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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W10
審判 全部申立て  登録を維持 W10
審判 全部申立て  登録を維持 W10
管理番号 1354330 
異議申立番号 異議2019-900004 
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-01-07 
確定日 2019-07-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第6088878号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6088878号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6088878号商標(以下「本件商標」という。)は,「ソフィアフロー」の文字を標準文字で表してなり,平成30年1月31日に登録出願,第10類「医療用機械器具」を指定商品として,同年9月25日に登録査定,同年10月12日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5879291号商標(以下「引用商標」という。)は,「ソフィア」の文字を標準文字で表してなり,平成27年11月11日に登録出願され,第10類「血液及びその他の体液の測定・検査・分析用の医療用診断用分析装置,医療用機械器具」を指定商品として,同28年9月2日に設定登録されたものであり,その商標権は現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により,取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証を提出した。
本件商標構成中「ソフィア」の文字部分は,複数の意味を有する語であるから,これから特定の観念は生じない。一方,本件商標構成中「フロー」の文字部分は,「流れる,流れ」の意味を有する語として一般に広く知られていることから,それぞれの語の結びつきは弱く,全体として特定の意味合いを生じるものではない。
また,「フロー」の語は,指定商品との関係で自他商品識別力を有しないか又は自他商品識別力が弱い語であるため,取引者・需要者においては,識別性の強い「ソフィア」部分を本件商標の要部として認識し,当該部分に着目して取引するものといえる。
したがって,本件商標は,「ソフィア」の称呼が生ずる。これに対し,引用商標からも「ソフィア」の称呼が生じるから,本件商標と引用商標とは,「ソフィア」の称呼を共通にする類似の商標であり,また,両商標は,その指定商品も同一又は類似のものである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
ア 本件商標は,「ソフィアフロー」の文字を書してなるところ,その構成中の「フロー」の文字が,「流れる,流れ」を意味する英語「Flow」(甲9,甲10)の片仮名表記(甲11,甲12)として親しまれていることから,「ソフィア」及び「フロー」の文字を結合した構成からなると認識されるとみるのが自然である。
しかしながら,本件商標は,同じ書体,同じ大きさ,同じ間隔で,外観上まとまりよく一体的に表されたものであり,その構成文字全体から生ずる「ソフィアフロー」の称呼も,無理なく一連に称呼し得るものである。
イ 本件商標構成中の「ソフィア」の文字は,「ブルガリアの首都」(甲3,甲7)又は「知。知恵。」(甲7)の意味を有するほか,女性の名前(甲4,甲5)としても使用されている実情が見受けられるが,本件商標の指定商品との関係において1つの意味に限定されるべき事情は見いだせないことから,特定の観念を生じないというのが相当であり,本件商標全体としても,特定の観念を生じないものである。
ウ 申立人は,「フロー」の文字部分は,「流れる,流れ」等を意味することから,本件商標がその指定商品中,特に「カテーテル」のような血液等の液体,薬,物質等を体内外に注入,排出する商品について使用されるときは,「薬の注入の流れ,尿の流れや,血の流れが良い」といった意味合いを生じ,商品の品質,機能を示す語として認識されるため,自他商品識別力を有しないか,極めて弱く,また,本件商標前半の「ソフィア」の文字部分は,識別力が強いことから,取引者・需要者は,「ソフィア」の文字部分を独立して認識し,要部として取引にあたる旨主張する。
しかしながら,「フロー」の文字部分が,「流れ」等(甲11,甲12)を意味する語として知られており,また,本願指定商品「医療用機械器具」中に,商品「カテーテル」が含まれ,当該商品が「体腔(たいこう)や尿道・膀胱(ぼうこう)などに挿入し,体液や尿を排出させたり薬液を注入したりする細い管状の医療器具」(甲13)であるとしても,本件商標の指定商品との関係において,「フロー」の語が商品の具体的な品質等を表示するものとして取引上一般に使用されている事実は,当審における職権調査によっても発見できず,さらに,本件商標に接する取引者・需要者が,当該文字を商品の品質等を表示したものと認識するというべき事情も発見できない。
エ 以上よりすると,本件商標は,上記アのとおり,全体として1つの語として把握されるものであることに加えて,「ソフィア」及び「フロー」のいずれかの文字部分が強く支配的な印象を与えるものでも,出所識別標識としての称呼,観念が生じないというものでもないから,商標の構成部分の一部だけを他人の商標(引用商標)と比較して商標の類否を判断することは許されないというべきである。
したがって,本件商標は,その構成文字に相応して,「ソフィアフロー」の称呼のみを生じ,特定の観念を生じないというのが相当である。
(2)引用商標について
引用商標は,「ソフィア」の文字を標準文字で表してなるところ,当該文字は,「ブルガリアの首都」(甲3,甲7)又は「知。知恵」(甲7)等の意味を有する語として辞書に掲載されているほか,女性の名前(甲4,甲5)としても使用されていることから,複数の意味を有する語であり,指定商品との関係においても1つの意味に限定されるべき事情は見いだせないため,特定の観念が生じるとはいえない。
したがって,引用商標は,その構成文字に相応して「ソフィア」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標との類否について検討すると,外観においては,両商標は,「フロー」の文字の有無により,外観上明確に区別することができる。
そして,称呼においては,本件商標から生じる「ソフィアフロー」の称呼と引用商標から生じる「ソフィア」の称呼とは,語尾における「フロー」の有無により構成音数が6音と3音と明らかに異なるから,称呼上相紛れるおそれはない。
また,観念においては,本件商標と引用商標は,共に特定の観念を生じないから,観念上比較することができない。
そうすると,本件商標と引用商標とは,観念において比較することができないとしても,外観及び称呼において,明確に相違するものであるから,本件商標と引用商標とは,非類似の商標というべきである。
(4)小括
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,相紛れるおそれのない非類似の商標であるから,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とが同一又は類似するものであるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものではなく,その登録は同条第1項の規定に違反してされたものとはいえないものであり,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2019-07-19 
出願番号 商願2018-12165(T2018-12165) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W10)
T 1 651・ 261- Y (W10)
T 1 651・ 262- Y (W10)
最終処分 維持  
前審関与審査官 齋藤 健太浦崎 直之 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 浜岸 愛
大森 友子
登録日 2018-10-12 
登録番号 商標登録第6088878号(T6088878) 
権利者 テルモ株式会社
商標の称呼 ソフィアフロー 
代理人 ▲吉▼田 和彦 
代理人 中村 稔 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 松尾 和子 
代理人 藤倉 大作 
代理人 弁護士法人クレオ国際法律特許事務所 

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