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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
管理番号 1362555 
異議申立番号 異議2018-900276 
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-06-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-09-21 
確定日 2020-05-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第6061926号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6061926号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6061926号商標(以下「本件商標」という。)は、「さわやか さくらいずみ 純麦」の文字を標準文字で表してなり、平成29年2月17日に登録出願、第33類「焼酎,リキュール,日本国内産米を原料とし、日本国内で製造された清酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同30年6月1日に登録査定、同年7月13日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第474200号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、昭和29年12月27日に登録出願、第38類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同30年12月13日に設定登録され、その後、平成18年8月30日に、指定商品を第5類「薬用酒」及び第33類「日本酒,薬味酒(にんじんきなてつぶどう酒を除く。)」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第4499677号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成12年6月13日に登録出願、第32類「ビール,ビール風味の麦芽発泡酒」及び第33類「洋酒,果実酒」を指定商品として、同13年8月17日に設定登録されたものである。
(3)登録第517783号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、昭和32年5月18日に登録出願、第38類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同33年3月31日に設定登録され、その後、平成20年4月16日に、指定商品を第33類「みりん,しょうちゅう」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(4)登録5896383号商標(以下「引用商標4」という。)は、「純麦」の文字を縦書きしてなり、平成26年10月23日に登録出願、第33類「仕込みに全て麦を使用した焼酎,仕込みに全て麦を使用した濁酒,仕込みに全て麦を使用した発泡性焼酎,仕込みに全て麦を使用した発泡性濁酒,麦焼酎を使用した酎ハイ,仕込みに全て麦を使用した中国酒,麦焼酎を使用した梅酒」を指定商品として、同28年11月11日に設定登録されたものである。
以下、これらをまとめて「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第7号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第56号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、引用商標1及び引用商標2と「サワヤカ(爽やか)」の称呼及び観念、引用商標3と「サクライズミ」の称呼、引用商標4と「ジュンムギ」の称呼と「純麦」の構成文字を共通にする類似の商標であり、本件商標と引用商標は、その指定商品も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第7号について
本件商標の商標権者は、登録・出願した商標と乖離した態様での使用行為や、他人の商標権を侵害する蓋然性の高い行為又は混同を生じさせる行為を常態化させており、これまでの本件商標関連の出願・登録の経緯や、商標権者の企業姿勢に鑑みると、本件商標の出願は、不正使用の意図をもってなされたものであり、出願の経緯や目的に社会的妥当性を欠くといえ、本件商標を登録することは、商標法の予定する秩序に反するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「さわやか さくらいずみ 純麦」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「さわやか」、「さくらいずみ」及び「純麦」の各文字の間に1文字程度の間隔が設けられているものの、同書、同大で表されており、その構成全体が視覚的にまとまりのある一体的なものとして看取、把握されるものといえる。
また、本件商標全体から生じる「サワヤカサクライズミジュンムギ」の称呼は、やや冗長ではあるものの、無理なく一連に称呼し得るものである。
さらに、本件商標は、構成全体として、特定の意味合いを理解、認識させることのない一種の造語からなるものと理解されるものである。
そして、本件商標は、「さわやか」「さくらいずみ」及び「純麦」の各文字の構成において、いずれかの文字が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとはいい難いものである。
したがって、本件商標は、構成全体を一体のものとしてのみとらえ、その構成文字に相応して「サワヤカサクライズミジュンムギ」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標1は、別掲1のとおり、「爽」の漢字と「さわやか」の平仮名とを二列に縦書きしてなり、引用商標2は、別掲2のとおり、「さわやか」の平仮名と「爽」の漢字とを上下二段に書してなるところ、引用商標1及び引用商標2の構成中、「爽」の文字は、「さわやか、すがすがしい」(株式会社三省堂 大辞林第三版)の意味を有する語として、一般に慣れ親しまれているものであるから、その右横又は上部に位置する「さわやか」の文字は、当該文字の意味に即してその読みを表したものと容易に理解されるものといえるから、引用商標1及び引用商標2は、その構成文字に相応して「サワヤカ」の称呼を生じ、「さわやか、すがすがしい」の観念を生じるものである。
引用商標3は、別掲3のとおり、四隅をくぼませた縦長の長方形内に「櫻泉」の漢字を筆文字風に縦書きしてなるところ、当該長方形からは、特定の称呼及び観念は生じないものであり、その構成中、「櫻泉」の文字は、辞書類に載録されている語ではなく、特定の意味合いを表す語として知られているものでもないから、引用商標3は、その構成文字に相応して、「サクライズミ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
引用商標4は、「純麦」の文字を縦書きしてなるところ、「純麦」の文字は、辞書類に載録されている語ではないものの、「純」の文字は、「他のものが少しもまじらないこと。」(株式会社岩波書店 広辞苑第七版)の意味を有する親しまれた語であることから、引用商標4は、その構成文字に相応して、「ジュンムギ」の称呼を生じ、「他のものが少しもまじらない麦」程の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標との類否について検討すると、外観については、商標全体の比較において、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、「爽」の漢字、「さくらいずみ」及び「純麦」の文字の有無、引用商標3とは、「さわやか」及び「純麦」の文字の有無、「さくらいずみ」と「櫻泉」の文字種の相違、引用商標4とは、「さわやか」及び「さくらいずみ」の文字の有無という顕著な差異を有するものであるから、本件商標と引用商標は、外観上、判然と区別し得るものである。
次に、称呼については、本件商標から生じる「サワヤカサクライズミジュンムギ」の称呼と、引用商標1及び引用商標2から生じる「サワヤカ」の称呼、引用商標3から生じる「サクライズミ」の称呼、引用商標4から生じる「ジュンムギ」の称呼とは、その構成音数、構成音の差異により、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。
そして、観念については、本件商標と引用商標1、引用商標2及び引用商標4とは、本件商標が特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標1及び引用商標2は「さわやか、すがすがしい」の観念を生じるものであり、引用商標4は、「他のものが少しもまじらない麦」程の観念を生じるものであるから、本件商標と引用商標1、引用商標2及び引用商標4とは、観念上、紛れるおそれはない。また、本件商標と引用商標3とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。
エ 小括
上記アないしウによれば、本件商標と引用商標1、引用商標2及び引用商標4とは、外観、称呼及び観念のいずれによっても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。また、本件商標と引用商標3とは、観念において比較できないものであるとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないこと明らかなものであるから、両商標が需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、本件商標と引用商標3は、非類似の商標というべきである。
オ まとめ
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、「本件商標の商標権者は、登録・出願した商標と乖離した態様での使用行為や、他人の商標権を侵害する蓋然性の高い行為又は混同を生じさせる行為を常態化させており、これまでの本件商標関連の出願・登録の経緯や商標権者の企業姿勢に鑑みると、本件商標の出願は、不正使用の意図をもってなされたものであり、出願の経緯や目的に社会的妥当性を欠くといえ、本件商標を登録することは、商標法の予定する秩序に反するものである」旨主張している。
しかしながら、申立人が主張する商標権者の登録・出願した商標と乖離した態様での使用行為があったとしても、他人の商標権を侵害する蓋然性の高い行為又は混同を生じさせる行為を裏付ける証拠は見いだせないから、それをもって、不正の目的(不正の利益を得る目的又は他人に損害を与える目的)があると認めるには足りないことは明らかである。
そして、申立人が提出した証拠からは、本件商標の登録出願の経緯等に社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に当たるということもできない。
さらに、本件商標をその指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するということもできず、他の法律によってその使用が禁止されているものでもなく、本件商標の構成自体が、非道徳的、卑わい、差別的、きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるような構成態様でもない。
その他、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足りる証拠もない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第11号のいずれにも該当するものではなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲1
(引用商標1)


別掲2
(引用商標2)


別掲3
(引用商標3)



異議決定日 2020-05-11 
出願番号 商願2017-18897(T2017-18897) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W33)
T 1 651・ 262- Y (W33)
T 1 651・ 22- Y (W33)
T 1 651・ 263- Y (W33)
最終処分 維持  
前審関与審査官 駒井 芳子 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 平澤 芳行
小田 昌子
登録日 2018-07-13 
登録番号 商標登録第6061926号(T6061926) 
権利者 井上酒造株式会社
商標の称呼 サワヤカサクライズミジュンムギ、サワヤカサクライズミジュンバク、サワヤカサクライズミ、サワヤカ、サクライズミ、ジュンムギ、ジュンバク 
代理人 特許業務法人みのり特許事務所 
代理人 小木 智彦 

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