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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W19
審判 一部申立て  登録を維持 W19
審判 一部申立て  登録を維持 W19
審判 一部申立て  登録を維持 W19
審判 一部申立て  登録を維持 W19
管理番号 1350841 
異議申立番号 異議2018-900297 
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-05-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-10-12 
確定日 2019-04-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第6065549号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6065549号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6065549号商標(以下「本件商標」という。)は,「ネオエメリー」の文字を標準文字で表してなり,平成29年5月1日に登録出願,第19類「セラミック製道路舗装用の骨材,骨材」を指定商品として,同30年7月10日に登録査定され,同月27日に設定登録されたものである。

2 使用商標及び引用商標
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標は商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当するとして引用する商標は,次のとおりであり(以下,まとめて「使用商標」という。),申立人等が「黒色硬質骨材」に使用し,取引者,需要者の間に広く認識されているとするものである。
ア 「ネオエメリー」の文字からなる商標(以下「使用商標1」という。)
イ 「ネオ・エメリー」の文字からなる商標(以下「使用商標2」という。)
なお,申立人は,商標「ネオエメリー」について,指定商品を第19類「建築用又は構築用の非金属鉱物,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,石材,鉱物性基礎材料」とする商標登録第6015517号を保有している。
(2)申立人が,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する国際登録第1049772号商標(以下「引用商標」という。)は,「EMERY」の欧文字を横書きしてなり,2009年7月14日にGermanyにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,2010年(平成22年)1月13日に国際商標登録出願,「Building materials (non-metallic); pipes (non-metallic) for building purposes;(和訳:建築材料(金属製のものを除く。),建設用パイプ(金属製のものを除く。))の指定商品を含む第19類,第1類ないし第5類,第29類ないし第31類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成24年1月6日に設定登録されたものであり,その商標権は現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第10号,同項第19号及び同項第11号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は,「ネオエメリー」の文字を標準文字で表してなるところ,使用商標「ネオエメリー」及び「ネオ・エメリー」は,申立人が30年近く総販売元となり工事業者に販売している「黒色硬質骨材」に使用し,取引者,需要者間に広く認識されているものである。
そうすると,本件商標は,他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている使用商標と同一又は類似の商標であり,かつ,その商品と同一又は類似の商品に使用するものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は,「ネオエメリー」の文字を標準文字で表してなるところ,使用商標「ネオエメリー」及び「ネオ・エメリー」は,申立人が30年近く総販売元となり工事業者に販売している「黒色硬質骨材」に使用し,取引者,需要者間に広く認識されているものである。
そして,本件商標は,取引者,需要者間に広く認識されている使用商標と同一又は類似するものであり,偶然に一致したものとは到底考えられないものである。
してみれば,商標権者は,本件商標の登録出願当時,使用商標が相当程度知られていることを知りながら,これがいまだ登録されていないことを奇貨として,使用商標の使用者である申立人等の商標の出所表示機能を稀釈化し,又は顧客吸引力に便乗して不当な利益を得る等の目的のもとに登録出願したものと推認せざるを得ない。
そうすると,本件商標は,他人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内における需要者の間に広く認識されている商標(使用商標)と同一又は類似する商標であって,不正の目的をもって使用するものというべきものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,「ネオエメリー」の文字を標準文字で表してなるところ,語頭部の「ネオ」の文字は,「新しい」「復活の」等の意味を有し,商品の品質を表すものとして広く認識され,各種商品に該意味をもって使用されているものであるから,後半部の「エメリー」の文字部分が自他商品の識別標識としての機能を有し,該「エメリー」の文字部分より「エメリー」の称呼が生じる。
一方,引用商標は,「EMERY」の欧文字より「エメリー」の称呼が生じる。
してみれば,本件商標と引用商標とは,「エメリー」の称呼を共通にする類似の商標で,かつ,引用商標の指定商品には本件商標の指定商品と同一又は類似の商品が含まれる。
そうすると,本件商標は,当該商標出願日前の出願に係る他人の登録商標に類似する商標であって,その商標登録に係る商品に類似する商品について使用するものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第10号について
ア 使用商標の周知性
(ア)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば,次の事実を認めることができる。
a 申立人は,天保2年(1831年)に創業,昭和10年4月に設立され,鋳物,建設,土木など7事業部門を有する複合商社であり,舗装用の黒色硬質骨材「ネオエメリー」を取り扱っている(甲5,甲6)。
b 申立人は,グループ会社である日本セラウェイ株式会社(甲5,甲8。以下,両者をあわせて「申立人等」という。)とともに,舗装用の黒色硬質骨材「ネオエメリー」「ネオ・エメリー」を,遅くとも平成7年から現在まで継続して取り扱っていると推認できる(甲5,甲6,甲8,甲9,甲13,甲14,甲16?甲20)。
c 申立人等が月刊誌「舗装」に平成7年7月頃から平成10年10月頃まで毎年5回又は6回掲載した着色磁器質骨材「CERAROAD-H(セラロードH)」の広告には,下部に小さな文字ではあるが「オリジナル開発のリサイクル商品」として「ネオ・エメリー『硬質黒色骨材』」の記載がある(甲14)。
d 有限会社周南テクノクロムは,少なくとも平成7年頃に舗装用の黒色硬質骨材「ネオエメリー」「ネオ・エメリー」を製造していた(甲7,甲13)。
また,岡崎ヒュッテナス・アルバータス化成株式会社及び岡崎鑛産物株式会社は,少なくとも平成28年10月頃から平成29年3月頃まで舗装用の黒色硬質骨材「ネオエメリー」「ネオ・エメリー」を製造又は販売していた(甲10,甲16,甲17)。
なお,これら3社と申立人との経済的又は組織的な関係は確認できない。
e 申立人等が販売する黒色硬質骨材「ネオエメリー」及び「ネオ・エメリー」の売上高,シェアなど販売実績を示す証左は見いだせない。
(イ)上記(ア)の事実によれば,申立人等は黒色硬質骨材「ネオエメリー」及び「ネオ・エメリー」を遅くとも平成7年以降現在まで継続して取り扱っていることが推認できるものの,該商品の申立人等の販売実績を示す証左がないこと,岡崎ヒュッテナス・アルバータス化成株式会社及び岡崎鑛産物株式会社が舗装用の黒色硬質骨材「ネオエメリー」及び「ネオ・エメリー」を販売していることからすれば,該商品は申立人等の業務に係る商品であるものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
してみれば,「ネオエメリー」及び「ネオ・エメリー」の文字からなる使用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,いずれも他人(申立人等)の業務に係る商品を表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(ウ)なお,申立人は,黒色硬質骨材「ネオエメリー」及び「ネオ・エメリー」は平成3年に申立人が開発し,その後30年近く総販売元となって該商品の市場への認知を広めてきたなどとして,使用商標が周知である旨主張しているが,使用商標が需要者の間に広く認識されているものと認められないことは上記(イ)のとおりであり,他にそれを認め得る事情も見いだせないから,申立人のかかる主張は採用できない。
イ 本件商標と使用商標との類否
本件商標は,上記1のとおり「ネオエメリー」の文字からなり,使用商標は,上記2(1)のとおり「ネオエメリー」及び「ネオ・エメリー」の文字からなるものであるから,両商標は,同一又は類似の商標である。
ウ 小括
本件商標は,上記イのとおり,使用商標と同一又は類似の商標であるが,使用商標は,上記アのとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,他人(申立人等)の業務に係る商品を表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第19号について
申立人は,本件商標は申立人が商品「黒色硬質骨材」に使用し需要者等に広く認識されている使用商標と同一又は類似であること,本件商標の指定商品は該「黒色硬質骨材」と同一又は類似であること,及び本件商標は申立人と本件商標権者が黒色硬質骨材事業について話し合いを行った後に本件商標権者が登録出願したものであることなどから,本件商標権者は申立人に損害を加える,及び使用商標の顧客吸引力に便乗して不当な利益を得る等の不正の目的のもとに登録出願したものである旨主張している。
しかしながら,上記(1)アのとおり,使用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,他人(申立人等)の業務に係る商品を表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものであり,また,申立人と本件商標権者が黒色硬質骨材事業について話し合いを行ったことを示す証左の提出がないなど申立人提出の証拠によっては本件商標が不正の目的をもって使用するものと認め得る証左は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は,上記1のとおり,「ネオエメリー」の文字を標準文字で表してなり,その構成文字は同書同大同間隔でまとまりよく一体に表され,これから生じる「ネオエメリー」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
そして,本件商標は,たとえ,その構成中の「ネオ」の文字が「新しい」などの意味を有するものとしても,かかる構成及び称呼においては,該文字部分が指定商品の品質を表示したものとして認識されることなく,むしろ,「ネオエメリー」の構成文字全体をもって,特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識,把握されるとみるのが相当である。
また,他に本件商標の構成中「エメリー」文字部分を分離抽出し,他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断すべき事情は見いだせない。
イ 引用商標
引用商標は,上記2(2)のとおり,「EMERY」の欧文字からなり,該文字に相応し「エメリー」の称呼を生じるものである。
そして,該「EMERY」の文字は,「(名前としての)エメリー,金剛砂」などの意味を有する英語であるが,我が国で親しまれた語とはいえないから,特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とを比較すると,両商標の上記のとおりの外観においては,欧文字と片仮名で文字種が異なるから,外観において相紛れるおそれのないものである。
次に,称呼においては,本件商標より生じる「ネオエメリー」の称呼と引用商標より生じる「エメリー」の称呼とは,語頭における「ネオ」の音の有無という顕著な差異を有するものであるから,それぞれを称呼するときは,明瞭に聴別し得るものである。
さらに,観念おいては,本件商標と引用商標とは,いずれも特定の観念を生じないものであるから,比較できないものである。
そうすると,本件商標と引用商標とは,観念において比較できないものであって,外観及び称呼において,相紛れるおそれのないものであるから,両商標が需要者に与える印象,記憶,連想等を総合してみれば,両商標は,非類似の商標というべきである。
エ 小括
してみれば,本件商標は,引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるが,上記ウのとおり,引用商標と非類似の商標である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号,同項第11号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2019-03-25 
出願番号 商願2017-61529(T2017-61529) 
審決分類 T 1 652・ 262- Y (W19)
T 1 652・ 222- Y (W19)
T 1 652・ 25- Y (W19)
T 1 652・ 261- Y (W19)
T 1 652・ 263- Y (W19)
最終処分 維持  
前審関与審査官 赤星 直昭森山 啓 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 榎本 政実
平澤 芳行
登録日 2018-07-27 
登録番号 商標登録第6065549号(T6065549) 
権利者 AGCセラミックス株式会社
商標の称呼 ネオエメリー、エメリー 
代理人 特許業務法人栄光特許事務所 
代理人 特許業務法人あーく特許事務所 

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