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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W32
審判 全部申立て  登録を維持 W32
審判 全部申立て  登録を維持 W32
管理番号 1354356 
異議申立番号 異議2018-900037 
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-02-05 
確定日 2019-05-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第5994759号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5994759号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5994759号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成からなり、平成29年2月7日に登録出願、第32類「果実エキス(アルコール分を含まないもの),果実飲料,飲料水,セルツァ炭酸水,ソーダ水,コーヒー風味の飲料(アルコール分を含まないもの),コーラ飲料,ミルクティー風味の乳清飲料,蒸留水(飲用のもの。),大豆ベースの飲料(牛乳代用物を除く),アーモンドシロップ,飲料製造用エッセンス,レモネード,飲料用野菜ジュース,カクテル(アルコール分を含まないもの),乳酸菌を含む果実飲料(牛乳をベースとしない)」を指定商品として、同年10月26日に登録査定、同年11月10日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申し立ての理由として引用する申立人の使用に係る商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2に示すとおりの構成からなり、申立人の業務に係る商品である「清涼飲料,果実飲料,炭酸飲料」(以下「申立人商品」という場合がある。)に使用しているとするものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の3第2項により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第25号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標に類似する商標であり、また、申立人商品と同一若しくは類似する商品に使用されるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、引用商標と類似する商標である。
また、引用商標は、申立人商品に長年使用された結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時において周知著名であり、本件商標の指定商品と需要者の範囲も一致するから、需要者の通常の注意力に鑑みると、本件商標をその指定商品に使用した場合には、引用商標を想起、連想し、申立人又はその関連会社が取り扱う商品であると誤認して、商品の出所について混同を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、申立人商品について世界的に周知著名な引用商標に類似するものであって、引用商標の周知著名性に便乗し、引用商標と類似する本件商標の独占排他的使用を得ようとする不正の目的に基づいて出願され登録されたものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
申立人は、引用商標は、申立人商品について、米国を中心として世界的に周知著名となった結果、日本国内の需要者にも認識されている商標である旨主張し、その証拠方法として甲第2号証ないし甲第10号証を提出しているところ、申立人の主張及び同人の提出に係る上記甲各号証によれば、以下のとおりである。
ア 申立人は、米国ニュージャージー州プリンストンで2009年に設立された飲料会社であり、2014年に「bai」の名称で飲料の販売を開始した。また、米国の飲料会社であるドクター・ペッパー・スナップル・グループが、2016年11月22日に申立人を買収することで合意したと発表した(甲2、甲7、甲8、甲10)。
イ Technavio日本代理店のウェブサイトにおいて、ソフトドリンクの世界市場について調査・分析した情報である「Global Soft Drinks Market 2014-2018」の「Other Prominent Vendors」の項に「Bai」の記載がある(甲4)。
ウ 米国において販売されている引用商標を付した申立人の「ココナッツ飲料」が、2017年4月30日付けのブログで紹介されている(甲9)。
エ 上記アないしウによれば、米国において、本件商標の登録査定時より前に引用商標が付された申立人に係る商品である「ココナッツ飲料」が販売されていることがうかがえるものの、引用商標が付された商品の具体的な商品の範囲、引用商標の使用開始時期及び使用期間、米国はもとより、その他の外国における当該商品の販売数、売上高、使用地域等に関する証拠の提出はなく、商標の使用の事実を量的に把握することができる証拠は何ら提出されていない。
また、米国の飲料会社であるドクター・ペッパー・スナップル・グループが申立人を買収することで合意したことをもって、引用商標が周知性を有するものであるとはいえず、かつ、ソフトドリンクの世界市場の調査において「Other Prominent Vendors」の項に「Bai」の表示があるとしても、これがいかなる調査であるのかが明らかでなく、当該調査結果に引用商標の表示を見いだすこともできない。
加えて、申立人は、「bai」又は「BAI」の文字からなる商標及び「BAI」の文字をその構成中に含む商標の諸外国における登録例(甲3)、審査例及び異議決定(甲6)を提出しているが、これらは、引用商標の周知著名性を直接的に裏付けるものではない。
そうすると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。
(2)本件商標と引用商標との類似性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、黒色円図形内に白抜きで「Bai」の欧文字(構成中の「i」の文字の上部の「・」は、灰色で表されている。以下同じ。)を配した構成からなるものであるところ、その構成中の「Bai」の文字が「黄砂」の意味を有する英語(「小学館ランダムハウス英和大辞典 第二版」(株)小学館)であるとしても、当該語が我が国において一般的に親しまれ知られているとはいえないことから、「Bai」の文字は、特定の意味合いを看取されることのない一種の造語と理解されるものである。
そうすると、本件商標は、「Bai」の文字部分に相応して「バイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、別掲2のとおりの構成からなるところ、「ba」の文字の右側に位置するものは、その態様及び下部の部分が「ba」の欧文字と同じ色、同じ書体、同じ大きさで表されていることからすれば、上部の緑色の図形部分は、「i」の文字の上部の「・」を図案化したものと看取され得るものといえ、看者をして、「i」の文字を図案化して表してなるものと理解されるとみるのが相当であり、また、右上の薄緑色の小さな点は、注意して観察しなければ気づかない付記的なものである。
そうとすれば、引用商標は、「bai」の文字からなるものと認識され、その構成文字に相応して「バイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 申立人の主張
申立人は、引用商標は申立人の販売する清涼飲料等について周知著名であり、その周知著名性によって、本件商標及び引用商標からは、「申立人のブランド『bai』」の観念が生じる旨主張しているが、前記(1)のとおり、引用商標が、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないことから、本件商標及び引用商標からは、特定の観念は生じないものである。
よって、請求人の上記主張は認められない。
エ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とを比較すると、本件商標の構成中の「Bai」の文字部分と引用商標の「bai」の文字とは、第1文字目における大文字と小文字の違い及び引用商標の「i」の文字の上部の「・」が図案化されているという違いはあるものの、その綴りを同じくすることから、外観において、近似した印象を与えるものといえ、また、両者は「バイ」の称呼を共通にするものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないものであるとしても、外観において近似し、称呼を共通にするものであり、これらを総合して全体的に考察すれば、類似する商標というのが相当である。
(3)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について
本件商標と引用商標とは、前記(2)のとおり類似する商標と認められるものである。
しかしながら、前記(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の需要者の間で、申立人の業務に係る商品を表すものとして、広く認識されていたとは認められないものである。
したがって、本件商標は、本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る商品との類否について論ずるまでもなく、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
また、引用商標が、上記のように広く認識されていたと認められない以上、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する需要者が、当該商標を連想、想起して、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように認識することはなく、その商品の出所について混同を生じるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標は、前記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の需要者の間で、申立人の業務に係る商品を表すものとして、広く認識されていたとは認められないものである。
そして、申立人が提出した甲各号証を総合してみても、本件商標権者が、申立人に係る引用商標の名声と信用にフリーライドする意図など、不正の目的をもって本件商標の使用をするものと認めるに足る具体的事実を見いだすこともできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、その登録は、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1
本件商標


別掲2
引用商標(色彩については、原本参照。)




異議決定日 2019-03-05 
出願番号 商願2017-12432(T2017-12432) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W32)
T 1 651・ 25- Y (W32)
T 1 651・ 271- Y (W32)
最終処分 維持  
前審関与審査官 駒井 芳子 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 小松 里美
中束 としえ
登録日 2017-11-10 
登録番号 商標登録第5994759号(T5994759) 
権利者 深▲せん▼市欧兔智能科技有限公司
商標の称呼 バイ、ビイエイアイ 
代理人 星宮 一木 
代理人 田中 克郎 
代理人 佐藤 俊司 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 山口 現 

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