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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W28
審判 全部申立て  登録を維持 W28
審判 全部申立て  登録を維持 W28
審判 全部申立て  登録を維持 W28
審判 全部申立て  登録を維持 W28
管理番号 1360732 
異議申立番号 異議2019-900238 
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-04-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-08-26 
確定日 2020-03-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第6148918号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6148918号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6148918号商標(以下「本件商標」という。)は、「VANPRO」の欧文字を書してなり、平成30年6月5日に登録出願、第28類「子供用片足スクーター(おもちゃ),おもちゃの乗物,遠隔操作式おもちゃの乗物,おもちゃ用コントローラー,ドローン(おもちゃ),模型セットおもちゃ,スキー,スケートボード,インラインスケート,幼児用の知育おもちゃ,教育用おもちゃ,乳児用の教育用おもちゃ,幼児用の教育用おもちゃ,おもちゃ,おもちゃの自動車,ローラースケート靴」を指定商品として、令和元年5月17日に登録査定、同月31日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は、以下のとおり(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
ア 登録第2718960号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:VANS
登録出願日:平成2年2月10日
設定登録日:平成8年12月25日
指定商品:第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第28類「運動用具」
イ 登録第2718961号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲1のとおり
登録出願日:平成2年2月14日
設定登録日:平成8年12月25日
指定商品:第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第28類「運動用具」
(2)申立人が、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は、引用商標及び別掲2の構成からなる図形に引用商標2等を組み合わせたスケートボードロゴ商標(以下「スケートボードロゴ」といい、これと引用商標をまとめていうときは「使用商標」という。)である。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号違反
ア 商標の類似性
(ア)本件商標と引用商標は、全体の構成に差異はあるものの、本件商標は、6文字中の前半の3文字部分が引用商標と共通し、外観上相紛らわしい印象を与える。
また、本件商標から生じる一連の称呼「バンプロ」は、引用商標から生じる「バンズ」とは、称呼識別上最も重要な語頭の2音「バン」が共通し、それぞれ4音と3音という短い構成において称呼全体に及ぼす影響が大きいため、称呼においても相紛れるおそれがある。
本件商標は、造語として認識されるため観念において比較することはできないものの、引用商標と外観及び称呼において類似する。
(イ)本件商標に接した需要者らは、本件商標の後半の「PRO」部分を、商品の用途、品質(「専門家向けの商品」など)を表示するものと認識し、「VAN」の文字に着目して「バン」と称呼し、取引にあたる場合も少なくない(甲4)から、本件商標は、「VAN」の文字が自他商品を識別するための主要な標識部分(要部)として認識・把握され得る。
そうすると、当該「VAN」部分は、引用商標を構成する「VANS」とは3文字全て共通し、あるいは包含されている。
また、同部分から生じる称呼「バン」は、引用商標の「バンズ」と相紛らわしい類似の称呼である。特に、引用商標の末尾の「S」及びその差異音「ズ」は、英語の複数形を示すものと認識される場合がある(甲5)。
したがって、本件商標は、その要部においても引用商標と外観上、称呼上類似する。
イ 指定商品の同一・類似性
本件商標の指定商品中「スキー,スケートボード,インラインスケート,ローラースケート靴」は、引用商標の指定商品中、第28類「運動用具」と同一であり、第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」とは類似の商品にあたる。
また、本件商標の上記以外の指定商品中、「おもちゃ」に属する商品と引用商標の指定商品中、特に第28類「運動用具」は、生産・販売部門、原材料や品質、用途や需要者の範囲を同じくし、また、関連性の高い、類似の商品というべきである(甲6)。
(2)商標法第4条第1項第15号違反
引用商標及び「スケートボードロゴ」を中心とする「VANS」ブランドの商標は、申立人が提供する商品を指称するものとして需要者らに広く知られている(甲7?10)。
本件商標は、前述のとおり、「VANS」ブランドの商標と類似する商標であって、その指定商品に使用された場合、申立人の業務に係る商品との誤認又は出所の混同を生ずるおそれがある。

4 当審の判断
(1)使用商標の周知性について
ア 申立人の主張及び提出した証拠並びに当審における職権調査によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)申立人は、1966年にアメリカ合衆国カリフォルニア州でスニーカーのオーダーショップとして創業し、申立人のスニーカーは、スケートボードに適したものとして米国において人気を集め、1976年には、スケートボードロゴを創案したとされる。そして、申立人は、各種のスポーツのスポンサーとなるなどして、引用商標の知名度を上げていった(甲8及び申立人の主張)。
(イ)申立人は、日本において、「Vansワープド・ツアー」の日本大会のほか、スケートボード等に関する競技会やイベントを企画、開催し、スケートボードやBMXのアスリートチームを組織してサポートしている(甲7及び申立人の主張)。
また、申立人は、引用商標に係る商品に関して、スニーカーやファッションに関する男性、女性向けの各種雑誌、「TRANSWORLD SKATEboarding」等スポーツに関する雑誌にも特集記事や広告を掲載している(甲8)。
さらに、申立人は、他のブランドや映画等とコラボレーションをした靴を製作、販売し、それらの中敷きに引用商標2が付されている(甲7)。
(ウ)引用商標に係るスニーカー、スリッポン、スケートシューズ(スケートボードに適した靴)は、靴の大手小売チェーンであるABCマートにおいて販売されている(甲10)。
(エ)スケートボードロゴについては、2012年8月24日出力のVANS JAPANの公式ウェブサイトの左上に表示されている(甲8)。
また、「HOUYHNHNM(フイナム)」のウェブサイトにおける「NEWS」のページには、「バンズが村上隆とコラボレーション!」(2015年6月25日)の見出しの下、スケートボードロゴの上に犬が座っているような図形を表示しており、同図形は、スニーカーの中敷きにも表示されていると見られるところ、スケートボードロゴのみでは、使用されていない(甲9)。
(オ)スニーカーを中心とした引用商標に係る商品の売上げは、2004年(平成16年)の時点で305億円、2016年(平成28年)の時点で1200億円となり、同年には、海外において複数のメディアが、申立人の企画した引用商標に係るブランド50周年記念キャンペーンについて取り上げ、日本国内でも、雑誌において引用商標に係るブランドが50周年であることが取り上げられ、それに関連したイベントが開催されるなどした(職権調査(平成30年(行ケ)第10026号判決))。
イ 上記アの事実によれば、引用商標が、スニーカーなどとともにファッション雑誌等で取り上げられ、広告されており、スニーカーの人気ブランドといわれるようになっていたと認められる。
そうすると、引用商標は、本件商標の登録出願及び査定の時点において、スニーカーの商品分野で、我が国の一般消費者の間で周知となっていたものと認められる。
なお、スケートボードロゴについては、申立人提出の証拠から、VANS JAPANの公式ウェブサイトに使用されていることが見受けられるものの、雑誌等に掲載されていることは見いだせないから、広く知られているとまでは認めることができない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「VANPRO」の欧文字を書してなるところ、外観上、同書同大でまとまりよく一体に表されており、その構成文字全体から生じる「バンプロ」の称呼も格別冗長というべきものではなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、上記のような構成からなる本件商標について、その構成中のいずれかの文字部分のみが出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべき事情も見いだせない。
そうすると、本件商標に接する需要者は、その構成文字全体をもって把握するというのが相当である。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「バンプロ」の称呼を生じ、該構成文字から具体的な意味合いを認識させるものとはいい難いことから、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標1は、前記2(1)アのとおり「VANS」の欧文字、引用商標2は、別掲1のとおり「VANS」の欧文字をデザイン化したものであって、共に該構成文字から「バンズ」の称呼が生じる。
また、引用商標は、前記(1)からすれば、「申立人の業務に係るブランド」といった観念も生じるものと認められる。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とを比較すると、両者は、外観において、構成文字数が明らかに相違し、明確に区別できるものである。
次に、称呼においては、本件商標から「バンプロ」の称呼を生じるのに対し、引用商標からは「バンズ」の称呼を生じ、語頭における「バン」の音を共通にするとしても、全体において4音と3音という音数の相違に加え、後半において「プロ」と「ズ」の音に差異を有するものであるから、明確に聴別できるものである。
さらに、観念においては、本件商標から特定の観念が生じないのに対し、引用商標からは、「申立人の業務に係るブランド」といった観念が生じるから、観念においても紛れるおそれがない。
そうすると、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標とみるのが相当である。
エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品について
本件商標の指定商品中、「スキー,スケートボード,インラインスケート,ローラースケート靴」は、引用商標の指定商品中に包含されているなど、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である。
なお、申立人は、本件商標の指定商品中、「おもちゃ」に属する商品と引用商標の指定商品中、「運動用具」について、国際分類に基づく商品区分(第28類)が同一区分に属する商品として分類されていることと、日本標準産業分類(甲6)において同一の大・中・小分類に区分されていることにより、生産・販売部門、原材料や品質、用途や需要者の範囲を同じくし、関連性の高い類似の商品である旨主張しているが、両商品が、国際分類に基づく商品区分及び日本標準産業分類の小分類において、同一の分類であって、需要者が共通する場合があるとしても、生産・販売部門、原材料や品質、用途が相違するのが通常であるというべきであって、ほかに両商品が類似するというべき証拠の提出もないから、該主張は採用することができない。
オ 小括
以上のとおり、本件商標の指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものであるとしても、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標とみるのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
前記(1)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品「スニーカー」を表示するものとして需要者の間に広く認識されていると認められるが、前記(2)のとおり、本件商標は、引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきである。
また、本件商標の指定商品と申立人の業務に係るスニーカーとは、需要者が共通する場合があるとしても、商品の生産部門、販売部門を異にするものであるから、その関連性は低いものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲

別掲1(引用商標2)


別掲2(スケートボードロゴ)



異議決定日 2020-03-11 
出願番号 商願2018-74387(T2018-74387) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W28)
T 1 651・ 264- Y (W28)
T 1 651・ 271- Y (W28)
T 1 651・ 262- Y (W28)
T 1 651・ 263- Y (W28)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大井手 正雄 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 板谷 玲子
山田 啓之
登録日 2019-05-31 
登録番号 商標登録第6148918号(T6148918) 
権利者 深▲せん▼市万創達科技実業有限公司
商標の称呼 バンプロ、バン、ブイエイエヌ 
代理人 TRY国際特許業務法人 
代理人 秋山 朋子 
代理人 和田 信博 

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