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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201813814 審決 商標
不服201816130 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W36
管理番号 1356087 
審判番号 不服2018-15865 
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-29 
確定日 2019-09-19 
事件の表示 商願2017-78212拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「BUSINESS DEBIT」の文字を標準文字で表してなり,第36類「デビットカードの利用者に代わってする支払代金の清算及び決済,デビットカード利用金額に関する情報の提供,デビットカード発行の取次ぎ,デビットカードの発行に関する情報の提供,預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定着物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,信用購入あっせん」を指定役務として,平成29年6月13日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は,「BUSINESS DEBIT」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中「BUSINESS」の文字は「職業,仕事」の意味を,「DEBIT」の文字は「(会計で)借方に記入すること」の意味を有する。
ところで,「DEBIT」の表音を片仮名で表した「デビット」の文字は,本願に係る指定役務を取り扱う業界において,「買い物の代金が販売時点で預金口座から引き落とされるカード。」の意味を有する「デビットカード」を示す文字として使用されている実情がある。
そして,本願商標の表音を片仮名で表した「ビジネスデビット」の文字は,本願に係る指定役務を取り扱う業界において,「中小企業・個人事業主,法人顧客向けのデビットカード」程の意味合いを示す語として使用されている実情がある。
そうすると,本願商標は,その指定役務中「デビットカードの利用者に代わってする支払代金の清算及び決済,デビットカード利用金額に関する情報の提供,デビットカード発行の取次ぎ,デビットカードの発行に関する情報の提供」に使用した場合,これに接する需要者は,「中小企業・個人事業主,法人顧客向けのデビットカードに関する役務」であること,すなわち,単に役務の質を普通に用いられる方法で表示したものと認識する。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。

3 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 本願商標は,「BUSINESS DEBIT」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中「BUSINESS」(ビジネス)の語は「仕事。業務。」の意味を有する我が国においても親しまれた外来語である(「大辞林 第3版」三省堂)。
そして,本願商標の構成中,「DEBIT」の語は「会計用語で借方の意」を有するものであるが(前掲書参照),金融サービスとの関係においては,「デビットカード(debit card)」と称する「買い物の代金が販売時点で預金口座から引き落とされるカード」(前掲書参照)を利用した決済サービスが広く提供されており,そのようなカードを利用した決済サービスについて,例えば「SMBCデビット」,「Visaデビット」,「みずほJCBデビット」,「京銀JCBデビット」,「めいぎんJCBデビット」などのように,「○○デビット」(○○には金融機関の略称等が入る。)の名称が採択されている実情がある(別掲1)。
さらに,デビットカードを利用した決済サービスの中には,法人や個人事業主などに向けたビジネス用途のデビットカードを利用した決済サービスも提供されており,それらサービス名称として,例えば「みずほビジネスデビット」,「ジャパンネット銀行のVisaビジネスデビット」,「りそなビジネスデビットカード」,「SURUGA Visaビジネスデビットカード」などが採択されているもので,「ビジネスデビット(カード)」に結合する語によって,各金融機関が提供する同種サービス間における出所を識別している実情がある(別掲2)。
イ 以上を踏まえると,本願商標は,デビットカードを利用した金融サービスとの関連においては,その需要者,取引者をして,全体として「(法人や個人事業主などに向けた)ビジネス用途のデビットカード(を利用した決済サービス)」であることを想起させるもので,当該語単独では自他役務の出所識別標識としての機能を欠くものであって,単に役務の質(内容)を表示するにすぎない。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標は,請求人が独自に創作した商標であること,これに接する需要者は,全体として新語として受け取り,特定の具体的な意味を有しない造語と認識するもので,取引の実情を想起した上で,各語の意味を分析,認識して取引にあたることはないこと,「ビジネスデビット」の語の使用例も,そのサービス内容や需要者の範囲は同一ではなく,特定の役務の内容を意味する証拠たり得ないこと,辞書等にも掲載がないことから,特定の意味を生じない旨を主張する。
しかしながら,上記(1)アのとおり,本願商標を誰が創作したかに関わらず,取引の実情として,「○○ビジネスデビット(カード)」と称して,ビジネス用途のデビットカードを利用した決済サービスが複数の金融機関によって提供されていることを踏まえると,本願商標全体としても,デビットカードを利用した金融サービスにおける取引者及び需要者の間において,「(法人や個人事業主などに向けた)ビジネス用途のデビットカード(を利用した決済サービス)」程度の意味合いを想起させるというべきだから,その主張は採択できない。
イ 請求人は,本願商標の構成中「DEBIT」の語は,日本の一般需要者の英語のレベルを考慮すれば,その意味を直ちに理解できるとは考え難く,これを「デビットカード」と結びつけないこと,「デビット」の語は「デビットカード」を示す文字として使用されている事実はないこと,デビットカードの保有率も低いことなどから,本願商標の構成中「DEBIT」の語から直ちに「デビットカード」を想起しない旨を主張する。
しかしながら,上記(1)アのとおり,「○○デビット」と称するデビットカードを利用したサービスが多数存在するという取引の実情を踏まえると,少なくとも,デビットカードを利用した金融サービスにおける取引者及び需要者の間においては,「DEBIT」の欧文字から「デビットカード(を利用した決済サービス)」程度の意味を連想,想起させるというべきだから,その主張は採択できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから,商標法第3条第1項第3号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 「○○デビット」(○○には金融機関の略称等が入る。)と称する,デビットカードを利用した決済サービスの事例
(1)「SMBCデビット」
「三井住友銀行」のウェブサイトにおいて,「デビットカード(SMBCデビット)」のサービス紹介の項に,「SMBCデビットとは?」の見出しの下,「タッチでお買い物ができ,代金が口座から即時に引き落とされるVisaデビットカードです。(年会費無料)」の記載がある。
https://www.smbc.co.jp/kojin/debit/
(2)「Visaデビット」
「Visa」のウェブサイトにおいて,「Visaデビット」のサービス紹介の項に,「Visaデビットとは?」の見出しの下,「Visaデビットは,使った分が即時に預金口座から引き落とされ,その場で通知。」の記載がある。
https://www.visa.co.jp/pay-with-visa/find-a-card/debit-cards.html
(3)「みずほJCBデビット」
「みずほ銀行」のウェブサイトにおいて,「みずほJCBデビット」のサービス紹介の項に,「みずほJCBデビットとは」の見出しの下,「『みずほJCBデビット』は,ご利用代金がお客様の決済口座から,原則即時で引き落としされるデビットカードです。」の記載がある。
https://www.mizuhobank.co.jp/retail/products/payment/jcbdebit/index.html
(4)「京銀JCBデビット」
「京都銀行」のウェブサイトにおいて,「京銀JCBデビット」のサービス紹介の項に,「京銀JCBデビットとは」の見出しの下,「世界のJCB加盟店でお買い物するたびに,預金口座から即時に引き落としされる便利なカード。」の記載がある。
https://www.kyotobank.co.jp/kojin/jcbdebit/index.html
(5)「めいぎんJCBデビット」
「名古屋銀行」のウェブサイトにおいて,「めいぎんJCBデビット」のサービス紹介の項に,「『めいぎんJCBデビット』とは」の見出しの下,「後払いのクレジットカードと違い,預金口座から残高の範囲内で,原則その場でお支払い完了。チャージの必要もありません。」の記載がある。
https://www.meigin.com/kojin/benri/jcb-debit/index.html

別掲2 「○○ビジネスデビット(カード)」(○○には金融機関の略称等が入る。)と称する,法人や個人事業主などに向けたビジネス用途のデビットカードを利用した決済サービスの事例
(1)「みずほビジネスデビット」
「みずほ銀行」のウェブサイトにおいて,「みずほビジネスデビット」のサービス紹介の項に,「みずほビジネスデビットは法人口座残高を上限とした即時決済によりビジネスのキャッシュレス・ペーパーレス化を促進!」の記載がある。
https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/ebservice/payment/businessdebit/index.html
(2)「ジャパンネット銀行のVisaビジネスデビット」
「ジャパンネット銀行」のウェブサイトにおいて,「ジャパンネット銀行のVisaビジネスデビット」のサービス紹介の項に,「Visaデビットって,なに?」の見出しの下,「クレジットカードと異なり,原則使ったその場で口座から即時払い。」の記載とともに,「法人口座開設はこちら」,「個人事業主の方はこちら」の記載がある。
https://login.japannetbank.co.jp/wctx/AF.do?SikibetuId=2018000020
(3)「SURUGA Visaビジネスデビットカード」
「スルガ銀行」のウェブサイトにおいて,「SURUGA Visaビジネスデビットカード」のサービス紹介の項に,「ビジネスの経費など,幅広いビジネスのシーンでご利用いただける個人事業主の方専用のデビットカードです。」の記載がある。
https://www.surugabank.co.jp/surugabank/houjin/service/visa_business_debit/
(4)「りそなビジネスデビットカード」
「りそな銀行」のウェブサイトにおいて,「りそなビジネスデビットカード」のサービス紹介の項に,「りそなビジネスデビットカードとは」の見出しの下,「様々なビジネスシーンでご利用ください」,「創業間もない企業,個人事業主の皆様もご利用可能」,「事業用の普通預金口座をお持ちの個人事業主・法人のお客さまであれば,すべての方がご利用いただけます。」の記載がある。
https://www.resonabank.co.jp/hojin/service/eb/b_debit/



審理終結日 2019-07-24 
結審通知日 2019-07-26 
審決日 2019-08-07 
出願番号 商願2017-78212(T2017-78212) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W36)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 町田 圭輔安達 輝幸守屋 友宏 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 阿曾 裕樹
板谷 玲子
商標の称呼 ビジネスデビット、ビジネス、デビット 
代理人 奥山 尚一 

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