ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W05 |
---|---|
管理番号 | 1358874 |
異議申立番号 | 異議2019-900056 |
総通号数 | 242 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2020-02-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-02-14 |
確定日 | 2020-01-09 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6100960号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6100960号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6100960号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成30年9月7日に登録出願、第5類「サプリメント」を指定商品として、同年11月8日に登録査定、同月22日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由(要旨) 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証(枝番を含む。)を提出した。 (1)「RAPID MUSCLE-UP」の商標は、申立人が2018年2月から先行して発売している商品名である(甲2、甲4)。そして、2018年1月から12月まで計12回、継続してアニマート製薬株式会社(以下「アニマート社」という。)に生産注文がされた商品である(甲6)。 これに対して、商標権者は、申立人の商品のパッケージに酷似するパッケージの商品を無断で日本国内において製造して申立人の価格より安い価格で、販売している(甲3)。 申立人の商品と商標権者の商品は、酷似しており(甲5)、商標権者の商品は、申立人の商品のパッケージに似せて販売するものであるから、意図的に真似たものである。 (2)申立人は、韓国において、ネイバースマートストアで2018年2月から販売を継続しているが、サユリジャパンのサイト(甲3)では、申立人の商品又は商標権者の酷似商品を掲載しながら、購入希望者に対して申立人の商品に品質の問題があるとの案内をして、申立人の商品に代えて商標権者の商品を提供するなど、韓国において申立人の営業を妨害している。 (3)また、商標権者は、申立人が販売する商品の商品名について勝手に商標出願を行っており、商標権者による本件商標を含む一連の商標出願は、商標権者の商行為からして、申立人の営業活動を妨害する目的、申立人の先使用商標の名声に便乗して不当な利益を得る目的又は代理店契約の締結を強要する目的で出願したことが自明である。 (4)以上のとおり、商標権者の本件商標の登録出願及び商行為は、適正な商道徳に反し、著しく社会的妥当性を欠く行為であり、これに基づいて商標権者を権利者とする商標登録を認めることは、公正な取引秩序の維持の観点からみても不相当であって、商標法の目的に反するものである。 したがって、本件商標は、「公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標」に該当する。 3 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第7号について 商標法第4条第1項第7号該当性の判断については、以下の判示がある。 ア 商標法第4条第1項第7号に規定する、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、(a)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、(b)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、(c)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(d)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、(e)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれると解される(知財高裁 平成17年(行ケ)第10349号同18年9月20日判決)。 イ 商標法第4条第1項第7号は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」は商標登録をすることができないとしているところ、商標法は、出願人からされた商標登録出願について、当該商標について特定の権利利益を有する者との関係ごとに、類型を分けて、商標登録を受けることができない要件を、同法第4条各号で個別的具体的に定めているから、このことに照らすならば、当該出願が商標登録を受けるべきでない者からされたか否かについては、特段の事情がない限り、当該各号の該当性の有無によって判断されるべきであるといえる。 また、当該出願人が本来商標登録を受けるべき者であるか否かを判断するに際して、先願主義を採用している日本の商標法の制度趣旨や、国際調和や不正目的に基づく商標出願を排除する目的で設けられた同法第4条第1項第19号の趣旨に照らすならば、それらの趣旨から離れて、同法第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは、商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになるので、特段の事情のある例外的な場合を除くほか、許されないというべきである。 そして、特段の事情があるか否かの判断に当たっても、出願人と、本来商標登録を受けるべきと主張する者との関係を検討して、例えば、本来商標登録を受けるべきであると主張する者が、自らすみやかに出願することが可能であったにもかかわらず、出願を怠っていたような場合や、契約等によって他者からの商標登録出願について適切な措置を採ることができたにもかかわらず、適切な措置を怠っていたような場合は、出願人と本来商標登録を受けるべきと主張する者との間の商標権の帰属等をめぐる問題は、あくまでも、当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから、そのような場合にまで、「公の秩序や善良な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合と解するのは妥当でない(平成19年(行ケ)第10391号)。 (2)商標法第4条第1項第7号該当性について 上記判示に照らして、本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性を判断すると、以下のとおりである。 ア 本件商標は、別掲のとおり、黒色四角形内に赤色の楕円形の中に、ダンベル風の模様を配した背景図形を有した上に「RAPID」の白抜き欧文字と「MUSCLE-UP」の白抜き欧文字を二段に書してなるものであって、申立人の商品に付されているものと酷似しているといえるが、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字等からなるものではない。 イ また、本件商標は、これをその指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものともいえず、さらに、他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されているものではないし、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反するものでもない。 ウ さらに、申立人の主張及び同人の提出に係る甲各号証を総合してみても、商標法の先願登録主義を上回るような、本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底認容し得ないような場合に該当すると認めるに足りる具体的事実を見いだすことができない。 その他、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足る証拠の提出はない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 エ 申立人の主張について (ア)申立人は、「サユリジャパンのサイト(甲3)では、申立人の商品又は商標権者の酷似商品を掲載しながら、購入希望者に対して申立人の商品に品質の問題があるとの案内をして、申立人の商品に代えて商標権者の商品を提供するなど、韓国において申立人の営業を妨害している」旨主張している。 しかしながら、申立人が提出した甲第3号証は、ハングル語による商品販売のサイトであるが、その翻訳の提出がなく、その掲載内容を確認することができないものであり、その他に、申立人の上記主張を裏付ける証拠はない。 したがって、申立人の主張は採用することができない。 (イ)申立人は、「商標権者は、申立人が販売する商品の商品名について勝手に商標出願を行っており、商標権者による本件商標を含む一連の商標出願は、商標権者の商行為からして、申立人の営業活動を妨害する目的、申立人の先使用商標の名声に便乗して不当な利益を得る目的又は代理店契約の締結を強要する目的で出願したことが自明である」旨主張している。 しかしながら、申立人が提出した証拠によれば、本件商標と酷似する商標が付されているパッケージの商品をアニマート社が2018年1月から12月までに申立人に生産・出荷したこと(甲6)、申立人を販売者とする商品のAmazon.co.jpのウェブサイトでの取り扱い開始日が2018/6/5であること(甲2)がうかがえる。 そうすると、申立人は当該商標の使用開始にあたり、自ら登録出願する機会は十分にあったにもかかわらず、自ら登録出願しなかった責めを商標権者に求めるべき事情を見いだすこともできない。このような場合は、申立人と本件商標権者との間の商標権の帰属等をめぐる問題は、あくまでも、当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから、そのような場合にまで、「公の秩序や善良な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合と解することはできない。加えて、申立人の上記主張を裏付ける証拠はない。 したがって、申立人の主張は採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 (色彩についての詳細は原本を参照されたい。) ![]() |
異議決定日 | 2019-12-24 |
出願番号 | 商願2018-112877(T2018-112877) |
審決分類 |
T
1
651・
22-
Y
(W05)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 旦 克昌 |
特許庁審判長 |
金子 尚人 |
特許庁審判官 |
中束 としえ 半田 正人 |
登録日 | 2018-11-22 |
登録番号 | 商標登録第6100960号(T6100960) |
権利者 | 小林株式会社 |
商標の称呼 | ラピッドマッスルアップ、ラピッド、マッスルアップ |
代理人 | 船津 暢宏 |
代理人 | 特許業務法人BORDERS IP |
代理人 | 小暮 君平 |
代理人 | 福井 孝雄 |