ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y33 |
---|---|
管理番号 | 1362507 |
審判番号 | 取消2018-300490 |
総通号数 | 246 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2020-06-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2018-06-27 |
確定日 | 2020-05-08 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4753351号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4753351号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4753351号商標(以下「本件商標」という。)は、「CONO」の欧文字を標準文字で表してなり、平成15年7月15日に登録出願、第33類「ぶどう酒,スパークリングワイン,その他の果実酒,洋酒」を指定商品として、同16年3月5日に設定登録されたものである。 そして、本件審判請求の登録は、平成30年7月11日にされたものであり、この登録前3年以内の期間(平成27年7月11日?平成30年7月10日)を以下「本件要証期間」という。 第2 請求人の主張の要点 請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。 1 請求の要旨 本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。 2 請求人の弁駁 請求人は、被請求人提出の平成30年11月5日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対し、同年12月28日付け審判事件弁駁書で次のように述べた。 本件商標と別掲に示す「Cono Sur」(以下「使用商標」という。)とは、以下の理由により、社会通念上同一と認められる商標にも該当するものではない。 使用商標は「Cono」と「Sur」の各欧文字を、半角スペースを介してはいるものの、同書・同大・等間隔、かつ、一連一体に書しているため、これに接する取引者、需要者は、使用商標を外観上まとまりよく一体的に認識、把握するのが自然であり、その構成より生ずる「コノスル」の称呼も、格別冗長とはいえないことから、一気一連に淀みなく称呼し得るものである。そのため、本件商標は、構成上一体不可分の商標として認識、把握されるべきものである。 そうすると、使用商標に接する取引者、需要者は、使用商標全体より「Cono Sur」の文字を一体的に認識、把握するのが通例であり、使用商標より「Sur」の文字部分のみを捨象しなければならない特段の理由はない。 第3 被請求人の主張の要点 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第11号証(以下「乙1」のように表示する。)を提出した。 1 答弁書による主張の要旨 (1)本件商標の使用者 本件商標は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者によって使用されている(乙1?乙11)。 (2)使用商標 使用商標「Cono Sur」を構成する単語のうち、「Cono」の文字が商標の要部として把握され得るものであり、「Cono」単体でも出所識別標識として機能し得るものであるから、被請求人の使用商標と本件商標とは、社会通念上同一のものである(乙1?乙11)。 (3)使用に係る商品 本件商標は、本件商標の指定商品中の「ぶどう酒」について使用されている。 (4)使用時期 本件商標は、本件審判請求の予告登録日(平成30年7月9日(審決注:「平成30年7月11日」の誤記と思料。)前3年以内に日本国内において、「ぶどう酒」について使用されている。 (5)使用の態様 被請求人の輸入販売元である株式会社スマイルがぶどう酒のカタログに被請求人のぶどう酒を掲載する行為は、本件商標と社会通念上同一の商標を付した商品に関する価格表を頒布する行為に該当し、株式会社スマイルが雑誌に被請求人のぶどう酒の広告を掲載する行為は、本件商標と社会通念上同一の商標を付した商品に関する広告を頒布する行為(商標法第2条第3項第8号)に該当する(乙1、乙3?乙5)。 また、被請求人が株式会社スマイル宛に発行したインボイスの上部に本件商標を使用する行為は、本件商標と社会通念上同一の商標を付した商品又は商品の包装に標章を付したものを輸入する行為(商標法第2条第3項第2号)に該当する(乙2)。 (6)まとめ 以上のとおり、本件商標は、本件要証期間に、日本国内においてその指定商品中、「ぶどう酒」について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者によって使用されていたことは明らかである。 2 回答書による主張の要旨 (1)当審における審尋 審判長は、被請求人に対し、令和元年8月29日付けで、被請求人が答弁書で提出した乙1ないし乙11によっては、使用商標「Cono Sur」と本件商標「CONO」は、本件商標と同一の商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)とは認められない、また、被請求人と被請求人のぶどう酒の日本における輸入販売元であるとされる「株式会社スマイル」との関係が明らかでない旨の合議体の暫定的見解を示し、期間を指定して、これに対する意見を求めた。 (2)被請求人の主張の要旨 世界のぶどう酒産業に関するリサーチ会社であるWine Intelligence社が発行する2018年の日本のぶどう酒産業に関する報告書における各種ランキングに入っているぶどう酒の銘柄をみても分かるように、我が国の需要者から一定の認知度を獲得しているぶどう酒の中で、「Cono」で始まる銘柄は被請求人のぶどう酒のみである(乙6)から、ぶどう酒に「Cono」といえば、需要者・取引者をして直ちに被請求人又は被請求人のぶどう酒の銘柄を想起せしめる程度にまで周知であり、「Cono」の文字は、独立して商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。 また、「Cono」で始まる被請求人名称及び銘柄が周知・著名であり、「Cono」といえば、需要者・取引者は直ちに被請求人である「ビーニャ コノ スール エセ.アー.」を想起し、ラベルの「Cono」の文字が商標の要部として把握され、これのみで出所識別標識として機能していることが確認できる(乙7?乙11)。 以上より、被請求人の使用商標と本件商標とは、社会通念上同一のものであるといえる。 第4 当審の判断 1 被請求人の提出した乙1ないし乙11の証拠から以下の事実が認められる。 (1)乙1の表紙に「SMILE CORP.2018年秋冬版」と記載された商品カタログによれば、複数の「Cono Sur(コノスル)」と称する「ぶどう酒」(以下「使用商品」という。)の写真、説明、価格等が記載され、裏表紙に「株式会社スマイル 酒類事業本部」との記載があることから、株式会社スマイルが、「Cono Sur(コノスル)」と称するぶどう酒を紹介していることがうかがえる。 ただし、当該商品カタログの発行日、発行数、頒布先等は明らかではない。 (2)乙2の2017年1月26日、同年3月23日、同年10月12日及び同年12月28日、2018年1月11日、同年6月15日及び7月21日の日付けのインボイスの写しによれば、「TYPE OF WINE」の項にぶどう酒の銘柄と思しき記載があり、当該インボイスの上部に、あて先として「SMILE CORP.」の表示及び住所の記載があり、被請求人の名称と共に使用商標の記載があることから、少なくとも、本件要証期間の2017年(平成29年)1月26日から2018年(平成30年)6月15日にかけて株式会社スマイルが被請求人のぶどう酒を輸入していたものと推認できる。 (3)乙3の表紙に「WINE-WHAT!? 2016 NOVEMBER」と記載された雑誌、乙4の表紙に「WINE-WHAT!? 2017 JANUARY」と記載された雑誌、乙5の表紙に「Winart Winter 2017」と記載された雑誌には、それぞれに使用商標が表示された使用商品の広告が掲載されており、これらには、「輸入販売元 株式会社スマイル」の記載があることから、株式会社スマイルが、本件要証期間の2016年(平成28年)から2017年(平成29年)にかけて、使用商標が表示された使用商品の広告を行っていたことが確認できる。 また、「Cono Sur」の文字を付したぶどう酒の商品説明として、片仮名「コノスル」の文字が表示されており、当該商品の商品説明として、例えば「コノスルはなぜ自転車なの?」「・・・自然のサイクルを基本としたコノスルの葡萄づくりを表すシンボルだからです。」と紹介されているが、「Cono」の文字が単独で使用商品に使用されていることは確認できない。 なお、被請求人が株式会社スマイルに対して本件商標の使用の許諾をしているなど、被請求人と株式会社スマイルとの関係は明らかでない。 (4)乙6の表紙に「JAPAN LANDSCAPES August 2018 Report」と記載された報告書によれば、「Cono Sur」という銘柄のぶどう酒が、日本市場におけるぶどう酒のブランド力ランキング、ぶどう酒の特定のブランドを知る者が3か月以内に同ブランドのぶどう酒を購入したと回答した割合を示すランキング、ぶどう酒の特定のブランドを知る者のうち、同ブランドのぶどう酒を購入しようと考えると回答した割合を示すランキング、同ブランドのぶどう酒が自分に適していると回答した割合を示すランキング、同ブランドのぶどう酒を友人にすすめると回答した割合を示すランキングにおいてそれぞれ位置づけられていることから、2018年の時点で「Cono Sur」という銘柄のぶどう酒が、日本市場において、流通していることが推認できる。 (5)乙7の「SAKURA JAPAN WOMAN’S WINE AWARDS 2017」と記載された資料、乙8の表紙に「おとなの週末 November 2016」と記載された雑誌及び乙9の表紙に「WINE WHAT!? 2016年 May」と記載された雑誌、乙10のぶどう酒が展示されている店内の写真によれば、使用商標が表示された使用商品及び看板等の写真が掲載されており、また、乙8?乙10には、当該商品の説明として、片仮名「コノスル」の文字が使用されている。 2 上記1によれば、当審の判断は、以下のとおりである。 (1)使用者について 株式会社スマイルが、被請求人のぶどう酒を輸入していたことが推認でき、また、使用商標が表示された使用商品の広告を行っていたことは確認できるものの、被請求人と同人との関係が明らかでなく、同人が、本件商標の使用権者であることを認めることができない。 (2)使用商標について 乙3ないし乙5、乙8、乙9の雑誌、乙7の資料、乙10の写真において、使用商品に別掲のとおりの使用商標「Cono Sur」の文字が使用されている。 また、使用商標を表示したぶどう酒の商品説明には、片仮名「コノスル」の文字が使用されていることが確認できる。 ただし、「Cono」の文字が単独で使用商品に使用されていることは確認できない。 (3)本件商標「CONO」と使用商標「Cono Sur」の社会通念上の同一性について 本件商標は、上記第1のとおり、「CONO」の欧文字を標準文字で表してなるものである。 これに対し、使用商標「Cono Sur」は別掲に示した態様である。 そして、その構成中、「Cono」の文字と「Sur」の文字との間にわずかにスペースがあるものの、筆記体風の書体により外観上まとまりよく一体的に表されているうえに、「Sur」の文字部分が商品との関係において、普通名称又は品質を表示したものとは認められず、当該文字が、自他商品の識別標識としての機能を果たさないとみるべき事情も見いだせない。 また、被請求人の提出に係る証拠からは、「Cono Sur」から「Cono」のみを抽出し、これらのみで自他商品の識別標識として使用していることも確認できない。 さらに、上記(2)のとおり、使用商標を表示したぶどう酒の商品説明には、片仮名「コノスル」の文字が使用されていることが確認できる。 そうすると、使用商標は、その全体をもって一体のものとして看取、把握され、使用されているというべきであり、これより生じる「コノスル」の称呼も一連に称呼し得るものである。 。 なお、被請求人は、ぶどう酒に「Cono」といえば、需要者・取引者をして直ちに被請求人又は被請求人のぶどう酒の銘柄を想起せしめる程度にまで周知であり、ラベルの「Cono」の文字が商標の要部として把握され、これのみで出所識別標識として機能している旨主張している。 しかしながら、提出された証拠から「Cono」が周知であるとはいい難いことからすれば、「Cono」の文字のみで、商品の識別標識としての機能を果たし得るとはいえない。 そうすると、本件商標「CONO」と使用商標「Cono Sur」とは、少なくとも称呼が異なること明らかであるから、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生じる商標」とはいえず、社会通念上同一の商標とは認められない。 (4)小括 以上のとおり、株式会社スマイルが、本件要証期間に使用商標を表示した使用商品の広告をしたことは認められるが、本件商標と使用商標とは社会通念上同一の商標とは認められず、加えて、株式会社スマイルが本件商標の使用権者であることを認めることもできない。 3 むすび 以上のとおり、被請求人が提出した全証拠によっては、被請求人は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を本件要証期間に、商標法第2条第3項各号に規定する使用行為を行ったことを証明していない。 また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 使用商標 ![]() |
審理終結日 | 2019-12-06 |
結審通知日 | 2019-12-10 |
審決日 | 2019-12-25 |
出願番号 | 商願2003-59161(T2003-59161) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(Y33)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 鈴木 斎 |
特許庁審判長 |
岩崎 安子 |
特許庁審判官 |
小田 昌子 中束 としえ |
登録日 | 2004-03-05 |
登録番号 | 商標登録第4753351号(T4753351) |
商標の称呼 | コノ |
代理人 | 杉村 光嗣 |
代理人 | 杉村 憲司 |
代理人 | 橘 哲男 |
代理人 | 西尾 隆弘 |
代理人 | 佐藤 大輔 |
代理人 | 中山 健一 |
代理人 | 門田 尚也 |