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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W01
審判 全部申立て  登録を維持 W01
審判 全部申立て  登録を維持 W01
管理番号 1354326 
異議申立番号 異議2018-900270 
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-09-20 
確定日 2019-07-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第6057724号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6057724号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6057724号商標(以下「本件商標」という。)は、「MICRO-PAK」の文字を横書きしてなり、平成29年10月3日に登録出願、第1類「うどん粉病予防剤,多種多様な化学品の製造用の化学保存剤,活性炭,ゲッター(化学的活性体),けい酸ゲル,医薬品工業用保存剤,革防水用化学品,製紙用パルプ,写真印画紙,工業用化学品,工業用固形ガス,ガス浄化剤,工業用洗浄剤,浄水用化学剤,酸化防止剤,精錬剤,ゴム溶剤,獣炭,殺菌剤用添加剤,食物保存剤,工業用接着剤」を指定商品として、同30年5月30日に登録査定、同年6月29日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する標章
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において引用する標章は、別掲1に示すとおり、「Micro-Pak」の欧文字よりなる標章(以下「引用標章1」という。)及び別掲2に示すとおり、「MICRO-PAK」の欧文字よりなる標章(以下「引用標章2」という。)であり、申立人が製造及び販売する防カビ製品及び同製品の広告に付して使用していると主張するものである。
以下、引用標章1及び引用標章2をまとめて「引用標章」という。

3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第7号
本件商標は、引用標章が日本での登録出願及び登録されていないことを奇貨として、引用標章に化体した名声、信用、顧客吸引力等にただ乗りし、日本における申立人の事業を妨害し、不当な利益を得る目的により、登録出願されたものである。
(2)商標法第4条第1項第10号
本件商標は、その商標の出願日前から、日本において周知性を有する引用標章と同一又は類似のものである。
(3)商標法第4条第1項第19号
本件商標は、その商標の出願日前から、中国その他日本以外の国において周知性を有する引用標章と同一又は類似し、不当な利益を得るといった不正の目的により登録出願されたものである。

4 当審の判断
(1)引用標章の周知・著名性について
ア 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(ア)甲第2号証は、申立人の陳述書であるところ、申立人は、1998年7月20日、中華人民共和国香港特別行政区に設立された会社であり、消費財製造業者向けの抗菌包装材の主要サプライヤーであり、主に防カビ製品(以下「申立人商品」という。)を製造及び販売する事業を行っており、2006年頃から引用標章を申立人商品に付して販売するようになり、現在も、引用標章を申立人商品や同商品の広告(商品カタログ)に付して使用し、また、申立人商品を使用する消費財製品の個数は、年間10億個以上にのぼり、世界各国で、乾燥剤等を販売する国際的な企業であると陳述した(なお、申立人商品を使用した消費財製品の個数(年間10億個以上)を裏付ける証拠の提出はない。)(甲2、甲3)。
(イ)申立人は、日本向けカタログにおいて、申立人商品に引用標章を表示していること、また、申立人商品の正規販売代理店が21カ国に及んでいることを掲載している(甲3)。
(ウ)申立人は、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア又はアメリカで発行された、「SATRA BULLETIN」(2009年6月及び2011年4月 イギリス)、「SHOEZ」(2009年10月 ドイツ)、「L’Essentiel de la CHAUSSURE/110」(2009年12月-2010年1月 フランス)、「LOGISTICA Management」(2009年12月、N0.200 イタリア)、「FOOTWEAR NEWS」(2009年7月13日 VOL.65 NO.27 アメリカ)、及び中国で発行された「世界鞍並(International Footwear News)」(2007年8月及び2010年2月)の雑誌等に申立人商品の広告を掲載した(甲9、甲10、甲17)。
(エ)申立人は、2015年から2017年に、日本国内の事業者(2社)に対し、申立人商品を計80,000個輸出、販売した(甲15)。
イ 以上の事実からすれば、申立人は、1998年に中国で設立され、主に防カビ剤を製造、販売する企業であって、申立人商品は、2006年頃から引用標章が付されて、その後2017年頃には、21カ国におよぶ正規販売代理店を通じて販売されるとともに、2007年から2010年にかけて日本以外の諸外国で発行されている雑誌等に広告が掲載され、また、我が国へは、2015年から2017年に日本国内の事業者2社へ輸出、販売されていたことが認められる。
しかしながら、申立人商品を使用した製品の個数(年間10億個以上)を客観的に裏付ける証拠の提出はなく、また、申立人商品の広告は、中国においては2007年及び2010年にそれぞれ1回、中国以外の国においては、2009年に5回、2011年に2回掲載されたにとどまる。
他方、我が国における申立人商品の雑誌等への広告掲載は皆無であって、国内向けカタログは頒布地域及びその数量も不明であり、また、国内事業者への販売は2社しかなく、その事業者への販売個数は取引書類上計80,000個であるとしても、この数量のみをもって我が国における申立人商品の周知性を推し量ることはできない。
そうすると、申立人商品に表示された引用標章は、申立人の業務に係る申立人商品を表示するものとして、中国をはじめとする外国や我が国の需要者の間に広く認識されている商標と認めることはできない。
また、ほかに、本件商標の登録出願日及び登録査定日において、申立人の引用標章が、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていると認めるに足る証拠は見いだせない。
以上より、申立人が使用する引用標章は、本件商標の登録出願日及び登録査定日において、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と認めることはできない。
(2)本件商標と引用標章の類否について
ア 本件商標
本件商標は、「MICRO」と「PAK」の欧文字を「-」(ハイフン)を介して「MICRO-PAK」と欧文字で表してなるところ、これらは同一の書体、同一の大きさで外観上まとまりよく一体的に表されており、また、構成文字全体より生ずると認められる「マイクロパック」又は「ミクロパック」の称呼も格別冗長というべきものではなく、よどみなく一連に称呼し得るものであるから、その構成全体をもって一体不可分のものと認識、把握されるとみるのが自然である。
そうすると、本件商標から、「マイクロパック」又は「ミクロパック」の称呼を生じ、また、辞書等に掲載のない語であるから一種の造語と理解されて特定の観念は生じない。
イ 引用標章
(ア)引用標章1
引用標章1は、別掲1のとおり、「Micro」と「Pak」の欧文字を「-」(ハイフン)を介して「Micro-Pak」と欧文字で表してなるところ、「M」及び「P」の文字が大文字、その他の文字が小文字である点において相違があるとしても、同一の書体で外観上まとまりよく一体的に表されており、また、引用標章1の構成文字全体より生ずると認められる「マイクロパック」又は「ミクロパック」の称呼も格別冗長というべきものではなく、よどみなく一連に称呼し得るものであるから、その構成全体をもって一体不可分のものと認識、把握されるとみるのが自然である。
そうすると、引用標章1は、その構成文字に相応して、「マイクロパック」又は「ミクロパック」の称呼を生じ、また、辞書等に掲載のない語であるから一種の造語と理解されて特定の観念は生じない。
(イ)引用標章2
引用標章2は、別掲2のとおり、「MICRO」と「PAK」の欧文字を「-」(ハイフン)を介して「MICRO-PAK」欧文字に黄緑色の色彩を施してなるところ、同一の書体、同一の大きさで外観上まとまりよく一体的に表されており、また、引用標章2の構成文字全体より生ずると認められる「マイクロパック」又は「ミクロパック」の称呼も格別冗長というべきものではなく、よどみなく一連に称呼し得るものであるから、その構成全体をもって一体不可分のものと認識、把握されるとみるのが自然である。
そうすると、引用標章2は、その構成文字に相応して、「マイクロパック」又は「ミクロパック」の称呼を生じ、また、辞書等に掲載のない語であるから一種の造語と理解されて特定の観念は生じない。
ウ 本件商標と引用標章との類否
本件商標は、前記アのとおり、「MICRO-PAK」の欧文字からなり、他方、引用標章は、前記イのとおり、「Micro-Pak」又は「MICRO-PAK」の欧文字からなるものであり、いずれも、同一のつづりからなるものであるから、外観において、両者は同一又は類似のものである。
次に、本件商標と引用標章とは、共に「マイクロパック」又は「ミクロパック」の称呼を共通にするものであるから、両者は、称呼において同一又は類似のものである。
さらに、本件商標と引用標章とは、共に造語であって特定の観念を生じないものであるから、観念において、比較することはできない。
そうすると、本件商標と引用標章とは、観念において比較することができないものの、外観及び称呼において同一又は類似であることから、これらを総合的に勘案すれば、両者は相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(3)商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標は、上記(2)のとおり、引用標章と類似の商標であって、本件商標の指定商品と引用標章の付された申立人商品とは、類似の商品といえるものの、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示する標章として、取引者、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
引用標章は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願日及び登録査定日において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
そして、申立人が提出した証拠からは、本件商標は、引用標章の信用、名声に便乗するものといえないし、かつ、引用標章の顧客吸引力を希釈化させ、その信用、名声を毀損するなど不正の目的をもって使用をするものというべき証左は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第7号該当性について
商標の登録出願が適正な商道徳に反して社会的妥当性を欠き、その商標の登録を認めることが商標法の目的に反することになる場合には、その商標は商標法4条1項7号にいう商標に該当することもあり得ると解される。しかし、同号が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」として、商標自体の性質に着目した規定となっていること、商標法の目的に反すると考えられる商標の登録については同法4条1項各号に個別に不登録事由が定められていること、及び、商標法においては、商標選択の自由を前提として最先の出願人に登録を認める先願主義の原則が採用されていることを考慮するならば、商標自体に公序良俗違反のない商標が商標法4条1項7号に該当するのは、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に限られるものというべきである(東高裁平成14年(行ケ)第616号、平成15年5月8日判決)。
本件において、申立人は、本件商標の出願は、申立人が引用標章を申立人製品に付して使用することを知りながら、日本で商標登録出願及び登録されていないことを奇貨として行われたものといえ、引用標章に化体した信用、名声及び顧客吸引力にただ乗りする目的及び申立人の事業を妨害し、不当な利益を得る目的がある旨主張している。
しかしながら、上記(1)のとおり、引用標章は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、また、上記(4)のとおり、本件商標は、引用標章の信用、名声に便乗するものといえず、かつ、引用標章の顧客吸引力を希釈化させ、その信用、名声を毀損するなど不正の目的をもって使用をするものというべき証左は見いだせない。
そして、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものでないこと明らかであり、本件商標をその指定商品に使用しても社会の一般的道徳観念に反するとはいえず、また、本件商標が、他の法律によって使用が禁止されているとか、国際信義に反するといった事実も見当たらず、さらに、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くなど、公序良俗に反するものというべき事実も見いだせない。
そうすると、申立人の主張するところをすべて考慮しても、本件商標の登録出願から商標権取得に至る行為を不当ということはできないし、かつ、本件商標の登録出願が不正の目的でなされたということもできないから、本件商標を登録出願し商標権を取得した行為が著しく社会的妥当性を欠き、その登録を容認することが商標法の目的に反するということはできず、本件全証拠によっても本件商標が商標法4条1項7号に該当する商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(引用標章1)



別掲2(引用商標2)(色彩は原本参照)


異議決定日 2019-07-17 
出願番号 商願2017-131218(T2017-131218) 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (W01)
T 1 651・ 222- Y (W01)
T 1 651・ 22- Y (W01)
最終処分 維持  
前審関与審査官 早川 真規子 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 岩崎 安子
小田 昌子
登録日 2018-06-29 
登録番号 商標登録第6057724号(T6057724) 
権利者 晋江市順興大沙漠貿易有限公司
商標の称呼 マイクロパック、ミクロパック、パック、ピイエイケイ 
代理人 TRY国際特許業務法人 
復代理人 河邉 なつみ 
代理人 田畑 千絵 
代理人 笠原 智恵 

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