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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服20187002 | 審決 | 商標 |
不服201810383 | 審決 | 商標 |
無効2018890073 | 審決 | 商標 |
異議2018900240 | 審決 | 商標 |
不服201810016 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 全部無効 外観類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W03 審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W03 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W03 審判 全部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W03 |
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管理番号 | 1362473 |
審判番号 | 無効2018-890072 |
総通号数 | 246 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2020-06-26 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2018-09-28 |
確定日 | 2020-04-03 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5995224号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5995224号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5995224号商標(以下「本件商標」という。)は、「PolaDay」の欧文字を標準文字により表してなり、平成29年3月31日に登録出願、第3類「歯の漂白用歯磨き」を指定商品として、同年9月29日に登録査定、同年11月10日に設定登録されたものである。 第2 請求人が引用する商標 請求人が、本件商標の登録の無効の理由として引用する商標は、以下の2件であり、いずれも登録商標として現に有効に存続しているものである(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)。 1 登録第1461461号商標(以下「引用商標1」という。)は、「POLA」の欧文字を書してなり、昭和52年4月11日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同56年5月30日に設定登録され、その後、平成14年9月18日に指定商品を第3類「せっけん類,歯みがき,化粧品,香料類」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする書換登録がされたものである。 また、引用商標1は、昭和59年11月20日から平成26年6月13日までの間に多数の区分において防護標章登録され、これらの防護標章登録は、存続期間が満了しているものが一部あるものの、多くのものは平成7年4月27日から同29年5月19日にかけて更新登録されている。 2 登録第1461463号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ポーラ」の片仮名を書してなり、昭和52年4月11日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同56年5月30日に設定登録され、その後、平成14年9月18日に指定商品を第3類「せっけん類,歯みがき,化粧品,香料類」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする書換登録がされたものである。 また、引用商標2は、平成元年9月29日から同26年7月11日までの間に多数の区分において防護標章登録され、これらの防護標章登録は、平成12年1月28日から同25年8月16日にかけて更新登録されている。 第3 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証を提出した。以下、証拠の記載については、甲1のように表記する。 1 請求の理由 本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、商標法第46条第1項第1号により、その登録は無効とされるべきである。 2 具体的な理由 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、甲1に示したとおり「Pola」と「Day」の文字を結合してなるものであり、構成中の前半部「Pola」の文字部分より「ポーラ」の称呼を生ずる。 これに対し、引用商標からは「ポーラ」の称呼を生ずるものであるから、両商標は「ポーラ」の称呼を共通にする類似の商標である。また、本件商標と引用商標は、その指定商品も互いに類似するものである。 (2)商標法第4条第1項第15号について 引用商標は、請求人の商標として広く一般に知られており(甲6ないし甲22)、これと類似する商標について使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。 (3)本件商標と引用商標との類否 ア 両商標の類否 本件商標は、「Pola」と「Day」の欧文字を結合してなるものであり、全体より「ポーラデイ」の称呼を生ずる場合があるとしても、「Pola」及び「Day」の語頭が大文字よりなっていることから、視覚上「Pola」と「Day」の2語より構成されていることは充分認識されるものであり、本件商標の指定商品との関係からは、「Day」は「昼用の商品」を認識させるものであり、過去の審査例においてもその事実が認められ(甲4)、しかも、昼用の歯磨き粉は現実の商品として存在が認められており(甲5)、識別性を有しない部分として認識された場合には「Pola」の文字部分に識別性を有することとなり、これより生ずる「ポーラ」の称呼をも生ずる。 してみれば、「Pola」と「Day」が常に一体のものとして認識され一連に称呼しなければならない特段の事情も存在せず、簡易迅速を尊ぶ取引社会においては称呼上の取引において重要な要素を占める前半部分「Pola」より生ずる「ポーラ」の称呼をも生ずる。 他方、引用商標1は「POLA」の欧文字を横書きしてなり、同じく引用商標2は「ポーラ」の片仮名を横書きしてなるものであり、引用商標からは共に「ポーラ」の称呼を生ずるものである。 してみれば、本件商標と引用商標は、共に「ポーラ」の称呼を共通にする称呼上類似の商標といわざるを得ない。 イ 指定商品について 本件商標の指定商品第3類「歯の漂白用歯磨き」と引用商標の指定商品中「歯みがき」とは、同一又は類似の商品である。 ウ 結論 本件商標と引用商標とは、「ポーラ」の称呼を共通にする称呼上類似の商標であり、その指定商品も同一又は類似するものである。 (4)本件商標と引用商標との出所混同 ア 引用商標の周知著名性について 請求人は、引用商標を指定商品「化粧品」を始めとする商品に現在に至るまで永年にわたって使用するとともに商標「POLA」と「ポーラ」の周知性を高めるため新聞・テレビ・雑誌等において広告宣伝を行い、「ポーラ」といえば請求人の製造・販売に関わる商品「化粧品」に使用して周知著名な商標として取引者、需要者に広く認識されて現在に至っていることは、以下に示す資料(甲6ないし甲17)からも明らかである。 請求人の企業情報/会社概要に関するインターネット情報では、販売拠点全国約4,200店舗、海外6か国、売上業績(2017年12月期)約1,440億1,200万円となっている(甲6)。 また、ポーラブランドは2017年12月期の売上高は約1,440億1,200万円、営業利益は285億8,400万円となっている(甲7)。 請求人のハウスマーク「POLA」を付した商品のブランド一覧は、インターネット情報において公開され、広告宣伝がなされており(甲8)、「POLA」ブランド商品の公式オンラインストアでは多くの需要者に利用されている(甲9)。 甲10は、「POLA CATALOG 2018」で、商標「POLA」使用の本年度の商品カタログの抜粋である。 日本経済新聞(電子版)のコラム記事では、「苦節15年で大ヒット、シワ取り元年ポーラ拓く」において、「POLA」の化粧品について紹介されている(甲11)。 甲12ないし甲17は、それぞれ人気ファッション誌において「POLA」商品の特集記事及び広告が掲載されている。 さらに、特許情報プラットフォーム(J-Plat Pat)の日本国周知・著名商標検索においても引用商標1「POLA」及び引用商標2「ポーラ」が認められ、これらの商標は防護標章として登録されている(甲18、甲19日本国周知著名商標「POLA」「ポーラ」)。 また、「POLA」「ポーラ」が商品「化粧品」に使用して周知・著名であることは昭和61年当時より審査における判断として認められており、その著名性は現在に至っており(甲20ないし甲21)、請求人は商品「歯みがき」について「POLA」を使用している(甲22)。 イ 本件商標は、構成中に商品「化粧品」に使用して周知・著名な「POLA」に類似する「Pola」の文字を含むものであり、「ポーラ」の称呼をも生じ、「ポーラ」の称呼をもって認識される場合も少なくない。 したがって、本件商標の使用は、請求人又は請求人と関係のあるものによる使用であると認識させるものであって、本件商標をその指定商品について使用した場合は共に美白効果を追求する商品であり、また、需要者を共通にする。 取引の実情からみて、請求人の業務に係る商品と出所の混同を生じさせるおそれがあることは明らかである。 (5)むすび 本件商標と引用商標とは「ポーラ」の称呼を共通にする類似の商標であり、また、その指定商品も同一又は類似するものである。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により無効とすべきである。 また、本件商標を本件指定商品に使用した場合、その商品の取引者、需要者は、請求人の業務に係る商品と出所について混同するおそれがある。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により無効とすべきである。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙1及び乙2を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標 本件商標は、その構成態様から、外観上、全体がまとまりある一体的なものとなっており、いずれかの語が強く印象に残る構成にはなっていない。また、本件商標は、女性の名前である「Pola」と昼間を意味する「Day」を一体に結合したものであり、これにより特定の観念が生じるものでもないから、需要者には造語であると認識されるものである。また、本件商標は、決して冗長なものではなく、むしろ簡潔なものであるから、簡易迅速を尊ぶ取引社会においても、「ポーラデイ」と無理なく一連に称呼されるものであることは明らかである。 したがって、本件商標は、その構成全体として一体不可分であり、「ポーラデイ」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。 なお、請求人は、「Day」は「昼用の商品」を認識させるものであると主張する。しかし、上述のとおり、本件商標は、一体不可分に構成された造語であって、特定の観念を生じるものではないから、上記の請求人の主張は失当である。 (2)引用商標 引用商標1及び引用商標2は、「POLA」及び「ポーラ」の文字からなるものであるから、その構成文字に相応して、「ポーラ」の称呼を生じ、この文字は、女性の名前を表す語であるから、「ポーラという女性の名前」の観念を生じるものである。 (3)本件商標と引用商標の外観上の比較 本件商標と引用商標とを比較すると、上記構成からなる本件商標と引用商標とは、その構成文字が異なるものであるから、外観上、明確に区別できるものである。したがって、本件商標と引用商標とは、外観上、非類似である。 (4)本件商標と引用商標の称呼上の比較 称呼については、本件商標から生じる「ポーラデイ」の称呼と引用商標から生じる「ポーラ」の称呼とは、「デイ」の音の有無の差異により、称呼上、明確に聴別できるものである。したがって、本件商標と引用商標とは、称呼上、非類似である。 (5)本件商標と引用商標の観念上の比較 観念については、本件商標は、特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標は、「ポーラという女性の名前」の観念を生じるものであるから、観念上、相紛れるおそれはない。 したがって、本件商標と引用商標とは、観念上、非類似である。 (6)まとめ 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、非類似の商標というべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 2 商標法第4条第1項第15号の該当性について 上記のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標である。 また、本件商標の指定商品「歯の漂白用歯磨き」と請求人の業務に係る「化粧品」とは、商品の生産部門、販売部門、原材料、用途が異なり、両商品の需要者は、一般需要者という点で共通するものの、それ以外の共通点はないから、両商品の関連性の程度は低いというべきである。 さらに、引用商標は、「化粧品」においての周知性を有しているものであるとしても、引用商標が、本件商標の指定商品の分野の需要者にまで、広く知られているとはいえない。 なお、請求人は、商品「歯みがき」についても「POLA」を使用しているという。しかし、請求人の公式オンラインストアによれば、電話で注文ができるのが1品目のみであり、その1品目も店頭やオンラインでは販売されてはおらず(乙2)、一般消費者が極めて入手しいくいことから、このような入手しにくい商品について引用商標を使用していることをもって、引用商標が本件商標の指定商品の分野の需要者に広く知られているとはいえない。 また、引用商標が「化粧品」において周知性を有しているとしても、それは、太いゴシック体の大文字4文字により構成された「POLA」の書体によるものであり、これと書体が明確に異なり、さらに文字の構成態様が異なれば、「化粧品」とは非類似の商品の分野において、一般需要者が請求人と何らかの関係を有する商品であると認識する可能性は極めて低い。 さらに、請求人は、構成中に「Pola」の文字を含むことを理由に、本件商標の使用について、請求人の商品と出所の混同を生じされるおそれがあるとの主張をしている。しかし、そのような主張が通用するならば、被請求人のみならず、ひいては一般の商標選択の自由を不当に制限することになり、そのような主張は、決して容認されるものではない。 そうすると、本件商標に接する需要者をして、その構成中の「Pola」の文字部分にのみ着目し、請求人の引用商標を想起することはないものというべきである。したがって、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者が、引用商標ないし請求人を連想、想起して、該商品が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように認識することはなく、その商品の出所について混同を生じるおそれはないものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 3 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものではなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではない。 よって、本件審判の請求は成り立たない。 第5 当審の判断 1 利害関係 請求人が本件審判を請求することの利害関係の有無については当事者間に争いがなく、また、当審は請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。 2 引用商標の周知性について (1)請求人提出の証拠及び同人の主張によれば、次の事実が認められる。 ア 請求人の企業情報/会社概要に関する2018年(平成30年)6月7日時点でのインターネット情報によれば、請求人は創業1929年(昭和4年)、販売拠点全国約4,200店舗、海外6か国(地域)、売上業績(2017年(平成29年)12月期)約1,440億1,200万円であり、その取扱い分野は、スキンケア、メーク、ボディケア、ヘアケア、フレグランス、メンズ、健康食品、ビューティフード、ビューティライフアイテム、美容サロン取扱いブランド、ホテルアメニティに渡っている(甲6)。 イ 請求人の株主・投資家情報において、ビューティケア事業の「ポーラブランド」の2015年12月期の売上高は約1,093億5,200万円、営業利益は約123億200万円、2016年12月期の売上高は約1,161億2,600万円、営業利益は約169億9,300万円 、2017年12月期の売上高は、約1,440億1,200万円、営業利益は約285億8,400万円である(甲7)。 ウ 請求人の「POLA」を付した商品のブランド一覧は、2018年(平成30年)6月7日時点においてインターネットにおいて公開され、広告宣伝がなされている(甲8)。 エ 2018年(平成30年)6月7日時点において、ポーラ公式オンラインストアにおいて、スキンケア商品を始めとした化粧品が広告・販売されている(甲9)。 オ 2018年(平成30年)1月1日に発行された「POLA CATALOG 2018」は、化粧品の商品カタログであり、表紙及び裏表紙には「POLA」の商標が記載されている(甲10)。 カ 日本経済新聞(電子版)の2017年(平成29年)10月14日付けコラム記事には、「苦節15年で大ヒット、シワ取り元年ポーラ拓く」のタイトルの下、「強力な販売力を背景に国内4位となったポーラHD」の記載があり、取扱い化粧品について紹介されている(甲11)。 キ 2018年(平成30年)3月号及び同6月号の女性ファッション各誌や2016年(平成28年)7月14日及び2017年(平成29年)12月31日発行の新聞(中央紙及び地方紙)において、「POLA」商品の特集記事及び広告が掲載されている(甲12ないし甲17)。 ク 2018年(平成30年)1月16日時点での特許情報プラットフォーム(J-Plat Pat)の日本国周知・著名商標検索では、引用商標「POLA」及び「ポーラ」が掲載され、また、引用商標は防護標章として登録されている(甲18、甲19)。 なお、当該防護標章は、昭和59年11月20日から平成26年7月11日までの間に多数の区分において登録され、平成7年4月27日から同29年5月19日にかけて更新登録されている(上記第2)。 ケ 昭和61年当時、「POLA」及び「ポーラ」の文字からなる商標が、商品「化粧品」に使用されて周知・著名であることが審査において判断されている(甲20、甲21)。 コ 2018年(平成30年)6月発行の商品カタログである「POLA CATALOG 2018 LIFE for BEAUTY AUTUMN&WINTER」には、オーラルケア商品として、商品「薬用歯磨き」が掲載されており、その商品には、「POLA」の文字からなる商標が付されている(甲22)。 (2)判断 上記(1)によれば、請求人は、引用商標を自己の業務に係る商品「化粧品」等について使用し、少なくとも昭和61年当時には当該分野において名声と信用を築き上げてきたものであって、現在においても、全国に約4,200店を有し、「薬用歯磨き」を含めた多様な商品に引用商標を使用し、それら商品については、インターネット、商品カタログ、女性ファッション各誌及び新聞において広告宣伝、販売、特集記事の掲載がなされている。 そして、「ポーラブランド」の2015年12月期、2016年12月期及び2017年12月期の売上高が、それぞれ約1,093億5,200万、約1,161億2,600万円及び約1,440億1,200万円と売上げが伸びていること及び引用商標に係る防護標章が平成29年5月19日までに何度も登録又は更新登録されていることを考慮すれば、「POLA」及び「ポーラ」の文字からなる引用商標は、本件商標登録の出願及び査定の時点においても、日本国内において、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、化粧品及び歯磨きを含む関連分野における取引者、需要者の間で周知となっていたものと判断するのが相当である。 3 本件商標の商標法第4条第1項第11号の該当性について (1)本件商標の分離観察の可否について ア 本件商標のように、標準文字で一連に表されたものであっても、それがいくつかの文字等を組み合わせた結合商標と解されるもので、かつその一部が需要者に対して、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである場合やそれ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、当該一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否判断をすることも許される(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。 イ これを本件についてみるに、本件商標「PolaDay」は、全体としてみた場合には、特別の意味を有しない造語である。そして、上記2のとおり、「POLA」の欧文字からなる引用商標1が、化粧品を中心とした商品の分野で周知であり、出所識別標識として取引者、需要者の間で強い識別力を持つものであることからすると、本件商標の語頭にある「Pola」は、「POLA」の大文字と小文字の相違はあるものの、本件商標の指定商品である「歯の漂白用歯磨き」との関係では強い出所識別力を持つものといえる。 以上からすると、本件商標からその要部として「Pola」の部分を抽出して、他人の商標と比較して商標そのものの類否判断をすることが許されるというべきである。 (2)類否判断 本件商標からその要部である「Pola」を抽出して引用商標と対比するに、本件商標の要部である「Pola」と引用商標1の「POLA」とは、「ola」と「OLA」の部分において小文字と大文字の相違があるとはいえ、つづりが同じであることから、外観において類似するものといえる。 「Pola」と引用商標2「ポーラ」とは、文字種が異なるものの、ともに特徴のない書体であることに加え、我が国の商取引においては、欧文字からなる商標をその読みに対応した片仮名で代替的に表記したり、又はその逆にしたりすることが、一般に行われていることからすると、両者の外観における差異は、外観上、取引者、需要者に対して特段印象付けられるものではない。 また、上記2で認定したように、「POLA」又は「ポーラ」の文字からなる引用商標が化粧品を中心とした商品の分野において周知なものとなっていることから、本件商標の要部である「Pola」及び引用商標は、共に「化粧品を中心として展開されている請求人の業務に係るPOLAブランド」といった観念も生じるものと認められる。 さらに、本件商標と引用商標からは、共に「ポーラ」との称呼が生じるものである。 以上のとおり、本件商標の要部と引用商標とは、称呼及び観念を共通にし、引用商標1とは外観においても類似し、引用商標2との外観における差異も特段強く印象づけられるものではないことから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に考察すれば、両者は類似するといわざるを得ず、本件商標が化粧品と関連性が強い指定商品である「歯の漂白用歯磨き」に使用された場合、引用商標と出所混同のおそれがあり、本件商標と引用商標とは互いに相紛れるおそれのある類似する商標と認められる。 そして、本件商標の指定商品である「歯の漂白用歯磨き」は、引用商標の指定商品中「歯みがき」に含まれるものである 。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 4 本件商標の商標法第4条第1項第15号の該当性について 上記3のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同項第15号の括弧書きの規定により、同項第15号に該当するとはいえない。 5 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は、同項の規定に違反してされたものであるから、同法第46条第1項第1号により、無効とすべきものである。 よって、結論のとおり、審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2019-11-08 |
結審通知日 | 2019-11-12 |
審決日 | 2019-11-25 |
出願番号 | 商願2017-43437(T2017-43437) |
審決分類 |
T
1
11・
263-
Z
(W03)
T 1 11・ 271- Z (W03) T 1 11・ 262- Z (W03) T 1 11・ 261- Z (W03) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 大橋 良成 |
特許庁審判長 |
小出 浩子 |
特許庁審判官 |
木村 一弘 山田 啓之 |
登録日 | 2017-11-10 |
登録番号 | 商標登録第5995224号(T5995224) |
商標の称呼 | ポーラデー、ポラデー、ポーラ、ポラ、デー、デイエイワイ |
代理人 | 牛木 護 |
代理人 | 岡村 憲佑 |