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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W18
管理番号 1361748 
異議申立番号 異議2019-900139 
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-05-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-05-10 
確定日 2020-04-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第6121825号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6121825号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第6121825号商標(以下「本件商標」という。)は、「ASPENSPORT」の文字を標準文字で表してなり、平成30年11月5日に登録出願、第18類「リュックサック,バッグ」を指定商品として、同31年1月11日に登録査定、同年2月15日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標が商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたとして引用する登録第6195308号商標(商願2019-63231)(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、商標法第9条第1項の規定の適用を受けようとする商標登録出願として、平成31年4月26日に登録出願、第18類「バックパック,旅行かばん,ハンドバッグ,旅行用トランク,かばん類,カード入れ,登山用ステッキ,傘,未加工又は半加工の革,サドルバッグ」を指定商品とし、その指定商品中「バックパック」に係る出願を平成30年10月31日にしたものとみなして、令和元年11月8日に設定登録されたものであり、現在、有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第8条第1項及び同法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証を提出した。
1 商標法第8条第1項について
本件商標は、その構成より、「アスペンスポート」ないし「アスペンスポーツ」の称呼を生ずるものである。引用商標は、その構成より、これと同じ称呼を生ずるものである。本件商標と引用商標は、いずれも「ASPENSPORT」の文字列よりなるものであるから、同一の観念を生じ、また、外観においても極めて類似するものである。
したがって、本件商標と引用商標は、称呼及び観念を共通にし、外観においても類似する、類似の商標である。また、本件商標の指定商品は引用商標の指定商品と類似するものである。
引用商標に係る登録出願は、少なくとも本件商標の指定商品と類似する指定商品「バックパック」について商標法第9条第1項の出願時の特例の適用を受けるものであり、当該指定商品との関係において引用商標に係る登録出願は、本件商標の出願日より先の平成30年10月31日に出願したものとみなされるものである(甲3、甲4)。
よって、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第7号について
本件商標の出願日は、引用商標に係る商品が中国における国際博覧会に出品された期間の直後である。
商標権者は、申立人に係る中国商標登録の存在、引用商標に係る商品が中国における国際博覧会に出品された事実、あるいは、今後引用商標に係る商品が日本国内において販売されるであろうことのうち、いずれか一つ以上は知っていたものと理解するのが妥当である。
本件商標の商標権者が、本件商標について登録出願をし、登録を急いだのは、申立人による「ASPENSPORT」商標の使用を妨害するなどの目的があるものと考えるのが妥当であり、現に、本件商標の商標権者は、引用商標の使用に対し警告を発してきている。
以上のような一連の事情を総合的に勘案すれば、本件商標の出願の経緯には社会的相当性を欠くものがあり、その登録を認めることは商標法の予定する秩序に反するものとして容認し得ないものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号にも違反して登録されたものである。

第4 当審における取消理由
当審において、商標権者に対して、「本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。」旨の取消理由を令和元年12月2日付けで通知した。

第5 商標権者の意見
前記第4の取消理由の通知に対し、商標権者は、何ら意見を述べていない。

第6 当審の判断
1 商標法第8条第1項について
(1)商標法第8条第1項は、「同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について異なつた日に二以上の商標登録出願があつたときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。」と規定しているので、以下、各要件について検討する。
(2)指定商品の類否について
本件商標又は引用商標の指定商品は、前記第1又は第2のとおりであるところ、本件商標の指定商品「リュックサック,バッグ」と、引用商標の指定商品中「バックパック」とは、同一又は類似の商品と認められる。
(3)商標の類否について
ア 本件商標
本件商標は、前記第1に記載のとおり、「ASPENSPORT」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、その構成全体として親しまれた成語ではなく、特定の語義を有しない一種の造語といえるものであるから、特定の観念を生じないもので、その構成文字に相応して、「アスペンスポート」の称呼を生じるものといえる。
イ 引用商標
引用商標は、別掲のとおりの構成からなるところ、「AspEnSport」(構成中の「E」の文字は、その前後の文字と上端を揃えて書してなる。以下同じ。)の文字を横書きしてなるものと容易に看取されるものであり、前記アと同様に、「アスペンスポート」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものといえる。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標を構成する「ASPENSPORT」の文字と引用商標を構成する「AspEnSport」の文字とは、書体及び大文字と小文字との違いという相違点を有するとしても、そのつづりを同じくするものであるから、外観において近似した印象を与えるものであって、類似するといえる。
また、両者の称呼は、「アスペンスポート」であって同一である。さらに、両者は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念については比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において類似し、称呼が同一であって、観念において区別することができないから、互いに相紛れるおそれのある類似のものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標と引用商標とは、類似の商標といわなければならない。
(4)最先の出願人について
本件商標は、前記第1のとおり、平成30年11月5日に登録出願されたものであるのに対し、引用商標は、前記第2のとおり、商標法第9条第1項の規定の適用を受けようとする商標登録出願として、登録出願されたものである。
そして、引用商標については、その商標登録出願人が提出した商標法第9条第2項に規定する書面に基づき、その指定商品中「バックパック」については同条第1項の適用が認められ、その商標登録出願は、当該出品の時である2018年(平成30年)10月31日にしたものとみなされ、登録されたものであるから、本件商標よりも引用商標が先願と認められる。
そうすると、引用商標に係る商標登録出願人が最先の商標登録出願人であり、かつ、同人と本件商標に係る商標登録出願人(商標権者)とは同一人ではない。
(5)小括
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品、第18類「リュックサック,バッグ」について、同一又は類似の商品について使用をする同一又は類似の商標について異なった日に二以上の商標登録出願があったときに、最先の商標登録出願人でない者(商標権者)が商標登録を受けたものであるから、商標法第8条第1項の規定に違反してされたものと認められる。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第8条第1項の規定に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲(引用商標)



異議決定日 2020-02-18 
出願番号 商願2018-137644(T2018-137644) 
審決分類 T 1 651・ 4- Z (W18)
最終処分 取消  
前審関与審査官 藤平 良二 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 山田 啓之
板谷 玲子
登録日 2019-02-15 
登録番号 商標登録第6121825号(T6121825) 
権利者 WES株式会社
商標の称呼 アスペンスポート、アスペンスポーツ、アスペン 
代理人 石塚 勝久 

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