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審決分類 |
審判 全部無効 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 無効としない W45 審判 全部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効としない W45 |
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管理番号 | 1361692 |
審判番号 | 無効2018-890075 |
総通号数 | 245 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2020-05-29 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2018-10-04 |
確定日 | 2020-03-30 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5622283号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5622283号商標(以下「本件商標」という。)は、「森の教会」の文字を標準文字により表してなり、平成25年6月1日に登録出願、第45類「婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供、結婚式・結婚披露宴の企画・運営又は開催」を指定役務として、同年9月13日に登録査定、同年10月11日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、「本件商標についてその登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第28号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 請求の理由 (1)商標法第3条第1項第3号該当性について 本件商標は「森の教会」、指定役務は「婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,結婚式・結婚披露宴の企画・運営又は開催」であるところ、教会は、婚礼のために一般的に用いられる施設である。 また、婚礼のための施設は、自然豊かな場所に設置されていることも多いことから、婚礼のための施設が森の中にあることも多い。 したがって、本件商標は、婚礼のために提供される施設を示しているにすぎず、結婚式・結婚披露宴の企画・運営又は開催という指定役務についても、当該役務により企画された結婚式・結婚披露宴の開催場所を示しているにすぎない。 そして、本件商標は標準文字であり、特殊な書体などではないから「普通に用いられる方法で表示する標章」に該当する。 なお、商標法第3条第2項に該当する事情はない。 (2)商標法第3条第1項第6号該当性について 本号は「前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」について登録を受けることができないとする。 この点、「教会」とは主にキリスト教の信者により掲載される団体又は当該団体の宗教活動の拠点となる建物・施設の意味であり、特定の者の業務に係るものであることを認識することができる用語ではない。 「森の」とは教会のある場所を示しているにすぎず、教会が森又は自然が多い地域にあることも一般的であるから、特定の者の業務に係るものであることを認識することができる用語ではない。 さらに、「森の教会」を含む用語を婚礼のために提供されている施設の名称として用いている者が被請求人以外に全国に多数存在する(甲1、別紙)。 したがって、本件商標に接する需要者が特定の出所を想起するとはいえず、自他役務識別力を有しないから、商標法第3条第1項第6号に該当する。 (3)利害関係について 商標権者は、請求人に対して、請求人の使用する「森の教会」標章が本件商標権の侵害であるとして、侵害警告をしている(甲13)。 2 答弁に対する弁駁 (1)商標法第3条第1項第3号該当性について ア 役務の提供の場所等を直接的に理解させるものか否かについて 教会での結婚式(教会式)は、もともとキリスト教の信者が行っていた結婚式のスタイルであるが、無宗教が多い我が国においても、教会の荘厳な雰囲気の中での挙式を希望する者が多いことから、教会での結婚式が選択される場合が多い(甲21)。 また、結婚式場として用いられる施設として教会が多数紹介されている(甲14、甲15)ことから、婚礼のための施設として「教会」という表示を用いた場合、当該商標は、婚礼のための施設の名称として識別されるものであり、自他役務識別力を欠くものである。 さらに、役務の提供される施設に、その所在場所を示す場所を、格助詞「の」で結合させた商標は、商標法第3条第1項第3号の「のみからなる」商標に該当する。 したがって、婚礼のための施設である「教会」という標章に、その設置場所として一般的な「森」という標章を、「の」という格助詞で結合させた商標は、婚礼のための施設の名称、施設の所在場所として識別されるものであり、自他役務識別力を欠くものである。 イ 甲各号証について 審判請求書別紙記載の事業者の全てが本件商標の登録査定日以後に「森の教会」の語を使用したことは考え難く、相当数は登録査定日以前から使用していたものと思料される。 また、多数の事業者が、婚礼のための施設の名称、施設の所在場所として「森の教会」を含む用語を用いていることは、本件商標が第3条第1項第3号の「役務の提供の場所」に該当することの有力な根拠となるものである。 ウ 婚礼のための施設の中で森の中にないものがあるとの主張について 婚礼のための施設に「森」との標章を用いた場合、当該施設が実際には森の中になくても、需要者又は取引者にとって、森の中にあるであろうと一般に認識されているので、「森」との標章は当該施設の場所(役務の場合は役務提供場所)と認識される(ジョージア事件・最判昭和61年1月23日参照)。 したがって、婚礼のための施設が実際には森の中にないといった被請求人の主張は失当である。 婚礼のための施設において「森」との標章を用いた場合、当該施設が実際には森の中になくても、需要者又は取引者にとって、森の中にあるであろうと一般に認識されている場合には、「森」との標章は当該施設の場所(役務の場合は役務提供場所)と認識される。 本件では、証拠として挙げられたウェブサイトのいずれにも「森」の中にある旨が記載されていることから、事業者としては当該施設が森の中にあることによる顧客吸引力を利用しているといえ、これに接する需要者も、森の中にあるであろうと考えるから、厳密に森の中にない場合であっても、婚礼施設に「森」との標章を用いた場合には、「森」は当該需要者にとって施設の場所と一般に認識されるのである。 (2)商標法第3条第1項第6号該当性について 「森の教会」は「森と何らかの関連を有する教会」程度の抽象的な観念にとどまるものではない。「森」と「教会」は前者が広く、後者が狭い関係にあることから、森の中に建てられている教会という意味を有することは明らかである。 そして、婚礼のための施設として「教会」は一般的であること、婚礼のための施設が自然豊かな場所に所在することは一般的であること、「森」が自然豊かな場所の代名詞的なものであることからすれば、「森の教会」との用語を指定役務である「婚礼のための施設」として用いた場合、一般需要者は、それを特定の事業者の役務に係る商標と認識することはない。 のみならず、本件商標が、商標法第3条第1項に該当しないということになると、被請求人は本件商標について日本全国で独占的に使用することができるようになる半面、「森の教会」という用語を婚礼のために用いている全国十数もの事業者の行為が全て本件商標権を侵害することになるが、かかる結論が著しく不当であることは明らかである。 「森の教会」とは、森の中にある(建てられている)教会」の観念しか生ぜず、自他役務の識別機能を有しないことは明らかである。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第26号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 被請求人の答弁 (1)本件商標について 本件商標構成中「森」の文字は、「樹木が茂り立つ所。」(乙2の1)を意味する語であり、また、「教会」の文字は「信仰を同じくする人の共同体。主としてキリスト教で用いる語で、他の宗教でも用いる場合がある。教会堂に同じ」(乙2の2)を意味する語である。「教会堂」の文字は「キリスト教徒の礼拝祭儀及び宗教的会合のための建物。教会。聖堂。会堂。」(乙2の2)を意味する語である。 そうすると、本件商標の構成全体から直接生じる意味合いは、「樹木が茂り立つ所の信仰を同じくする人の共同体」、あるいは、「樹木が茂り立つ所にあるキリスト教徒の礼拝祭儀及び宗教的会合のための建物。」等であり、本件商標の指定役務の質、役務の提供の場所等を直接的に理解させるものではない。 この点、請求人は審判請求書の中で、「また、婚礼のための施設は、自然豊かな場所に設置されていることも多いことから、婚礼のための施設が森の中にあることも多い。したがって、本件商標は、婚礼のために提供される施設を示しているにすぎない。」等の様に、「森の教会」の語を補って理解することで、役務の提供の場所等を示していると結論付けており、直接的に理解しているとはいえない。 (2)判断時期と甲各号証について 本件商標の判断時は、その登録査定日の平成25年(2013年)9月13日とすべきであるところ、請求人が提出する証拠方法のうち、「森の教会」の語の登録査定日以前の使用が認められるのは、4例程度(甲5?甲7、甲10)であり、この事実をもって、本件商標が、その指定役務との関係において、直ちに、役務の提供の場所・役務の質を表示するものとして一般に理解され、あるいは、取引者・需要者間において、その意味合いをもって取引上普通に使用されているということはできない。 (3)商標法第3条第1項第3号該当性について 昨今では、結婚式場やホテル等に設けられたチャペルや、教会を利用したキリスト教式の結婚式が挙行される背景にかんがみれば、「教会」の語が、これに接する取引者・需要者をして本件商標に係る指定役務の提供の場所・質等を暗示ないしは間接的に表示するものと理解される可能性はあっても、「教会」の語には「信仰を同じくする人の共同体。主としてキリスト教で用いる語で、他の宗教でも用いる場合がある。教会堂に同じ」(乙1の2)等の意味もあることから、「森の教会」の語が一義的に本件商標に係る役務の提供の場所、役務の質を表示するものといえるわけではない。 しかも、「森の教会」の語が、登録査定時において、その意味合いをもって取引上普通に使用されていたという事実もないことから、本件商標が、その指定役務の提供の場所を直接的かつ具体的に表示したものということはできない。 以上、本件商標は、これに接する取引者・需要者をして、本件商標に係る役務の提供の場所あるいは質等を直接的かつ具体的に理解させるものではない。 すなわち、本件商標は、その登録査定時において、これをその指定役務に使用しても、取引者・需要者には指定役務の提供の場所や質等を表すものとして認識されることはなく、識別標識として機能するものといえる。 したがって、本件商標は、その登録査定時において、本件商標に係る指定役務の提供の場所、質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当しないというべきであり、その登録が無効にされるべきものではない。 (4)商標法第3条第1項第6号該当性について 「森の教会」の語は、一般的な国語辞典に掲載されていないことから、広く一般に知られた語とまではいえない。 しかし、「森の教会」を構成する「森」、「教会」の語は、広く一般に知られた語であり、その文字に即応すると「森となんらかの関連を有する教会」程度の抽象的な観念が生じるものの、これには、「森の中にある宗教上の建物」、「森の中の信仰を同じくする人の共同体」等の様々な意味合いが含まれる。 そうすると、本件商標に接する取引者・需要者が、本件商標の指定役務における特定の役務を、一義的に認識できるとはいえない。 しかも、請求人の証拠方法によっても、登録査定時に、婚礼のための施設の提供を行う業界におけるホームページや業界の情報誌の中に、「森の教会」の文字が表示されているのは、被請求人を含めても5例程度である。 そうすると、登録査定時に、本件商標が、その指定役務を示すものとして一般に使用されていたものとは到底認められない。 以上を総合すると、本件商標は、その登録査定時において、本件商標の指定役務との関係で一種の造語と解され、取引者・需要者をして、本件商標の指定役務における特定の役務を一義的に理解させるものとはいえない。 すなわち、本件商標は、これをその指定役務に使用しても、自他役務の識別標識としての機能を果たし得るから、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識できないものとはいえない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。 2 弁駁に対する主張 (1)「婚礼のための施設は、自然豊かな場所に設置されていることも多いことから、婚礼のための施設が森の中にあることも多い」旨の証拠について ア 請求人の提出した証拠をみるに、婚礼のための施設が自然豊かな場所に設置されていることがあり、婚礼のための施設が森の中にあることがあるといえるものの、それらが多いとまではいえない。 イ 請求人は、「自然に囲まれて」による用語検索の結果として、184件の結婚式場を示している(甲15)が、これは、体験者レポートのうち「森の中にある」ことをテーマとする体験者レポートの数が184件であるところ、体験者レポート全体の数は15,516件である(乙10)。もし、婚礼のための施設が自然豊かな場所に設置されていることが多く、婚礼のための施設が森の中にあることが多いのであれば、「森の中にある」ことをテーマとする体験レポートの数は非常に多くなるはずであり、この数字は極端に少ない。 この結果からは、結婚式場が自然に囲まれた場所に設置されているものは少ないことが推測される。 以上より、「婚礼のための施設は、自然豊かな場所に設置されていることも多いことから、婚礼のための施設が森の中にあることも多い」ということは周知の事実であることは立証されていない。 (2)「森の教会」を婚礼のために提供されている施設の名称として用いる者が全国に多数存在することを証する証拠について 請求人の提出に係る証拠には、ウェブサイトの日付の信憑性が不明なものや「森の教会」とは異なる標章(施設名)についてのものが含まれており、登録査定時に「森の教会」を婚礼のために提供されている施設の名称として用いる者が全国に多数存在することは立証されていない。 (3)商標法第3条第1項第3号該当性について 結婚式場が必ずしも自然豊かな場所に設置されているとはいえないことから、「森」の標章は、「樹木が茂り立つ所」という役務の提供場所等を直接的かつ具体的に記述したものではない。むしろ、「森の教会」全体としては、「森の中の教会」「森のような教会」「森に属する教会」等の一義的でない様々な観念が生じるものであって、取引者・需要者に対し、本件商標に係る指定役務の提供の場所・質等を暗示ないし間接的に表示するものと理解されるものである。 請求人の提出に係る証拠の多くは、「森の教会」を婚礼のために提供されている施設の名称として用いている証拠とはならず、「森の教会」の標章が指定役務に関して普通に使用されていることは認められない。 (4)商標法第3条第1項第6号該当性について 「森」の観念が「教会」より広いというのであれば、なおさら「森」の意味は一義的に定まるものではない。前述のように、「森の教会」は、「森の中の教会」「森のような教会」「森に属する教会」等の様々な観念が生じるのであって、「森の中に建てられている教会」という一義的な意味は生じないものである。 また、登録査定時に「森の教会」を婚礼のために提供されている施設の名称として用いる者が全国に多数存在することは立証されていない。 以上を総合すると、本件商標は、その登録査定時において、本件商標の指定役務との関係で一種の造語とも解され、取引者・需要者をして、本件商標の指定役務における特定の役務を一義的に理解させるものとはいえない。 すなわち、本件商標は、これをその指定役務に使用しても、自他役務の識別標識としての機能を果たし得るから、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識できないものであるとはいえない。 請求人は、「本件商標が、商標法第3条第1項に該当しないということになると、被請求人は本件商標について日本全国で独占的に使用することができるようになる半面、『森の教会』という用語を婚礼のために用いている全国十数もの事業者の行為が全て本件商標権を侵害することになるが、かかる結論が著しく不当であることは明らかである」と主張しているが、指定役務について使用する「森の教会」の登録商標は、特定の観念を有しない一種の造語であるので、必ずしも需要者・取引者が取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものではない。 本件は、あくまでも登録査定時の登録処分の適否を争うものであって、婚礼のための施設を森の中に設置している事業者は直接かつ具体的な記述的表示をすることで商標権侵害を回避しうるため、結論が不当であるとはいえない。 (5)その他(審尋に対する意見) ア 婚礼のための施設は、自然豊かな場所に設置されていることも多いことから、婚礼のための施設が森の中にあることも多いことについて 挙げられた証拠の多くは、実際には、森ではなく街の中にあるものである。 したがって、婚礼のための施設が森の中にあることも多いとは到底いえない。 イ 被請求人以外の者が「森の教会」の文字を婚礼のために提供されている施設の名称として用いていることについて 登録査定時に、被請求人以外の者が「森の教会」の文字を婚礼のために提供されている施設の名称として用いている例は1件のみである。 婚礼のための施設は、現在のところ、全国で少なくとも5,507施設は存在するものであり(乙24)、登録査定時の施設数は不明ではあるが、婚姻数は年々減少傾向にあることは顕著な事実であるので、登録査定時は現在よりも施設数は多いと想定される。 もし、「森の教会」が普通に用いられる表示であるとすれば、登録査定時付近における多数の使用例が検索されるはずである。 したがって、登録査定時に「森の教会」を婚礼のために提供されている施設の名称として用いる者が全国に多数存在することは立証されておらず、およそ登録査定時に「森の教会」は普通に用いられる表示であったとはいえない。 ウ 以上より、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同第6号に該当しない。 第4 当審の判断 請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係について争いがないから、本案について判断する。 1 商標法第3条第1項第3号該当性について 「森の教会」の語は、辞書等に掲載された既成語ではないものの、格助詞の「の」が「連体格を示す。前の語句の内容を後の体言に付け加え、その体言の内容を限定する。」ものであり、「場所を示す。・・・にある。・・・にいる。・・・における。」(「広辞苑第6版」株式会社岩波書店)のような意味合いで使用されること、及び、本件商標の指定役務である「婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,結婚式・結婚披露宴の企画・運営又は開催」との関係において、結婚式場やホテル等に設けられたチャペルや、教会を利用したキリスト教式の結婚式が多く挙行される実情からすれば、「教会」の語は、「教会堂(キリスト教徒の礼拝祭儀および宗教的会合のための建物。教会。聖堂。会堂。)」(乙2の2)の意味で理解され、「森」と「教会」の語を格助詞の「の」で結合させた「森の教会」の語は、「森にある教会」程の意味合いを認識させるというのが自然である。 一方、請求人の提出した証拠において、婚礼のための施設の提供を行う業界におけるホームページや情報誌の中に、「森の教会」の語が使用されている例(甲5?甲7、甲10)が見受けられるものの、その数はさほど多いものとはいえない。 また、「婚礼のための施設が自然豊かな場所に設置されていることが多く、婚礼のための施設が森の中にあることも多い」という請求人の主張について検討するに、請求人が挙げた証拠において、森の中にある婚礼のための施設の存在を裏付けるものは、さほど多いということはできず、さらに、「ゼクシィ体験者レポート」(甲15)における「結婚式場の選択肢」の「自然に囲まれて」の用語検索結果の184件の結婚式場は、体験者レポート全体の数の15,516件(乙10)からすれば、わずかであるといわざるを得ない。 加えて、職権において調査するも、本件商標の登録査定時において、「森の教会」の語が、本件商標に係る役務の提供の場所あるいは質等を直接的かつ具体的に表すものとして、業界において、取引上普通に使用されていると認めるに足りる証拠は見いだせなかった。 そうすると、本件商標は、これをその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が、漠然と「森にある教会」程の意味合いを認識する場合があるとしても、具体的な役務の提供の場所あるいは質等を表示するものと認識するとはいえない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。 2 商標法第3条第1項第6号該当性について 上記1のとおり、「森の教会」の語は、「森にある教会」程の意味合いを認識させるものの、婚礼のための施設の提供を行う業界において、「森の教会」の語が使用されている例はさほど多いものとはいえない。 また、「『森の教会』を婚礼のために提供されている施設の名称として用いる者が全国に多数存在する」という請求人の主張について検討するに、請求人が挙げた証拠において、「森の教会」という施設の名称の存在を裏付けるものは、6件程にすぎず(甲3、甲5、甲7、甲10、甲27、甲28)、婚礼のための施設は、少なくとも5,507施設存在し(2019年10月8日現在:乙24)、本件商標の登録査定時においても、少なくとも5,000件程の施設の存在が推認されることからすれば、「森の教会」という施設の名称の存在は、わずかであるといわざるを得ない。 そうすると、「森の教会」を婚礼のために提供されている施設の名称として用いる者が全国に多数存在するという主張は採用できず、本件商標は、これに接する取引者、需要者が、何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標とはいえない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。 3 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同第6号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同条の規定に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2020-01-31 |
結審通知日 | 2020-02-05 |
審決日 | 2020-02-19 |
出願番号 | 商願2013-41756(T2013-41756) |
審決分類 |
T
1
11・
16-
Y
(W45)
T 1 11・ 13- Y (W45) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山本 敦子、大澤 恒介 |
特許庁審判長 |
山田 正樹 |
特許庁審判官 |
鈴木 雅也 冨澤 美加 |
登録日 | 2013-10-11 |
登録番号 | 商標登録第5622283号(T5622283) |
商標の称呼 | モリノキョーカイ |
代理人 | 吉永 純一 |
代理人 | 遠山 光貴 |
代理人 | 加藤 久 |
代理人 | 南瀬 透 |
代理人 | 遠坂 啓太 |
代理人 | 船橋 茂紀 |
代理人 | 西山 彩乃 |