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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W05
管理番号 1362499 
審判番号 不服2019-5769 
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-04-28 
確定日 2020-05-07 
事件の表示 商願2018- 30830拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は,「年齢とともに低下する」の文字を標準文字で表してなり,第5類「薬剤,医療用試験紙,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,尿吸収用パッド,おりものシート,脱脂綿,綿棒,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,医療用接着テープ,おむつ,おむつカバー,失禁用パンツ,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。)」を指定商品として,平成30年3月15日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は,本願商標全体からは「加齢に伴って程度・度合いがさがる」程の意味合いが認識されるところ,加齢に伴い低下する代謝機能,免疫機能,嚥下機能等の様々な機能を補うための商品が製造・販売されており,また本願指定商品を取り扱う業界においても,「年齢とともに低下する○○」(○○には機能や働きの名称)の語が使用されている実情を踏まえると,加齢に伴って低下する何らかの機能を補うための商品であることを理解させるにとどまることから,本願商標は,これをその指定商品に使用しても,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるため,商標法第3条第1項第6号に該当する旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知及びそれに対する意見
1 当審において,本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて職権で証拠調べをした結果,別掲1?2に示すとおりの事実を発見したので,審判長は,請求人に対して,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき令和2年1月15日付け証拠調べ通知書を通知し,期間を指定して,これに対する意見を求めた。
2 上記1の証拠調べ通知に対し,請求人は,令和2年2月25日付け意見書を提出し,要旨以下のとおり意見を述べた。
(1)本願商標は,「年齢とともに低下する」の文字を単独で表示し,かつ,自他商品識別機能を発揮するような態様で指定商品について使用することを意図したものであるが,職権証拠調べ通知書は,「年齢とともに低下する」の文字を単独で使用し,かつ,自他商品識別標識として機能していないような事例を挙げていない。商品を複数の文章で説明する記事において,他の文字を連ねる形で「年齢とともに低下する」の文字が使用されることがあるという事実のみをもって,本願商標が自他商品の識別標識として機能しないということにはならない。
(2)年を経るにつれてさがるのは,代謝機能や免疫機能,嚥下機能ばかりではないから,本願商標からは「何が低下するのか」を全く認識することができないし,更には,「何がさがるのか」,「どのようにさがるのか」,「どの程度さがるのか」,「いつからさがるのか」等の情報を読み取ることはできないので,本願商標は,商品の品質その他の特性を直感的に想起させることはない。
(3)指定商品との関係において,年を経ても美しさを保つことができることを取引者・需要者に訴えかけるような登録商標として,登録第6062646号商標「年齢は美しさの一部になる。」及び同第6062649号商標「年齢を、美しさに変えるひと。」(いずれも,第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料」)がある。

第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は,「年齢とともに低下する」の文字を標準文字で表したものであるところ,これは,「年齢」の文字が「人が生まれてから現在までの経過期間を年または年月日によって数えたもの。」,「ともに」の文字が「ひとつになって。いっしょに。相連れて。同じく。」,「低下」の文字が「ひくくなること。程度・度合などがさがること。」をそれぞれ意味するいずれも親しまれた語(広辞苑第七版)であることからすれば,本願商標全体からは「加齢に伴って程度・度合いがさがる」程の意味合いが認識されるものである。
そして,本願の指定商品の分野において,別掲1のとおり,加齢に伴って低下する何らかの機能を補うなどする商品が製造,販売されている事実が認められ,また,別掲2のとおり,「年齢とともに低下する」の文字が,「年齢とともに低下する○○」(○○は何らかの身体的機能等)のように,加齢とともに低下する身体的機能等を補う商品に使用されている実情がある。
してみれば,本願商標をその指定商品について使用しても,これに接する取引者,需要者は,加齢に伴って低下する何らかの機能を補うための商品であることを認識するにとどまり,本願商標は,指定商品の特性を説明する語によって構成された商標というべきものであるから,自他商品の識別標識としては認識し得ない。
したがって,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というのが相当であるから,商標法第3条第1項第6号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は,本願商標は「年齢とともに低下する」の文字を単独で表示する態様で指定商品について使用することを意図したものであるところ,他の文字を連ねる形で「年齢とともに低下する」の文字が使用されることがあるという事実のみをもって,本願商標が自他商品の識別標識として機能しないということにはならず,また,本件商標からは年を経るにつれて「何が低下するのか」を認識できないし,「何がさがるのか」,「どのようにさがるのか」,「どの程度さがるのか」,「いつからさがるのか」等の情報を読み取ることはできないので,本願商標は,商品の品質その他の特性を直感的に想起させることはない旨主張する。
しかしながら,本願において問題となるのは,「年齢とともに低下する」の文字をその指定商品に使用した場合に,これに接した需要者が,自他商品の識別標識として認識するのか否かということであるから,本願指定商品を取り扱う業界において,上記の文字が,上記1の認定のとおり,加齢とともに低下する身体的機能等を補う商品といった程度の意味合いで,商品の特性を説明するものとして,取引上普通に用いられていると認められる以上,請求人の上記主張は,上記の判断を左右するものではない。
(2)請求人は,商標登録例を挙げて(上記第3の2(3)参照),本願商標も同様に登録されるべき旨主張する。
しかしながら,請求人の挙げる商標登録例は,商標の具体的構成,指定商品等において本願とは事案を異にするものであって,しかも,登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものであるか否かの判断は,当該商標登録出願の査定時又は審決時において,当該商標の構成態様と指定商品の取引の実情等に基づいて,個別具体的に判断されるべきものであるから,請求人の挙げた商標登録例があるからといって,それらが本件における判断を左右するものではない。
3 まとめ
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲
別掲(令和2年1月15日付け証拠調べ通知により開示した事実)
1 加齢に伴って低下する何らかの機能を補うなどする商品が製造,販売されている事実
(1)「日刊工業新聞」(掲載日2016年3月15日)の11ページに,「田辺三菱薬,胃腸・肝臓・胆嚢に効く胃腸薬」の表題のもと,「田辺三菱製薬は1日1錠で胃腸や肝臓,胆嚢に効き目がある第3類医薬品『タナベ胃腸薬ウルソ・・・』を14日発売した。毎日服用することで,脂肪による胃のもたれや消化不良を改善できる。・・・加齢に伴い脂っこい料理が食べられなくなったり食べると胃がもたれたりするのは,肝臓の機能が低下し,脂肪の分解を助ける胆汁酸の分泌が減ることが一因に挙げられる。」との記載がある。
(2)「日経MJ(流通新聞)」(掲載日2019年6月14日)の5ページに,「骨こつケア(アサヒカルピスウェルネス)??コツコツと骨を健康に(ネーミングの理由)」の表題のもと,「アサヒカルピスウェルネスが6月に発売したサプリメント。骨の健康が気になる,加齢とともに低下する骨密度を高めたいとの声に応えた。・・・」との記載がある。
(3)エーザイ株式会社が運営する「エーザイのhhcソリューション事業」と題するウェブページにおいて,「嗅覚識別テスト UPSIT series」の項目ページ(https://hhcs.eisai.jp/products/upsit/)に,「マイクロカプセル化した4種類のにおい成分を台紙に塗布した嗅覚識別テストです。」,「『UPSIT series』は・・・当社が日本における独占的販売権を獲得し,日本市場向けの改良を行ってきました。・・・嗅覚は,視力や聴力と同様に年齢とともに低下することが知られています。年齢による嗅覚の低下は本人や周囲の人が気づきにくいと言われており,本テストを用いて簡易的にチェックすることで嗅覚の状態のめやすを知ることができます。」との記載がある。
(4) レッドハート株式会社が運営するウェブページにおいて,「BARRIER SUPPLE(バリアサプリ)」の項目ページ(https://www.redheart.co.jp/products/sapli/)に,「バリアサプリ・・・に含まれるラクトフェリンが,腸内環境の健康を維持し,EC-12,βグルカン配合の優れた栄養バランスで,幼少期の未熟な免疫力,高齢期の加齢とともに低下する免疫力のサポートが期待できます。*幼犬幼猫やシニア犬・猫の免疫と腸内環境に配慮したサプリメントです。」との記載がある。
(5)「マイレピ」と題するウェブページにおいて,「身体を愛そう!50代からの身体の変化。“筋力低下”との向き合い方」の項目ページ(https://www.myrepi.com/family/retirement/otona-cpn-vol6-whisper)に,「年齢とともに,『筋力』は低下します。」,「筋力低下で起きること 実は・・・50代女性の3人に1人が,『尿モレ』を経験したことがあります。」,「もし『尿モレ』が気になる人は,『アイテム』に頼ってみるのも,ひとつの手!安心を手に入れるだけでその日を思いっきり楽しめるかもしれません。 おりものシートと兼用の「1枚2役タイプ」! ウィスパー1枚2役Wガード」との記載がある。
(6)ジャストシステムが運営する「Just My Shop」と題するウェブページにおいて,「健康失禁パンツボトムシークレット」の項目ページ(https://www.justmyshop.com/camp/btmsecret/)に,「『健康失禁パンツボトムシークレット』は,漏れた尿を特殊パッドで速吸収し消臭効果も発揮する,うす型タイプの失禁対策パンツです。」,「年齢とともに生じる尿漏れ問題を解消」との記載がある。
(7)「楽天市場」のウェブページにおいて,「ちょい尿漏れ安心の女性用軽失禁ショーツ5cc吸水 送料無料2枚セットM/L/LL」を紹介する項目ページ(https://item.rakuten.co.jp/t-colle/a922-2/)に,「年齢とともに,衰える身体,失われていく筋肉,運動しても,体力が続かない。」との記載がある。
(8)株式会社大塚商会が運営する「たのめーる」と題するウェブページにおいて,「花王大人用紙おむつ リリーフ おすすめ商品情報」の項目ページ(https://www.tanomail.com/special/j/bf/product/relief.html)に,「高齢になると,肌の新陳代謝が低下し,肌の水分が減少します。」,「高齢者は・・・肌が常にムレやすいのです。」,「お肌のムレを防ぐためには,通気性のあるおむつを使うことが最も大切です。」との記載がある。

2 本願の指定商品に関連した分野において,「年齢とともに低下する」の文字が,「年齢とともに低下する○○」(○○は何らかの身体的機能等)のように,加齢とともに低下する身体的機能等を補う商品に使用されている事実
(1)「西日本新聞 朝刊」(掲載日2006年4月11日)の8ページに,「◎暮らしのアンテナ=乳汁の力で健康維持」の表題のもと,「・・・森永乳業(東京)は昨年8月,同成分にビフィズス菌やミルクオリゴ糖を加えた錠剤タイプの栄養補助食品「ラクトフェリンプラス」・・・を発売。・・・森永乳業の研究によると,ラクトフェリンには,年齢とともに低下する免疫力を高める機能があり・・・」との記載がある。
(2)「スポーツニッポン」(掲載日2009年12月28日)の19ページに,「[朝チャレ!プレゼント]ディズニー福袋/南天/ダイエットサプリ」の表題のもと,「味の素KK健康基盤食品から,辛くない新種のトウガラシから抽出した天然成分『カプシエイト』のサプリメント「カプシエイト ナチュラ」(60粒,5980円)を3人に。年齢とともに低下する体の燃焼パワーを高めて,引き締め効果が期待できる。」との記載がある。
(3)「日本食糧新聞」(掲載日2010年5月7日)の11ページに,「『パーフェクトスリム α』発売(ファンケル)」の表題のもと,「◆商品特徴=健康補助食品。・・・A=〈α〉L-カルニチンやα-リポ酸に加え,緑茶カテキンを新配合。年齢とともに低下する基礎代謝に着目し,複合成分がためにくい体づくりをサポート。タブレットタイプ。1日の摂取目安量6粒。」との記載がある。
(4)「FOODS CHANNEL」と題するウェブページにおいて,「ダイエットサプリメント『燃体源II』- 2017年2月23日(木)より新発売!」の項目ページ(https://www.foods-ch.com/news/press_336065/)に,「遺伝的,体質的に糖分の代謝が苦手で,内臓脂肪を蓄えやすい日本人の身体と,年齢とともに低下する基礎代謝を考慮して開発。」との記載がある。
(5)第一薬品工業株式会社が運営する「医薬品・健康食品ラインナップ」と題するウェブページにおいて,「第3類医薬品 眼科用薬[1] アイルビーナS」の項目ページ(https://www.d1yk.co.jp/products_lineup/products2/cat1/000035.html)に,「年齢とともに低下する目の調節機能を改善したり,炎症を抑えてかゆみや充血をとり除く成分が配合されています。」との記載がある。


審理終結日 2020-03-05 
結審通知日 2020-03-06 
審決日 2020-03-24 
出願番号 商願2018-30830(T2018-30830) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 緋呂子 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 須藤 康洋
中束 としえ
商標の称呼 ネンレートトモニテーカスル 
代理人 高梨 範夫 

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