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審決分類 |
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W42 審判 査定不服 外観類似 登録しない W42 審判 査定不服 商品(役務)の類否 登録しない W42 審判 査定不服 観念類似 登録しない W42 |
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管理番号 | 1351510 |
審判番号 | 不服2018-8777 |
総通号数 | 234 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2019-06-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-06-27 |
確定日 | 2019-04-10 |
事件の表示 | 商願2016-145865拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
第1 本願商標 本願商標は,「CloudCampus」の欧文字を標準文字で表してなり,第9類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として平成28年12月28日に登録出願,その後,当審における同30年8月8日付けの手続補正書により,指定役務を第42類「電気通信に関するエンジニアリング,情報技術(IT)に関する助言,クラウドコンピューティング,コンピュータ技術に関する助言,コンピュータソフトウエアの設計,コンピュータハードウエアの設計及び開発に関する助言」と補正したものである。 第2 引用商標 原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録第5521653号商標(以下「引用商標」という。)は「クラウド キャンパス」の片仮名と「Cloud Campus」の欧文字を上下二段に書してなり,平成24年3月16日に登録出願,第41類及び第42類に属する別掲のとおりの役務を指定役務として,同年9月14日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。 第3 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号について (1)本願商標について 本願商標は,「CloudCampus」の欧文字からなるところ,1文字目及び6文字目の「C」の文字が大文字で表されていることから,「Cloud」と「Campus」の2語を結合させたものと容易に理解できるものである。 そして,「Cloud」の文字は「雲」の意味を有し,「Campus」の文字が「(大学,その他学校の)構内,校庭,キャンパス」の意味を有する親しまれた英語であるとしても,「CloudCampus」の文字全体として,特定の意味合いを有する熟語を形成しているものとはいえないものである。 そうすると,本願商標は,その構成文字に相応した「クラウドキャンパス」の称呼が生じ,特定の観念は生じないものである。 (2)引用商標について 引用商標は,「クラウド キャンパス」の片仮名と「Cloud Campus」の欧文字を上下二段に書してなるところ,上段の片仮名は下段の欧文字の読みを表したものと無理なく理解できるものであって,また,下段の欧文字は,「Cloud」と「Campus」との間に半文字ほどの空白があることから「Cloud」と「Campus」の2語からなるものと容易に看取されるものである。 そうすると,引用商標は,上記(1)と同様に「クラウドキャンパス」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。 (3)本願商標と引用商標の類否について 本願商標と引用商標とを比較するに,外観においては,両商標は,その構成を異にするものであるが,本願商標と引用商標の下段の欧文字部分とを比較したときには,半文字ほどの空白の有無を除き,その文字つづり及び文字全体における大文字と小文字の構成を共通にするものであるから,本願商標と引用商標の欧文字部分とは互いに近似した印象を与えるものといえる。 そして,称呼においては,両者は,「クラウドキャンパス」の称呼を同一にするものであり,また,観念においては,本願商標と引用商標とは,ともに特定の観念を生じないものであるから,比較することができない。 そうすると,本願商標と引用商標は,観念において比較することはできないとしても,本願商標と引用商標の欧文字部分において外観上,近似した印象を与えるものであって,かつ,その称呼を同一にするものであるから,両商標が,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合的に勘案すれば,両商標は,互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。 (4)本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否について 本願商標の指定役務は前記第1のとおりであるところ,通常,「○○の助言」及び「○○の情報の提供」の役務は,「○○の助言及び○○の情報の内容に対応する役務」と,その提供者,需要者を共通にするものであり,類似の役務ということができる。 以下,これを踏まえて本願商標の指定役務を検討する。 ア 「電気通信に関するエンジニアリング」について 「電気通信に関するエンジニアリング」の役務は,電気通信に関する設備,機械の設計を含む役務であるから,引用商標の指定役務中,「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,インターネットを利用した機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計に関する情報の提供,コンピュータネットワークシステムで使用される機器の設計機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計」と類似の役務である。 イ 「情報技術(IT)に関する助言」について 「情報技術(IT)に関する助言」の役務は,技術に関する役務であるから,引用商標の指定役務中,「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,インターネットを利用した機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計に関する情報の提供,コンピュータネットワークシステムで使用される機器の設計,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,インターネット等の通信ネットワークにおけるホームページの設計・作成又は保守,電子計算機を用いて行う情報処理,電子計算機システムの遠隔監視,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,機械器具に関する試験又は研究」と類似の役務である。 特に,「情報技術」は,「コンピューターや通信など情報を扱う工学およびその社会的応用に関する技術の総称。IT(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)」を意味するものであるから,「情報技術(IT)に関する助言」の役務は,その技術内容が,「コンピュータや通信などの情報」であり,引用商標の指定役務中,例えば,コンピュータ技術に関する「コンピュータネットワークシステムで使用される機器の設計,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,インターネット等の通信ネットワークにおけるホームページの設計・作成又は保守,電子計算機を用いて行う情報処理,電子計算機システムの遠隔監視」とは技術内容を共通にする類似の役務である。 ウ 「クラウドコンピューティング」について 「クラウドコンピューティング」とは,「インターネットを経由して,ソフトウェア,ハードウェア,データベース,サーバーなどの各種リソースを利用するサービスの総称(「大辞泉第二版」株式会社小学館)」を意味するものであるから,「クラウドコンピューティング」の役務は,「インターネットを経由して,ソフトウェア,ハードウェア,データベース,サーバー等を利用させる」役務であり,引用商標の指定役務中「サーバの記憶領域の貸与,通信ネットワークを介した電子掲示板・電子会議室・チャットルーム用のサーバのエリア貸与,電子計算機の貸与,その他の電子応用機械器具(ワードプロセッサ・電子応用静電複写機を除く。)の貸与,インターネットを利用した学習用の電子計算機プログラムの提供,通信ネットワークを利用したアプリケーションソフトウェアの提供,その他の電子計算機用プログラムの提供」と類似の役務である。 エ 「コンピュータ技術に関する助言」について 「コンピュータ技術に関する助言」の役務は,技術に関する役務であるから,引用商標の指定役務中,「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,インターネットを利用した機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計に関する情報の提供,コンピュータネットワークシステムで使用される機器の設計,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,インターネット等の通信ネットワークにおけるホームページの設計・作成又は保守,電子計算機を用いて行う情報処理,電子計算機システムの遠隔監視,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,機械器具に関する試験又は研究」と類似の役務である。 特に,「コンピュータ技術に関する助言」の役務は,その技術内容が「コンピュータ技術」であるから,引用商標の指定役務中,コンピュータ技術に関する「コンピュータネットワークシステムで使用される機器の設計,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,インターネット等の通信ネットワークにおけるホームページの設計・作成又は保守,電子計算機を用いて行う情報処理,電子計算機システムの遠隔監視」と技術内容を共通にする類似の役務である。 オ 「コンピュータソフトウエアの設計」について 「コンピュータソフトウエアの設計」の役務は,その役務の内容において,引用商標の指定役務中「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,インターネット等の通信ネットワークにおけるホームページの設計・作成又は保守,電子計算機を用いて行う情報処理,電子計算機システムの遠隔監視」と類似の役務である。 特に,「コンピュータソフトウエア」と「電子計算機のプログラム」とは同義であるから,上記役務と引用商標の指定役務中「電子計算機のプログラムの設計」とは役務の内容もほぼ一致する類似の役務である。 カ 「コンピュータハードウエアの設計及び開発に関する助言」について 「コンピュータハードウエアの設計及び開発に関する助言」の役務は,機械,装置の設計に含まれる役務であるから,引用商標の指定役務中,「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,インターネットを利用した機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計に関する情報の提供,コンピュータネットワークシステムで使用される機器の設計」と類似の役務である。 特に,「コンピュータハードウエアの設計に関する助言」の役務と引用商標の指定役務中「コンピュータネットワークシステムで使用される機器の設計」とは,「コンピュータに関する機器の設計」に関する役務であることを共通にする類似の役務である。 キ 上記アないしカのとおり,本願商標の指定役務は,引用商標の指定役務と類似の役務である。 (5)小括 以上からすれば,本願商標と引用商標とは,類似する商標であり,その指定商品も類似するものであるから,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 請求人の主張について (1)請求人は「本願商標は,『CloudCampus』なる英文字のみで構成されているのに対し,引用商標は『クラウド キャンパス』なる片仮名と『Cloud Campus』なる英文字を上下2段に構成した商標であり,一見して外観上両者を区別することは可能である。」旨を主張している。 しかしながら,前記1(3)のとおり,本願商標と引用商標の欧文字部分とは,外観上,近似した印象を与えるものであって,かつ,その称呼を同一にするものであるから,本願商標と引用商標とは,互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。 (2)請求人は,「本願商標の指定役務と引用商標の第42類の指定役務とは,主として役務の需要者や提供の目的が異なるため,取引の実情に照らせば,同一営業主の提供に係る役務として誤認混同されるおそれはないから,本願商標と引用商標は非類似である。」旨を主張し,また,「商標の類否判断に当たって考慮することのできる取引の実情とは,その指定商品全般についての一般的・恒常的なそれを指すものであって,単に該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的・限定的なそれを指すものでないと解されている(S49.4.25最高裁判決昭和47(行ツ)第33号,H18.2.16知財高裁判決平成17(行ケ)10618等参照)。」の判示を挙げ「IT技術があらゆる分野に適用されIT業界で提供されるサービスが細分化・専門化している取引の実情や,情報通信技術,通信機器の高度化・複雑化がすすむ背景からして,請求人の役務と引用商標の第42類の役務はそれぞれ細分化されたサービスの態様の代表例であって,一般的・恒常的な実情として把握されるべきものである。よって,本願商標の指定役務と引用商標の第42類の指定役務が同じIT業界に属する役務だとしても,取引の実情を考慮して非類似と判断される。」旨を主張している。 しかしながら,前記1(4)のとおり,本願商標の指定役務と引用商標の指定役務とは類似の役務である。 また,請求人の主張に係る取引の実情は,請求人の業務の実情と,引用商標の商標権者の業務の実情のみを比較しているものであり,特殊的,限定的な実情に限定しているものというべきである。 したがって,請求人の主張に係る取引の実情は,商標の類否判断に考慮するべき本願商標の指定役務及び引用商標の指定役務の一般的,恒常的な取引の実情ということはできない。 よって,請求人の上記主張は,いずれも採用することができない。 3 まとめ 以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するから,登録することはできない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(引用商標の指定役務) 第41類「生涯学習に関する助言・指導,生涯学習に関する情報の提供,大学における教授,その他の技芸・スポーツ又は知識の教授,資格の認定及び付与,インターネット等の通信ネットワークを介した通信教育およびそれに関する情報の提供,ウェブ上で行なう講演会・討論会・セミナー・シンポジウムおよび会議の企画・運営又は開催及びそれらに関する情報の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオ制作技術に関する電子出版物の提供,その他の電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,映画の上映・制作又は配給,通信回線を利用した映画・画像・動画の提供,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,通信回線を利用した音楽の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」 第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,インターネットを利用した機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計に関する情報の提供,コンピュータネットワークシステムで使用される機器の設計,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,インターネット等の通信ネットワークにおけるホームページの設計・作成又は保守,電子計算機を用いて行う情報処理,電子計算機システムの遠隔監視,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,サーバの記憶領域の貸与,通信ネットワークを介した電子掲示板・電子会議室・チャットルーム用のサーバのエリア貸与,電子計算機の貸与,その他の電子応用機械器具(ワードプロセッサ・電子応用静電複写機を除く。)の貸与,インターネットを利用した学習用の電子計算機プログラムの提供,通信ネットワークを利用したアプリケーションソフトウェアの提供,その他の電子計算機用プログラムの提供」 |
審理終結日 | 2018-11-06 |
結審通知日 | 2018-11-13 |
審決日 | 2018-11-27 |
出願番号 | 商願2016-145865(T2016-145865) |
審決分類 |
T
1
8・
264-
Z
(W42)
T 1 8・ 263- Z (W42) T 1 8・ 262- Z (W42) T 1 8・ 261- Z (W42) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 森山 啓 |
特許庁審判長 |
井出 英一郎 |
特許庁審判官 |
榎本 政実 大森 友子 |
商標の称呼 | クラウドキャンパス、クラウド、キャンパス |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 大貫 進介 |
代理人 | 伊東 忠重 |