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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X10 |
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管理番号 | 1354260 |
審判番号 | 取消2018-300671 |
総通号数 | 237 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2019-09-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2018-08-24 |
確定日 | 2019-07-29 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5348910号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5348910号商標の指定商品中,第10類「医療用機械器具」についての商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5348910号商標(以下「本件商標」という。)は,「MAGICAL TOUCH」の文字と「マジカルタッチ」の文字とを上下2段に横書きしてなり,平成22年1月15日に登録出願,第10類「医療用機械器具,家庭用電気マッサージ器」を指定商品として,同年8月27日に設定登録されたものである。 そして,本件審判の請求の登録日は,平成30年9月5日である。 なお,本件審判において商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは,平成27年(2015年)9月5日ないし同30年(2018年)9月4日である(以下「要証期間」という場合がある。)。 第2 請求人の主張 請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を審判請求書,審判事件弁駁書において,要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は,その指定商品中,第10類「医療用機械器具」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)乙第4号証及び乙第5号証について 本件商標を使用したとされる商品(以下「使用商品」という。)は,指圧代用器であって,「『あんま・指圧の代用,筋肉のこりをほぐす,筋肉の疲れをとる,血行をよくする』という効能,効果を標ぼうすることが認められた」(乙4)ものであるが,そのような効果,効能を標ぼうした指圧代用器は,薬発第1136号(乙5)によれば「医療用具に該当しないものとして取扱」われるものである。したがって,使用商品は,指圧治療用器具には該当せず,よってその上位概念としての「医療用機械器具」にも該当しない。 (2)本件商標権者の得ている許可等について 請求人の調査したところによると,独立行政法人医薬品医療機器総合機構のサイトの医療機器の検索ページや,医療機器DBシステムによっても,使用商品を含め,本件商標権者の商品は検出されなかった。また,本件商標権者のウェブサイト上においても,医療機器の製造・販売に関する許可を得ている等といった記載は見受けられなかった。 (3)「医療用機械器具」について ア 乙第3号証には,使用商品が,医療・治療の用途で使用される旨の記載は全く見受けられず,むしろ,家庭で使用できることが強調されており,医師等がその処置や使用に関与するような記載も見受けられない。また,大々的にけん伝されている効果,効能も美容に関するものであって,医療・治療による効果とはいい難く,医療用の効果があるとの記載もない。 そうすると,使用商品は,その使用者が個人的に,美容を目的として,専ら家庭で使用するものである。 イ 本件商標権者が使用商品を販売したと主張する顧客は,ほとんどが個人か個人事業主である(乙15)。なお,乙第15号証中に「玉川屋株式会社」宛ての納品書が含まれているが,住所の記載がなく,当該法人を特定することができない。 また,使用商品が「山陽百貨店様催事」や「福岡ビューティーショー催事」に出品されていたとすると,使用商品は医療機関とは全く関係のない個人等に対して販売されていたといえる。 (4)結論 上記(1)ないし(3)によれば,使用商品は,使用者が個人的に,美容を目的として,専ら家庭で使用するものであって,医療機関とは全く関係のない個人等に対して販売されていたといえることから,使用商品は「医院又は病院で専ら使用される機械器具」であるとはいえず,「医療用機械器具」には該当しない。 したがって,被請求人による,要証期間内に登録商標と社会通念上同一の商標を「医療用機械器具」について使用していた旨の主張は成り立たない。 第3 被請求人の主張 被請求人は,本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする,との審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第15号証を提出した。 1 本件商標権者の使用する商標及び商品 (1)本件商標権者について 本件商標権者は,昭和61年に設立され,その後一貫して東洋医学応用健康医療器具の製造,卸小売を業として行っており,主として,全国代理店,薬局・薬店,治療院,デパート,健康ショップなどに医療器具の卸売を行うとともに,本件商標権者自らインターネット通販サイトで商品を販売している(乙9)。 本件商標権者は,平成21年頃から,商品名「マジカルタッチ」として,使用商品である美容・指圧器具の商品の製造販売を開始し,現在に至るまで製造販売を継続しており,要証期間内においても使用している。 (2)使用者について ア 使用商品を包装して販売する外箱(乙1)の上面の下部には,「HEALTH SCIENCE」の文字が記載されており,長辺側の側面には,製造販売元として本件商標権者の名称及び住所の記載がある。 イ 使用商品のパンフレットの裏表紙(乙3)には,製造元として本件商標権者の名称及び住所の記載がある。 ウ 使用商品の取扱説明書(乙4)に付帯した保証書の下段右欄には,製造元として本件商標権者の名称及び住所等の記載がある。 エ 本件商標権者のホームページ(乙7,乙8)上でも本件商標権者の商品として使用商品が掲載されている。 オ 上記アないしエによれば,本件商標権者が製造販売するものである。 (3)商標の使用態様及び本件商標との同一性について 商標の使用態様については,手書き風に崩した文字で「Magical Touch」と書してなるもの(以下「使用態様1」という。),「Magical Touch」の文字と「マジカルタッチ」の文字とを上下2段に書してなるもの(以下「使用態様2」という。)及び「MAGICAL TOUCH」の文字と「マジカルタッチ」とを上下2段に書してなるもの(以下「使用態様3」という。)(乙2)のほか,パンフレット(乙3)内の説明文,取扱説明書(乙4)内の説明文などに「MAGICAL TOUCH」又は「マジカルタッチ」の文字が商品名として記載されているものがあるが,これらはいずれも,本件商標と社会通念上同一の商標である。 (4)本件商標権者の使用行為について ア 本件商標権者は,使用商品の包装用の外箱(乙1)に使用態様1の商標を付しており,使用商品を使用態様1の商標を付した外箱に入れて販売している。この行為は,商標法第2条第3項第1号及び2号の使用行為に該当する。 イ 本件商標権者は,使用商品のパンフレット(乙3)に使用態様1及び使用態様3の商標を付して頒布しており,使用商品を販売するwebサイト(乙6)において「マジカルタッチ」の文字を付しており,また,本件商標権者のホームページの製品を紹介し広告するページ(乙7,乙8)には,使用態様2の商標などが付されており,これらの行為は,商標法第2条第3項第8号の使用行為に該当する。 (5)指定商品の使用について 使用商品は,指圧と美容の2つの機能を有する器具(乙4)であり,指圧部分は,薬発第1136号による指圧代用器であり(乙5),「あんま・指圧の代用,筋肉のこりをほぐす,筋肉の疲れをとる,血行をよくする」という効能,効果を標ぼうすることが認められた医療用具である。 したがって,使用商品は,指圧治療用器具に該当し,その上位概念として「医療用機械器具」に該当する。 (6)使用時期について ア 納品書(乙15)によると,2018年(平成30年)6月15日,同月26日,同年4月4日,2017年(平成29年)6月6日,同年5月22日,及び同年3月6日に商品「マジカルタッチ」が納品されており,これらの納品日は要証期間内である。当該納品書のうち,第1頁の納品先は「大阪府」であり,第3頁の備考棚「山陽百貨店様催事」第4頁の備考欄「福岡ビューティーショー催事」等の記載からみて,納品先は,日本国内である。 イ 本件商標権者の製品紹介ページのアーカイブ情報(乙11,乙12)のとおり,2015年(平成27年)2月12日及び2016年(平成28年)4月21日の製品紹介ページに使用態様2の商標が記載されており,少なくともこの時期に本件商標権者が本件商標と社会通念上同一の商標を使用していた。 ウ 本件商標権者の製品紹介ページのアーカイブ情報(乙14)のとおり,2016年(平成28年)4月22日のアーカイブ情報に使用態様1の商標が記載されており,少なくともこの時期に本件商標権者が本件商標と社会通念上同一の商標を使用していた。 (7)まとめ 上記(1)ないし(6)によれば,本件商標権者は,要証期間内に日本国内において,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を商品の外箱に付して指圧治療用器具を販売しているといえる。 また,本件商標権者は,要証期間内に日本国内において,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を商品のパンフレットに付して当該パンフレットを頒布し,商品を販売し広告するウェブサイトにおいて当該商標を付しているといえる。 そしてこれらの行為は,商標法第2条第3項第1号,同項第2号及び同項第8号に規定する使用行為に該当する。 したがって,要証期間内に日本国内において本件商標権者が本件商標を指定商品「医療用機械器具」に使用をしていた。 第4 当審における審尋 当審において,平成31年2月15日付けで通知した審尋により,被請求人の提出に係る証拠によっては,商標権者又は専用使用権者又は通常使用権者が,商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用を証明したものと認めることができない旨の見解を示し,被請求人に意見を求めた。 第5 被請求人の対応 被請求人は,上記審尋に対し何らの応答もしていない。 第6 当審の判断 1 被請求人提出の証拠の内容 (1)乙第3号証は,使用商品である美容・指圧器具のパンフレットの写し(作成日及び印刷日は不明)であり,1/6の頁には,「Magical Touch」の文字及び「安心・安全に家庭で使える東洋医学の美容・指圧器具。」の文字の記載,2/6の頁には,「東洋医学から生まれた美顔器」の見出しの下,「マジカルタッチは電気針治療をモデルに,生体電流を応用しているので,お肌を傷めること無く,安全にご家庭でお使いいただける設計にしました。」の記載,並びに,6/6の頁には,「イオンペン(指圧)薬発第1136号による指圧代用器/●あんま・指圧の代用 ●筋肉のこりをほぐす ●筋肉の疲れをとる ●血行をよくする」の記載がある。 (2)乙第4号証は,「東洋医学の美容・指圧器具/MAGICAL TOUCH/マジカルタッチ」の見出しの使用商品の取扱説明書の写し(作成日及び印刷日は不明)であり,1/2の頁に,「薬発第1136号による指圧代用器/●あんま・指圧の代用 ●筋肉のこりをほぐす ●筋肉の疲れをとる ●血行をよくする」の記載がある。 (3)「指圧代用器等の取扱いについて(昭和45年12月15日薬発第1136号)」(各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知)であり(乙5,以下「厚生省通知」という。)には,「単に突起物やてこ等を応用し背筋等にあてて指圧する器具類(電動式のものは除く。)は,次に掲げる範囲の効能,効果のみを標ぼうする場合に限り医療用具に該当しないものとして取扱うこととすること。・・・(1)あんま,指圧の代用(読みかえはしない。)(2)健康によい(3)血行をよくする(4)筋肉の疲れをとる(5)筋肉のこりをほぐす」の記載がある。 2 判断 被請求人は,使用商品は,厚生省通知による指圧代用器であり,「あんま・指圧の代用,筋肉のこりをほぐす,筋肉の疲れをとる,血行をよくする」という効能,効果を標ぼうすることが認められた医療用具である旨主張するので,以下検討する。 (1)使用商品 上記1によれば,使用商品は,その記載内容から,家庭用の商品であって,「美容・指圧器具」である。 (2)使用商品が本件審判の請求に係る指定商品の範ちゅうに含まれるか 上記1によれば,使用商品は,家庭用の商品であって,かつ,そのパンフレット(乙3)には,「薬発第1136号」における「指圧の代用器」との記載とともに,「あんま・指圧の代用」,「筋肉のこりをほぐす」及び「筋肉の疲れをとる,及び「血行をよくする」の記載がある。 そして,厚生省通知における「指圧の代用器」はあんま及び指圧の代用等に掲げる範囲の効能,効果のみを標ぼうする場合に限り医療用具に該当しないものとして取扱うこととするとの記載に照らせば,使用商品は,医療用具に該当しないものとして取扱うものに該当するというのが相当である。 一方,本件審判の請求に係る指定商品である「医療用機械器具」は,「医院又は病院で専ら使用される機械器具」(「商品及び役務の区分解説[国際分類第10版対応]」(特許庁商標課編集,一般社団法人発明推進協会発行))が該当する。 (3)以上よりすると,使用商品は,家庭用の商品「指圧の代用器」であって,医療用具に該当しないものであるから,本件審判の請求に係る指定商品である「医療用機械器具」の範ちゅうの商品であるということはできない。 したがって,被請求人が提出した証拠によっては,本件審判の請求に係る指定商品である「医療用機械器具」についての使用を証明したものということはできない。 3 まとめ 以上のとおり,被請求人が提出した証拠において使用されている商標は,本件審判の請求に係る指定商品について使用されたものとは認められない。 したがって,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品についての本件商標の使用をしていることを証明したものということはできず,また、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって,本件商標は,商標法第50条の規定により,その指定商品中,第10類「医療用機械器具」について,その登録を取り消すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2019-06-03 |
結審通知日 | 2019-06-05 |
審決日 | 2019-06-18 |
出願番号 | 商願2010-2065(T2010-2065) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(X10)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 冨澤 美加、竹之内 正隆 |
特許庁審判長 |
早川 文宏 |
特許庁審判官 |
渡邉 あおい 大森 友子 |
登録日 | 2010-08-27 |
登録番号 | 商標登録第5348910号(T5348910) |
商標の称呼 | マジカルタッチ、マジカル、タッチ |
代理人 | 杉村 光嗣 |
代理人 | 渡辺 三彦 |
代理人 | 中山 健一 |
代理人 | 藤本 一 |
代理人 | 水内 龍介 |
代理人 | 杉村 憲司 |