• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W0510
管理番号 1361598 
審判番号 不服2019-4593 
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-04-07 
確定日 2020-03-16 
事件の表示 商願2018-1515拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「アロマラベンダーの香り」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤,医療用試験紙,医療用油紙,医療用接着テープ,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,おりもの専用シート,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,綿棒,おむつ,おむつカバー,防虫紙,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品」及び第10類「医療用指サック,おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,哺乳用具,魔法哺乳器,睡眠用耳栓,防音用耳栓,医療用機械器具,家庭用電気マッサージ器,医療用手袋,しびん,病人用差込み便器,耳かき」を指定商品として、平成30年1月5日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『アロマラベンダーの香り』の文字を標準文字で表示してなるところ、その構成中の『アロマ』の文字は、『香り。芳香。』の意味を、『ラベンダー』の文字は、『シソ科の木質常緑多年草。花を蒸留して揮発性のラベンダー油をとり、香料・薬用とする。』の意味を有する語であるところ、指定商品を取り扱う業界において、『アロマラベンダーの香り』の文字が、商品名の中で用いられ、また、商品の説明の中で、香りを表す語として使用されている実情がある。そうすると、これを本願の指定商品中、アロマラベンダーの香り(あるいはラベンダーの香り)を有する商品(トイレ用消臭剤,衛生マスク,殺虫剤,スプレー式患部冷却剤等)に使用しても、単に該商品の品質(香り)を表示したものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たすものとは認識し得ないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ
審判長は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2に示すとおりの事実を発見したので、令和元年10月29日付けで、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、上記証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要点
(1)今日、日用品のみならず、極めて多種多様な商品について、香りを付けた商品が製造販売されている。本願の指定商品の分野においても、香りを付した商品は存在しているが、そのことをもって、本願商標の自他商品識別力に関する判断には何らの影響を及ぼさない。
(2)実際の商取引の場において、「ラベンダー」あるいは「ラベンダーの香り」の文字は、商品の香調を表すために、普遍的に使用されており、この文字に接した取引者、需要者は、商品がいかなる具体的な香りを有するものであるかを直感的かつ容易に認識する。また本願商標とは語順を逆にした「ラベンダーアロマ」であれば「ラベンダー(の)香り」といった意味合いを容易かつ素直に想起させるため、商品の品質(香り)を説明するためには「ラベンダーアロマ」の語を使用するのが妥当であり、「アロマラベンダー」は、該当商品が「ラベンダーの香り」を有することを暗示的に想起させることはあっても、商品の品質(香り)を直感的に想起させることのない一種の造語であると理解すべきである。
本願商標の構成中の冒頭部分「アロマ」は、様々な語の前に接頭辞のように付加され、「アロマ」と接続された語が一体となって、「アロマ」とも「接続された語」とも異なる新しい語を形成する。本願商標中の「アロマラベンダー」は、「『アロマ』な『ラベンダー』」、すなわち、「香ばしいラベンダー」程の意味合いを暗示的に表示する一種の造語であると理解すべきであり、商品の香調を直接的に表現に表現するのではなく、これに一ひねりを加えて、商品の香りを暗示させる表現にしたものである。
(3)本願の指定商品の分野において、「アロマ○○の香り」「アロマ○○」の文字が、香りの種類を表す語として使用されている例が証拠調べ通知において通知されているが、これらは、商品の香調を直接的に表現に表現するのではなく、一ひねりを加えて、商品の香りを暗示させる表現にしたものであると理解する。例えば、「グリーンの香り」というと、「グリーン系の香り」(すなわち、「森林の緑」)をイメージさせるような香りを容易にイメージするが、「アロマグリーンの香り」というと、「香ばしいグリーン系の香り」とでもいった意味合いを暗示的に表示させる一種の造語であると理解すべきである。
(4)日用品の分野において、「アロマ○○の香り」の文字が、香りの種類を表す語として使用されている例が証拠調べ通知において通知されているが、上記(3)と同様に、商品の香調を直接的に表す「ラベンダーの香り」等の文字に「アロマ」の文字を付加することによって、商品の香りを暗示的に表現したものであると理解する。これらの文字は、「香ばしい○○香り」程の意味合いを暗示的に表示させる一種の造語であると理解すべきである。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「アロマラベンダーの香り」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、その構成中の「アロマ」の文字は「香り。芳香。」の意味を、「ラベンダー」の文字は「シソ科の木質常緑多年草。花を蒸留して揮発性のラベンダー油をとり、香料・薬用とする。」の意味を、「香り」の文字は「よいにおい。」の意味を有する語(甲1。「広辞苑第七版」株式会社岩波書店))として、いずれの語も、我が国において親しまれているものである。
ところで、一般的に使用される日用品の分野において、香りを付けた商品が製造販売されている(別掲2(1))ところ、その中には、香りの種類を表す語として、「アロマラベンダーの香り」「アロマローズの香り」「アロマオレンジの香り」のように、「アロマ○○の香り」の文字が使用されているものがある(別掲2(2))ことから、香りを付けて販売される商品との関係において、特定の香りを表す語の語頭に「アロマ」の文字を付し、語尾に「の香り」の文字を結合した表示からは、その構成全体として「(香料)○○の香り」程の意味合いを表したものとして認識されるということができる。
そこで、香りを付けて販売される商品及び当該香りを表す語に関する上記実情を、本願の指定商品中、第5類「薬剤,衛生マスク」を取り扱う分野についてみると、「ラベンダー」の文字は、商品の香りを表す語として広く使用されていること(別掲2(3))及び特定の香りを表す語の語頭に「アロマ」の文字を付し、語尾に「の香り」の文字を結合して、「アロマラベンダーの香り」「アロマグリーンの香り」「アロマシトラスの香り」「アロマミントの香り」のように、「アロマ○○の香り」(又は「アロマ○○」)の文字が、香りの種類を表す語として使用されていることが認められる(別掲1、別掲2(4))。
そうすると、本願商標は、商品の香りを表したものとして使用される「ラベンダー」の文字の語頭に「アロマ」の文字を付し、語尾に「の香り」の文字を結合してなるものであるから、香りを付けた商品との関係において、全体として「香料ラベンダーの香り」の意味合いを容易に認識させるものであり、本願商標をその指定商品中の「薬剤,衛生マスク」について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、商品の品質を表示したものとして認識するにとどまるとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、「ラベンダーの香り」あるいは「ラベンダーアロマ」の文字であれば、商品の品質(香り)を直感的かつ容易に認識させるものの、「アロマラベンダー」の文字は、「『アロマ』な『ラベンダー』」、すなわち、「香ばしいラベンダー」程の意味合いを暗示的に表示する一種の造語であると理解すべきであり、商品の香りを暗示させるものである旨主張する。
しかしながら、本願の指定商品中「薬剤,衛生マスク」を取り扱う分野においても、香りの種類を表す語として、「アロマラベンダーの香り」をはじめ「アロマ○○の香り」(又は「アロマ○○」)の文字が使用されている例が存在する事実は、需要者が、本願商標「アロマラベンダーの香り」の文字に接した場合、「香料ラベンダーの香り」であると容易に認識することにつながるものであるといえ、取引者、需要者をして、商品の品質を表したものとして認識するにとどまるというべきこと、上記(1)において述べたとおりである。
したがって、上記請求人の主張は、採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 原審において示した事実
(1)「LOHACO」のウェブサイトにおいて、「トイレのスッキーリエア! アロマラベンダーの香り 大容量350mL 1本 アース製薬」の見出しの下、商品説明として「Wの消臭成分配合で、トイレの嫌なニオイをしっかり消臭します。・・・アロマラベンダーの香りです。」「香り アロマラベンダーの香り」の記載がある。
(https://lohaco.jp/product/4589620/)
(2)「Joshin/webショップ」のウェブサイトにおいて、「アース製薬 バポナ 虫よけパール アロマラベンダーの香り 160日用」の記載がある。
(http://joshinweb.jp/cg/30001152/4901080278418.html)

2 令和元年10月29日付け証拠調べ通知書において示した事実
(1)日用品の分野において、香りを付けた商品が製造販売されている事実
ア 2018年4月2日付け「東京読売新聞」(夕刊、2ページ)において、「[U?2000]4月2日」の見出しの下、「香り付きテープ 『アロマステ』(ノルコーポレーション・・・)は、虫が嫌うとされる柑橘系の香りを染みこませたマスキングテープ。・・・外出時に帽子やかばんに貼るのがおすすめだという。」の記載がある。
イ 2018年2月26日付け「東京読売新聞」(朝刊、13ページ)において、「[売れ筋ランキング]花粉症対策マスク 色・香り付きが人気」の見出しの下、「スズラン『エアスペース フリスクマスク ペパーミント』は、ミントタブレット『フリスク』の香りがして、憂鬱(ゆううつ)な季節も爽やかに乗り切れそうだ。」の記載がある。
ウ 2018年1月24日付け「日刊スポーツ」において、「DeNA宮崎『香り』で集中力アップ」の見出しの下、「DeNA宮崎敏郎内野手(29)が・・・都内で2種類の香り付き鼻腔(びくう)拡張テープ『セントテーピング』(フィッツコーポレーション)の発表会に参加。開発に携わったという、テープを鼻につけて登場した。・・・今季使用する「エクストラ・フォーカス」はミント系の香り。」の記載がある。
(2)日用品の分野において、「アロマ○○の香り」の文字が、香りの種類を表す語として使用されている例
ア 「Amazon」のウェブサイトにおいて、「ピジョン ベビー 全身泡ソープ 詰替え用 400ml ラベンダーの香り」の見出しの下、商品の画像が掲載されているところ、その包装袋には、「アロマラベンダーの香り」の表示がある。
(https://www.amazon.co.jp/dp/B01663J1GI)
イ 「Amazon」のウェブサイトにおいて、「トイレスタンプクリーナー 本体(ハンドル1本+替え1本) アロマラベンダーの香り スクラビングバブル 38g(トイレクリーナー)」の見出しの下、商品の画像が掲載されているところ、その包装箱には、「アロマラベンダーの香り」の表示がある。
(https://www.amazon.co.jp/dp/B007T84G92/)
ウ 「花王株式会社」のウェブサイトにおいて、「バスマジックリン泡立ちスプレー SUPER CLEAN アロマローズの香り[本体]」の見出しの下、商品の画像が掲載されているところ、その包装容器には、「アロマローズの香り」の表示があり、「用途・液性・成分・使用上の注意など」の項目には、「香り アロマローズの香り」の記載がある。
(https://www.kao.com/jp/magiclean/mcl_bath_superclean_aroma_00.html)
エ 「コスメテックスローランド株式会社」のウェブサイトにおいて、「柑橘王子 ピールパック」の見出しの下、商品の画像が掲載されているところ、その包装には、「アロマオレンジの香り」の表示がある。
(https://shop-cosmetexroland.com/?pid=99003969)
(3)本願の指定商品の分野において、「ラベンダー」が商品の香りを表す語として使用されている例
ア 2019年2月6日付け「東京読売新聞」(朝刊、8ページ)において、「[ヒットの秘密]1988年発売 ムシューダ あえて『香り付き』開発」の見出しの下、「若者を中心に衣替えの意識は希薄になり、防虫剤離れを背景に市場は縮小していく。そこで10年にはあえて香りを付けた『かおりムシューダ』を発売。香りを楽しみながら服を手入れしよう、と提案した。・・・今ではムシューダの売り上げの約25%が香り付きだ。・・・18年からはラベンダーなどの香りを配合した新シリーズも展開。」の記載がある。
イ 「興和株式会社」のウェブサイトにおいて、「ほんのりハーブが香るマスク(ラベンダー)」の見出しの下、商品の画像が掲載されているところ、その包装袋には、「ラベンダーの香り」の表示があり、商品説明には「ハーブの香りに癒される香り付きマスク。清楚で穏やかな香りでリラックス。ラベンダーの香り。」の記載がある。
(https://hc.kowa.co.jp/lifesupport/12955?type=lineup)
ウ 「エステー株式会社」のウェブサイトにおいて、「消臭力 トイレ用」の見出しの下、商品の画像が掲載されているところ、その包装容器には、「フレッシュアロマ ラベンダー」の表示がある。
(https://products.st-c.co.jp/detail/339/)
エ 「Amazon」のウェブサイトにおいて、「金鳥の渦巻 蚊取り線香 ラベンダーの香り 10巻(線香立て1個入り)」の見出しの下、商品の画像が掲載されているところ、その包装箱には、「ラベンダーの香り」「やさしいラベンダーの香りのかとりせんこう」の表示がある。
(https://www.amazon.co.jp/dp/B01C3QW1UU)
オ 「フマキラー株式会社」のウェブサイトにおいて、「フマキラー 虫よけアロマ線香 50巻函入 5色パック 不快害虫用」の見出しの下、商品の画像が掲載されているところ、その包装箱には、「選べる5つの香り」と記載され、その一つの香りとして「ラベンダー」の表示がある。
(https://fumakilla.jp/insecticide/59/)
(4)本願の指定商品の分野において、「アロマ○○の香り」「アロマ○○」の文字が、香りの種類を表す語として使用されている例
ア 「Amazon」のウェブサイトにおいて、「アース製薬 アース渦巻香アロマグリーンの香り缶入30巻」の見出しの下、商品の画像が掲載されているところ、その包装缶には、「アロマグリーンの香り」の表示がある。
(https://www.amazon.co.jp/dp/B00BPJT09C/)
イ 「株式会社小久保工業所」のウェブサイトにおいて、「消臭&芳香 タバコ消臭用 アロマシトラスの香り」の見出しの下、商品の画像が掲載されているところ、その包装容器には、「アロマシトラスの香り」の表示がある。
(https://kokubo.co.jp/goods/2819-2.html)
ウ 「Amazon」のウェブサイトにおいて、「香る虫よけ アロマミントの香り 90日用 400g」の見出しの下、商品の画像が掲載されているところ、その包装容器には、「アロマミントの香り」の表示がある。
(https://www.amazon.co.jp/dp/B0088B6570)
エ 「街の雑貨屋さん Yahoo!店」のウェブサイトにおいて、「お部屋の消臭力 アロマ・ラベンダーの香り/エステー」の見出しの下、商品の画像が掲載されているところ、その包装容器には、「アロマ・ラベンダー」の表示があり、商品情報には「くつろぎの空間 アロマ・ラベンダーの香りです。」の記載がある。
(https://store.shopping.yahoo.co.jp/matinozakka/4901070113828.html)
オ 「エステー株式会社」のウェブサイトにおいて、「玄関・リビング用 消臭力」の見出しの下、「寝室用 アロマ・カモミール」と称する商品の画像が掲載されているところ、その包装容器の裏面には、「寝室用 アロマカモミール やわらかいカモミールの香りに、フルーティーノートとグリーン感をアクセントにしたやすらぐ香りです。」の記載がある。
(https://products.st-c.co.jp/detail/536/?p-cat=2)


審理終結日 2020-01-20 
結審通知日 2020-01-21 
審決日 2020-02-03 
出願番号 商願2018-1515(T2018-1515) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W0510)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 旦 克昌 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 石塚 利恵
小田 昌子
商標の称呼 アロマラベンダーノカオリ、アロマラベンダー、アロマ、ラベンダー、カオリ 
代理人 高梨 範夫 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ