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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X09 |
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管理番号 | 1357006 |
審判番号 | 取消2018-300022 |
総通号数 | 240 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2019-12-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2018-01-12 |
確定日 | 2019-11-05 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5432472号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5432472号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5432472号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりに書してなり,平成23年1月24日に登録出願,第9類「保安用ヘルメット,ウエイトベルト,浮袋,運動用保護ヘルメット,水泳用浮き板,エアタンク,レギュレーター,耳栓,写真機械器具,光学機械器具,測定機械器具,電池,眼鏡」を指定商品として,同23年8月19日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。 そして,本件審判の請求の登録日は,平成30年1月29日である。 また,本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成27年1月29日から同30年1月28日までの期間を,以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を審判請求書,審判事件弁駁書,口頭審理陳述要領書及び上申書において要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証なし甲第3号証を提出した。 1 請求の理由 被請求人は,本件商標をその指定商品(以下「取消請求商品」という。)のいずれについても継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。 2 弁駁の理由 (1)使用商品について 被請求人は,本件商標を商品「カメラ及び付属品」に使用した旨述べるが,乙第1号証には文書のタイトルに「HD GOPRO HERO & 関連パーツ在庫特価販売条件書並び説明書」(以下「本件在庫特価販売条件書」という。)に記載されている1段目の品名「HD Helmet HERO」の商品説明によると,「ハイビジョン動画撮影が可能なウェアラブルカメラ」,「静止画撮影も500万画素という高解像度」,「外部メモリ対応も最大32GB(SDHCカード)」,「ビデオフォーマットはH264/mp4」等と仕様説明からすると,これは静止画像を電子的に記録するデジタルカメラである。また,本件在庫特価販売条件書の2段目以下の商品は,当該デジタルカメラの付属品とみられる。 デジタルカメラは,類似商品・役務審査基準では指定商品の第9類「電気通信機械器具」に属する商品であるところ,本件商標の指定商品には「電気通信機械器具」は含まれていない。一方,本件商標の指定商品には,第9類「写真機械器具」が含まれるが,これは光学式のカメラが該当するため,乙第1号証に記載されている商品は本件商標の指定商品に含まれず,本件商標の使用証拠として認められない。 被請求人が,過去に請求人と日本代理店契約を行っていたことは,被請求人の主張のとおりであるところ,本件在庫特価販売条件書に記載のある商品は代理店契約中に取り扱っていたものと推認される。そして,請求人が過去に販売していたデジタルカメラである(甲3)。したがって,被請求人が提出した証拠に示された商品は全てデジタルカメラであり,本件商標の指定商品の何れにも該当しない。 また,被請求人は,本件在庫特価販売条件書に記載の「リチュウム電池」は本件指定商品中の「電池」に該当する旨述べている。 しかし,本件在庫特価販売条件書の記載を見ると,最上段の「HD Helmet HERO」の項目中,KIT内容に「リチウムイオン充電池」が記載されているが,他のKIT内容のものとともに,カメラ本体とその付属品としてセット販売されるものであることは明白であり,リチウムイオン充電池が独立して取引される商品とはいえない。 (2)受領印について 被請求人は,本件在庫特価販売条件書の右下「平成27年7月9日」が作成日,手書きの「平成27年7月10日」が受領のメモである,と述べている。しかし,受領印を押した者が誰なのか不明であり,社判や日付印等の記載が無いことから,有限会社Arow Ageny(以下「アロー社」という。)が受領したことの客観的な証拠として疑義がある。 (3)商標の同一性について 本件商標は,「HD」の文字と「GOPRO HERO」の文字を二段に書され,書体,大きさ,文字間隔が異なり,全体として特徴あるロゴ商標と看取できるところ,本件在庫特価販売条件書の文書タイトルには「HD GOPRO HERO」の表示が認められるものの,これは一行に表示した普通の書体であり,ロゴ商標である本件商標とは全く印象が異なり,社会通念上同一のものとはいえない。 また,本件在庫特価販売条件書の文書タイトルの表示「HD GOPRO HERO」が当該文書中の具体的にどの内容を示すものか関連性が不明である。 さらに,商標の使用とは,商標法第2条第3項各号に掲げる行為をいうが,被請求人は本件在庫特価販売条件書について,同法同条同項第8号の使用行為に該当すると述べている。 これを検討すると,被請求人は本件在庫特価販売条件書の説明として「販売代理店に配布し,カメラと付属品の在庫処分販売の販促」を行った,と述べているが,これは広告には該当しないことが明らかある。また,「在庫特価販売条件書」のタイトルや,販売可能数量が指定されていることから,価格表というより単に在庫処分を行う内容の通知を送付したものとみられる。さらに,商標の使用が認められる取引書類とは,「注文書,納品書,送り状,出荷案内書,物品領収書,カタログ等」(工業所有権法逐条解説商標法第2条)とされるが,販促のための条件書及び説明書はこれらの取引書類には該当しない。 また,乙第2号証ないし乙第9号証はいずれも,要証期間外の証拠であり,本件商標の使用証拠として認められないものである。 3 まとめ 以上のとおり,本件在庫特価販売条件書は,本件商標と社会通念上同一の商標を,本件商標の指定商品のいずれにも使用したとはいえないことから,本件商標の使用の証明にはならない。また,乙第2号証ないし乙第9号証はいずれも,要証期間外の証拠であり,本件商標の使用証拠として認められないものである。 第3 被請求人の主張 被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,審判事件答弁書,口頭審理陳述要領書及び上申書において,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。 1 答弁の理由 (1)商標を使用した理由 本件商標権者は,平成27年7月9日に作成した本件在庫特価販売条件書(乙1)を,アロー社に配布し,カメラと付属品の在庫処分販売の販促を行っている。本件在庫特価販売条件書には,アロー社から入手し,同社の代表取締役の受領のメモが残っている(乙10)。 そして,本件在庫特価販売条件書には,「HD GOPRO HERO」の記載があり,「品番」,「品名」,「価格(本体価格,納品価格)」,「商品内容(KIT内容,商品説明)」を示している。各商品は,「HD GOPRO HERO」の「カメラ及び付属品(関連パーツ)」である,カメラ本体,リチュウムイオン充電池,カメラの各種マウント等の記載がある。 以上のことから,本件商標権者は,要証期間内に,「HD GOPRO HERO」の標章を付したカメラ及び付属品(関連パーツ)の価格表を兼ねた取引書類を,販売代理店に配布し在庫引き取りの販促を行っている。 当該行為は,商標法第2条第3項第8号の使用に該当する。 なお,本件商標権者は,平成27年7月9日付けでアロー社に本件在庫特価販売条件書を配布したが,本件は購入に至らなかったゆえ販促時の書類として本件在庫特価販売条件書があるのみである。 (2)商標使用の経緯 本件商標権者は,2008年(平成20年)3月から2011年(平成23年)5月に至るまで,請求人からカメラ及び関連パーツを仕入れて,日本正規輸入販売店として国内で販売を行っていた(乙2?乙6)。 商品カタログ(乙2,乙3)は,販売代理店,小売店,一般消費者向けに当時頒布していたカタログである。 一覧表(乙4)及び納品書(乙5,乙6)は,販売代理店・小売店に納入した実績を示す一部である。 被請求人は,2011年(平成23年)5月で請求人からの仕入れを止め,以後は値下げした在庫処分の販売のみ行った(乙7,乙8)。 そして,2015年(平成27年)の半期決算の際に少数であるが倉庫から在庫品が見つかったため,上記のごとく販売代理店(アロー社)に在庫処分販売の販促を行った。アロー社は,本件商品以外にも被請求人の商品を扱う販売代理店である(乙9)。 (3)使用商品について 本件在庫特価販売条件書に記載されている,カメラ及び付属品は,取消請求商品中の「写真機械器具」及び「電池」に該当する。 (4)商標の同一性について 本件在庫特価販売条件書における「HD GOPRO HERO」は,当該書類の体裁上1段書きにしている。これは商標を掲載する対象に応じて適宜変更を加えたものである。ただし,「HD」「GOPRO HERO」からなるものと認識されることに変わりない。さらに,同一の称呼が生じる。ゆえに,登録商標と使用商標は,社会通念上同一のものである。 2 むすび 以上の理由により,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことはできない。 第4 当審の判断 被請求人は,本件商標権者が平成27年7月9日付けでアロー社に本件在庫特価販売条件書を配布したことをもって,本件商標を使用していた旨主張するので,以下検討する。 1 被請求人が提出した証拠及びその主張によれば,以下の事実が認められる。 (1)請求人と本件商標権者の関係について 本件商標権者は,平成20年3月から平成23年5月まで,請求人からカメラ及び関連パーツを仕入れて,日本正規輸入販売店として国内で販売を行っていた(乙2?乙6,当事者間に争いの無い事実)。 (2)商品カタログについて ア 商品カタログ(乙2)の3葉目には,「GoPro HD Helmet HERO/ゴープロ HD ヘルメットヒーロー」の見出しの下「HDヘルメットヒーローは,特にアクティブアウトドアに対応した,たくさんのパーツで構成されたキットです。」,「パッケージ内容」として,「HDカメラ本体・専用リチウムイオン充電池×1・防水ハウジング・・・」等があり,品番として「WCHDHH1」の記載がある。 また,その3葉目の下部には,商品仕様として「ビデオ・・・本体液晶部に表示される動画撮影モードのサイズ表示,録画時間の目安(SDHC32GB使用時)」の記載がある。 さらに,当該商品カタログの裏表紙には,「日本正規輸入販売元/株式会社エバニュー」の記載がある。 イ 本件商標権者の商品カタログ(乙3)の裏表紙には,上記イの記載とほほ同様の記載があり,当該商品カタログの有効期間は,2010年(平成22年)6月から2011年(平成23年)5月である。 (3)本件在庫特価販売条件書について ア 本件商標権者は「HD GOPRO HERO&関連パーツ在庫特価販売条件書並びに説明書」(本件在庫特価販売条件書)と題する取引書類を平成27年7月9日に作成し,翌10日にアロー社は本件在庫特価販売条件書を受領した(乙1,乙10)。 イ 本件在庫特価販売条件書には,商品の一覧表が記載されており,その表には,「品番」,「品名」,「KIT内容」及び「商品説明」等の欄があり,全部で10個の商品が掲載されており,最上段には,それぞれ各項目に「WCHDHH1」,「HD Helmet HERO」,「・カメラ本体・リチウムイオン充電池・防水仕様ハイジング・ヘッドランプスタイルヘッドストラップ」等及び「『HD Helmet HERO』は,HD CMOSセンサー搭載のハイビジョン動画撮影が可能なウェラブルカメラです。・・・またバッテリーは充電使用が可能な『リチウムイオン電池』を搭載。・・・」の記載がある。 2 上記1からすれば,次のとおり判断できる。 (1)使用商品について ア 本件在庫特価販売条件書(乙1)に掲載された商品は,(ア)本件商標権者が平成20年3月から平成23年5月まで,請求人からカメラ及び関連パーツを仕入れて,日本正規輸入販売店であったこと,(イ)本件商標権者が請求人の日本正規輸入販売店に作成された商品カタログ(乙2,乙3)に掲載された商品と品名「HD Helmet HERO」及び品番「WCHDHH1」が本件在庫特価販売条件書と共通することを踏まえると,本件在庫特価販売条件書に記載された商品は,商品カタログ(乙2,乙3)に記載された商品と同一のものであって,本件商標権者が請求人の日本正規輸入販売店の時に,請求人から仕入れた商品であるといえる(以下,商品と品名「HD Helmet HERO」及び品番「WCHDHH1」に係る商品を「使用商品」という。)。 イ 使用商品は,その仕様について,商品カタログ(乙2)に「ビデオ・・・本体液晶部表示される動画撮影モードのサイズ表示」,「録画時間の目安(SDHC32GB使用時)」の記載があること,及び本件在庫特価販売条件書の商品説明に「ハイビジョン動画撮影が可能なウェラブルカメラ」の記載があることからすると,使用商品に含まれるカメラ本体は商品「ビデオカメラ」といえる。 そうすると,使用商品は,商品「ビデオカメラ」を主体とした付属品を含めた商品であるといえる。 (2)使用商品が取消請求商品の範ちゅうに含まれるかについて 商品「ビデオカメラ」は電気の作用をその機械器具の機能の本質的な要素にしている通信機械器具(電気通信機械器具)の一種であるといえ,他方,取消請求商品中の「写真機械器具」に含まれる商品は光の屈折・反射などの性質を応用した機械器具である。 そして,使用商品は,商品「ビデオカメラ」を主体とした付属品を含めた商品であるから,取消請求商品「写真機械器具」の範ちゅうに含まれる商品ということはできない。 そのほか,被請求人の提出した証拠からは,本件商標を取消請求商品に使用した証拠は見いだすことができない。 (3)被請求人の主張について 被請求人は,本件在庫特価販売条件書に記載されている「リチウムイオン電池」は取消請求商品中の「電池」に該当するものであると主張する。 しかしながら,本件在庫特価販売条件書に記載されている使用商品は,上記(1)のとおり,商品「ビデオカメラ」と主体としてその付属品を含めた商品であって,例え使用商品の付属品中に商品「リチウムイオン電池」が含まれ,当該「リチウムイオン電池」が取消請求商品中の「電池」に含まれるものとしても,当該「リチウムイオン電池」は使用商品の付属品の一つとして例示され,単体で販売されているものではない。 そうすると,使用商品は,その付属品の一つに商品「リチウムイオン電池」が含まれているとしても,当該商品が取消請求商品中の「電池」に使用しているものということはできない。 したがって,被請求人の上記主張は,採用できない。 3 むすび 以上のとおり,被請求人は,要証期間内に,日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,取消請求商品について,本件商標を使用したことを証明したものと認めることはできない。 また,被請求人は,その指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により取り消すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別紙(本件商標) |
審理終結日 | 2019-08-29 |
結審通知日 | 2019-09-02 |
審決日 | 2019-09-26 |
出願番号 | 商願2011-7514(T2011-7514) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(X09)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 中島 光、冨澤 美加 |
特許庁審判長 |
早川 文宏 |
特許庁審判官 |
大森 友子 榎本 政実 |
登録日 | 2011-08-19 |
登録番号 | 商標登録第5432472号(T5432472) |
商標の称呼 | エイチデイゴープロヒーロー、エッチデイゴープロヒーロー、エイチデイゴプロヒーロー、エッチデイゴプロヒーロー、ゴープロヒーロー、ゴプロヒーロー、ゴープロ、ゴプロ、ヒーロー |
代理人 | 高木 康志 |
代理人 | 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 |