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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
管理番号 1360718 
異議申立番号 異議2019-900343 
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-04-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-11-24 
確定日 2020-03-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第6176435号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6176435号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6176435号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成30年11月5日に登録出願,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,美術品の展示,庭園の供覧,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,運動用具の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,書画の貸与」を指定役務として,令和元年7月25日に登録査定,同年8月30日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標はその指定役務(以下「申立てに係る役務」という。)について,商標法第3条第1項第3号,同項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから,その登録は,同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証を提出した。
1 本件商標について
(1)「サントーシャ」及び「santosha」の意味
「サントーシャ」は,ヨガに関する教えが記載されている「ヨガスートラ」において,ヨガの練習方法のうちの1つを意味する文字として記載されている(甲2?甲5)。また,「santosha」の文字は,「サントーシャ」の文字を普通に用いられる方法で英語表記したものである(甲6?甲8)。詳細には,「ヨガスートラ」は,紀元前5ないし3世紀にパタンジャリ氏により記されたものであり,ヨガの経典として広く知られている(甲2?甲5)。
すなわち,「ヨガスートラ」は,全4章195詩(スートラ)で構成され,その第2章32詩(スートラ)において,ニヤマ(Niyama)のうちの1つとして「サントーシャ」の文字が記載されている(甲2?甲5)。なお,「サントーシャ」は,日本において「知足(足りることを知る)」,「満足」を意味する文字として紹介されることが多い(甲2?甲5)。
このように,「サントーシャ」及び「santosha」の文字は,ヨガの練習方法のうちの1つを意味する文字であり,ヨガの一態様を表示するものである。
また,「サントーシャ」及び「santosha」文字をインタ-ネット検索すると,多数のヨガ教室(又はヨガに関連する情報)や,「ヨガ」に関する各種指導の一部として説明する多数のウェブサイトが検索結果として表示され,国内において多数のヨガ教室やヨガに関連する情報が表示されている(甲10,甲11)。
これらのことから,「サントーシャ」及び「santosha」の文字は,ヨガの練習方法のうちの1つを意味する文字であるとともに,ヨガの一態様を表示するもので,かつ,ヨガ教室及びこれに関連する情報として国内において広く使用されていることを把握することができる。
すなわち,「サントーシャ」及び「santosha」の文字は,ヨガの教授に関わる人達の間では,ヨガの教授の一態様を表示するものとして普通に用いられる文字である。
また,本件商標の商標権者も自らのウェブサイトのトップ画面の一番上側で「知足/サントーシャ」の文字を表示している(甲9)。
このことからも,本件商標の商標権者は,「サントーシャ」及び「santosha」の文字が,指定役務「技芸・スポーツ又は知識の教授」に含まれるヨガの教授の一態様を表示するものであるであることを把握して使用しているものである。
(2)「溶岩ヨガ・スタジオ」の意味
ア 「溶岩ヨガ・スタジオ」は,「溶岩ヨガ」と「スタジオ」とを「・」を挟んで単に並べて表示するものである。
イ 「溶岩ヨガ」のうちの「溶岩」は,マグマが溶融体または半溶融体として地表に噴出したもの,また,それが冷却固結して生じた岩石,を意味する文字である(広辞苑 第5版)。また,「溶岩ヨガ」は,一般に,溶岩(溶岩石)を用いて行われるヨガを意味すると考えられる。例えば,プレート状に加工された溶岩石を床に敷き詰め,その溶岩石の上で行われるヨガが広く普及している(甲12)。
ウ 「スタジオ」は,美術家などの仕事場,写真屋の撮影室,映画の撮影所,放送局の放送室など,録音・録画のできる施設,を意味する文字である(広辞苑 第5版)。また,「スタジオ」は,各種スポーツを行う施設を意味する文字としても使用される。ヨガ(又はその教授)が行われる施設は,ヨガスタジオと称されている。
エ 「溶岩ヨガ・スタジオ」は,溶岩(溶岩石)を用いてヨガを行う施設(スタジオ)を意味する文字であり,ヨガの教授の提供の場所を表示するものである。また,本件商標の商標権者も自らのウェブサイトにおいて「バリ島溶岩石のスタジオ」の文字を表示している(甲9)。
オ 「溶岩ヨガ」,「ヨガスタジオ」及び「溶岩スタジオ」をインタ-ネット検索すると,多数のヨガ教室(又はヨガに関連する情報)が検索結果として表示され,国内において多数のヨガ教室が表示されている(甲12,甲13)。
これらのことから,「溶岩ヨガ」は,溶岩(溶岩石)を用いて行われるヨガを意味する文字であり,ヨガの一態様を表示するものである。「溶岩ヨガ」は,溶岩(溶岩石)を用いて行われるヨガ教室及びこれに関連する情報として広く使用されていることを把握することができる。
また,「ヨガスタジオ」は,ヨガ(又はその教授)が行われる施設を意味する文字として,「溶岩ヨガ・スタジオ」は,溶岩(溶岩石)を用いてヨガを行う施設(スタジオ)を意味する文字として普通に使用されている。
さらに,「ヨガスタジオ」は,ヨガ(又はその教授)が行われる施設(ヨガ教室),「溶岩ヨガ・スタジオ」は,溶岩(溶岩石)を用いてヨガを行う施設(ヨガ教室)及びこれに関連する情報として広く使用されていることを把握することができる。
(3)小括
以上で示したように,本件商標は,ヨガの一態様とヨガの教授の提供の場所とを普通に用いられる方法で表示するものであることから,「溶岩ヨガ・スタジオ」で行う「ヨガ」の一態様を単に意味するものである。
2 商標法第3条第1項第3号,同項第6号,同法第4条第1項第16号について
(1)本件商標は,ヨガの一態様を表示するものとして普通に使用されている文字「片仮名『サントーシャ』及び欧文字『santosha』」と,ヨガの教授の提供の場所を表示するものとして普通に使用されている文字「溶岩ヨガ・スタジオ」とを単に二段表記したものであり,ヨガ及びその教授に携わる業界においては,自他役務識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり,また,一私人に使用を独占させるべきではない。
(2)本件商標のうちの「溶岩ヨガ・スタジオ」は,溶岩(溶岩石)を用いてヨガを行う施設(スタジオ)を意味する文字として普通に使用されていることから,本件商標を,溶岩(溶岩石)を用いずにヨガを行う施設(スタジオ)において使用するときは,役務の質について誤認を生ずるおそれがおる。
(3)指定役務について
ア 本件商標をその指定役務中「技芸・スポーツ又は知識の教授」に含まれる「溶岩(溶岩石)を用いて行うヨガの教授」に使用しても,これに接する取引者,需要者は,単に役務の質を表示した語と認識するものであるから,該文字は自他役務識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり,かつ,役務「溶岩(溶岩石)を用いて行うヨガの教授」以外の役務「技芸・スポーツ又は知識の教授」に使用するときは,役務の質について誤認を生ずるおそれがある。
イ 本件商標をその指定役務中「セミナーの企画・運営又は開催」に含まれる「溶岩(溶岩石)を用いて行うヨガに関するセミナーの企画・運営又は開催」に使用しても,これに接する取引者,需要者は,単に役務の質を表示した語と認識するものであるから,該文字は自他役務識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり,かつ,役務「溶岩(溶岩石)を用いて行うヨガに関するセミナーの企画・運営又は開催」以外の役務「セミナーの企画・運営又は開催」に使用するときは,役務の質について誤認を生ずるおそれがある。
ウ 本件商標をその指定役務中「運動施設の提供」に含まれる「溶岩(溶岩石)を用いてヨガを行う施設(スタジオ)の提供」に使用しても,これに接する取引者,需要者は,単に役務の質を表示した語と認識するものであるから,該文字は自他役務識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり,かつ,役務「溶岩(溶岩石)を用いてヨガを行う施設(スタジオ)の提供」以外の役務「運動施設の提供」に使用するときは,役務の質について誤認を生ずるおそれがある。
エ 本件商標をその指定役務中「電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,美術品の展示,庭園の供覧,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,運動用具の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,書画の貸与」のうち,ヨガに関する役務に使用しても,これに接する取引者,需要者は,単に役務の質を表示した語と認識するものであるから,該文字は自他役務識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり,かつヨガに関する役務以外の役務に使用するときは,役務の質について誤認を生ずるおそれがある。
3 むすび
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号,同項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当し商標登録を受けることができないものであるから,本件商標の登録は商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標は,別掲のとおりの構成からなり,上段に大きく「santosha」の文字を表し,その下に上段の3分の1程度の大きさで「溶岩ヨガ・スタジオ サントーシャ」の文字を表してなるものである。
そして,上段に大きく書された「santosha」の文字及び下段の「サントーシャ」の文字部分は,申立人提出の証拠によれば,「知足,満足すること,すでに満たされていることに気づく」等を表す語として書籍に掲載されているとしても(甲2?甲5),一般的な辞書等には,載録されていない語であるから,一種の造語とみるのが相当であり,特定の意味合いを生じないものである。
また,下段の「溶岩ヨガ・スタジオ」の文字部分は,「マグマが溶融体または半溶融体として地表に噴出したもの,また,それが冷却固結して生じた岩石」の意味を有する語である「溶岩」の語と,「古代から伝わるインドの宗教的実践の方法。精神を統一し,物質の束縛から解脱(げだつ)をはかる。またその際,身体的修練を重んじ,現在では健康法の一つとしても行われる。」の意味を有する「ヨガ」の語と「美術家などの仕事場。写真屋の撮影室。映画の撮影所。放送局の放送室など,録音・録画のできる施設。」の意味を有する「スタジオ」の語(いずれも,株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)を結合してなるところ,これらの文字構成からは,特定の意味合いを生じるものとはいい難いものである。
なお,申立人は,「溶岩ヨガ・スタジオ」の文字部分は,溶岩(溶岩石)を用いてヨガを行う施設(スタジオ)を意味する文字である旨を主張しているが,申立人提出の証拠は,インターネットにおける「溶岩ヨガ」及び「溶岩ヨガ・スタジオ」の文字を検索した検索結果にすぎないから,具体的に当該文字がどのように使用されているかが不明であり,また,日付の記載もないことから,これらの証拠が登録査定日以前のものであるかを確認することもできない。
そうすると,本件商標は,その構成各文字及び構成文字全体からは,直ちに特定の役務の質(内容)・提供場所を具体的かつ直接的に表したものとして,取引者,需要者に認識させるとはいい難いものである。
また,当審において職権をもって調査したが,申立てに係る役務を取り扱う業界において,本件商標の構成各文字及び構成文字全体が,本件商標の登録査定時に役務の質(内容)・提供場所を表すものとして普通に用いられている事実を発見することができなかった。
さらに,本件商標の構成各文字及び構成文字全体が,申立てに係る役務について,特定の意味合いをもち,役務の具体的な質(内容)・提供場所を表示するものとして使用され,取引者又は需要者に役務の質(内容)・提供場所を表すものとして一般に認識されていると認めるに足る事実も見いだせない。
してみれば,本件商標は,その登録査定時において,申立てに係る役務の質(内容)・提供場所を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえないと判断するのが相当である。
その他に,本件商標が,役務の質等を表示するとすべき事情は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当しない。
2 商標法第3条第1項第6号該当性について
本件商標は,上記1のとおり,本件商標の登録査定時において,申立てに係る役務の質(内容)・提供場所を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえず,また,申立てに係る役務について,当審において職権をもって調査したが,役務の宣伝広告や企業理念・経営方針等を表示する標章として使用されているという事実も発見できない。
そうすると,本件商標は,その登録査定時において,自他役務を識別する機能を有するものであり,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標とはいえないと判断するのが相当である。
その他に,本件商標が,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標とすべき事情は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第6号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は,上記1のとおり,申立てに係る役務の質等として需要者に認識されないものであるから,本件商標を,申立てに係る役務に使用しても役務の質について誤認を生じさせるおそれはないと判断するのが相当である。 その他に,本件商標が,役務の質について誤認を生じるおそれがあるとすべき事情は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第16号に該当しない。
4 まとめ
以上のとおり,本件商標は,申立てに係る役務について,商標法第3条第1項第3号,同項第6号及び同法第4条第1項第16号のいずれにも該当するものではなく,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。

別掲(本件商標)



別掲
異議決定日 2020-02-26 
出願番号 商願2018-137188(T2018-137188) 
審決分類 T 1 651・ 13- Y (W41)
T 1 651・ 272- Y (W41)
T 1 651・ 16- Y (W41)
最終処分 維持  
前審関与審査官 杉本 克治 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 榎本 政実
小俣 克巳
登録日 2019-08-30 
登録番号 商標登録第6176435号(T6176435) 
権利者 TSCホリスティック株式会社
商標の称呼 ヨーガンヨガスタジオサントーシャ、ヨーガンヨガスタジオ、ヨーガンヨガ、ヨーガン、スタジオサントーシャ、サントーシャ 
代理人 高橋 伸也 

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