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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 |
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管理番号 | 1355118 |
異議申立番号 | 異議2019-900072 |
総通号数 | 238 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2019-10-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-02-26 |
確定日 | 2019-09-20 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6105191号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6105191号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6105191号商標(以下「本件商標」という。)は,「APPO Laser」の文字を書してなり,平成30年4月2日に登録出願,第9類「テレビジョン受信機,スライド映写機,ビデオスクリーン,映写用スクリーン,ビデオプロジェクター,映写機,液晶プロジェクタ,マルチメディアプロジェクター,プロジェクションテレビ,アプリケーション及びデータベースの統合のためのコンピュータソフトウェア,データ処理装置,スピーカー用筐体,情報送信装置,眼鏡,テレビジョン受信機用遠隔制御装置,電池用充電器,電気コンバーター,電線」を指定商品として,同年11月20日に登録査定,同年12月7日に設定登録されたものである。 2 引用商標等 (1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当するとして引用する商標は,「OPPO」の文字からなり(以下「使用商標」という。),中華人民共和国所在の「広東欧珀移動通信有限公司」などの業務に係る商品(スマートフォンなど)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとするものである。 (2)申立人が,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は次のとおりであり(以下,それらをまとめて「引用商標」という。),いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 ア 登録第5620482号商標(以下「引用商標1」という。) ・商標の態様:別掲のとおり ・指定商品: 第9類「バッテリーチャージャー,電池」 ・登録出願日:平成25年1月8日 ・設定登録日:平成25年10月4日 イ 登録第6000742号商標(以下「引用商標2」という。) ・商標の態様:別掲のとおり ・指定商品: 第9類「コンパクトディスクプレーヤー,ラジオ,スピーカー,音声用カセットプレーヤー,ビデオテーププレーヤー,MP3プレーヤー,携帯電話機,未記録のオーディオ用テープ,未記録のビデオテープ,ヘッドホンと有線及び無線マイクロホンとオーディオミキサーとその他の附属品から構成されるオーディオ会議のための電気通信機械器具,ビデオカメラ及びその附属品,ビデオモニター及びその附属品,ビデオモニターとビデオカメラとビデオモニター用コントローラーとビデオカメラ用コントローラーとキャビネットとマイクロホンとその他の附属品で構成されるテレビ会議システムのための電気通信機械器具,ビデオプロジェクター及びその附属品,大型スクリーンビデオディスプレイユニット及びその附属品,カムコーダー,ヘッドホン,イヤホン,DVDプレーヤー,ネットワーク用電気通信機械器具,携帯電話機の附属品及びその他の電気通信機械器具,ビデオプリンター」 ・登録出願日:平成25年1月8日 ・設定登録日:平成29年12月1日 ウ 登録第2238764号商標(以下「引用商標3」という。) ・商標の態様:「APO」の文字を横書きしてなる ・指定商品: 第11類「電気機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」 ・登録出願日:昭和62年6月15日 ・設定登録日:平成2年6月28日 3 登録異議の申立ての理由 申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第10号及び同項第11号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第34号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第10号について 本件商標は,中華人民共和国に所在する広東欧珀移動通信有限公司(Guangdong OPPO Mobile Telecommunications Corp.,Ltd)(以下「OPPO社」という。)及びその日本法人であるオッポジャパン株式会社(以下「オッポジャパン社」という。)並びにオッポデジタルジャパン株式会社(以下「オッポデジタルジャパン社」という。)の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標「OPPO」に類似するものであり,その商品又はこれらに類似する商品に使用するものであるから,商標法第4条第1項第10号に該当するものである。 使用商標「OPPO」は,商品「スマートフォン」を含む第9類の携帯情報端末について,中華人民共和国又はこれ以外の国・地域において周知の商標に該当し,取引者の間に広く認識されている他人の商標であり,日本国において報道・引用された結果,周知となった商標である(甲5?甲18,甲23?甲25)。 また,同商標は商品ブルーレイプレーヤー,ヘッドフォン,ヘッドフォン用のケーブル等を含む電気通信機械器具並びに電線及びケーブルについて,中華人民共和国及び日本において周知の商標に該当し,取引者の間に広く認識されている他人の商標である(甲19?甲22)。 一方,本件商標は,「APPO Laser」の文字より,「アッポレーザー」又は「アポレーザー」の称呼を生ずるものである。本件商標の「Laser」の文字部分が本件商標の構成要素の中,識別力が極めて弱い又はないものと判断される点に鑑み,これ以外の「APPO」の文字部分が要部として認定され,「アッポ」又は「アポ」の称呼を生ずるものであり,観念においては特に具体的な意味合いを有していない造語である。 使用商標は「OPPO」の文字よりなるものであるから「オッポ」の称呼を生ずるものであって,本件商標の要部「APPO」の文字部分と使用商標「OPPO」の文字とは,称呼上及び外観上で極めて類似するものであり,かつ,本件商標の指定商品と使用商標の商品も互いに類似するものであるから,本件商標は他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であり,その商品又はこれらに類似する商品について使用するものとして,商標法第4条第1項第10号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は,上記のとおり,その要部「APPO」の文字により,「アッポ」又は「アポ」の称呼を生ずるものである。引用商標1及び引用商標2は,「OPPO」文字よりなるものであるから,「オポ」又は「オッポ」の称呼を生じ,引用商標3は「APO」の文字よりなるものであるから,「アポ」の称呼を生ずるものである。 また,本件商標は,引用商標1及び引用商標2と「A」の文字以外の部分がすべて共通しており,外観上,類似するものである。そして,引用商標3とは,「P」の文字の数以外の部分がすべて共通し,外観上,極めて類似するものであり,さらに,本件商標は,引用商標とは指定商品も互いに類似するものである。 したがって,本件商標は,引用商標と類似する商標であって,これらの引用商標の指定商品に類似する商品について使用をするものとして,商標法第4条第1項第11号に該当する。 3 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第10号該当性について ア 使用商標の周知性 (ア)申立人提出の甲各号証,同人の主張及び職権調査によれば,次の事実が認められる。 a 中華人民共和国に所在するOPPO社は,2003年(平成15年)に設立された法人であって,主にDVDプレイヤー,家庭用電気器具,デジタルミュージックプレーヤー,携帯電話機,スマートホン等を含む電気通信機械器具及び携帯情報端末を製造・販売しており(甲5),2008年(平成20年)に中国の携帯電話機市場に参入,2011年(平成23年)には商標「OPPO」のスマートフォンの販売を開始し,2014年(平成26年)より海外展開が進められ,東南アジア,欧州,米国,インド等で販売している(甲9,甲10)。 また,OPPO社は,2016年(平成28年)に中国のスマートフォン市場でアップル社,ファーウェイ・テクノロジーズを抜き去り,売り上げのトップに躍り出て(甲7),2017年(平成29年)から,スマートフォンの販売台数でアジア1位,世界4位のシェアを有している(甲8)。 b OPPO社は,2014年(平成26年)7月にはインドネシアのジャワ島西部に工場を設立し,現地でスマートフォンの生産を行い(甲11),東南アジアでは2017年(平成29年),「OPPO」ブランドのスマートフォン商品の出荷台数が2位となり(甲12),日本においても取り上げられた(甲13?甲18)。 c OPPO社は,同社と同じグループに属するオッポデジタルジャパン社を,我が国において2013年(平成25年)に設立し,2018年(平成30年)現在,ブルーレイプレーヤー市場シェア1位を獲得している(甲19,甲20)。オッポデジタルジャパン社は,ブルーレイプレーヤー,ヘッドフォン,ヘッドフォン用の電線及びケーブル等を販売しており(販売開始時期は確認できない。),それら商品には「OPPO」の文字(外観上,同一視できるものを含む。)が付されている(甲21,甲22)。 d OPPO社は,2017年(平成29年)8月に携帯電話部門の子会社であるオッポジャパン社を設立し,2018年(平成30年)2月9日から我が国においてスマートフォンの販売を開始し,現在も販売しており,当該スマートフォンには「OPPO」の文字(外観上,同一視できるものを含む。)が付されている(甲23?甲25,職権調査)。 e 申立人は,各国で「OPPO」の文字の登録出願を行っている(甲34)。 (イ)上記(ア)の事実からすれば,我が国において,2018年(平成30年)以前から「OPPO」の文字を付した商品(スマートフォン,ブルーレイプレーヤなど)が販売されていることは認められるものの,本件商標の登録出願の日前に新聞やインターネットにおいてOPPO社に係る記事が掲載された回数は,7年弱の期間に9回程度と少なく,また,OPPO社,オッポジャパン社及びオッポデジタルジャパン社(以下,3社をまとめて「OPPO社等」という場合がある。)の取扱いに係る「OPPO」の文字を付した商品(スマートフォンなど)の我が国における販売台数,売上高など販売実績を示す証拠は見いだせないことから,これらの証拠によっては,我が国における市場占有率(販売シェア)等の量的規模を客観的な使用事実に基づいて,使用商標の使用状況を把握することができず,使用商標の周知著名性の程度を推し量ることができない。 なお,申立人は,オッポデジタルジャパン社がハイエンドブルーレイプレーヤ市場で1位のシェアを持つ旨の主張,立証(甲20)をしているが,かかる証拠には同社の代表取締役がそのように述べたとの記載があるだけであり,販売実績を示すものではない。 また,申立人は,中国や世界におけるスマートフォンの出荷実績などを主張,立証して,使用商標「OPPO」が我が国において周知である旨主張しているが,仮にそれら出荷実績などが事実であるとしても,中国や世界における出荷実績が,我が国における需要者の認識に直接反映されるものとはいい難い。 したがって,「OPPO」の文字からなる使用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,OPPO社等の業務に係る商品(スマートフォンなど)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 イ 本件商標と使用商標の類否 (ア)本件商標 本件商標は,上記1のとおり「APPO Laser」の文字からなるものであるところ,その構成文字は,同じ大きさ,同じ書体でまとまりよく一体的に表されており,「APPO」と「Laser」の間に半角程度のスペースがあるとしても,いずれか一方を強調するような構成態様ではなく,外観上「APPO」の文字部分のみが独立して着目されるものではない。 そして,本件商標の構成文字全体から生じる「エーピーピーオーレーザー」及び「アッポレーザー」の称呼も,格別冗長なものではなく,無理なく一連に称呼し得るものである。 また,本件商標の構成中,「APPO」の文字は,辞書等に掲載されていない語であり,特定の読みや意味合いを有しない一種の造語といえるものである。 そして,「Laser」の文字は,「メーザーと同じ原理によってマイクロ波よりも波長の短い紫外線・可視光線・近赤外線などの光の増幅・発振をする装置」(株式会社岩波書店「広辞苑」第六版)の意味を有する親しまれた英語であるとしても,本件商標の指定商品との関係においては商品の品質,用途等を具体的に表示するものとして直ちに理解できるものともいい難く,この文字部分を捨象するほど自他商品の識別標識として機能を果たさないとまではいえないから,ことさら「APPO」の文字部分のみが取引者,需要者に対して自他商品の識別標識として強く支配的なものと印象付けられることはないというべきであって,むしろ構成全体をもって一体不可分のものとみるのが自然であり,その構成全体からは,特定の意味合いを理解させる語ということはできないものである。 したがって,本件商標は,「エーピーピーオーレーザー」及び「アッポレーザー」の称呼のみを生じ,特定の観念を生じないものである。 (イ)使用商標 使用商標は,上記2(2)ア及びイのとおり「OPPO」の文字からなるところ,「OPPO」の文字は辞書等に掲載されていないものであり,特定の読みや意味合いを有しない一種の造語といえるものであるから,該文字に相応し「オーピーピーオー」及び「オッポ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものとみるのが相当である。 (ウ)本件商標と使用商標との類否 本件商標と使用商標の類否を検討すると,両者は,外観においては,文字商標における外観の識別上重要な要素である語頭において「A」と「O」の文字の差異を有し,また,「Laser」の文字の有無の差異を有するから,両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく,外観上,相紛れるおそれのないものである。 次に,称呼においては,本件商標から生じる「エーピーピーオーレーザー」及び「アッポレーザー」と使用商標から生じる「オーピーピーオー」及び「オッポ」の称呼を比較すると,両者は,まず「エーピーピーオー」と「オーピーピーオー」及び「アッポ」と「オッポ」の比較においては,それらはいずれも語頭において,「エー」と「オー」の音及び「ア」と「オ」の音の差異を有し,この差異音が称呼の識別上重要な要素である語頭に位置することから,それら称呼全体の語調語感に及ぼす影響は少なくなく,それらをそれぞれ一連に称呼しても,互いに聞き誤るおそれのないものである。 また,「エーピーピーオーレーザー」と「アッポレーザー」及び「オーピーピーオー」と「オッポ」の称呼は,いずれも「レーザー」の音の有無を有するものであるから,構成する各音の数・音質・音調等の差異により,それぞれ称呼を一連に称呼した場合においても,明瞭に聴別し得るものであり,聞き誤るおそれがないことは明らかである。 してみれば,両商標は,称呼上,相紛れるおそれはない。 さらに,観念においては,両商標は,共に特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較することができない。 そうすると,本件商標と使用商標とは,外観及び称呼において相紛れるおそれがなく,観念において比較できないものであるから,両者の外観,称呼及び観念によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 ウ 小括 上記アのとおり使用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,OPPO社等の業務に係る商品であることを表示するものとして,需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものであり,上記イのとおり,本件商標と使用商標は非類似の商標であるから,本件商標の指定商品と使用商標が使用されている商品が類似するとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標と引用商標1及び引用商標2との類否 本件商標は,上記イ(ア)のとおり「APPO Laser」の文字からなり,「エーピーピーオーレーザー」及び「アッポレーザー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。 引用商標1及び引用商標2は,別掲のとおり,その構成及び態様からすれば,やや図案化されているものの「OPPO」の文字を表したものと認識され得るから,引用商標1及び引用商標2は,上記イ(イ)のとおり,その構成文字に相応し「オーピーピーオー」及び「オッポ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものとみるのが相当である。 そうすると,本件商標と引用商標1及び引用商標2とは,上記イ(ウ)と同様の理由により相紛れるおそれのない非類似の商標ということができる。 イ 本件商標と引用商標3との類否 本件商標は,上記アのとおり「APPO Laser」の文字からなり,「エーピーピーオーレーザー」及び「アッポレーザー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。 引用商標3は,上記2(2)ウのとおり「APO」の文字からなるところ,該文字は,辞書等に掲載されていないものであり,特定の読みや意味合いを有しない一種の造語といえるものであるから,その構成文字に相応し「エーピーオー」及び「アポ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものとみるのが相当である。 そこで,本件商標と引用商標3との類否を検討すると,両者は,外観においては,中間部における「PP」と「P」の文字の差異及び「Laser」の文字の有無の差異を有するから,両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく,外観上,相紛れるおそれのないものである。 次に,称呼についてみると,まず本件商標から生じる「エーピーピーオー」と引用商標3から生じる「エーピーオー」の比較において,両者は中間部において「ピーピー」と「ピー」の音の差異を有し,この差異が称呼全体の構成音数の差異を生ずるものであり,また,語調語感に及ぼす影響も少なくないから,それらをそれぞれ一連に称呼しても,互いに聞き誤るおそれのないものである。 また,「アッポ」と「アポ」の称呼を比較すると,両者は語頭音「ア」の促音の有無という差異を有し,この差異が共に2音という極めて短い称呼全体の語調語感に及ぼす影響は少なくなく,それらをそれぞれ一連に称呼しても,互いに聞き誤るおそれのないものである。 さらに,「エーピーピーオーレーザー」と「アッポレーザー」及び「エーピーオー」と「アポ」の称呼は,いずれも「レーザー」の音の有無を有するものであるから,構成する各音の数・音質・音調等の差異により,それぞれを全体として称呼した場合においても,明瞭に聴別し得るものであるから,聞き誤るおそれがないこと明らかである。 してみれば,両商標は,称呼上,相紛れるおそれはない。 そして,観念においては,両商標は,共に特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較することはできない。 そうすると,本件商標と引用商標3とは,外観及び称呼において相紛れるおそれがなく,観念において比較できないものであるから,両者の外観,称呼及び観念によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。 ウ 小括 上記ア及びイのとおり,本件商標は引用商標のいずれとも非類似の商標であるから,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が類似するとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)申立人の主張 申立人は,本件商標の指定商品の中には,レーザー装置を部品として用いられるが一般的である点に鑑み,「Laser」の部分が本件商標の構成要素の中,識別力が極めて弱い又はないものと判断されるのが相当であるから,その結果,本件商標の「APPO」の部分が要部として認定される旨主張している。 しかしながら,本件商標の構成中の「Laser」の文字が上記(1)イ(ア)の意味を有する英単語であるからといって,その指定商品との関係において,自他商品の識別力が弱いとすべき具体的な証拠もなく,他に,「Laser」の語が,本件商標の登録査定時に,本件商標の指定商品の品質等を表示するものとして,取引上普通に使用されていたと認めるに足る証拠は見いだせない。 そうすると,「Laser」の文字は,その指定商品の品質等を直接的に表示するものとはいい難く,かつ,「Laser」の文字が本件商標の指定商品に使用された場合に,需要者である一般消費者の多数によって,商品の品質等を意味するものと認識されるとまでは認めることができない。 したがって,申立人の主張は採用することができない。 (4)むすび 以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同項第11号のいずれにも該当するものではなく,その登録は同条第1項の規定に違反してされたものとはいえないものであり,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(引用商標1及び引用商標2)![]() |
異議決定日 | 2019-09-10 |
出願番号 | 商願2018-41332(T2018-41332) |
審決分類 |
T
1
651・
262-
Y
(W09)
T 1 651・ 261- Y (W09) T 1 651・ 25- Y (W09) T 1 651・ 263- Y (W09) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 浦崎 直之 |
特許庁審判長 |
薩摩 純一 |
特許庁審判官 |
平澤 芳行 榎本 政実 |
登録日 | 2018-12-07 |
登録番号 | 商標登録第6105191号(T6105191) |
権利者 | アポトロニクス コーポレーション リミテッド |
商標の称呼 | アッポレーザー、アッポ |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 伊東 忠重 |
代理人 | 崔 海龍 |
代理人 | 大貫 進介 |