• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商品と役務の類否 登録しない W09
審判 査定不服 観念類似 登録しない W09
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W09
審判 査定不服 外観類似 登録しない W09
管理番号 1357779 
審判番号 不服2018-9872 
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-07-19 
確定日 2019-11-14 
事件の表示 商願2016-144346拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第9類及び第28類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成28年12月26日に登録出願されたものであり,その指定商品については,当審における同30年7月19日付け手続補正書が提出されたが,これについては,願書に記載した指定商品の要旨を変更するものとして、同年11月2日付けで補正の却下の決定がなされた。
その後,指定商品については,当審における平成30年12月21日付け手続補正書により,第9類「電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。),電子管,半導体素子,電子回路(「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。),電子計算機用プログラム」と補正されたものである。

2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして,拒絶の理由に引用した登録第5225004号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,平成20年6月6日に登録出願,第11類「ボイラー,暖冷房装置,家庭用電熱用品類,ガス湯沸かし器,加熱器,調理台,流し台」,第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第37類「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備,暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守,民生用電気機械器具の修理又は保守」を指定商品及び指定役務として,同21年4月24日に設定登録されたものであり,その後,令和元年5月7日に商標権の存続期間の更新登録がされ,現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標について
ア 本願商標は,別掲1のとおり,上端が切れている円輪郭の内側に,人差し指と親指を立てた手をデザイン化した図形(以下,円輪郭を含めて「本願図形部分」という。)と,その右側に,小さく書された「switch on」の文字(最後の文字「n」の右上には3つの細長い逆三角形が放射状に並んでいる。)と,太字で大きくややデザイン化して表された「Sansei」の文字(4文字目及び6文字目の文字は,デザイン化された態様からなるものの,いずれも「s」の文字及び「i」の文字を表したものと容易に認識できる。)に,これに続けて小さく書した「R&D」の文字を配した構成よりなるものである(以下,これらの文字部分全体を「本願文字部分」という。)。
そして,本願商標の構成中,本願図形部分及び本願文字部分は,視覚上,図形部分と文字部分とに分離して看取し得るものである。
イ 本願図形部分は,人差し指と親指を立てた手をデザイン化した図形からなるものの,抽象化して表された図形であって,直ちに特定の事物を想起させるものではないから,当該図形部分からは,特定の称呼及び観念を生じないものとみるのが相当である。
ウ 本願文字部分について検討する。
(ア)本願文字部分は,「switch on」,「Sansei」及び「R&D」の文字部分より構成されているところ,「Sansei」の文字が他の文字に比べて極めて大きく,かつ,デザイン化して書されていることに比べ,「switch on」及び「R&D」の文字部分は,小さく書されていること,また,「switch on」の文字部分と「R&D」の文字部分とは離れて配されていることから,これら3つの文字部分は,それぞれ,視覚上,分離して看取し得るものである。
(イ)本願文字部分中「switch on」の文字部分は,「スイッチを入れる」(「ベーシックジーニアス英和辞典」株式会社大修館書店)を意味する熟語として一般に親しまれていることから,その構成文字に相応して「スイッチオン」の称呼及び「スイッチを入れる」の観念を生じるものである。
(ウ)本願文字部分中「Sansei」の文字部分は,その構成文字に相応して,「サンセイ」の称呼を生じ,また,当該文字は一般の辞書等に掲載されている既成語ではなく,特定の観念は生じないものである。
(エ)本願文字部分中「R&D」の文字部分は,その構成文字に相応して「アールアンドディ」の称呼を生じ,「research and development 研究開発」の意味を有する語(「ジーニアス英和辞典 第5版」株式会社大修館書店)として一般に親しまれている。そして,本願指定商品は上記1のとおり,「電子応用機械器具,電子管,半導体素子,電子回路」等であって,企業等において研究開発が行われている商品といえるから,本願文字部分中「R&D」の文字部分からは,出所識別標識としての称呼及び観念は生じないものといえる。
ウ 以上よりすると,本願商標は,その構成中,本願図形部分及び本願文字部分が,視覚上,図形部分と文字部分とに分離して看取し得るものであり,また,本願文字部分中「switch on」,「Sansei」及び「R&D」の文字部分について,それぞれ,視覚上,分離して看取し得るものであること,本願図形部分並びに「switch on」,「Sansei」及び「R&D」の文字部分が,それぞれ観念的に密接な関連性を有しているとはいえず,一連一体の称呼が生じるともいえないことからすると,それぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認めることはできない。そして,本願文字部分中「R&D」の文字部分は,出所識別標識としての称呼,観念は生じないものといえる。
そうすると,本願商標は,その構成中の本願図形部分,並びに,本願文字部分中「switch on」及び「Sansei」の文字部分が,それぞれ要部として自他商品識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当である。
したがって,本願商標は,その要部の一である「switch on」の文字部分のみを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものであり,本願商標は,「switch on」の文字部分に相応して,「スイッチオン」の称呼及び「スイッチを入れる」の観念を生じるというのが相当である。
(2)引用商標について
引用商標は,別掲2のとおり,赤色で塗りつぶされた横長長方形内に白抜きで,「Switch!」の文字及び記号と,その右側にデザイン化された「on」の文字を太字で大きく表してなるところ,上記(1)ウ(イ)のとおり,「switch on」の文字は,「スイッチを入れる」を意味する親しまれた熟語であることから,「Switch」の文字に記号「!」が付されているとしても,全体として1つの観念を容易に想起するため,その構成文字全体から,「スイッチオン」の称呼及び「スイッチを入れる」の観念を生じるとみるのが自然である。
(3)本願商標と引用商標との類否について
本願商標の要部の一である「switch on」の文字部分と引用商標とを比較すると,外観においては,3つの細長い逆三角形図形の有無,赤い長方形及び「!」の記号等による差異があるものの,両者はつづり字を共通にするものであるから,外観上,近似した印象を与えるものである。
そして,称呼及び観念においては,本願商標の要部と引用商標とは,「スイッチオン」の称呼及び「スイッチを入れる」の観念を共通にするものである。
以上によれば,本願商標の要部の一である「switch on」の文字部分と引用商標とは外観上,近似するものであって,称呼及び観念を同一にするものであるから,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合すると,商標の出所について誤認混同を生ずるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
したがって,本願商標と引用商標とは,互いに類似する商標といえる。
(4)本願商標と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について
本願商標の指定商品と引用商標の指定役務中「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は,当該役務の取扱いに係る商品に,本願商標の指定商品が含まれるものであり,商品の販売と,その商品を取り扱う小売役務の提供とが同一の者によって行われることは,商取引上,しばしば見受けられるものであり,そのような場合,当該商品の販売場所や需要者の範囲が,当該役務の提供場所や需要者の範囲と一致することも,少なからずあることから,本願商標の指定商品と引用商標の上記指定役務に同一又は類似する商標が使用された場合,その出所について混同を生ずるおそれがある,互いに類似するものというべきである。
(5)小括
以上によれば,本願商標は,引用商標と類似する商標であって,また,本願商標の指定商品と引用商標の指定役務も類似するものである。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標と引用商標とは構成全体のデザインの顕著な差異が認められ,とりわけ本願商標にあっては,人差し指と親指を立てた手指等をデザイン化した「スイッチオン図形」と「switch on」,デザイン化された「s」字の「踊るような曲線稲妻形状」と「i」字の上のドットの「玉」図形からなる「Sansei」及び「R&D」によって,外観上の顕著な特徴を備えている一方において,引用商標は,方形の赤色の地に白抜きで太字の「Switch!」の英文字と,図形化された「on」の大きな英文字よりなるという特徴的な外観を有するものであって,本願商標と引用商標の外観は類似するところはなく,称呼においては,その一部が共通するとしても,商標全体としては全く異なる称呼であり,観念においては両者を対比することはできないものであるから,その外観,称呼及び観念によって,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,これらの商標は,商品の出所について混同を生ずるおそれのない非類似の商標である旨主張する。
しかしながら,本願商標は,外観上,本願図形部分等の顕著な特徴を有しているとしても,上記(1)のとおり,本願文字部分中「Switch on」の文字部分は,本願商標の要部の一として,当該文字部分のみを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものである。
イ 請求人は,過去の審決例を挙げて,本願商標と引用商標とは非類似の商標である旨主張するが,商標の類否の判断は,対比する商標について個別具体的に判断されるべきものであるところ,上記審決例は,商標の具体的構成等において本願とは事案を異にするものであり,本願商標については,上記(3)においてした判断のとおりであるから,当該登録例をもってその判断が左右されることはない。
ウ よって,請求人の上記主張はいずれも採用することができない。
(7)まとめ
以上のとおり,本願商標は,引用商標と類似し,その指定商品も,引用商標の指定役務と類似するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
別掲 別掲1 本願商標

別掲2 引用商標(色彩は原本参照。)

審理終結日 2019-08-06 
結審通知日 2019-08-30 
審決日 2019-09-12 
出願番号 商願2016-144346(T2016-144346) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (W09)
T 1 8・ 261- Z (W09)
T 1 8・ 265- Z (W09)
T 1 8・ 262- Z (W09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 薩摩 純一
浜岸 愛
商標の称呼 スイッチオンサンセイアアルアンドデイ、スイッチオンサンセーアアルアンドデイ、スイッチオンサンセーアアルデイ、スイッチオン、サンセーアアルアンドデイ、サンセーアアルデイ、サンセー、アアルアンドデイ、アアルデイ 
代理人 後藤 憲秋 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ