ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
---|---|---|
異議2018900240 | 審決 | 商標 |
無効2018890073 | 審決 | 商標 |
不服201810016 | 審決 | 商標 |
不服20187002 | 審決 | 商標 |
不服201810015 | 審決 | 商標 |
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 登録しない W37 審判 査定不服 観念類似 登録しない W37 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W37 |
---|---|
管理番号 | 1352376 |
審判番号 | 不服2018-6854 |
総通号数 | 235 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2019-07-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-05-21 |
確定日 | 2019-05-16 |
事件の表示 | 商願2016- 88928拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は,別掲のとおりの構成からなり,第37類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として,平成28年8月16日に登録出願され,その後,指定役務については,原審における同29年3月6日受付の手続補正書により,第37類「住宅の建築一式工事」に補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願商標の拒絶の理由に引用した登録第5228907号商標(以下「引用商標」という。)は,「Net Zero Energy House」の欧文字及び「ネットゼロエネルギーハウス」の片仮名を上下2段に併記してなり,平成20年7月18日に登録出願,第37類「建設工事,建築工事に関する助言,暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守,貯蔵槽類の修理又は保守,浴槽類の修理又は保守,建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き,し尿処理槽の清掃」を指定役務として,同21年5月1日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。 3 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 商標の類否判断について 商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は,同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が,その外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものである(最高裁判決:昭和39年(行ツ)第110号)。 そして,複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合において,その構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,原則として許されないが,他方,商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などには,商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも,許されるものである(最高裁判決:昭和37年(オ)第953号,平成3年(行ツ)第103号,平成19年(行ヒ)第223号)。 そこで,上記の観点から,本願商標と引用商標の類否を検討する。 イ 本願商標について 本願商標は,別掲のとおり,上段に「Net Zero Energy House」の欧文字を横書きし,その下に,これとやや離れて「大安心の家」の文字を横書きし,更にその下に「ZERO」の欧文字を横書きし,上下三段に同一の横幅で表してなるものである。 そして,上段の「Net Zero Energy House」の文字部分は,細いゴシック体で表されており,これを構成する「Net」,「Zero」,「Energy」及び「House」の各文字は,それぞれ「インターネット,網,正味の」,「0(ゼロ)」,「活力,エネルギー」及び「家」を意味する英語(「ジーニアス英和辞典 第5版」株式会社大修館書店)であるものの,これら全体としては辞書等に掲載のない語であって,特定の観念を認識させない一種の造語というのが相当であり,本願指定役務との関係において,直ちに役務の質等を表示するものとして認識されるとはいえないものであって,その他,役務の質等を表示するものとして取引上普通に使用されていると認めるに足りる証拠も見いだせない。 また,中段の「大安心の家」の文字部分は,筆書き風の太文字で表されており,その構成文字に相応して「大きな安心の家」程の意味合いを暗示させる場合があるとしても,当該文字全体としては辞書等に掲載のない語であって,特定の観念を認識させない一種の造語といえるものである。 さらに,下段の「ZERO」の文字部分は,ゴシック体で大きく表されており,その構成文字に相応して「0(ゼロ)」の意味合いを認識させるものである。 そうすると,本願商標は,その全体の構成文字に相応して「ネットゼロエネルギーハウスダイアンシンノイエゼロ」の称呼を生じ,その構成全体として,特定の観念は生じないものである。 そして,本願商標を構成する,上段,中段,下段の各構成文字は,指定役務との関係において,役務の質等を表すものとはいえず,また,それぞれが観念上の結びつきを有するものではなく,外観上も異なる書体及び大きさで表されているものであるから,各構成文字を分離して観察することが,取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているということはできない。 加えて,本願商標全体から生じる「ネットゼロエネルギーハウスダイアンシンノイエゼロ」の称呼も極めて冗長である。 そうすると,本願商標は,それぞれの文字部分が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものというべきであり,上段の文字部分と中段の文字部分の間が視覚的に離れていることも相まって,本願商標は,その構成中の上段に位置する「Net Zero Energy House」の文字部分を自他役務の識別標識として抽出し,他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというのが相当であるから,当該文字に相応して,「ネットゼロエネルギーハウス」の称呼も生じ,特定の観念は生じないものである。 ウ 引用商標について 引用商標は,「Net Zero Energy House」の欧文字及び「ネットゼロエネルギーハウス」の片仮名を,明朝体風の書体で,上下二段に併記してなるところ,下段の片仮名は,上段の欧文字の読みを一連に表したものと無理なく理解されるものである。 そして,上段の欧文字部分についてみるに,これを構成する「Net」,「Zero」,「Energy」及び「House」の各文字は,それぞれ「インターネット,網,正味の」,「0(ゼロ)」,「活力,エネルギー」及び「家」を意味する英語であるものの,これら全体としては辞書等に掲載のない語であって,特定の観念を認識させない一種の造語といえるものであり,「ネットゼロエネルギーハウス」の片仮名部分も,これら全体としては特定の観念を認識させない一種の造語といえるものである。 してみれば,引用商標は,その構成文字に相応して「ネットゼロエネルギーハウス」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。 エ 本願商標と引用商標の類否について 本願商標と引用商標の類否について検討すると,両商標は,構成全体の外観においては,相違するものの,本願商標構成中の「Net Zero Energy House」の文字部分と引用商標構成中の「Net Zero Energy House」の文字部分とは,いずれも同じつづりの欧文字からなるものであるから,両者は外観上類似する。 次に,称呼については,両商標は,「ネットゼロエネルギーハウス」の称呼を共通にするものである。 そして,観念については,両商標は,共に特定の観念を生じないものであるから,観念において比較することはできない。 そうすると,本願商標構成中,自他役務の識別標識としての機能を果たし得る「Net Zero Energy House」の文字部分と,引用商標とは,観念において比較できないとしても,外観上類似し,称呼を共通にするものであるから,外観,称呼,観念によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,全体的に考察すれば,両者は互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。 オ 本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否について 本願商標の指定役務である第37類「住宅の建築一式工事」は,引用商標の指定役務中,第37類「建設工事」に包含される役務であるから,両者は同一又は類似する役務である。 カ 小括 以上によれば,本願商標は,引用商標と類似する商標であって,かつ,引用商標の指定役務と同一又は類似する役務について使用をするものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は,原審において資料1ないし資料20を,当審において資料21ないし資料26を提出し,本願商標構成中の「Net Zero Energy House」の文字部分は,単にその住宅が「ZEH」(住宅の高断熱化と高効率設備により,快適な室内環境と大幅な省エネルギーを同時に実現した上で,太陽光発電等によってエネルギーを創り,年間に消費する正味(ネット)エネルギー量が概ねゼロ以下となる住宅)に対応したものであることを想起させるにすぎず,自他役務の識別標識としての機能を果たすものではないから,当該文字部分のみをもって取引に資されるものとはいい難い旨を主張している。 しかしながら,前記(1)イのとおり,本願商標構成中の「Net Zero Energy House」の文字部分は,当該文字部分全体としては辞書等に掲載のない語であって,特定の観念を認識させない一種の造語といえるものである。 そして,請求人が提出した資料1ないし資料26における「Net Zero Energy House」の文字は,「ZEH」(ゼッチ)や「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の文字と共に表記した上で,「年間に消費する正味(ネット)エネルギー量が概ねゼロ以下となる住宅」を表すものとして説明されているとしても,本願指定役務を取り扱う業界において,「Net Zero Energy House」の文字のみが,そのような意味合いを表すものとして広く認識されているとはいえないものである。 さらに,当審において職権をもって調査するも,「Net Zero Energy House」の文字のみをもって,指定役務の具体的な質を表示するものとして,取引上一般に使用されているというべき事情を見いだすこともできない。 してみれば,本願商標構成中の「Net Zero Energy House」の文字部分は,自他役務の識別標識としての機能を有さないとはいい難く,上記請求人の主張を採用することはできない。 イ 請求人は,過去の審決例をあげて,本願商標もこれと同様に登録されるべきである旨主張する。 しかしながら,当該審決例に係る商標は,商品の使用時期,用途などの商品の品質を表示するものとみる余地もある文字部分について,当該文字部分を抽出して引用商標と比較して類否判断することは,許されないとしたものであって,本願商標における判断とは相違するものであるから,これらを同一に論ずることは適切ではない。 また,そもそも商標の類否判断は,当該商標の査定時又は審決時において,その商標が使用される役務における取引の実情等を考慮し,本件の事案に即して本願商標と引用商標とを対比することにより,個別具体的に判断されるべきものであって,過去の審決例等の判断に拘束されるものではないから,かかる請求人の主張は,採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(本願商標) |
審理終結日 | 2019-03-06 |
結審通知日 | 2019-03-12 |
審決日 | 2019-04-04 |
出願番号 | 商願2016-88928(T2016-88928) |
審決分類 |
T
1
8・
263-
Z
(W37)
T 1 8・ 262- Z (W37) T 1 8・ 261- Z (W37) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 寺澤 鞠子、林 悠貴、杉本 克治、馬場 秀敏 |
特許庁審判長 |
冨澤 美加 |
特許庁審判官 |
真鍋 恵美 鈴木 雅也 |
商標の称呼 | ネットゼロエナジーハウス、ネットゼロエネルギーハウス、ネットゼロエナジー、ネットゼロエネルギー、ゼロエナジーハウス、ゼロエネルギーハウス、ゼロエナジー、ゼロエネルギー、ダイアンシンノイエゼロ、ダイアンシンノウチゼロ、ダイアンシンノイエ、ダイアンシンノウチ、ダイアンシンノ、ダイアンシン、ゼロ |
代理人 | 特許業務法人英和特許事務所 |