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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W25 審判 一部申立て 登録を維持 W25 審判 一部申立て 登録を維持 W25 審判 一部申立て 登録を維持 W25 |
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管理番号 | 1359808 |
異議申立番号 | 異議2019-900205 |
総通号数 | 243 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2020-03-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-07-29 |
確定日 | 2020-02-06 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6141383号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6141383号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6141383号商標(以下「本件商標」という。)は,「FREEZE TECH Air」の文字を標準文字により表してなり,平成30年10月24日に登録出願,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」のほか,第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同31年4月10日に登録査定,同月26日に設定登録されたものである。 2 引用商標 (1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録商標は,以下のとおりであり,現に有効に存続しているものである。 国際登録第1262736号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:別掲のとおり 国際登録出願日:2014年(平成26年)12月15日 優先権主張:Italy 2014年6月19日 設定登録日:平成28年4月1日 指定商品 :第25類「Anoraks, trousers, shorts, jeans, pants, slips, shirts, T-shirts, polo shirts, short-sleeve shirts, sweat shirts, skirts, sweaters, parkas, jerseys, jumpers, pullovers, cardigans, jackets, wind-resistant jackets, track suits, vests, waistcoats, suits, dresses, combinations (clothing), blouses, belts, gloves, hats, caps, berets, headbands, scarves; knitwear, namely, pants, shirts, T-shirts, polo shirts, shorts, sweaters, vests, cardigans, jackets, hats and scarves; outer clothing, namely, outer jackets, outer coats, scarves; underwear; sleepwear; waterproof clothing, namely, pants, jackets and gloves; coats, raincoats, overcoats, topcoats, socks, stockings, leggings, hosiery, tights; casual wear; sports wear; swim wear; bath robes; clothing for cyclists, mountain bikers, motorcyclists, motorists, skiers and mountain climbers; sports footwear; gymnastic shoes, running shoes, jogging shoes; shoes and boots for cyclists, mountain bikers, motorcyclists, motorists, skiers and mountain climbers; shoes for casual wear; leisure shoes; slippers; sandals.」のほか,第9類,第12類及び第28類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品 (2)申立人が,本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は,上記引用商標1と申立人が使用する「TECH-AIR」の文字からなる商標(以下「引用商標2」という。)及び「Tech-Air」の文字からなる商標(以下「引用商標3」という。)であって,申立人の業務に係る商品「エアバッグが搭載されたオートバイ用ジャケット,エアバッグを搭載可能なオートバイ用ジャケット」(以下「申立人使用商品」という。)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとするものである。 以下,これらをまとめていうときは,「引用商標」という。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は,本件商標の指定商品中,第25類に属する商品(以下「申立てに係る商品」という。)について,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第32号証(枝番を含む。なお,枝番全てを示すときは,枝番を省略する。)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は,申立てに係る商品との関係上,識別力の弱い「FREEZE」(甲25?27)と強く支配的な印象を与える「TECH Air」との結合からなる商標であり,「TECH Air」の部分から「テックエアー」の称呼を生じる。 また,引用商標1も,「テックエアー」の称呼を生じるから,本件商標とは,「テックエアー」の称呼を共通にする類似のものである。 本件商標の指定商品も,「仮装用衣服」を除いて,引用商標1の指定商品と互いに抵触するものである。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第15号について 引用商標は,申立人使用商品に使用する商標として,広く一般に知られているから(甲3?24),本件商標が申立てに係る商品に使用された場合,商品の出所について混同を生じるおそれがある。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知著名性について ア 申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば,以下のことが確認できる。 (ア)申立人は,1963年(昭和38年)に設立されたイタリアに本社をおくモータースポーツ総合アパレルメーカー(甲3)であって,2006年(平成18年)から2018年(平成30年)までのMotoGPのサーキット場内に,申立人がスポンサーであることの宣伝広告をしている(甲6)。 また,設立50周年を記念して2013年(平成25年)に発行された「ONE GOAL.ONE VISION.50YEARS」(甲4)には,2003年(平成15年)の「Airbag jacket」のテストの様子が掲載されている。 (イ)「WEB mr.Bike」のウェブサイトにおける「河野正士の『最新バイク関連技術レポート』その1」の記事において「EICMA/ミラノショー期間中に,アルパインスターズは,2015年春からヨーロッパで発売を予定しているアルパインスターズ独自のエアバッグシステム『TECH-AIR(テックエア)』を装備したストリート用ライディングジャケットを発表」の記載がある(甲12)。 (ウ)申立人は,日本を含めた申立人商品の販売状況リスト(甲14)を提出し,販売額及び販売数量を示しているが,当該リストは,申立人作成のものであり,かつ,当該商品の各国の市場シェアや取引の実情等が不明であって,当該リストの数字を評価することができない。 (エ)雑誌の掲載について オートバイ関連のドイツ・スペイン・フランス・イタリア・イギリス・ベネルクス・米国雑誌(2016年(平成28年)5月から2019年(令和元年)7月発行:甲16?19)には,引用商標1の表示とともに,申立人使用商品が広告されている。 我が国においては,雑誌「オートバイ」(2018年(平成30年)7月・9月,2019年(令和元年)9月発行:甲20の1?3),雑誌「RIDERS CLUB」(2018年(平成30年)6月・7月・8月発行:甲20の4?6)に,引用商標1の表示とともに,申立人使用商品が広告されている。 (オ)申立人使用商品に関するカタログ(2015年(平成27年)?2019年(平成31年/令和元年):甲21)には,引用商標1及び引用商標2が表示されているが,英語版のものであるから,日本向けのカタログとはいえない。 (カ)「Racing Heroes」のウェブサイト(甲24)における2016年(平成28年)9月14日付けの「Alpinestars驚きのエアバッグシステム」の見出しの記事の下, 「『Alpinestars(アルパインスターズ)』の2017年新商品発表会『Alpinestars 2017 SPRING A-TECH』が東京都品川区・大森ベルポートで開催されました。ジャケット,パンツ,ブーツ,グローブなど2017年発売の魅力的なモデルが次々と発表されました。・・・レーシングスーツに採用されている『エアバッグシステム:TECH Air』です。」の記載がある。 イ 上記アからすれば,申立人は,1963年(昭和38年)に設立されたイタリアに本社をおくモータースポーツ総合アパレルメーカーであり,申立人使用商品に引用商標1及び引用商標2を表示し,2015年(平成27年)頃から外国向けのカタログを作成し,オートバイ関連の外国雑誌に広告しており,我が国においては,2018年(平成30年)6月頃からオートバイ関連の雑誌に広告していることが認められる。 しかしながら,申立人は自己の業務に係る申立人使用商品に引用商標1又は引用商標2を使用しているものの,オートバイ関連の雑誌広告のみをもって広く一般に知られているとはいい難く,当該商品に関する我が国における市場シェアなど販売実績,広告宣伝の規模等の事実を裏付ける具体的な証拠の提出はなく,それらの詳細は不明であることからすると,提出された証拠によっては,引用商標の周知著名性を推し量ることができない。 そうすると,提出された証拠によっては,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の需要者の間に,引用商標が申立人使用商品を表示するものとして,広く認識されていたと認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は,前記1のとおり,「FREEZE TECH Air」の文字を標準文字で表してなるところ,全体としてまとまりよく一体に表されており,その構成文字全体から生じる「フリーズテックエア」の称呼も格別冗長というべきものではなく,よどみなく一連に称呼し得るものである。 そして,本件商標は,具体的な意味合いを認識させるものとはいい難いことから,これに接する需要者は,本件商標の構成文字全体をもって,特定の意味合いを想起させることのない一種の造語を表したものと理解するというのが相当である。 そうすると,本件商標は,その構成文字に相応して,「フリーズテックエア」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。 イ 引用商標1 引用商標1は,別掲のとおり,中央に表された星形風図形が「TECH-」の文字とそれに続く「IR」の文字との間に重なるように表されている構成からなり,一体的なデザインが施された商標というべきであって,全体がまとまりよく一体的に表されていることから,一体のものと需要者に看取されるというべきである。 そうすると,引用商標1は,その構成全体から,特定の称呼及び観念を生じないというべきである。 ウ 本件商標と引用商標1との類否 本件商標と引用商標1とを比較すると,両者は,上記ア及びイのとおりの構成からなるところ,外観においては,文字のみと文字と図形を組み合わせた構成という差異を有するから,外観上,明確に区別できるものである。 次に,称呼においては,本件商標から「フリーズテックエア」の称呼を生じるのに対し、引用商標1からは特定の称呼を生じないから,称呼上,互いに紛れることはないものである。 そして,観念においては,本件商標及び引用商標1は,ともに特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較することができない。 そうすると,両商標は,外観において,明確に区別できるものであり,称呼においても,互いに紛れることはないものであって,観念において比較できないものであるから,これらを総合的に考慮すれば,両者は,相紛れるおそれのない非類似の商標とみるのが相当である。 エ 申立てに係る商品及び引用商標1の指定商品との類否 本件商標の指定商品中,申立てに係る商品は,「仮装用衣服」を除き,引用商標1の第25類の指定商品と,同一又は類似の商品である。 オ 申立人の主張について 申立人は,本件商標の構成中,「FREEZE」の語は,被服関連分野においては,冷感・涼感又は冷却効果を実感できる商品に対して普通に使用されており,当該文字は識別力が弱く,強く支配的な部分は,「TECH Air」の部分である旨主張している。 しかしながら,「FREEZE」の語は,「凍る,凍りつく」の意味を有する英語として知られているものであって,申立人提出の証拠には,「OMNI-FREEZE」が「汗を利用して生地全体の温度を瞬時に下げ,持続的なクーリングを提供。」(甲25),「FREEZE COOLER」が「ベスト全体に張り巡らされているチューブにバッグ内で冷却された水をポンプで循環させることで体を冷却します。」(甲26),「XYLI FREEZE」が「生地のキシリトールが汗に反応し涼感ゲット!」(甲27)等の記載があるものの,「FREEZE」の語が申立てに係る商品の具体的な品質を表すものとして使用されているとはいい難いから,申立人の主張は採用することができない。 カ 小括 以上のとおり,本件商標の指定商品中,「仮装用衣服」以外の申立てに係る商品が引用商標1の指定商品と同一又は類似であるとしても,本件商標は,引用商標1と非類似の商標であるから,商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 引用商標の周知著名性及び独創性の程度 引用商標は,上記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,取引者,需要者の間に広く認識されていたとはいえない。 また,引用商標1は,文字と図形を組み合わせたものであるから,独創性の程度は高いものといえ,引用商標2及び3は,既成の語である「TECH(Tech)」及び「AIR(Air)」とを「-」(ハイフン)で結合したものであるから,その独創性の程度は高いとはいえない。 イ 本件商標と引用商標との類似性の程度 (ア)上記(2)ウのとおり,本件商標は,引用商標1とは非類似の商標である。 (イ)本件商標は,上記(2)アのとおり,「フリーズテックエア」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものであり,一方,引用商標2及び3は,「TECH-AIR」及び「Tech-Air」の文字からなるところ,当該構成文字に相応して,「テックエア」の称呼を生じ,当該文字は辞書等に掲載が認められないものであるから,特定の意味合いを有しない一種の造語として認識され,特定の観念を生じないものである。 そうすると,本件商標と引用商標2及び3とは,外観においては,その構成文字に明らかな差異を有するから,外観上,明確に区別できるものである。 また,称呼においては,両者は,「フリーズ」の音の有無に差異を有するから,称呼上,明らかに聴別できるものである。 さらに,観念においては,ともに特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較することができない。 したがって,本件商標と引用商標2及び3は,外観において,明確に区別できるものであり,称呼においても,明瞭に聴別できるものであって,観念において比較できないものであるから,これらを総合的に考慮すれば,両者は,相紛れるおそれのない非類似の商標とみるのが相当である。 (ウ)以上からすると,本件商標と引用商標とは,相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異のものというべきであるから,両者の類似性の程度は低いものである。 ウ 出所の混同のおそれについて 上記のとおり,引用商標1は,その独創性の程度は高いといえるが,引用商標2及び3は,その独創性の程度は高いとはいえず,また,引用商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,取引者,需要者の間に広く認識されているとはいえない。そして,本件商標と引用商標とは,相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標といえるものであり,両者の類似性の程度は低いものであるから,本件商標は,商標権者がこれを申立てに係る商品について使用しても,これに接する取引者,需要者が引用商標を連想,想起するようなことはないというべきであって,申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生じさせるおそれがある商標ということはできない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)むすび 以上のとおり,本件商標は,申立てに係る商品について,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(引用商標1) ![]() |
異議決定日 | 2020-01-27 |
出願番号 | 商願2018-132323(T2018-132323) |
審決分類 |
T
1
652・
262-
Y
(W25)
T 1 652・ 263- Y (W25) T 1 652・ 261- Y (W25) T 1 652・ 271- Y (W25) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 田中 瑠美 |
特許庁審判長 |
榎本 政実 |
特許庁審判官 |
薩摩 純一 平澤 芳行 |
登録日 | 2019-04-26 |
登録番号 | 商標登録第6141383号(T6141383) |
権利者 | 株式会社リベルタ |
商標の称呼 | フリーズテックエアー、フリーズテックエア、フリーズテック |
代理人 | 特許業務法人 谷・阿部特許事務所 |