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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z2526
管理番号 1356071 
審判番号 取消2017-300415 
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-06-16 
確定日 2019-09-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第1459427号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1459427号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,昭和51年3月12日に登録出願,第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同56年4月30日に設定登録,その後,平成14年2月6日に指定商品を第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」及び第26類「腕止め」のほか,第6類,第14類及び第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされ,現に有効に存続しているものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成29年6月26日にされた(以下,当該登録前3年以内を「要証期間」という。)。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」及び第26類「腕止め」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は,被請求人の答弁に対して弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を審判事件答弁書及び審尋に対する回答書において要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第20号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標は,本件商標権者がその指定商品中の「ベルト」及び「ズボンつり」について,使用している。
2 平成28年(2016年)9月5日から同年10月25日の期間に発行された取引先会社あての仕入伝票9通(乙1)には,いずれも本件商標が表示されている。
(1)乙第1号証の仕入伝票(及び乙第8号証の物品受領書)に記載の「JAL16BK25.0 N」について
本件記載は,JAL向けの(「JAL」)2016年の受発注による(「16」),バックル(「BK」),25mmのベルト巾(「25.0」),ニッケルシルバー色(「N」)の商品を示している。下段の「JAL16BK 25.0 G」は,同様の商品で,ゴールド色を示している。
(2)乙第2号証の特別注文品受注請書に記載の「JAL金属バックル付ベルト」,「25」及び「N×赤」について
本件記載は,JAL向けの(「JAL」),金属バックル付きのベルト(「バックル付きベルト」)で,巾25mm(「25」),ニッケル(シルバー)色のバックルで赤色ベルト(「N×赤」)の商品であることを示している。その上段の「G×赤」は,同様の商品で,バックルの色がゴールド色の商品を示している。
(3)乙第3号証の<量産>発注書に記載の「JALベルト シルバーバックル」,「25MM 巾」及び「キャリー赤」について
本件記載は,JAL向けの(「JAL」)のベルトで,シルバー色のバックル付き,25mm巾(「25MM 巾」),赤色(「キャリー赤」)のベルトであることを示している。また,3段目「JAL ゴールドバックル」,「25MM 巾」及び「エナメル赤」は,同様の商品で,素材違い,バックルの色がゴールド色の商品を示している。なお,製品NO・備考欄の「JAL2016」は2016年発注によるJAL向けの製品を示している。
乙第1号証の1ないし9記載の「JAL16BK 25.0 N」の数量を合計すると6,340,乙第2号証記載の「JAL 金属バックル付ベルト」の「N×赤」の数量は,6,340,乙第3号証記載の「JAL ベルトシルバーバックル」の合計数量が6,340であり,すべてその数量が一致している。
また,乙第1号証の1ないし9記載の「JAL16BK 25.0 G」の数量を合計すると,14,900,乙第2号証記載の「JAL 金属バックル付ベルト」の「G×赤」の数量が,14,900,乙第3号証記載の「JAL ベルトシルバーバックル」の数量を合計すると,14,900であり,これもすべて一致している。
これらの取引書類により,商標権者が商品「ベルト」を販売したことが明らかである。すなわち,商標権者は登録商標を指定商品「ベルト」について使用している(商標法第2条第3項第8号)。
3 平成29年(2017年)5月23日に発行された取引先会社あての仕入伝票(乙4の2)には,本件商標が表示されている。この仕入伝票中に記載の商品コード「SB-4B」及び「SB-5」は,商品見本説明書「合皮サッシュベルトMAP」(乙5)に記載の商品コード「SB4B」及び「SB-5」の商品に対応している。商品見本説明書は,特注品などを個別に受注する際の,商談に用いられているものである。
乙第5号証の商品見本説明書は,被請求人の商品を販売するために営業を行う者が使用する販促ツールとして使用するものであり,作成者は被請求人の従業員である(乙16の2)。その証拠として乙第5号証の商品見本説明書に掲載されている商品の写真のデータ(乙16の1)の作成日は,平成29年(2017年)2月28日であり,最も遅い更新日として同年3月23日の日付が確認できる。これらは,要証期間内であり,この時期に作成され,使用されていることが明らかである。
また,実際に納品されたこれら商品の見本の外袋(乙6)には,本件商標が表示されている。
これらの取引書類により,商標権者が商品「ベルト」について本件商標を使用していることは明らかである。即ち,商標権者は登録商標を指定商品「ベルト」について使用している(商標法第2条第3項第8号)。
4 商標権者の商品見本カタログ「IRIS Glossary Parts & buckle Catalog No.32」(乙7,以下「本カタログ」という。)の表紙下部には「IRIS」の商標が表示されている。本カタログは,改訂される毎に4?5年間継続使用されるため,これが最新のものであり現在も使用中である。
本カタログに記載されているバックルやDカン,サスペンダー用クリップなどのパーツの他,これらを用いた製品(カタログ中の説明にあるように,衣服のベルト,バッグの肩紐,サスペンダー(ズボンつり)など)の製造を特注品として個別に受注する際の,商談に用いられているものである。例えば上記2のJALベルトの受注の際にも,本カタログを提示しながら,ベルトの材質,サイズなどの規格のデータについて打ち合わせをおこない,現物見本を作成した後に,指定された数量を納品するといった流れで,取引が行われている。(乙1は,上記の流れを経て受注・納品された取引の書類である。)
また,本カタログの「IRIS」はセリフフォント,本件商標は花文字の一種で表されているが,いずれも容易に欧文字の「IRIS」と認識できるものであり,社会通念上同一の商標である。
したがって,商標権者が商品「ベルト」及び「ズボンつり」について本件商標を使用していることは明らかである。即ち,商標権者は登録商標を指定商品「ベルト」及び「ズボンつり」について使用している(商標法第2条第3項第8号)。
5 本件商標の原簿に記載された商標権者と,証拠に記載された東京本社が関係を有することについて,登記簿の現在事項全部証明書の写し(乙17)及び被請求人ウェブサイトの拠点紹介ページの写し(乙18)をもって証明する。原簿に記載の住所「群馬県太田市飯塚町1933番地」は,乙第17号証で提出する登記簿において,本店の住所として登記されている。他方,東京本社は支店として「東京都千代田区東神田三丁目5番1号」で登記されているが,現在は支店に本社機能が移っているため,便宜上,これを「東京本社」と通称し,ウェブサイト等にも公開している。したがって,株式会社アイリスの東京本社は,商標登録原簿上の本件商標権者と,本店と支店の関係を有する。
6 以上のとおり,被請求人は,要証期間内に我が国において,その請求に係る指定商品中,第25類「ベルト」について使用している。

第4 当審の判断
1 証拠及び被請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)平成28年5月31日付けの<量産>発注書(乙3)をもって,千代田区東神田在の株式会社(会社名は黒塗りされている。以下これを「千代田区在会社」という。)は,本件商標権者に対して,品番・品名「JALベルトシルバーバックル」,カラー「キャリー赤」を6,340本,品番・品名「JALベルトゴールドバックル」,カラー「エナメル赤」を14,900本とする発注を行った(乙3)。そして,当該発注書の下段に,円輪郭に納められた鶴の絵図内の下方に「JAL」の欧文字が表示されたバックル付きベルト(以下「本件使用商品」という。)が記載されている。
「JALベルトシルバーバックル」と「JALベルトゴールドバックル」の数量の合計は21,240本であり,当該発注書の発注者名は,特別注文品受注請書(乙2)の注文先の担当者名と一致する。
(2)平成28年8月22日付けの特別注文品受注請書(乙2)をもって,本件商標権者は,上記千代田区在会社に対して,品名「JAL金属バックル付ベルト」,カラー「G×赤」を14,900本,品名「JAL金属バックル付ベルト」,カラー「N×赤」を6,340本を受注した。「JAL金属バックル付ベルト」 の合計は21,240本であり,<量産>発注書(乙3)の「JALベルトシルバーバックル」と「JALベルトゴールドバックル」の数量の合計と一致する。当該受注請書には,納品期日として「平成28年10月末?11月初め頃予定」の記載がある。
(3)平成28年9月5日,同月9日,同月15日,同月26日,同年10月3日,同月6日,同月13日,同月21日,同月25日付けで,本件商標権者が上記千代田区在会社に対して発行した仕入れ伝票(乙1の1?9)及び物品受領書(乙8の1?9)には,「IRIS」の欧文字(以下「本件使用商標」という。)がゴシック体で表示されている。そして,「品名」欄の「JAL16BK 25.0 N」の合計は,6,340本,「JAL16BK 25.0 G」の合計は,14,900本で,総合計は,21,240本であり,物品受領書(乙8の1?9)には,<量産>発注書(乙3)の担当者及び特別注文品受注請書(乙2)における注文者と同一の者による受け取りのサインが手書きされている。
上記(1)?(3)に記載された品名,数量及び担当者名は整合するから,「JAL16BK 25.0 G」,「JAL金属バックル付ベルト(「G×赤)」及び「JALベルトゴールドバックル(エナメル赤)」は同一の商品と認められる。また,「JAL16BK 25.0 N」,「JAL金属バックル付ベルト(「N×赤)」及び「JALベルトシルバーバックル(キャリー赤)」も同一の商品と認められる。
(4)本件商標権者の現在事項全部証明書(乙17)に記載されている「支店」の住所は,本件商標権者のウェブサイトの「拠点紹介」(乙18)に記載されている「東京本社」の住所と同一である。
2 上記1認定の事実によれば,以下のとおり認めることができる。
(1)本件商標の使用時期について
ア 本件商標権者は,平成28年5月31日に,千代田区在会社から,「JALベルトシルバーバックル」を6,340本,「JALベルトゴールドバックル」を14,900本の注文を受けた。そして,本件商標権者は,発注を受けたバックル付きベルトを前記千代田区在会社に,平成28年9月5日に3,900本,同月9日に1,900本,同月15日に1,900本,同月26日に1,900本,同年10月3日に1,900本,同月6日に2,100本,同月13日に2,100本,同月21日に4,100本,同月25日に1,440本,それぞれ納品したものと認められる。
イ 上記アの納品にあたって本件商標権者と千代田区在会社との間で接受された伝票(「仕入伝票」及び「物品受領書」)には,本件使用商標が記載されており,本件商標権者は,該会社に本件使用商品を納品する際,これらの伝票に,当該バックル付きベルトに関して本件使用商標を付したものと認められる。
ウ よって,本件商標権者は,要証期間に含まれる平成28年9月5日ないし同年10月25日に,千代田区在会社に対し,本件使用商品に関する取引書類(仕入伝票及び物品受領書)に,本件使用商標を付して頒布したものと認めることができる。
(2)本件商標と本件使用商標の社会通念上の同一性について
本件商標は,別掲のとおり,花文字風の「IRIS」の欧文字とその下段に「アイリス」の片仮名を横書きしてなるところ,該構成文字からは,「アイリス」の称呼を生じ,「ギリシア神話の虹の女神」又は「アヤメ科アヤメ属の植物」の観念を生じるものである。
他方,本件使用商標は,「IRIS」の欧文字をゴシック体で横書きしてなるところ,本件商標の欧文字と同一のつづりからなるものであり,生じる称呼及び観念も同一であるから,本件商標とは社会通念上同一の商標と認められる。
(3)本件使用商品について
本件使用商品である「バックル付きベルト」は,本件審判の請求に係る指定商品中の「ベルト」の範ちゅうに含まれる商品であると認められる。
(4)小括
上記(1)ないし(3)によれば,本件商標権者は,要証期間に含まれる平成28年9月5日ないし同年10月25日に,日本国内において,本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「バックル付きベルト」の取引書類に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して頒布したものと認められる。
本件商標権者による上記行為は,商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,要証期間内に日本国内において,本件商標権者が,その請求に係る指定商品中の第25類「ベルト」に含まれる商品「バックル付きベルト」について,本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)の使用をしていたことを証明したと認められる。
したがって,本件商標の登録は,本件審判請求に係る指定商品について,商標法第50条の規定により,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標



審理終結日 2019-04-18 
結審通知日 2019-04-23 
審決日 2019-05-09 
出願番号 商願昭51-14705 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z2526)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 木村 一弘
平澤 芳行
登録日 1981-04-30 
登録番号 商標登録第1459427号(T1459427) 
商標の称呼 アイリス、イリス 
代理人 城山 康文 
代理人 横川 聡子 
代理人 永岡 愛 
代理人 高橋 菜穂恵 
代理人 北口 貴大 
代理人 岩瀬 吉和 
代理人 奥山 尚一 

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