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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 取り消して登録 W41 |
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管理番号 | 1353259 |
審判番号 | 不服2018-4281 |
総通号数 | 236 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2019-08-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-03-29 |
確定日 | 2019-07-16 |
事件の表示 | 商願2017- 73778拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第41類「録音又は録画済み記録媒体の複製」を指定役務として、平成25年11月28日に登録出願された商願2013-93505に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同29年3月27日に登録出願された商願2017-41160について、その出願に係る同項の規定による商標登録出願として、同年6月1日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要旨 原査定は、本願商標は、「五月天」及び「MAYDAY」の文字を上下二段に書してなるところ、当該文字は、台湾の著名なロックバンド名である「MAYDAY」の文字とその中国語名である「五月天」の文字からなるものであり、かつ、その者の承諾を得たものとは認められないから、商標法第4条第1項第8号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審における審尋及び請求人の回答 請求人は、審判請求書において、台湾のロックバンド「MAYDAY」(中国語名「五月天」)の承諾を示す同意書を提出する所存がある旨主張していたことから、当該同意書の提出を求めたが、請求人からは、何ら応答がなかった。 4 当審の判断 商標法第4条第1項第8号は、他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標は、その他人の承諾を得ているものを除き、商標登録を受けることができないとする規定である。 また、商標法第4条第3項は「第1項第8号、第10号、第15号、第17号又は第19号に該当する商標であつても、商標登録出願の時に当該各号に該当しないものについては、これらの規定は、適用しない。」と規定しているとおり、本願商標が、同法第4条第1項第8号に該当するというためには、商標登録出願時及び審決時において、同号の所定の要件を満たさなければならない。 以上を踏まえて本願商標について検討するに、本願商標は、別掲のとおり、上段に「五月天」の文字を、その下段に「MAYDAY」の欧文字を表してなるところ、上段の「五月天」の文字は、辞書等に掲載の無い語であって、特定の観念を認識させない一種の造語といえるものである。 また、下段の「MAYDAY」は、「メーデー、労働祭」を意味する英語「May Day」(ジーニアス英和辞典 第5版)と同じつづりの語である。 そして、当審における職権調査によれば、「五月天」の文字及び「MAYDAY」の欧文字は、原審説示のとおり、台湾のロックバンド名を表すものでもある。 ところで、「芸名」とは、「芸能人が芸道上で本名のほかに持つ名。」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)を意味するものであり、複数人から構成されて芸能活動を行うグループであっても、構成員個人の氏名とは別に、グループとしての名称を採択し、当該名称を芸道上で使用することが一般的であって、そのグループの名称も芸名と同様に当該グループの同一性を認識させる機能を発揮していることに照らせば、芸能活動を行うグループの名称も、商標法第4条第1項第8号にいう「芸名」に準ずるものとして保護されると解するのが自然である。 そうすると、当該ロックバンドがその音楽活動において使用する、「五月天」及び「MAYDAY」の文字からなる本願商標は、そのロックバンドの芸名を表すものといえ、これが著名である場合には、他人である請求人の出願に係る本願商標は、商標法第4条第1項第8号の「他人の著名な芸名」に該当するものとなる。 そして、台湾のロックバンドであるMAYDAY(中国語名「五月天」)は、1999年に台湾でデビューし、我が国においても、2005年、2013年、2015年及び2017年に、シングルCDやアルバムCDがリリースされ、2014年には、当該ロックバンドの楽曲が、我が国のテレビ番組の主題歌に採用された。 また、2013年に東京で1日のみのライブコンサートを開催し、2014年には東京及び大阪のライブ会場で各1日ずつのコンサートを、2015年、2017年及び2018年には、日本武道館(東京)で各2日間のコンサートを、2019年には、大阪城ホール(大阪)で2日間のコンサートを開催する等の活動を行っている。 しかしながら、我が国におけるCDリリースの回数は、2005年から2017年までに4回程度と、さほど多いものとはいえず、コンサートの開催場所や開催日数も限られた範囲にとどまるものであることからすると、当該ロックバンドは、我が国の一般的な取引者、需要者に広く知られているといえるほどの活動を行っているとはいい難いというのが相当である。 そうすると、台湾のロックバンド「MAYDAY」(中国語名「五月天」)は、商標登録出願時及び審決時のいずれにおいても、我が国において、世間一般に広く知られているロックバンドとはいえず、本願商標を構成する「五月天」及び「MAYDAY」の文字は、当該ロックバンドを表すものとして、一般に広く知られているものとはいえないことから、本願商標は、商標法第4条第1項第8号の「他人の著名な芸名」に該当するものということはできない。 したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第8号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。 その他、本願についての拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本願商標 |
審決日 | 2019-07-03 |
出願番号 | 商願2017-73778(T2017-73778) |
審決分類 |
T
1
8・
23-
WY
(W41)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 中尾 真由美 |
特許庁審判長 |
冨澤 美加 |
特許庁審判官 |
鈴木 雅也 真鍋 恵美 |
商標の称呼 | メイデイ、サツキテン、ゴガツテン |
代理人 | 矢崎 和彦 |
代理人 | 中村 行孝 |
代理人 | 本宮 照久 |
代理人 | 佐藤 泰和 |
代理人 | 永井 浩之 |
代理人 | 朝倉 悟 |
代理人 | 副田 圭介 |