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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 取り消して登録 W30
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 W30
管理番号 1359639 
審判番号 不服2019-700 
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-01-18 
確定日 2020-02-05 
事件の表示 商願2016-136909拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「甲斐サーモン」の文字を標準文字で表してなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成28年12月5日に登録出願されたものである。
その後、原審における平成29年8月28日受付の手続補正書及び当審における令和元年11月5日受付の手続補正書により、その指定商品は、第30類「菓子,調味料,香辛料,穀物の加工品,即席菓子のもと」と補正された。

2 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「甲斐サーモン」の文字を普通に用いられる方法(標準文字)で表してなるところ、「甲斐サーモン」の文字は、山梨県甲斐市牛句所在の山梨県養殖漁業協同組合が、山梨県内で養殖された1kg以上の大型ニジマスに使用した結果、本願商標出願前から、我が国の需要者間において広く認識されている著名な商標「甲斐サーモンレッド」(以下「引用商標」という場合がある。)の「甲斐サーモン」の文字からなる。
そうすると、本願商標を出願人がその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、当該商品が、あたかも山梨県養殖漁業協同組合又はそれと組織的、経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 当審においてした拒絶理由通知
当審において、以下のとおり、本願商標の商標法第4条第1項第15号該当性に関する暫定的見解及び商標法第3条第1項第3号に基づく拒絶理由について、請求人に対して通知し(令和元年9月12日付け拒絶理由通知書)、意見を求めた。
(1)本願商標は、「甲斐サーモン」の文字を標準文字で表してなり、第30類に属する商品を指定商品とするところ、山梨県養殖漁業協同組合が「養殖された大型のニジマス」について使用する引用商標「甲斐サーモンレッド」の商標との間において、混同を生ずるおそれはない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(2)本願商標は、上記(1)のとおりの構成よりなるところ、その構成中の「甲斐」の文字は「旧国名。いまの山梨県。」の意味を、「サーモン」の文字は「鮭」の意味を有する語として(「広辞苑 第6版」岩波書店)、いずれも親しまれた語であること、また、山梨県で養殖された大型のニジマスが「甲斐サーモン」と称して生産、販売され、様々な料理の原材料として利用されている取引の実情があることを踏まえると、本願商標は構成全体をして「山梨県で生産、販売されたサーモン(ニジマス)」程度の意味を認識させるものである。
そうすると、本願商標は、その指定商品中「パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,パスタソース」について使用するときは、その需要者及び取引者をして、商品の原材料を表示したものと認識させるにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を有するものではない。
したがって、本願商標は、上記指定商品に使用するときは、商品の原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。

4 拒絶理由通知に対する請求人の意見の要点
請求人は、本願商標の指定商品について、拒絶理由に該当するとして、上記3(2)で指摘された商品を削除し、第30類「菓子,調味料,香辛料,穀物の加工品,即席菓子のもと」とする補正をしたため、本願の拒絶の理由は解消した旨述べた。

5 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性
本願商標は、「甲斐サーモン」の文字を標準文字で表してなるところ、上記3(2)のとおり、構成全体をして「山梨県で生産、販売されたサーモン(ニジマス)」程度の意味を認識させるもので、上記商品と関連する商品に使用するときは、その需要者及び取引者をして、商品の原材料を表示したものと認識させるにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を有するものではなく、商標法第3条第1項第3号に該当する。
しかしながら、本願商標の指定商品は、上記1のとおり補正された結果、補正後の指定商品は、サーモン(ニジマス)を原材料として通常採択するようなものではなく、本願商標に接する需要者及び取引者をして、商品の原材料を表示したものと直ちに認識させるものではない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした拒絶の理由は解消した。
(2)本願商標の商標法第4条第1項第15号該当性
ア 引用商標の周知性
山梨県養殖漁業協同組合は、大型ニジマス「甲斐サーモン」の餌にぶどう果皮粉末を与えるなど一定基準を満たしたものを「甲斐サーモンレッド」(引用商標)と名づけ、平成28年3月より出荷している。
しかしながら、引用商標に係る商品の販売期間は、本願商標の登録出願時(平成28年12月5日)においては1年にも満たず、また、その販売実績及び広告宣伝実績は必ずしも明らかではないが、山梨県内外に出荷されているとしても、発売開始1年以内であることや、「甲斐サーモン」の出荷量にしても年間3?4トン止まりとされることなどを踏まえると、引用商標に係る商品が、我が国において全国的に広く流通、消費又は宣伝されるような、大規模な販売実績又は広告実績があったものとは考えにくい。
そのため、引用商標は、本願商標の登録出願時において、山梨県養殖漁業協同組合の製造、販売する商品(サーモン、ニジマス)として、需要者及び取引者の間において、全国的に周知、著名となるに至っていたものとは認められず、その知名度は限定的なものと考えられる。
イ 本願商標と引用商標の比較
本願商標「甲斐サーモン」と引用商標「甲斐サーモンレッド」は、いずれも「甲斐サーモン」の構成文字を共通にするが、当該文字部分は、上記(1)のとおり、引用商標に係る商品(サーモン、ニジマス)との関係においては自他商品の出所識別機能を欠くため、商標の要部として着目されるようなものではなく、また、構成全体から生じる外観及び称呼は相違し、観念においては比較できないから(引用商標から観念は生じない。)、互いに比較的容易に区別できるもので、類似性の程度は低いといえる。
ウ 本願商標の指定商品と引用商標に係る商品の関連性
本願商標の指定商品は、上記(1)のとおり、サーモン(ニジマス)を原材料として通常採択するものではないから、引用商標に係る商品(サーモン、ニジマス)とは、いずれも食品という共通性はあるものの、原材料と加工品というような直接的かつ密接な関連性まではない。
エ 以上のとおり、引用商標は、全国的に周知、著名な商標ではなく、その知名度は限定的なものであること、本願商標とは類似性の程度は低いこと、その指定商品と引用商標に係る商品とは直接的かつ密接な関連性まではないことなどを鑑みれば、本願商標に接するその指定商品に係る需要者をして、引用商標や山梨県養殖漁業協同組合の事業に係る商品又は役務との関係を想起させる可能性は低く、出所の誤認混同が生じるおそれはない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(2)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当せず、商標法第3条第1項第3号に該当するとした拒絶の理由は解消した。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2019-12-24 
出願番号 商願2016-136909(T2016-136909) 
審決分類 T 1 8・ 271- WY (W30)
T 1 8・ 13- WY (W30)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大島 康浩 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 小田 昌子
阿曾 裕樹
商標の称呼 カイサーモン 
代理人 伊藤 將夫 
代理人 小林 弓子 

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