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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W33
審判 一部申立て  登録を維持 W33
審判 一部申立て  登録を維持 W33
審判 一部申立て  登録を維持 W33
管理番号 1353364 
異議申立番号 異議2018-900293 
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-08-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-10-09 
確定日 2019-06-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第6061550号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6061550号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6061550号商標(以下「本件商標」という。)は、「サライ」の片仮名と「SERAI」の欧文字とを二段に書してなり、平成29年6月6日に登録出願、第33類「洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒」を指定商品として、同30年6月21日に登録査定、同年7月13日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する登録第5347851号(以下「引用商標」という。)は、「SERAI」の欧文字、「サライ」の片仮名及び「さらい」の平仮名を三段に書してなり、平成21年12月29日に登録出願、第33類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同22年8月27日に設定登録、その後、商標登録の取消し審判により、指定商品中「洋酒,果実酒,中国酒」について取り消すべき旨の審決がされ、同30年4月26日にその確定審決の登録がされた。さらに、同31年4月12日に、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒、但し、洋酒,果実酒,中国酒を除く但し、発泡性焼酎を除く」を指定商品とする登録第5347851号の1商標と、第33類「発泡性焼酎」を指定商品とする登録第5347851号の2商標に商標権の分割移転がされ、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証(枝番号を含む。)を提出した。
引用商標は、平成21年12月29日に出願され、同22年8月27日に、「類似商品・役務審査基準」(国際分類第9版対応)のもとで登録されたものであるから、引用商標の指定商品中の「日本酒」の中には、「酎ハイ」及び「炭酸水割り焼酎」が含まれている。
また、「酎ハイ」及び「炭酸水割り焼酎」は、国際分類第10版適用時に、類似群コードが「28A01」から「28A02」に変更された。
本件商標は「サライ」及び「SERAI」の文字を二段に書してなり、引用商標の商標は「SERAI」、「サライ」及び「さらい」の文字を三段に書してなるから、両商標は明らかに類似する。
したがって、本件商標と引用商標とは類似し、かつ、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは類似するため、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標と引用商標との類否
(ア)本件商標
本件商標は、「サライ」の片仮名と「SERAI」の欧文字とを上下二段に書してなるところ、上段の片仮名は下段の欧文字に比べてやや大きく表されていることから、片仮名と欧文字は、視覚上分離して看取される。そして、本件商標の構成中、「サライ」の文字部分と「SERAI」の文字部分は、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。
そうすると、上段の「サライ」の片仮名部分からは、その構成文字に相応して、「サライ」の称呼を生じ、また、該文字は、「掃除」や「農具の一種」(広辞苑第六版)など、複数の意味を表す「さらい」の片仮名表記であるものの、一般に親しまれた語ともいえないことから、特定の意味合いを生じることのない一種の造語と認識される。
また、下段の「SERAI」の文字部分も、辞書等に掲載がなく、我が国において親しまれた語ともいえないことから、特定の意味合いを有しない一種の造語として認識される。そして、当該文字のように成語ではなく、欧文字のつづりからなる商標は、ローマ字読み又は英語読み風に称呼されることが一般的であるから、「SERAI」の欧文字からは、「セライ」の称呼を生じる。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「セライ」又は「サライ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
(イ)引用商標
引用商標は、「SERAI」の欧文字、「サライ」の片仮名及び「さらい」の平仮名を三段に書してなるところ、各文字のいずれもが、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであるから、上記(ア)と同様に、上段の「SERAI」の欧文字からは、「セライ」の称呼を生じ、また、「サライ」及び「さらい」の文字部分からは「サライ」の称呼を生じること明らかである。
そして、引用商標を構成する「SERAI」、「サライ」及び「さらい」の各文字は、上記(ア)と同様の理由で、一種の造語と認識される。
そうすると、引用商標は、その構成文字部分に相応して、「セライ」又は「サライ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
(ウ)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とは、上記(ア)及び(イ)のとおりの構成からなるものであり、「さらい」の文字の有無において異なるものの、それぞれの構成文字中に、共に「サライ」の片仮名及び「SERAI」の欧文字を共通にするものであるから、両者は、外観において紛らわしく近似するものである。
また、本件商標及び引用商標からは、共に「セライ」又は「サライ」の称呼を生じるから、称呼において同一である。
そして、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念は生じないから、観念において比較することはできない。
以上のことから、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観において紛らわしく、更に、称呼を同一にすることから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は相紛れるおそれのある類似の商標である。
イ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否
申立人は、引用商標は、国際分類第9版のもとで登録(平成22年8月27日)されたものであるから、引用商標の指定商品中「日本酒」には「酎ハイ」又は「炭酸水割り焼酎」(以下、これらを単に「酎ハイ」という。)が含まれており、引用商標の指定商品中の「日本酒」と本件商標の指定商品中の「酎ハイ」は類似する商品である旨主張するので、以下、この点について検討する。
(ア)本件商標の登録査定時における引用商標の指定商品について
本件商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するか否かの判断時期は、本件商標が登録査定された平成30年6月21日である。
そして、引用商標は、本件商標の登録査定時において、上記2のとおり、
、分割移転がされる前の状態であるから、引用商標の指定商品は、第33類「日本酒,洋酒,果実酒、中国酒,薬味酒、但し、洋酒,果実酒,中国酒を除く」である。
(イ)「酎ハイ」について
「酎ハイ」の語は、「広辞苑第六版」によれば、「(『焼酎ハイボール』の略)焼酎を炭酸水で割った飲み物。」と記載されている。
そして、平成19年1月1日から施行された省令(平成18年経済産業省令第95号)に基づく商標法施行規則別表には、第33類「一 日本酒」として「・・しょうちゅう・・」が例示され、また、当庁発行「類似商品・役務審査基準」[国際分類第9版対応]には、第33類「日本酒」の概念の下に、「しょうちゅう」が例示されてはいるが、いずれも「酎ハイ」の例示はない。
その後、平成24年1月1日から施行された省令(平成23年経済産業省令第66号)に基づく商標法施行規則別表には、第33類「一 日本酒」として「・・焼酎・・」が例示され、また、同「四 酎ハイ」と例示されている。
さらに、「類似商品・役務審査基準」[国際分類第10版対応]には、「日本酒」の概念の下に「焼酎」が例示され、「酎ハイ」は、「日本酒」とは製造業者、製造法等を異にすることから、「日本酒」とは非類似である「洋酒 果実酒」と並んで例示されるようになり、また、当庁発行「商品及び役務の区分解説」[国際分類第10版対応]は、第33類の商品の解説として、「(前略)『酎ハイ』は、『焼酎』を炭酸で割ったのみの商品だけではなく、焼酎に果汁などを加えたサワー等の商品も含まれます。」と記載されている。
(ウ)検討
上記(イ)からすれば、「酎ハイ」は、「焼酎ハイボール」の略であって、「焼酎を炭酸水で割った飲み物」とされているが、商標法における商品「酎ハイ」には、焼酎に果汁などを加えたサワー等の商品も含まれるとされている。
そして、「酎ハイ」は「類似商品・役務審査基準」[国際分類第9版対応]において、「日本酒」の下位概念として例示されているものではなく、また、「酎ハイ」は、同[国際分類第10版対応]においても、「日本酒」の下位概念として例示されてはいない。
さらに、上記のとおり、「酎ハイ」には、「焼酎」に果汁などを加えたサワー等の商品を含むものであることから、「洋酒 果実酒」と類似する商品として例示されているものである。
そうすると、本件商標の指定商品中の「酎ハイ」は、引用商標の指定商品中の「日本酒」及びその概念の下にある「しょうちゅう」に含まれているとはいえないことから、「酎ハイ」と「日本酒」とは、非類似の商品と判断するのが相当である。
(エ)まとめ
したがって、本件商標は、引用商標と類似の商標であるとしても、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用するものではないから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)申立人の主張について
ア 申立人は、上記2のとおり、引用商標(登録第5347851号)を分割移転したことを理由に、「日本酒」に「酎ハイ」が含まれていたと主張するが、分割移転された商品は「発泡性焼酎」であり、「日本酒」から「酎ハイ」が分割移転されたわけではないから、上記分割が認められたことを理由に「日本酒」に「酎ハイ」が含まれていたとはいえない。
イ 申立人は、「類似商品・役務審査基準」[国際分類第9版対応]が適用された期間において、商品「酎ハイ」又は「炭酸水割り焼酎」には、常に一貫して、日本酒と同じ類似群コード「28A01」に分類されてきた(甲5?甲9)から、「日本酒」に「酎ハイ」が含まれていた旨主張する。
確かに、提出された証拠において、「酎ハイ」に「日本酒」と同じ類似群コードが付与されていた案件は散見される。
しかしながら、類似群コードは、互いに類似すると推定される商品のグループごとに記号化したものにすぎず、また、「酎ハイ」は、上記(1)イ(イ)のとおり、その製造業者、製造方法等を「日本酒」とは異にすることから、「日本酒」の下位概念に含まれているということはできず、さらに「類似商品・役務審査基準」[国際分類第9版対応]において、「日本酒」の下位概念に「酎ハイ」が例示されていない以上、引用商標の指定商品中「日本酒」に「酎ハイ」が含まれていると認めることはできない。
よって、申立人のいずれの主張も採用することはできない。
(3)結語
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2019-06-19 
出願番号 商願2017-75453(T2017-75453) 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W33)
T 1 652・ 262- Y (W33)
T 1 652・ 263- Y (W33)
T 1 652・ 264- Y (W33)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小林 正和 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 岩崎 安子
小松 里美
登録日 2018-07-13 
登録番号 商標登録第6061550号(T6061550) 
権利者 株式会社小学館
商標の称呼 サライ、セライ 
代理人 小山 義之 
代理人 塩谷 信 
代理人 岩瀬 ひとみ 

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