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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W45 |
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管理番号 | 1359800 |
異議申立番号 | 異議2018-900156 |
総通号数 | 243 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2020-03-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-06-18 |
確定日 | 2020-02-06 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6029680号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6029680号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6029680号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成29年5月19日に登録出願、第45類「ファッション情報の提供,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,施設の警備,身辺の警備,家事の代行」のほか、第5類、第9類、第10類、第16類、第21類及び第24類ないし第26類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定役務及び指定商品として、同30年2月26日に登録査定され、同年3月23日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、次の(1)及び(2)のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれも同人が「世界を代表する『万年筆』のブランドとして、またその他ファッション関連商品のブランドとして非常に著名」とするものである。 (1)「MONTBLANC」の欧文字からなる商標(以下「引用商標1」という。) (2)「モンブラン」の片仮名からなる商標(以下「引用商標2」という。) 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標はその指定商品及び指定役務中、第45類「全指定役務」について、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証(枝番号を含む。)を提出した。 本件商標は、片仮名の「モンブラン」からなり、当該文字中「ブ」が水色、その他の4文字がグレーで表されているものである。 申立人は、世界中で商標「MONTBLANC」及び「モンブラン」の登録を、様々な商品及び役務について保有し、日本においても20件の商標登録を保有している(甲2)。 ところで、「MONTBLANC」及び「モンブラン」といえば、有名な「万年筆」のブランドであるが、申立人は万年筆その他の文房具に加えて様々な商品を販売している。その中には例えば「男性向けギフト」として財布、カフスボタン、時計、バッグ、「女性向けギフト」としてバッグ、財布、時計等、「新商品のご紹介」として時計、財布が紹介されているほか、香水も販売している(甲3)。 このような状況において、本件商標権者が本件商標を第45類の指定役務、例えば「ファッション情報の提供」に使用した場合、これに接した需要者・取引者は当該役務が申立人の業務と何らかの関係があるものとして認識する可能性は非常に高い。 したがって、本件商標は、申立人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知性について ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット調査など)によれば、次のとおりである。 (ア)申立人は、我が国において昭和20年代頃から万年筆などの商品について引用商標を使用し販売を開始し、その後、ボールペンについても引用商標を使用し現在まで継続して販売していることが推認できる(甲3、職権調査)。 (イ)申立人は、現在においては、万年筆、ボールペンのほか、財布、カフスボタン、時計、バッグ、香水などについても引用商標を使用し販売している(甲3)。 イ 上記アによれば、引用商標は、申立人の業務に係る商品「万年筆、ボールペン」を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されていることがうかがえる。 しかしながら、一般に「万年筆、ボールペン」は、被服、バッグ、靴などのようにファッションと関連性の程度が高い商品とはいえないものであるから、引用商標が、第45類「ファッション情報の提供」を始め、登録異議の申立てに係る指定役務の需要者の間で広く認識されていると認めることはできず、また、需要者の間で広く認識されていることをうかがい得る事情は見いだせない。 そうすると、仮に引用商標が本件商標の登録出願日(平成29年5月19日)ないし登録査定日(平成30年2月26日)において、申立人の業務に係る商品「万年筆、ボールペン」を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているとしても、登録異議の申立てに係る指定役務の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性について 本件商標は、別掲のとおり、「モンブラン」の文字からなるものであり、引用商標1は、「MONTBLANC」の文字からなり、引用商標2は、「MONTBLANC」の文字を片仮名表記した「モンブラン」の文字からなるものであるから、両商標は類似するものであって、類似性の程度は極めて高いものといえる。 しかしながら、上記(1)のとおり、引用商標は登録異議の申立てに係る指定役務の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものであること、「モンブラン」の語が「(アルプスの山の名称としての)モンブラン」「(ケーキの一種としての)モンブラン」などの意味を有する我が国で親しまれた成語であること、及び「万年筆、ボールペン」は、被服、バッグ、靴などのようにファッションと関連性の程度が高い商品とはいえないことを併せみれば、本件商標は、本件商標権者がこれを登録異議の申立てに係る指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。 その他、本件商標が出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標の指定商品及び指定役務中、登録異議の申立てに係る指定役務についての登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 なお、申立人は、申立人と本件商標権者との間で共存契約について交渉が継続中につき、本件の審理を猶予してほしい旨述べているが、相当の期間が経過するも、申立人は、上記交渉の具体的な目処も明らかにしておらず、これ以上、本件の審理を遅延させるべき合理的な理由はないものと判断し、審理を進めることとした。 |
別掲 |
別掲 本件商標(色彩については、原本参照。) |
異議決定日 | 2020-01-28 |
出願番号 | 商願2017-68332(T2017-68332) |
審決分類 |
T
1
652・
271-
Y
(W45)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 泉田 智宏 |
特許庁審判長 |
中束 としえ |
特許庁審判官 |
山田 啓之 平澤 芳行 |
登録日 | 2018-03-23 |
登録番号 | 商標登録第6029680号(T6029680) |
権利者 | 住商モンブラン株式会社 |
商標の称呼 | モンブラン |
代理人 | 特許業務法人 松原・村木国際特許事務所 |
代理人 | 蔦田 正人 |