境。音環境」(大辞林 第三版)、「音風景。カナダの作曲家マリー・シェーファーR.Murray Schafer(1993-)が提唱した概念。」(日本大百科全書(ニッポニカ))などの意味を有する語であることが認められる。
また、書籍及び雑誌(甲2?甲22)、新聞記事情報(甲23?甲27)、大学の講義等(甲28?甲41)において、「サウンドスケープ」及び「Soundscape」の文字が、音の風景や音の環境に関する概念を指称するものとして用いられていることが認められる。
しかしながら、「サウンドスケープ」及び「Soundscape」の文字が、上記のとおり、音の風景や音の環境に関する概念を意味するものであるとしても、提出された証拠から、本件申立商品及び役務を取り扱う業界において、当該文字が、本件申立商品の品質及び役務の質等を表示するものとして一般的に用いられている事実、並びに特定の音、特定の音の風景等の意味合いを想起、認識させるというべき事情は見いだせない。
そして、当審において職権をもって調査するも、本件申立商品及び役務を取り扱う業界において、「サウンドスケープ」及び「Soundscape」の文字が、本件申立商品の具体的な品質及び役務の具体的な質等を表示するものとして、取引上一般に採択、使用されている事実を発見することができず、さらに、本件商標に接する取引者、需要者が、当該文字を本件申立商品の品質及び役務の質等を表示したものと認識するというべき事情も発見できなかった。
ウ そうすると、「サウンドスケープ」及び「Soundscape」の文字からなる本件商標は、これを本件申立商品及び役務に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、特定の意味合いを想起、認識させることのないものであり、本件申立商品の品質及び役務の質等を具体的に表示するものでなく、自他商品・役務識別標識としての機能を果たし得るものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
(2)申立人の主張について
申立人は,「商標『サウンドスケープ』は、『日本サウンドスケープ協会』及びその構成員の業務に係る商品・役務を表示するものとして需要者・取引者の間に広く認識されるに至っているといえる(甲43?甲68)ものであるから、『サウンドスケープ』の語は、商標法第3条第2項の規定により同協会及びその構成員を商標権者として商標登録されるべきものであり、『サウンドスケープ』の語よりなる本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同第15号の規定に違反するものとしても、その登録を取り消されるべきものである」旨主張している。
しかしながら、1999年から2019年にかけて、年に一回程度の頻度で発行されている申立人発行の協会誌「サウンドスケープ」の目次において、「サウンドスケープ」に関する論文やレポートの項目の記載(甲44?甲63)が確認できるものの、当該協会誌の発行回数は、19回にすぎず、さほど多いものとはいえない。また、申立人のウェブサイトにおいて、「協会誌 『サウンドスケープ』 バックナンバーのご案内」の見出しの下、「価格」の項に「会員価格」及び「非会員価格」の記載がある(甲43)ことから、当該協会誌が会員のみならず、非会員にも販売されていることが推認できるものの、当該協会誌の発行部数や販売数等は不明であるから、これらの証拠をもって、「サウンドスケープ」の文字に接する需要者が、これを申立人の業務に係る商品又は役務を表示する商標として認識しているとはいい難く、他に、「サウンドスケープ」の語が、需要者の間に広く認識されていると認めるに足りる具体的な事実を示す証拠の提出はない。
なお、申立人は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号の該当性について述べるところがあるが、「サウンドスケープ」の語は、上記のとおり、申立人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものとは認めることができないものであり、商品又は役務について出所の混同を生ずるおそれもないというべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号のいずれにも該当しないというべきである。
したがって、申立人の主張は、いずれも採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、本件申立商品及び役務について、商標法第3条第1項第3号に該当するものではなく、その登録は同項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
異議決定日 2020-05-21 
出願番号 商願2018-87120(T2018-87120) 
審決分類 T 1 652・ 13- Y (W093541)
最終処分 維持  
前審関与審査官 竹之内 正隆 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 山田 正樹
小田 昌子
登録日 2019-08-02 
登録番号 商標登録第6167564号(T6167564) 
権利者 株式会社木楽舎
商標の称呼 サウンドスケープ、サウンド、スケープ 
代理人 特許業務法人共生国際特許事務所 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ