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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 Z3542 審判 全部申立て 登録を維持 Z3542 審判 全部申立て 登録を維持 Z3542 |
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管理番号 | 1360698 |
異議申立番号 | 異議2019-900102 |
総通号数 | 244 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2020-04-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-03-27 |
確定日 | 2020-02-28 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6109987号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6109987号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6109987号商標(以下「本件商標」という。)は,「UXライティング」の文字を標準文字により表してなり,平成30年2月23日に登録出願,第35類「広告業,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供」及び第42類「デザインの考案」を指定役務として,同年10月31日に登録査定,同年12月28日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標はその指定役務中,第35類の「広告業」(以下「申立てに係る役務」という。)について,商標法第3条第1項第3号,同項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するから,その登録は取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証を提出した。 1 「広告業」の業界における「UXライティング」の使用状況について 本件商標は,「UXライティング」の文字を標準文字で表してなり,その構成中「UX」の文字部分は,「ユーザーエクスペリエンス(User Experience)の略で,ユーザーが製品・サービスを通じて得られる体験」の意味(甲1)を,また,「ライティング」の文字部分は,「【Writing】文章を書くこと」の意味(「大辞林第三版」株式会社三省堂)を有するものである。 また,「UXライティング」の文字は,インターネット情報(甲2?甲12,すべて本件商標に係る登録査定の起案日前に公開されている情報)によれば,ウェブサイトなどの画面デザインやマーケティングの分野において「UX観点でのライティング」,「ユーザーの体験を言葉で支援するデザイン手法」といった意味合いで普通に使用されている事実がある。 さらに,国内最大の検索エンジンGoogleで「UXライティング」を検索すると,検索結果は約1,390,000件にも及ぶ(甲13)。 そして,平成30年7月12日にAll Turtlesが主催するイベント「シリコンバレーのUXライターが語る,UXライティングの重要性」が開催され(甲14),同年8月29日にUX MILK主催のUXを題材にしたイベント内で「コンテンツマーケターが考えるUXライティング」をテーマとした講演がされる(甲15)など,「UXライティング」は,ユーザーや消費者に影響を与え得るものとして注目を集めている実情があることがわかる。 加えて,検索エンジンGoogleで「UXライティング」を検索すると,これに関連する検索キーワードとして,「UXライター」を含む語が表示される(甲16)。 そして,「UXライター」は,「UXライティングを行う職種」といった意味合いで普通に使用されている事実がある(甲17?甲19)。この事実からも,本件商標「UXライティング」をその指定役務「広告業」に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,本件商標を自他役務の識別標識として理解しないというべきである。 2 商標法第3条第1項第3号,同項第6号及び同法第4条第1項第16号について 上記1の実情を踏まえると,本件商標をその指定役務中,第35類「広告業」に使用しても,これに接する取引者,需要者は,「UX観点でのライティング」といった意味合いを認識し,当該文言に着目して提供される役務(例えば,「UX観点でのライティングを活用した広告」,「UX観点でのライティングを活用した広告文の作成」)であると理解するに止まるから,該文字は自他役務識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり,かつ,上記以外の役務に使用するときは,役務の質について誤認を生ずるおそれがある。 第3 当審の判断 1 商標法第3条第1項第3号該当性について 本件商標は,前記第1のとおり,「UXライティング」の文字を標準文字により表してなるところ,その構成中「UX」の文字部分は,マーケティング用語辞典において,「ユーザーエクスペリエンス(User Experience)の略で、ユーザーが製品・サービスを通じて得られる体験を意味する語」として記載され(甲1),また,「ライティング」の文字は,「書くこと」等の意味(「コンサイスカタカナ語辞典第四版」株式会社三省堂)を有する外来語であって,それぞれ一般に用いられることがあるとしても,「UXライティング」の文字全体からは,直ちに特定の役務の質,内容などを具体的かつ直接的に表したものとして,取引者,需要者に認識させるとはいい難いものである。 なお,申立人が提出した証拠(甲2?甲12)によれば,コピーライティングの分野において「UXライティング」の文字が使用され,例えば「UXライティングとは『ユーザーが目にする言葉を設計することによって、プロダクトとユーザーのコミュニケーションをデザインする分野』」(甲2),「UXライティングは、この分野の専門技術のひとつです。ユーザーが目標を達成することを、言葉で手助けするのが目的です。」(甲6)等の記載があるとしても,申立人の主張する「UX観点でのライティング」,「ユーザーの体験を言葉で支援するデザイン手法」といった意味合いで普通に使用されているものであるとはいい難く,これらの証拠のみによって「UXライティング」の文字が,申立てに係る役務の質を直接的に表示したものとして理解されるとは認めることができない。 また,当審において職権をもって調査したが,申立てに係る役務について,「UXライティング」の文字が,本件商標の登録査定時に役務の質等を表すものとして普通に用いられている事実を発見することができない。 さらに,「UXライティング」の文字が,申立てに係る役務について,特定の意味合いをもち,役務の具体的な質等を表示するものとして使用され,取引者又は需要者に役務の質を表すものとして一般に認識されていると認めるに足る事実も見いだせない。 そうすると,本件商標は,その登録査定時において,申立てに係る役務の質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえないと判断するのが相当である。 その他に,本件商標が,役務の質等を表示するとすべき事情は見いだせない。 したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当しない。 2 商標法第3条第1項第6号該当性について 本件商標は,上記1のとおり,本件商標の登録査定時において,申立てに係る役務の質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえない。 また,当審において職権をもって調査したが,申立てに係る役務について,「UXライティング」の文字が,役務の宣伝広告や企業理念・経営方針等を表示する標章として使用されているという事実を発見することができない。 そうすると,本件商標は,その登録査定時において,自他役務を識別する機能を有するものであり,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標とはいえないと判断するのが相当である。 その他に,本件商標が,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標とすべき事情は見いだせない。 したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第6号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第16号該当性について 本件商標は,上記1のとおり,申立てに係る役務の質等として需要者に認識されないものであるから,本件商標を,申立てに係る役務に使用しても,役務の質について誤認を生じさせるおそれはないと判断するのが相当である。 その他に,本件商標が,役務の質について誤認を生ずるおそれがあるとすべき事情は見いだせない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第16号に該当しない。 4 まとめ 以上のとおり,本件商標は,その指定役務中,申立てに係る役務について,商標法第3条第1項第3号,同項第6号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。 よって,結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2020-02-20 |
出願番号 | 商願2018-27114(T2018-27114) |
審決分類 |
T
1
651・
16-
Y
(Z3542)
T 1 651・ 272- Y (Z3542) T 1 651・ 13- Y (Z3542) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 大島 勉 |
特許庁審判長 |
半田 正人 |
特許庁審判官 |
小松 里美 小俣 克巳 |
登録日 | 2018-12-28 |
登録番号 | 商標登録第6109987号(T6109987) |
権利者 | 永井 一二三 |
商標の称呼 | ユウエックスライティング、ライティング |
代理人 | 特許業務法人JAZY国際特許事務所 |