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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X41 |
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管理番号 | 1357797 |
審判番号 | 取消2018-300144 |
総通号数 | 241 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2020-01-31 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2018-03-09 |
確定日 | 2019-11-11 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5125460号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5125460号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5125460号商標(以下「本件商標」という。)は、「とるぞー」及び「toruzo」の各文字を上下二段に横書きしてなり、平成19年9月26日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」を指定役務として、同20年4月4日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、平成30年3月20日である。 なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成27年3月20日から同30年3月19日までを、以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出している。 1 請求の理由 本件商標は、その指定役務について継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、当該指定役務についての登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 請求人は、答弁書の答弁の理由に関して以下のとおり主張する。 (1)「本件商標の構成」については認める。 (2)「本件取消審判に係る指定商品又は役務について」については認める。 (3)「要証期間」については認める。 (4)「被請求人のウェブサイトにおける本件商標の使用の事実について」は認めない。 乙第2号証のホームページには、要証期間において「とるぞー」を使用したことを証明する記載がどこにもない。例えば、乙第2号証の右上にはホームページの印刷日と思われる「2018/05/10 12:51」なる日時の表示はあるが、要証期間外である。 (5)「『とるぞー』が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であること」については認める。 (6)「セミナーが本件指定役務中の『知識の教授』、『セミナーの企画・運営又は開催』に含まれるものであること」については認める。 (7)「セミナーに関する複数の問合せの事実について」については認めない。 乙第3号証から乙第6号証は問合せなどのメールであるが、いずれのメールにもセミナーの名称である「とるぞー」の記載はない。また、メールの一部黒塗りによって相手を確認できず、乙第3号証から乙第6号証が真正なメールであるかどうか不明である。したがって、乙第3号証から乙第6号証は要証期間における「とるぞー」の使用を証明するものではない。乙第2号証と乙第3号証から乙第6号証とを組み合わせても要証期間における「とるぞー」の使用を証明するものとはならない。 (8)「被請求人ウェブサイトが外部からアクセスされた事実について」については不知である。 なお、本件商標はいつの時点から乙第2号証の被請求人ウェブサイトに使用されていたか不明であるから、単にウェブサイトにアクセスされた事実だけでは商標の広告的使用があったとは断言できない。例えば、甲第2号証に示すように、本件商標に係る業務は2009年11月3日に終了している。したがって、アクセス履歴で本件商標の使用を証明しようとするならば本件商標の使用が再開された時期を明確にすべきであるし、アクセスした者が本件商標を見ていることを説明すべきである。 (9)「その他(使用許諾の事実について)」については認めない。 商標使用権許諾契約書(乙9)には、末文に「本契約締結の証として本書2通を作成し、甲乙それぞれ署名捺印の上、各自1通を保有する。」とあるが、同契約書はエイディシーテクノロジー株式会社(甲)の捺印のみであり、契約者乙の捺印はない。したがって、同契約書は真正の契約書の写しではないと考えるのが相当である。契約者乙の名称を黒塗りにして直接確認が取れないようにしている可能性を否定できない。また、使用許諾に基づく通常使用権は登記することによって権利が保全されるので、登記することが通常であるが、乙第1号証の商標権の登記簿謄本には契約者乙の通常使用権の記載はない。また、同契約書自体(乙9)は契約者乙が本件商標を現に使用していることを証明するものではない。よって、乙第9号証は本件商標の使用を証明する証拠にならない。 (10)「まとめ」については認めない。 商標法第50条の不使用取消審判は商標権者等による登録商標の使用の証明を商標権者の負担としているが、被請求人が提出したいずれの乙号証も要証期間における被請求人の本件商標の使用を証明していない。 第3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。 1 本件商標の構成について 本件商標は、「toruzo」の欧文字及び「とるぞー」の平仮名を上下二段に横書きにした構成である。 2 本件取消審判に係る指定役務について 本件取消審判に係る指定役務は、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」である。 3 要証期間について 本件取消審判の請求の登録日は、平成30年3月20日である(乙1)。そのため、要証期間は、平成27年3月20日から平成30年3月19日である。 4 被請求人のウェブサイトにおける本件商標の使用の事実について 被請求人のウェブサイト(無線化.com)における「【メーカーエンジニア対象】電波法・Bluetooth認証に関するセミナー開催のお知らせ」(URL:http://musenka.com/info/radio_law_seminar.html#warning)(以下「被請求人ウェブサイト」という。)において、「Bluetooth認証セミナー『とるぞー』?メーカーエンジニアが知っておくべき電波法・Bluetooth認証の基礎知識?」と題するセミナー(以下「セミナー」という。)の概要及び案内が掲載されている(乙2)。 5 「とるぞー」が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であること 本件商標は、「toruzo」の欧文字及び「とるぞー」の平仮名を上下二段に横書きにした構成であるところ、セミナーの概要及び案内において使用されている「とるぞー」は欧文字を欠くが、称呼は本件商標の欧文字「toruzo」と共通しており、観念上異なるものともいえない。 よって、被請求人によって使用された「とるぞー」は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。 6 セミナーが本件指定役務中の「知識の教授」、「セミナーの企画・運営又は開催」に含まれるものであること セミナーは、「知識の教授」、「セミナーの企画・運営又は開催」に含まれるものである。 よって、該セミナーが掲載された被請求人ウェブサイトは、「知識の教授」、「セミナーの企画・運営又は開催」に関する広告に該当する。 7 セミナーに関する問合せの事実について セミナーに関する複数の問合せの事実が存在する(乙3?乙6)。 いずれの問合せもメール記載のメール受信日時から、要証期間(平成27年3月20日から平成30年3月19日)のものである(なお、顧客を特定可能とする情報は、黒塗りしている。)。 よって、該セミナーが掲載された被請求人ウェブサイトは、「知識の教授」、「セミナーの企画・運営又は開催」に関する広告としての機能を発揮していた。 8 被請求人ウェブサイトが外部からアクセスされた事実について 要証期間において被請求人ウェブサイトへの訪間者が外部からアクセスされている事実が存在する(乙7)(乙7は、Google LLCが提供するWebページのアクセス解析サービス(乙8)に基づく、被請求人ウェブサイトへの訪問者数に関する解析結果である。)。 この事実から、7で言及した問合せ者以外にも、要証期間に該セミナーが掲載された被請求人ウェブサイトにアクセス(訪問)した者がいることは容易に推察できる。 9 その他(使用許諾契約の事実について) 前述の4ないし8から、被請求人の行為が商標法第2条第3項第8号に該当し、本件商標を取り消すことができないことは明らかであるが、被請求人は、本件商標について、「商標使用権許諾契約書」を交わしているため、この事実についても付言しておく(乙9)(なお、営業秘密に関する情報は、黒塗りしている。)。 該契約書から、被請求人は本件商標の使用に関して、第三者と契約を締結していること、及び、その契約が締結された日は、要証期間内の「平成29年12月14日」である。 10 まとめ 前述の4ないし8から、被請求人は、要証期間において、被請求人ウェブサイト(本件審判の請求に係る指定役務中の「知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」に関する広告)に、本件商標と、社会通念上同一の商標である、「とるぞー」を付して電磁的方法により提供している。 つまり、被請求人の行為は、商標法第2条第3項第8号に定める「役務に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。 第4 当審における審尋 審判長は、被請求人に対し、(1)乙第2号証に係る被請求人ウェブサイトの要証期間における存在が把握できる証拠の提出、(2)乙第3号証ないし乙第6号証に係るメールが、被請求人ウェブサイトに掲載された本件商標を使用したセミナーに対するものであることが分かる証拠の提出、(3)乙第9号証に係る商標使用権許諾契約書について立証の趣旨の説明、(4)請求人が提出した審判事件弁駁書に対する意見及び、(5)さらなる証拠方法の提出を求める旨の審尋を行ったところ、被請求人からは、所定の期間内に何らの応答もなかった。 第5 当審の判断 1 被請求人提出の証拠について (1)乙第2号証は、「被請求人ウェブサイト(無線化.com)『【メーカーエンジニア対象】電波法・Bluetooth認証に関するセミナー開催のお知らせ』」をプリントアウトしたものであり、その右上には「2018/05/10」の記載がある。 そして、その1頁には、「『無線化.com』を運営するエイディシーテクノロジー株式会社(本社:愛知県名古屋市)は、無線機器開発に不可欠な電波法、およびBluetooth認証に関するセミナーを開催しております。」の記載があり、その2頁には、「本セミナーでは、皆さまの無線機器開発をサポートするべく、国内外の電波法やBluetooth認証についてわかりやすく解説し、当社自身の様々な経験や事例をご紹介いたします。」の記載があり、「セミナー概要」として、「名称」の欄に横書きされた「Bluetooth認証セミナー」及び「?メーカーエンジニアが知っておくべき電波法・Bluetooth認証の基礎知識?」の行間に赤色で「とるぞー」の文字の記載がある。 また、「開催日程」の欄には、「東京開催(定員8名:空き)/次回開催は未定です。」「名古屋開催(定員4名:空き)/次回開催は未定です。」の記載があり、3頁には、「【終了しました】」として「・東京開催/2017年3月1日(水)・・・2015年9月10日(木)」及び「・名古屋開催/2017年4月12日(水)・・・2015年6月24日(水)」の記載がある。 (2)乙第3号証ないし乙第6号証は、セミナーに関する問合せメール及びメール添付資料をプリントアウトしたものである。 (3)乙第7号証及び乙第8号証は、「goolge analyticsレポート(2017/11/20-2018/04/18)」及び「ウィキペディア フリー百科事典 Google Analytics」のプリントアウトである。 (4)乙第9号証は、「商標使用権許諾契約書」と題する資料であり、被請求人と「乙」との間で、本件商標についての通常使用権を、2017年12月14日から2018年12月13日の1年間、許諾すること、その使用料等、その契約内容についての記載があり、日付として「平成29年12月14日」と記載され、当事者として、被請求人の代表取締役の記名、押印がされているものの、「乙」については、記載箇所が黒塗りされており、確認することはできない。 2 判断 (1)被請求人ウェブサイトにおける本件商標の使用について 乙第2号証に係る被請求人ウェブサイトの1頁目には、「『無線化.com』を運営するエイディシーテクノロジー株式会社(本社:愛知県名古屋市)は、無線機器開発に不可欠な電波法、およびBluetooth認証に関するセミナーを開催しております。」の記載があり、本ウェブサイトの運営者であるエイディシーテクノロジー株式会社(被請求人)は、本件指定役務中「セミナーの企画・運営又は開催」に含まれる「電波法、およびBluetooth認証に関するセミナーの開催」の役務を提供していたことがうかがわれる。 また、乙第2号証の2頁目には、「本セミナーでは、皆さまの無線機器開発をサポートするべく、国内外の電波法やBluetooth認証についてわかりやすく解説し、当社自身の様々な経験や事例をご紹介いたします。」の記載があり、被請求人は、本件指定役務中「知識の教授」に含まれる「電波法やBluetooth認証に関する知識の教授」の役務を提供していたこともうかがわれる。 さらに、「セミナー概要」の欄において、「Bluetooth認証セミナー」のタイトルの下、赤色で「とるぞー」の文字の記載があり、当該文字は、本件商標構成中、上段の「とるぞー」と同一の文字であって、本件商標と社会通念上同一の商標ということができるものである。 (2)被請求人ウェブサイトが要証期間に存在していたことについて 乙第2号証には、そのプリントアウトの日付と思われる「2018/05/10」の記載があるものの、当該日付は要証期間外である。 また、乙第2号証に記載された、過去に東京及び名古屋で開催されたセミナーの日程は、要証期間の日付ではあるものの、過去に開催されたセミナーの日程の記載自体は、当該ウェブページが要証期間に存在したことを裏付けるものではない。 そして、その他に、乙第2号証には、当該ウェブサイトが要証期間に存在したことを直接的に示す記載は見当たらず、乙第2号証の記載内容のみによって、乙第2号証に係るウェブサイトが要証期間に存在していたことを認めることはできない。 (3)セミナーに関する問合せの事実について 被請求人は、セミナーに関する複数の問合せの事実が存在し(乙3?乙6)、いずれの問合せもメール記載の日時から、要証期間のものであることは明らかである旨主張している。確かに、いずれのメールにも送信日として要証期間内の日付の記載があり、「Bluetooth認証セミナー」についての問合せ内容とも受け取れる内容が記載されているが、これらのメール及びその添付資料中には、セミナーの名称として「とるぞー」の文字は、一切、記載されていない。 また、乙第5号証に添付された「電波法・Bluetooth認証に関するセミナーのご案内」には、「セミナー名称」として「『メーカーエンジニアが知っておくべき電波法・Bluetooth認証の基礎知識』」と記載されており、「とるぞー」の表示はない。 してみれば、これらのメールには、「Bluetooth認証セミナー」の名称として「とるぞー」の文字が用いられていたことが示されておらず、乙第2号証に係るウェブサイトの上記1(1)の記載内容と一致するとはいい得ないものであるから、乙第2号証に係るウェブサイトが要証期間に存在していたことを裏付けるものであるということはできない。 (4)乙第9号証について 乙第9号証は、「商標使用権許諾契約書」のタイトルの下、被請求人と乙との間で、本件商標についての通常使用権を、2017年12月14日から2018年12月13日の1年間、許諾することを内容とする契約内容の記載があるものの、乙の署名欄は黒塗りされており、その住所、名称を確認できない上、押印された形跡はない。そうすると、当該契約が実際に締結されたか否か不明であるといわざるを得ない。 さらに、契約内容からして通常使用権者の地位にある乙による本件商標の使用については、何ら、主張、立証されていない。 (5)小括 そうすると、要証期間に、「とるぞー」の文字の記載がある被請求人ウェブサイトが存在したことを確認することはできないことから、当該ウェブサイトにおいて「とるぞー」の商標を使用して、「電波法、およびBluetooth認証に関するセミナーの開催」又は「電波法やBluetooth認証に関する知識の教授」について、実際に広告を行っていたということはできず、要証期間内に、被請求人が、商標法第2条第3項第8号に定める行為を行ったと認めることはできない。 その他、要証期間において、本件商標の指定役務のいずれかについて、被請求人又はその使用権者が、本件商標の使用をしたことを認めるに足りる証拠の提出はない。 3 むすび 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標に係る指定役務のいずれかについて本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。 また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2019-09-13 |
結審通知日 | 2019-09-18 |
審決日 | 2019-10-03 |
出願番号 | 商願2007-100741(T2007-100741) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(X41)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 田中 亨子 |
特許庁審判長 |
冨澤 美加 |
特許庁審判官 |
鈴木 雅也 山田 正樹 |
登録日 | 2008-04-04 |
登録番号 | 商標登録第5125460号(T5125460) |
商標の称呼 | トルゾー、トルゾ |
代理人 | 菅原 俊樹 |
代理人 | 名古屋国際特許業務法人 |