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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 121
管理番号 1351501 
審判番号 取消2018-300392 
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-06-12 
確定日 2019-04-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第2194132号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2194132号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおり,「つやの玉」の文字を手書き風に縦書きしてなり,昭和62年3月20日に登録出願,第21類「化粧用具」を指定商品として,平成元年12月25日に設定登録され,その後,平成21年8月19日に,第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシを除く。」)とする指定商品の書換登録がなされ,現に有効に存続しているものである。
なお,本件審判の請求の登録(予告登録)は,平成30年6月25日になされたものである(以下,本件審判の請求の登録前3年以内を「要証期間内」という。)。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の登録を取り消す,審判費用は,被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品について継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は,被請求人提出の審判事件答弁書に対して,何ら弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,審判事件答弁書において要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。
1 答弁の理由
被請求人は,本件商標を要証期間内に,日本国内においてその指定商品に使用しており,取り消されるべきものではない。
2 具体的な商標使用の事実
(1) 被請求人である「有限会社畑中義和商店」は,1887年(明治20年)創業の,主として凍りこんにゃく及びこんにゃくスポンジの製造を行うもので,自社のWebサイトをはじめ,化粧用具等を扱う卸売業者や小売店等を通じてこれらの商品を販売している。
ア 本件商標「つやの玉」は,被請求人が製造する「洗顔用スポンジ」の商品名として使用するもので,昔ながらの製法を用いて「食べるこんにゃく」から作った同商品は,その柔らかい肌触りからお肌を傷つけることなく洗うことが出来ることから,女性の洗顔だけでなく,赤ちゃんの肌洗い用に適しているとの評判を多数得ている(乙1)。
イ 2009年(平成21年)には,地元の多可町から「多可町特産品」の認証を受け,同町のWebサイトやガイドブック,さらには同町が主催する物産展等において地域ブランドの主要商品の一つとして積極的にPRされており(乙2),雑誌等のメディアにおいても,紹介記事が掲載されている(乙3)。
ウ 乙4から乙8の証明書にあるとおり,被請求人は,要証期間内に,本件商標「つやの玉」を付した商品「洗顔用スポンジ」を販売している。乙4及び乙5は,道の駅「杉原紙の里・多可」等を運営・管理する「株式会社かみ物産センター」からの注文を受け,2015年(平成27年)7月31日,2016年(平成28年)9月30日,2017年(平成29年)10月19日及び2018年(平成30年)5月22日に,それぞれ本件商標「つやの玉」を付した商品「洗顔用スポンジ」を納品したことを示すものである。
エ 乙6は,「公益社団法人兵庫県物産協会」からの注文を受け,2018年(平成30年)5月9日,5月15日及び5月16日に,それぞれ本件商標「つやの玉」を付した商品「洗顔用スポンジ」を納品したことを示すものである。
オ 2018年(平成30年)1月24日には「株式会社イシザワ」に,2018年(平成30年)6月14日には「株式会社東急ハンズ 三宮店」に,それぞれ本件商標「つやの玉」を付した商品「洗顔用スポンジ」を納品している(乙7,乙8)。
カ 乙9は,1990年(平成2年)8月ごろから大阪府大阪市住吉区南住吉2丁目23番29号に所在する「中西産業株式会社」に対して,本件商標の使用を許諾しており,通常使用権者である同社においても,本件商標「つやの玉」を付した商品「洗顔用スポンジ」を販売している。同社が販売する商品について,被請求人が受託して製造を行い,2015年(平成27年)10月19日,2016年(平成28年)10月27日及び2017年(平成29年)10月10日に,それぞれ納品している。
(2) 以上より,被請求人である「有限会社畑中義和商店」及び通常使用権者である「中西産業株式会社」は,要証期間内に,日本国内において,その指定商品に使用していたものと認められることから,商標法第50条第1項の規定によって,その登録を取り消すことはできない。

第4 当審の判断
1 事実認定
(1)証拠及び被請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。
ア 被請求人である「有限会社畑中義和商店」は,こんにゃくを原料とする洗顔用スポンジ(以下「使用商品」という。)を製造販売し,使用商品の旧包装には赤地の楕円形内に「つやの玉」の文字を太く白抜きにて縦書きした標章(以下「使用商標1」という。)及び新包装には「つやの玉」の文字を普通に縦書きした標章(以下「使用商標2」という。)が付されている。
イ 被請求人は,道の駅「杉原紙の里・多可」等を運営・管理する株式会社かみ物産センターからの注文を受け,2015年(平成27年)7月31日,2016年(平成28年)9月30日,2017年(平成29年)10月19日に,使用商標1を付した使用商品を納品し,また,2018年(平成30年)5月22日には,使用商標2を付した使用商品を納品した(乙4,乙5)。
ウ 被請求人は,公益社団法人兵庫県物産協会からの注文を受け,2018年(平成30年)5月9日,同15日及び同16日に,それぞれ使用商標2を付した使用商品を納品した(乙6)。
エ 被請求人は,株式会社イシザワ,株式会社東急ハンズ三宮店からの注文を受け,2018年(平成30年)1月24日には株式会社イシザワに,2018年(平成30年)6月14日には株式会社東急ハンズ三宮店に,それぞれ使用商標2を付した使用商品を納品した(乙7,8)。
オ 被請求人は,通常使用権者である中西産業株式会社からの注文を受け,2015年(平成27年)10月19日,2016年(平成28年)10月27日及び2017年(平成29年)10月10日に,それぞれ使用商標1を付した使用商品を納品した(乙9)。
カ 以上からすると,被請求人は,こんにゃくを原料とする洗顔用スポンジを製造販売する業者であり,少なくとも要証期間内である2015年(平成27年)7月31日から2018年(平成30年)6月14日までの間,使用商品に使用商標1又は2を付して譲渡又は引き渡したといえる。
2 判断
上記1によれば,次のとおり判断することができる。
(1)使用商標について
本件商標は,別掲1のとおり,「つやの玉」の文字を太く縦書きにしてなるところ,使用商標1は,別掲2のとおり,赤色の楕円形内に「つやの玉」の文字を太く白抜きにて表してなるものであるが,文字部分は本件商標とはつづりが同一であって,赤色の楕円形部分は背景的要素としてしか認識されないこと,また,使用商標2は,別掲3のとおり,文字部分は本件商標と書体の相違はあるものの,構成文字は同一であり外観上も格別大きく異なるものではない。
したがって,使用商標1及び2は,本件商標の書体のみに変更を加えた同一の文字からなるものであり,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(2)使用商品について
使用商品は上記1(1)のとおり,「こんにゃくを原料とする洗顔用スポンジ」であって,当該商品は被請求人が販売先である株式会社かみ物産センター,公益社団法人兵庫県物産協会他に譲渡又は引き渡ししたものと認められる。また当該商品は,本件審判の請求に係る指定商品「化粧品(電気式歯ブラシを除く。)」に含まれるものである。
(3)使用時期について
被請求人は,上記1(1)のとおり,少なくとも要証期間内である2015年(平成27年)7月31日から2018年(平成30年)6月14日までの間,使用商品に使用商標1又は2を付して譲渡又は引き渡したといえる。
(4) 小括
以上(1)ないし(3)によれば,本件商標権者である被請求人は,要証期間内において,本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「こんにゃくを原料とする洗顔用スポンジ」の包装に本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付して譲渡又は引き渡したものであり,かかる行為は商標法第2条第3項第2号にいう「商品及び商品の包装に標章を付したもの譲渡・引き渡しする行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標権者が,本件審判の請求に係る指定商品に含まれる商品について,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本件商標



別掲2 使用商標1(色彩は原本参照。)


別掲3 使用商標2



審理終結日 2019-02-19 
結審通知日 2019-02-21 
審決日 2019-03-07 
出願番号 商願昭62-30005 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (121)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 豊田 純一
木村 一弘
登録日 1989-12-25 
登録番号 商標登録第2194132号(T2194132) 
商標の称呼 ツヤノタマ 
代理人 鎌田 直也 
代理人 鎌田 文二 
代理人 田中 尚文 

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