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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W03 審判 全部申立て 登録を維持 W03 審判 全部申立て 登録を維持 W03 審判 全部申立て 登録を維持 W03 |
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管理番号 | 1357906 |
異議申立番号 | 異議2019-900083 |
総通号数 | 241 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2020-01-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-03-14 |
確定日 | 2019-12-12 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6107686号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6107686号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6107686号商標(以下「本件商標」という。)は、「マドンナ リリ」の片仮名及び「MADONNA LILI」の欧文字を二段に表してなり、平成30年3月2日に登録出願、第3類「ヘアトリートメント,ヘアオイル,その他の化粧品,せっけん類」を指定商品として、同年11月7日に登録査定、同年12月14日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 1 登録第2640108号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:「マドンナ」の片仮名及び「MADONNA」の欧文字を二段書き 登録出願日:平成4年2月17日 設定登録日:平成6年3月31日 指定商品 :第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」 2 登録第4741200号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲のとおり 登録出願日:平成15年5月19日 設定登録日:平成16年1月16日 指定商品 :第3類「せっけん類,化粧品,香料類」 以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。 第3 登録異議の申立ての理由 異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第28号証(枝番を含む。)を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、その構成から、片仮名「マドンナ」部分又は欧文字「MADONNA」部分より「マドンナ」の称呼を生ずるのに対し、引用商標は、その構成からして「マドンナ」の称呼をも生ずるものであるから、両者は称呼を共通にする類似の商標であり、その指定商品も同一又は類似のものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 商標法第4条第1項第15号について 引用商標は、申立人の商標として、周知又は著名である(甲10?甲28)から、これを構成中に含む本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知性について (1)申立人の提出に係る各甲号証及び同人の主張によれば、次の事実が認められる。 ア 申立人は、1977年(昭和52年)に設立された妊産婦やベビー向けのスキンケア商品を取り扱う会社であって(甲10の2、甲10の5ほか)、1993年(平成5年)に、日本で初めての国産の妊娠線専用クリームを発売(甲10の4、甲10の5)して以来、少なくとも、2004年(平成16年)から現在まで、申立人の業務に係る妊娠線専用クリーム、ベビーケア用クリーム・ソープ等の妊産婦やベビー向けスキンケア商品(以下、これらをまとめて「申立人商品」という。)を継続して販売している(甲10?甲21)。 イ 申立人商品は、2004年(平成16年)頃から現在まで、妊産婦や子育てする者向けの雑誌等において掲載され、少なくとも2004年(平成16年)、2005年(平成17年)及び2007年(平成19年)において、申立人商品中の妊娠線専用クリーム、スキンケア用クリーム(以下、「申立人使用商品」という。)に引用商標2を使用している(甲10の1、甲11の1、甲13の1、甲14の1)。 ウ 申立人が作成した「マドンナ商品取扱店舗数及びマドンナ全商品合計出荷数について」(作成日:2019年3月11日)の資料(甲22)によれば、申立人は、2009年度(平成21年度)から2018年度(平成30年度)にかけて、累計7,286,883個の申立人商品を出荷しており、申立人商品は、2018年11月19日現在、ベビー用品店、ドラッグストア、免税店、アウトドアショップ・オーガニックショップ等、計1,830店舗において取り扱われているとされている。(なお、商品の内訳については不明である)。 (2)上記(1)よりすれば、申立人は、1993年(平成5年)に、日本で初めての国産の妊娠線専用クリームを発売したとされ、その後、2004年(平成16年)頃から現在まで、申立人商品は、妊産婦や子育てする者向けの雑誌等において掲載されるとともに、ベビー用品店、ドラッグストア等で販売していることがうかがえる。 しかしながら、上記雑誌は、妊娠、出産・子育てに関連するものであるところ、主な購読者は妊婦や出産後の母親であるといえるから、申立人使用商品を含む申立人商品の需要者は妊産婦や子育てする者に限定されるといえる。 また、申立人使用商品に引用商標1が使用されていることは確認できない。 さらに、申立人は、2004年(平成16年)、2005年(平成17年)及び2007年(平成19年)において、申立人使用商品に引用商標2を表示しているものの、2008年(平成20年)以降は、引用商標2の使用は確認できない。 加えて、我が国における申立人使用商品の市場占有率(販売シェア等)、生産数及び販売数量、広告宣伝の規模等を客観的に裏付ける具体的な証拠の提出はなく、それらは明らかにされていない。 そうすると、提出された証拠によっては、引用商標1はもとより、申立人使用商品に3年程度使用された引用商標2が申立人の業務に係る商品(妊娠線専用クリーム、スキンケア用クリーム)を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。 また、他に、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者間に広く認識されていると認めるに足りる証拠はない。 してみれば、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者に広く認識されているとは認められない。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標 本件商標は、前記第1のとおり、「マドンナ リリ」の片仮名及び「MADONNA LILI」の欧文字を上下二段に表してなるところ、本件商標の構成中、「マドンナ」及び「MADONNA」の文字と「リリ」及び「LILI」の文字との間に半文字程度の空間があるものの、上記片仮名部分及び欧文字部分は、同一の書体、同一の大きさをもって、外観上まとまりよく一体的に表されているものであり、上段の片仮名は、下段の欧文字の読みを表したものと無理なく認識されるものであり、そこから生じる「マドンナリリ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。 また、その構成中の「マドンナ」及び「MADONNA」の文字が、「聖母マリア」の意味を、同構成中の「リリ」及び「LILI」の文字が、「女子の名」(いずれも「ランダムハウス英和大辞典<特装版>」 株式会社小学館発行)を有する語であるとしても、構成全体としては、特定の語義を有しない。 そして、本件商標は、その構成中の「マドンナ」及び「MADONNA」又は「リリ」及び「LILI」の文字のいずれかの語が需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとか、又は、いずれかの部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認めるに足る事情は見いだせない。 そうすると、本件商標は、その構成全体をもって把握されるというべきであるから、これより「マドンナリリ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じない一種の造語として認識されるというべきである。 (2)引用商標 引用商標1は、前記第2の1のとおり、「マドンナ」の片仮名と「MADONNA」の欧文字を二段に表してなるものであり、引用商標2は、別掲のとおり、図形と「Madonna」の文字からなるところ、引用商標からは、それぞれの構成文字に相応して、「マドンナ」の称呼を生じ、「聖母マリア」の観念を生じるものである。 (3)本件商標と引用商標との類否 本件商標と引用商標とを比較すると、両者は、上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ、外観においては、本件商標と引用商標1とは、「リリ」及び「LILI」の文字の有無において差異を有するものであるから、両者は、明確に区別できるものである。 また、本件商標と引用商標2とは、図形の有無において相違することから、両者は、外観上、見誤るおそれはなく、明確に区別し得るものであり、本件商標と引用商標2の文字部分を比較しても、両者は、「マドンナ」、「リリ」及び「LILI」の文字の有無において差異を有するものであるから、両者は、明確に区別できるものである。 次に、称呼においては、本件商標から生じる「マドンナリリ」と引用商標から生じる「マドンナ」の称呼とは、その構成音、音数などが明らかに相違するものであるから、称呼上、明確に聴別できるものである。 さらに、観念においては、本件商標は、特定の観念を生じない造語であるのに対し、引用商標は、「聖母マリア」の観念が生じるから、両者は、観念上、相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼、観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない、非類似の商標であって別異のものと判断するのが相当である。 (4)本件商標及び引用商標の指定商品との類否 本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品中に包含されている「化粧品,せっけん類」と同一の商品である。 (5)申立人の主張 申立人は、本件商標について、「マドンナ」「MADONNA」の文字部分と「リリ」「LILI」の文字部分とは、それぞれの文字列の間に空間があり、また、全体でまとまりのある観念が生じるものではないから、分離することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえない商標であって、例えば、電子商取引を行うウェブサイトにおいて、文字列「マドンナ」と化粧品において一般的な品目「オイル」とを組み合わせて検索すると、本件商標を付した商品が、申立人の商品と混在して表示されることがある(甲6?甲8)。また、化粧品業界においては、いわゆるハウスマークに続いてペットマークを表示する方法で使用する例が広くみられるところ、「マドンナ」及び「MADONNA」並びに「Madonna」は、申立人のハウスマークとして認識されるから、本件商標の語頭の「マドンナ」「MADONNA」部分を分離して観察することができる旨主張している。 しかしながら、引用商標は、上記1のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者に広く認識されているとはいえず、また、「マドンナ」及び「MADONNA」の文字が、強く支配的な印象を与えるともいえないことからすれば、本件商標に接する需要者が、その構成中の「マドンナ」及び「MADONNA」の文字を申立人のハウスマークと認識するとはいい難く、さらに、ウェブサイトにおいて、本件商標を付した商品が、申立人の商品と同じサイトのページに掲載されているとしても、それらは、あくまで「マドンナ」と「オイル」との文字検索結果にすぎず、これらをもって、本件商標を分離して観察できるということにはならない。 したがって、申立人の上記主張を採用することはできない。 (6)小括 以上のとおり、本件商標の指定商品が引用商標の指定商品と同一であるとしても、本件商標は、引用商標と非類似の商標であって別異のものというべきである。そして、ほかに、本件商標と引用商標とが類似するというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)引用商標の周知性について 上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標は、申立人使用商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとは認められない。 (2)本件商標と引用商標の類似性の程度について 上記2(3)において認定したとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 (3)本件商標の指定商品と申立人使用商品との共通性について 本件商標の指定商品と申立人使用商品は、化粧品関連の商品に範囲において関連性を有し、需要者を共通にすることがあるものである。 (4)出所の混同のおそれについて 本件商標の指定商品は、申立人使用商品と関連性を有し、需要者を共通にする場合があるとしても、引用商標は、申立人使用商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたとは認められないものであって、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは、別異の商標であることからすれば、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する需要者が引用商標を連想、想起するようなことはなく、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 また、ほかに本件商標が、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 引用商標2 ![]() |
異議決定日 | 2019-12-04 |
出願番号 | 商願2018-24961(T2018-24961) |
審決分類 |
T
1
651・
262-
Y
(W03)
T 1 651・ 271- Y (W03) T 1 651・ 263- Y (W03) T 1 651・ 261- Y (W03) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 早川 真規子 |
特許庁審判長 |
岩崎 安子 |
特許庁審判官 |
小田 昌子 中束 としえ |
登録日 | 2018-12-14 |
登録番号 | 商標登録第6107686号(T6107686) |
権利者 | 株式会社D-ASH |
商標の称呼 | マドンナリリ、マドンナ、リリ |
代理人 | 特許業務法人スズエ国際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人中川国際特許事務所 |