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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
管理番号 1362570 
異議申立番号 異議2019-900291 
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-06-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-10-09 
確定日 2020-05-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第6164247号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6164247号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6164247号商標(以下「本件商標」という。)は、「ZORA」の欧文字を標準文字で表してなり、平成30年7月20日に登録出願、第18類「かばん類,袋物,ポーチ,財布」を指定商品として、令和元年7月4日に登録査定、同月19日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録商標(以下、まとめていうときは「引用商標」という。)は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第3331264号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:ZARA
登録出願日:平成7年1月26日
設定登録日:平成9年7月11日
指定商品:第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具」
(2)登録第4258240号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「ザラ」及び「ZARA」を2段書き
登録出願日:平成9年7月11日
設定登録日:平成11年4月2日
指定商品:第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘」
(3)登録第5215666号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:ZARA(標準文字)
登録出願日:平成19年7月2日
設定登録日:平成21年3月19日
指定役務:「かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」のほか第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証を提出した。
(1)「ZARA」の周知・著名性について
申立人のカジュアルウェアブランド「ZARA」は、1975年にスペインにて1号店がオープンして以来(甲7)、現在では世界で約2,100店舗が展開されており、2019年1月期の世界全体の売上高は、180億2,100万ユーロに達するに至っている(甲8)。日本においても1997年に日本法人が設立され、翌年に1号店を渋谷に開店した後、現時点で国内に約100の店舗が存在する(甲9)。
このような「ZARA」の世界展開や商業的成功、及びそれに伴うブランド認知度の向上により、ブランド価値評価ランキングにおいて、ここ数年をとってみても上位にランクされており、世界で最も成功しているファッションブランドの一つとして認識されている(甲10)。また、その取扱商品には、被服のほか、かばん類、袋物等が含まれる(甲11?15)。
したがって、「ZARA」は、本件商標の登録出願時点には、ファッション分野において我が国の需要者、取引者の間で広く認識されており、強い顧客吸引力を持つ周知又は著名な商標といえる(甲16)。
(2)商標第4条第1項第11号について
本件商標は、「ZORA」の文字よりなるところ、当該語は、辞書等に掲載されていない造語であることから、英語風又はローマ字風の読みにしたがって「ゾラ」の称呼が生じる。
一方、引用商標は、上記2のとおりであって、本件商標と引用商標を対比すると、中間に位置する「O」及び「A」の文字において相違するにすぎず、外観において類似する。
また、本件商標から生じる「ゾラ」の称呼と引用商標から生じる「ザラ」の称呼とは、その相違する「ゾ」と「ザ」は、同行音であって、その母音「オ」及び「ア」も近似音であるため、全体の語調及び語感が類似する。
さらに、申立人の「ZARA」が周知・著名であり、かつ、商品「被服」と「かばん類等」の関連性が強いことを考えれば、本件商標がその指定商品に使用された場合には、周知・著名なブランド「ZARA」を想起・連想するため、互いに観念上の類似性も認められる。
したがって、本件商標と引用商標は互いに類似する商標であり、また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品又は役務は、同一又は類似のものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記(1)のとおり、引用商標は、被服の分野において、周知・著名性を獲得するに至っていることは明らかであり、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標は、類似し、また、引用商標は独創性の高い商標であり、さらに、被服とかばん類等は強い関連性を有することから、本件商標は申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある。
(4)商標法第4条第1項第19号について
引用商標が外国及び我が国の需要者、取引者の間で周知、著名な商標であること、さらに、本件商標が引用商標と類似すること上述のとおりである。
申立人とは無関係の他人である本件商標権者が周知・著名な商標と類似する本件商標を採択することは、自らの営業努力によって得るべき業務上の信用を、著名商標に化体した信用にただ乗りすることによって得ようとするものであり、不正の目的が認められる。
また、本件商標の使用は、引用商標に化体した出所表示機能の稀釈化を招くものであり、また、その名声を毀損させるものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の主張及びその提出した証拠によれば、以下のとおりである。
申立人は、スペインのアパレルメーカーであり、1975年に同国においてカジュアルウェアブランド「ZARA」の1号店を開店し、その後、ヨーロッパ、アメリカ、アジアと世界各国に進出している(甲7)。そして、「ZARA」ブランド単独で、2013年4月末時点で87か国に1,991店舗、2019年1月期末には、2,131店舗を展開し、「被服」を販売するこれらの店舗には、「ZARA」の文字が表示されている(甲7、8)。また、1997年には、日本法人である株式会社ザラ・ジャパンが設立され、1998年に第1号店舗として渋谷店が開店(甲7)、2019年12月時点において、日本における「ZARA」ブランドの店舗は、各地に100店舗が存在する(甲9)。加えて、「ZARA」ブランドでは、被服のほか、かばん類、袋物等についても、取り扱っている(甲11?15)。
そして、「ZARA HOME」を含む「ZARA」ブランドの2019年1月期の世界全体の売上高は180億2,100万ユーロ(約2兆2,346億400万円)に達し(甲8)、米Interbrand社が公表するブランド価値評価ランキングにおいて、「ZARA」は、2017年度版24位、2018年度版25位、2019年度版29位にランクされている(甲10)。
イ 以上からすれば、引用商標2に含まれ、又は引用商標1及び3を構成する「ZARA」の文字は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国において申立人の業務に係る商品「被服」を表すものとして、相当程度知られていたといえる。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標は、上記1のとおり、「ZORA」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該構成文字に相応して「ゾラ」の称呼を生じるもので、該文字からは具体的な意味合いを認識させるものとはいい難いから、特定の観念を生じないものである。
一方、引用商標については、上記2のとおり、引用商標1及び3は「ZARA」の欧文字、引用商標2は「ザラ」の片仮名及び「ZARA」の欧文字を2段に書してなるものであるところ、いずれも、それぞれの構成文字に相応して「ザラ」の称呼が生じるもので、各文字からは具体的な意味合いを認識させるものとはいい難いから、特定の観念を生じるとはいえない。
そこで、本件商標と引用商標とを比較すると、両者は、ともに有する欧文字4文字について、前から2番目の「O」と「A」の文字において相違しているところ、少ない文字数にあって、相違する該文字の影響は大きく、また、引用商標2は片仮名も含むから、外観において区別できるものである。
次に、称呼においては、本件商標から「ゾラ」の称呼を生じるのに対し、引用商標からは「ザラ」の称呼を生じ、両者の称呼は、ともに2音の短い称呼において、比較的強く発音される語頭の「ゾ」と「ザ」の音に差異を有するものであるから、称呼上、明確に聴別できるものである。
そして、観念においては、本件商標及び引用商標からは、特定の観念が生じないから、両者は、観念において比較することができない。
そうすると、両商標は、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標とみるのが相当である。
イ 引用商標の指定商品又は指定役務中には、本件商標の指定商品と同一若しくは類似の商品又は類似の役務が含まれている。
ウ 小括
以上のとおり、本件商標の指定商品と同一若しくは類似の商品又は類似の役務が引用商標の指定商品又は指定役務に含まれるとしても、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標とみるのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(1)のとおり、「ZARA」の文字(以下「申立人商標」という。)は、申立人の業務に係る商品「被服」を表示するものとして需要者の間に相当程度知られていたと認められるとしても、上記(2)アと同様の理由から、本件商標は、申立人商標と相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当であって、別異の商標というべきである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして申立人商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
上記(1)のとおり、申立人商標は、申立人の業務に係る商品「被服」を表示するものとして需要者の間に相当程度知られていたと認められるとしても、上記(2)アと同様の理由から、本件商標は、申立人商標と相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
また、本件商標が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる具体的証拠も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

異議決定日 2020-05-12 
出願番号 商願2018-93341(T2018-93341) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W18)
T 1 651・ 262- Y (W18)
T 1 651・ 261- Y (W18)
T 1 651・ 271- Y (W18)
T 1 651・ 222- Y (W18)
最終処分 維持  
前審関与審査官 白鳥 幹周 
特許庁審判長 中束 としえ
特許庁審判官 板谷 玲子
木村 一弘
登録日 2019-07-19 
登録番号 商標登録第6164247号(T6164247) 
権利者 株式会社クレスト
商標の称呼 ゾラ 
代理人 福井 孝雄 
代理人 特許業務法人BORDERS IP 
代理人 小暮 君平 

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