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審決分類 審判 査定不服 商4条1項14号 種苗法による登録名称と同一又は類似 登録しない W31
管理番号 1357794 
審判番号 不服2018-8344 
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-06-18 
確定日 2019-11-13 
事件の表示 商願2016-143558拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「白妙」の文字を標準文字で表してなり、第31類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成28年12月22日に登録出願、その後、本願の指定商品については、原審における同29年12月28日受付の手続補正書により、第31類「ハオルシア,ハオルシアの苗,ハオルシアの種子」に補正されたものである。

2 原査定における拒絶の理由の要旨
原審においては、本願を拒絶すべき旨の理由として、以下の(1)及び(2)を通知した後、本願商標は、その(1)の拒絶の理由に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(1)本願商標は、例えば「白妙」品種のクラスラ、「白妙」品種のサクラ、「白妙」品種のネギ、「白妙」品種のツツジ等を理解させるものであるから、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者は、「『白妙』品種の植物,『白妙』品種の草,『白妙』品種の苗,『白妙』品種の種子」を認識するにすぎない。したがって、本願商標は、商品の品質を表示するにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、本願商標をその指定商品中、「『白妙』品種の植物,『白妙』品種の草,『白妙』品種の苗,『白妙』品種の種子」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)本願商標は、種苗法に基づき「Nelumbo nucifera Gaertn.」(はす種)の品種名として平成27年10月29日に登録されている「白妙(シロタエ)」(品種登録第24569号)と類似のものであり、かつ、その品種の種苗又はこれに類似する商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第14号に該当する。

3 当審においてした審尋
審判長は、請求人に対し、平成31年2月27日付け審尋において、別掲に係る証拠を示した上で、本願商標は、商標法第4条第1項第14号に該当する旨の見解を示し、期間を指定して、これに対する回答を求めた。

4 審尋に対する請求人の回答の要点
前記3の審尋に対し、請求人は、平成31年4月15日付け回答書を提出し、要旨以下のように主張した。
(1)商標法第4条第1項第14号は、後段で、品種登録を受けたその品種の種苗又はこれに類似する商品に適用を限定しているが、ここでいう「類似する商品」とは、その直前の文言から「類似する種苗」の意であることは明確である。法律の中でわざわざ適用対象を限定しているのは、適用除外となる対象が存在することを想定しているのであり、「類似する商品」と限定したのは、「類似しない商品(種苗)」があることを法律が想定しているからに他ならず、それはまさに「同じ名称だが属が異なっていて混同されるおそれがない種苗」を指すものと考えるのが自然な解釈である。したがって、品種登録された品種と同じ又は類似の名前の種苗で同一店舗で売られている種苗はすべて類似商品であるから登録できない、とするのは商標法第4条1項14号の解釈を誤ったものである。
(2)日本の種苗法では、属が異なれば同じ名前の品種が品種登録できるところ、これは国際栽培植物命名規約に沿った規定であり、属が異なれば外見が大きく異なるので、素人でもそれらを混同するおそれはないという、社会的通念にも合致するものである。さらに種苗法と同じく、商標法でも、属が異なれば同じ品種名を登録できるとしても、実取引に全く何の不合理も不都合も生じない。そして、同じ名前であっても、ハオルシアの苗とハスの苗を混同するおそれは全くないから、これらは類似の種苗とはいえず、したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第14号に該当しない。

5 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第14号該当性について
ア 本願商標
本願商標は、前記1のとおり、「白妙」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、「白い色。」(「広辞苑 第六版」岩波書店)等を意味する語として一般に親しまれているものである。
そうすると、本願商標からは、「シロタエ」の称呼及び「白い色」の観念を生ずるものである。
イ 引用標章
原審において、本願の拒絶の理由として引用した種苗法第18条第1項の規定による品種登録を受けた品種の名称は、「白妙」の文字からなり、「Nelumbo nucifera Gaertn.(和名:ハス種)」の品種名として、2015年10月29日に品種登録されたもの(種苗登録第24569号。以下「引用標章」という。)である。
そして、引用標章は、上記アと同様、「シロタエ」の称呼及び「白い色」の観念を生ずるものである。
ウ 本願商標と引用標章との類否
本願商標と引用標章とは、上記ア及びイのとおり、共に「白妙」の文字を表してなるものであるから、外観において同一のものであり、また、称呼及び観念を共通にするものであるから、両者は、外観、称呼及び観念のいずれも共通にする同一のものと認められるものである。
エ 本願の指定商品と種苗法第18条第1項の規定による品種登録を受けた品種の種苗との類否
種苗法は、「新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする。」(種苗法第1条参照)のに対し、商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発展に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。」(商標法第1条参照)と規定する。
このように、種苗法と商標法とは目的が異なり、それぞれの法目的に相応した、農林水産植物の種類(種苗法施行規則第17条)又は商品の類似範囲が存在するものであるから、種苗法における農林水産植物の種類の類否をもって、商標法における商品の類否の判断の根拠とすることはできない。
これを本願についてみるに、本願商標は、商標として登録出願されたものであるから、商品の類似範囲は、商標法における商品の類否に基づかなければならないところ、商標法上、商品が類似するか否かを判断するにあたっては、取引の実情、すなわち、商品の生産部門、販売部門、原材料及び品質・用途・機能、需要者の範囲が一致するかどうか、完成品と部品の関係にあるかどうか等を総合的に考慮することにより、互いの商品に同一又は類似の商標が使用された場合、これに接する取引者、需要者が、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあるかどうかにより判断されるべきである。
そして、別掲2のとおり、本願の指定商品中のハオルシア(ハオルチア)やハオルシア(ハオルチア)の苗と、引用標章が品種名として登録されている「ハス種」の花、苗及び種子とは、同一営業主により取り扱われている実情があり、需要者も共通するものといえること等を総合的に考慮すると、取引の実情において、両者は、多くの共通性を有する商品であるというのが相当である。
したがって、本願の指定商品は、種苗法第18条第1項の規定による品種登録を受けた品種の種苗に類似する商品である。
オ 小括
以上より、本願商標は、種苗法第18条第1項の規定による品種登録を受けた品種の名称と同一の商標であり、かつ、その品種の種苗に類似する商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第14号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、商標法第4条第1項第14号でいう「類似する商品」とは、「類似する種苗」の意であることは明確であり、「類似する商品」と限定したのは、「類似しない商品(種苗)」があることを法律が想定しているからに他ならず、それは「同じ名称だが属が異なっていて混同されるおそれがない種苗」を指すものと考えるのが自然な解釈である旨述べるとともに、種苗法と同じく、商標法でも、属が異なれば同じ品種名を登録できるとしても、実取引にまったく何の不合理も不都合も生じない旨主張する。
しかしながら、種苗法と商標法とは、そもそもの目的が異なることから、種苗法における農林水産植物の種類の類否をもって、商標法における商品の類否の判断の根拠とすることはできないこと、上記(1)エのとおりであり、また、商標法第4条第1項第14号で規定する「その品種の種苗又はこれに類似する商品若しくは役務について使用するもの」における「これに類似する商品」とは、「種苗に類似する商品」と解釈するのが自然であって、請求人が主張する「類似する種苗」と解釈すべき理由はない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第14号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 平成31年2月27日付け審尋をもって請求人に示した事実
1 農林水産省 品種登録ホームページ
http://www.hinshu2.maff.go.jp/vips/cmm/apCMM112.aspx?TOUROKU_NO=24569&LANGUAGE=Japanese

2(1)「石田精華園」のウェブサイトにおいて「花ハス・花蓮 ポット販売」の見出しの下、「巨椋斑 10号(30cmポット)開花及び開花見込み株【花蓮、花ハス】【中型容器以上栽培品種】【好日性宿根草】【送料無料】」「碧台蓮 10号(30cmポット)開花及び開花見込み株【花蓮、花ハス】【大型容器13号以上栽培品種】【好日性宿根草】【送料無料】」等が取り扱われている。
(http://www.ishidaseikaen.com/webshop/products/list345.html)
また、同ウェブサイトにおいて「花ハス 種子販売【蓮の種】」の見出しの下、「赤一重茶碗蓮 種3粒【花蓮・花ハス種子販売】【ネコポス対応(送料200円)代引不可】」「招福蓮 種3粒【花蓮・花ハス種子販売】【ネコポス対応(送料200円)代引不可】」等が取り扱われている。
(http://www.ishidaseikaen.com/webshop/products/list380.html)
さらに、同ウェブサイトにおいて「多肉植物」の見出しの下、「ハオルチア 京の華 3号(9cmポット)【外国の多肉植物】【ハオルチア属】」が取り扱われている。
(http://www.ishidaseikaen.com/webshop/products/list986.html)
(2)「フラワーネット 日本花キ流通」のウェブサイトにおいて「カテゴリトップ>植物>水辺の植物」の見出しの下、「手乗りハス レンコン丸 蓮の根」が取り扱われている。
(https://item.rakuten.co.jp/nihonkakiryuutuu/c/0000000225/)
また、同ウェブサイトにおいて「カテゴリトップ>サボテン・多肉植物>アロエ・ハオルチア」の見出しの下、「niハオルチア 特ケバ ピグ×白青城 ベルベット(多肉植物 ハオルチア 7.5cmポット)」「osハオルチア 十二の巻 ワイドバンド おもしろ多肉植物 9cmポット」等が取り扱われている。
(https://item.rakuten.co.jp/nihonkakiryuutuu/c/0000000447/)
(3)「園芸ネット プラス」のウェブサイトにおいて「カテゴリトップ>植物>種(タネ)>栽培セット&お得セット」の見出しの下、「種から育てる小型ハス ミニミニ蓮の栽培キット」が取り扱われている。
(https://item.rakuten.co.jp/engei2/139023/)
また、同見出しの下、「種から育てる小型ハス・プラ鉢付き! 鉢付き小型蓮栽培キット」が取り扱われている。
(https://item.rakuten.co.jp/engei2/139024/)
さらに、同ウェブサイトにおいて「カテゴリトップ>植物>観葉植物>その他の観葉植物」の見出しの下、「ハオルシア 希少な一品 観葉植物/ハオルチア シンビホルミス 水中花 3.5号鉢植え」が取り扱われている。
(https://item.rakuten.co.jp/engei2/153919/)
また、同ウェブサイトにおいて「カテゴリトップ>植物>観葉植物>サボテン 多肉」の見出しの下、「多肉植物 ハオルシア 観葉植物/ハオルチア実生(シルバームチカ×ホワイトウルフ)3.5号鉢植え1」が取り扱われている。
(https://item.rakuten.co.jp/engei2/153323/)
(4)「日本花卉ガーデンセンター annex」のウェブサイトにおいて「カテゴリトップ>水生植物>ハス(蓮)」の見出しの下、「珍しい果樹 花木 苗 植物 を日本花卉で探してみませんか?【3月上旬頃出荷】茶碗蓮(蓮の根)」「珍しい果樹 花木 苗 植物 を日本花卉で探してみませんか?【3月上旬頃出荷】姫白蓮(蓮の根)」等が取り扱われている。
(https://item.rakuten.co.jp/nihonkaki-annex/c/0000000743/)
また、同ウェブサイトにおいて「カテゴリトップ>観葉植物>ハオルチア(多肉植物)」の見出しの下、「珍しい果樹 花木 苗 植物 を日本花卉で探してみませんか?ハオルチア オブツーサ 草玉露(ハオルシア 多肉植物)7.5センチポット」「珍しい果樹 花木 苗 植物 を日本花卉で探してみませんか?ハオルチア オブツーサ 氷砂糖(ハオルシア 多肉植物)7.5センチポット」等が取り扱われている。
(https://item.rakuten.co.jp/nihonkaki-annex/c/0000000919/)
(5)「charm 楽天市場店」のウェブサイトにおいて「カテゴリトップ>ガーデニングトップ>ガーデニング>ビオトープ(水辺植物)>ハス」の見出しの下、「(ビオトープ/蓮)ハスのタネ(5粒)」「(ビオトープ)蓮 ハス 色指定なし 発芽発根待(1ポット)北海道冬期発送不可」等が取り扱われている。
(https://item.rakuten.co.jp/chanet/c/0000007782/)
また、同ウェブサイトにおいて「カテゴリトップ>ガーデニングトップ>ガーデニング>サボテン・多肉植物>多肉植物>ハオルチア・ガステリア」の見出しの下、「(観葉植物)ハオルチア 宝草 2.5号(1鉢)北海道冬期発送不可」「(観葉植物)ハオルチア クリスタルプランツ プリンセスドレス 3.5号(1鉢)北海道冬期発送不可」等が取り扱われている。
(https://item.rakuten.co.jp/chanet/c/0000007867/)



審理終結日 2019-07-31 
結審通知日 2019-08-23 
審決日 2019-09-04 
出願番号 商願2016-143558(T2016-143558) 
審決分類 T 1 8・ 21- Z (W31)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤井 彩音守屋 友宏 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 中束 としえ
石塚 利恵
商標の称呼 シロタエ、シラタエ 

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