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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W37 |
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管理番号 | 1351635 |
異議申立番号 | 異議2018-900254 |
総通号数 | 234 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2019-06-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-09-07 |
確定日 | 2019-05-11 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6056594号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6056594号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6056594号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成からなり、第1類、第3類及び第37類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成29年9月4日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、同30年5月17日付けの手続補正書により、第37類「自動車の点検及び修理又は整備,二輪自動車の点検及び修理又は整備,自動車・二輪自動車の洗車及びつや出し,洗車施設及び洗車場の提供,塗装機械器具の修理又は保守,ガソリンステーション用装置の修理又は保守,乗物用洗浄機の修理又は保守,床洗浄機の貸与,モップの貸与,洗車機の貸与」と補正され、同日に登録査定、同年6月29日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第955050号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2に示すとおり、「UP!」の文字を横書きした構成からなり、2007年8月22日にGermanyにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2008年(平成20年)1月23日に国際商標登録出願、第12類「Motorized land vehicles and their parts included in this class; trailers for vehicles and their parts included in this class; engines for land vehicles; tires for vehicle wheels, rims for vehicle wheels, complete vehicle wheels and their parts; motorized vehicles, motorized scooters; motorized automobiles.」を指定商品として、平成21年12月4日に設定登録されたものであり、現在、有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由(要旨) 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきと申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第22号証を提出した。 本件商標は、欧文字二文字「up」からなる商標であるから、引用商標「UP!」と類似するものであり、本件商標の指定役務は、申立人の商標として周知著名な引用商標に係る商品「自動車」と密接な関連にあるので、本件商標をその指定役務に使用する場合、申立人若しくは申立人と何らかの関係がある事業者の業務に係る役務であると混同されるおそれがある。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知性について (1)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 ア 引用商標は、申立人が、2007年9月のフランクフルトモーターショーで、小型自動車の提案「ニュースモールファミリー」のコンセプトカーとして発表した自動車の名称(商標)として採択したものであり、申立人は、同年10月に開催の東京モーターショーにおいても、この自動車を出展し、同年11月のロサンゼルスオートショーでは、燃料電池を搭載した自動車を出展した。 イ 申立人の取扱いに係る自動車「UP!」(以下「申立人自動車」という。)は、2012年1月に「日本カーデザイン大賞」の「ゴールデンマーカー・トロフィー」を受賞(甲6)、同年4月に「ワールド カー オブ ザ イヤー 2012」に選出され(甲7)、同年11月に「RJCカー・オブ・ザ・イヤー インポート」を受賞(甲8)、2013年に特定非営利活動法人日本自動車殿堂から「インポートカーオブザイヤー」及び「カーデザインオブザイヤー」を受賞(甲9)、また、「e燃費アワード」(株式会社イード)では、輸入車部門において、2013年から4年連続で1位を獲得し(甲10?甲12)、さらに、申立人自動車が搭載するエンジンが「インターナショナルエンジン オブ ザ イヤー2018 カテゴリーアワード」を受賞(甲13)した。 ウ 申立人自動車は、2011年(平成23年)から欧州で販売が開始され、我が国においては、2012年(平成24年)10月から販売開始され、発売開始月に、外国メーカー車モデル別販売台数で首位を獲得し(甲14)、累計国内販売台数は、1年後に1万2,500台(甲15)、2014年10月に2万4,000台(甲16)、2015年6月時点で約2万7,000台(甲17)となり、年間の外国メーカー車モデル別新車登録台数では、2012年度は実質半年間の発売期間ながら、全体の第8位、2013年度に第7位、2014年度は第9位(甲18)となっている。 エ 申立人が製造・販売する自動車の総数は、2016年、2017年と世界販売実績が首位(甲19)であり、2018年も10月の時点で過去最高(甲20)となっている。我が国においても、外国メーカー車モデル別新車登録台数ランキングの10位以内に申立人が製造・販売する車種が常に毎年複数種ランクインしている(甲18)。 オ 申立人提出の甲各号証において、申立人自動車は、「UP!」又は「アップ!」のように、感嘆符「!」が付された態様で表されている。 (2)上記(1)によれば、申立人自動車は、2012年から2013年にかけて、「ゴールデンマーカー・トロフィー」、「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー2012」、「RJCカーオブザイヤーインポート」、「インポートカーオブザイヤー」、「カーデザインオブザイヤー」等の賞を受賞し、「e燃費アワード」では、輸入車部門において2013年から4年連続で1位を獲得していること、そして、日本においては、2012年10月から販売が開始されていることが認められる。 しかしながら、申立人が提出した証拠からは、本件商標の登録出願時(平成29年9月4日)及び登録査定時(平成30年5月17日)における申立人自動車の販売台数や、宣伝広告状況は不明であり、また、2012年(平成24年)、2013年(平成25年)頃に、自動車に関する各種の賞を受賞していたとしても、それらの受賞が、引用商標の周知性を判断する上で、どのような関連性を有するのかは明らかでなく、また、毎年、相当数の自動車が開発、製造、販売される業界にあって、申立人自動車への注目度、関心度がその後も継続していたというような事情は見いだせない。 そうすると、申立人自動車は、我が国における発売当初は、需要者、取引者の間で一定程度知られていたとしても、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、我が国の需要者、取引者の間で、申立人自動車を表示するものとして、広く知られ著名になっていたものということはできない。 2 本件商標と引用商標との類似性の程度について 本件商標は、別掲1のとおり、「up」の文字を筆記体風にデザイン化してなるところ、当該文字は、「上へ、上方へ」(甲4)の意味を有する平易な英語であるから、本件商標からは、「アップ」の称呼が生じ、「上へ、上方へ」の観念が生じるものである。 一方、引用商標は、別掲2のとおり、ゴシック体風の「UP」の文字と感嘆符「!」を組み合わせて「UP!」と表してなるものであるところ、当該「UP」の文字は、「上へ、上方へ」の意味を有するものであり、また、「!」の部分は、感嘆符として理解されたとしても、特定の意味合いや、特定の称呼を有しないものである。 そうすると、引用商標は、当該「UP」の文字に相応して「アップ」の称呼を生じ、「上へ、上方へ」の観念を生じるというのが相当である。 そして、本件商標と引用商標を比較すると、両者は、「アップ」の称呼及び「上へ、上方へ」の観念を共通にするものであるとしても、外観において、感嘆符「!」の有無の差異、書体の差異等からして、その構成態様が著しく相違するものであり、看者に対し、別異の印象を与えるものであるから、これらを総合的にみれば、両商標は、類似性の程度が高いとはいい難い。 3 引用商標の独創性等について 引用商標構成中の「UP」の文字は、「上へ、上方へ」(甲4)の意味を有する平易な英語であるから、引用商標が「!」の感嘆符を付加しているものであるとしても、格別独創性が高いものとはいえない。 また、引用商標は、申立人のハウスマークではない。 4 本件指定役務と申立人の取扱いに係る商品の関連性及び需要者の共通性について 本件指定役務には、「自動車の点検及び修理又は整備,二輪自動車の点検及び修理又は整備,自動車・二輪自動車の洗車及びつや出し」等、「自動車」に対して提供される役務が含まれているものであるから、申立人の取扱いに係る「自動車」との関連性は高く、需要者層も一致するものといえる。 5 商標法第4条第1項第15号該当性について 上記1ないし4のとおり、本件指定役務の一部と申立人の取扱いに係る商品の関連性が高く、その需要者の範囲を共通にするものであるとしても、引用商標は、申立人の取扱いに係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとは認められないものであり、本件商標と引用商標とは類似性の程度が高いとはいい難いものであって、かつ、引用商標は、独創性が格別高いものとはいえず、申立人のハウスマークでもないことからすれば、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人に係る引用商標を連想又は想起するものということはできない。 そうすると、本件商標は、商標権者がこれを本件指定役務について使用しても、取引者、需要者が、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 6 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 【別掲1】 本件商標 ![]() 【別掲2】 引用商標 ![]() |
異議決定日 | 2019-04-26 |
出願番号 | 商願2017-116893(T2017-116893) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(W37)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 寺澤 鞠子 |
特許庁審判長 |
山田 正樹 |
特許庁審判官 |
冨澤 美加 鈴木 雅也 |
登録日 | 2018-06-29 |
登録番号 | 商標登録第6056594号(T6056594) |
権利者 | 有限会社 宮崎商店 |
商標の称呼 | アップ、ユウピイ |
代理人 | 田崎 恵美子 |
代理人 | 江崎 光史 |
代理人 | 佐久間 洋子 |